ダンジョンに夢を求めるのは間違っているだろうか   作:虎神

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10話

リリと最後にダンジョンに潜ってから、二日が経った。僕は一人ホームのソファーで座っている。

今日はリリもいないことだし、ダンジョンに潜らずにゆっくりしようと決めたのだが...なにぶん暇で暇でしょうがなかった。

それにステイタスの更新も最近していなかった。

 

(神様本当に忙しそうだな。....にしても暇だ。久しぶりに掃除でもするかな)

 

僕はそう考えてソファーから立ち上がり、掃除を始めた。ベットやソファー、机の上、床などを掃除していると。

 

「ん?コレって...」

 

見つけたのはどこかで見たことがあるようなバスケット。

 

「僕こんなの持ってた...け」

 

そして思い出した。コレが何か。コレがいったい誰の物で、何故自分が持っているか。

 

「...僕の馬鹿」

 

僕は一人頭を抱えうなだれたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に...本当に申し訳ございませんでした!!」

 

「あははは...」

 

僕はあの後、そのバスケットを手に持って町を駆け抜け、一つの店に入っていった。その店の名は豊穣の女主人。

ドワーフの女将さんと可愛らしい女の子達が働くお店で、ご飯もすごく美味しい所だった。値段は別として。

そして今、僕はそこで働いているウェイトレスの一人、ヒューマンのシルさんに頭を下げていた。

 

「私は気にしてないですから大丈夫ですよベルさん?」

 

そう言う彼女の右手には、僕が持ってきたバスケット。いy、僕が返しに来たバスケットが握られていた。

 

「いや、でも...」

 

いったい何日忘れていたのか僕でもわからない。

しかもシルさんは、これを返しに来ないから僕がダンジョンでのたれ死んだと心配していたらしい。本当に罪悪感が半端ではない。

 

「もう、いっぱいからかわれたんですよ?」

 

「え?」

 

何故からかわれたのかベルにはわからなかった。

実は、シルは本当にベルに何かあったんではないだろうかと心配で、そわそわしていたらしい。その光景を見た他の従業員にからかわれたのだった。

しかし、そんなことを知らないベルとしては、頭を悩ませる。

 

「よくわかりませんけど本当にすいませんでした。....アレ?」

 

僕はもう一度謝り、シルさんの後ろにある一冊の本に目がいった。

 

「シルさん、あんな本飾っていましたっけ?」

 

「ああ、あれですか?実はアレって誰かの忘れ物なんですよ」

 

そう言ってシルはベルに本を持ってきて見せる。表紙には何も書かれていなく、見ただけでは真っ黒な本だな。としか判断できなかった。

 

「すごいシンプルな本ですね」

 

「そうですね。私も中は見てないんですが...あ、そうだ!」

 

シルは何かを思いついたように手を叩いた。

 

「ベルさん、この本読んで今度内容を聞かせてくださいよ!」

 

「え、え!?な、なんで僕が?それにコレって人の本ですし...」

 

「1日くらい借りても大丈夫ですって!もしこれを引き受けてくれるなら、今回のコレについて許してあげます!」

 

さっき許してくれると言っていたのに...。

しかし、ベルとしてはそう言われて嫌だとは言えなかった。さすがシルさん。小悪魔の才能がある。

 

「はぁ、わかりました。では今日1日だけ借りますね」

 

「はい!ちゃんと内容教えてくださいよ?」

 

シルさんはそう言うと、自分の仕事に戻って行った。だが、僕自身も今日は暇をしていたので、ちょうどよかった。

そして、僕は来た道を戻りホームに帰っていく。

 

『む、ベルその本は...』

 

「え?どうかしましたか童子さん?」

 

いきなり童子さんが話しかけてきて少し驚く。どうやらこの本のことを言ったようだが、その後すぐに何もないと言われた。

いったいなんだったんだろうか?そして、ホームに着いた僕はソファーに座り、さっそく貸してもらった本を開く。

 

《さぁ、君も魔法を使いたいか?そんなもの簡単だ!気合いでなんでもできるものさ!!》

 

やばい、いきなり地雷臭がすごい。

 

《ゴブリンでも覚えられる魔法講座1》

 

これをゴブリンが読んだらどうしてくれるんだ。

 

《フッフッフッ、私にはわかる。君の右手には暗黒の龍が眠っている!さぁ、今それを解放するのだ!!暗黒龍魔法講座》

 

....やばい、少しカッコいいと思ってしまった。

と、目次の所でいきなり止まっていては埒があかない。僕はそう思い本文の方へ目を移す。

目次はあんなのだったが、中身は以外と普通のようだ。

そして気付いた。読んでいく分の横に小さな文字が書かれているのだ。しかし、それを気にせず読んでいく。

 

そして、それは現れた。

 

『やぁ、僕』

 

そう、これは僕だ。僕の顔、僕の声だ。

 

『じゃあ、始めようか。僕は力を望む?』

 

力?...望むさ。僕は強くなりたい。

 

『なら、僕にとって魔法とは何?』

 

わからない。しかし、僕が憧れ、なりたいと思っている英雄が持っているもの。

 

『僕にとって魔法は?」

 

全てを焦がす炎、全てを凍らす冷気、光のように速い雷。それを使えば絶対に勝てるという最強の武器。

 

『僕にとって魔法とはどんなもの?』

 

どんなもの?いろいろ先程言ったようにいろいろある。だが、一番に思いつくものは雷。これは昔に村で雷の魔法を使う冒険者に見せてもっらたことがあるから。僕はだから雷が思いつく。

速く、鋭く、そしてどんな物も貫く物。

だから僕は、誰か大切な人を助けるときにも真っ先に手が届く雷の速さが欲しい。

 

『魔法に何を求めるの?』

 

より、強く。より、速く。僕はあの人達に手が届きたい。圧倒的な剣技、圧倒的な身体。その全てを僕はこの手で掴みとりたい。光より速く、僕は剣をその手に持ち、その人達の横で、前で、戦いたい。

 

『それだけ?』

 

...願うなら。子供みたいな夢だけけど...僕は英雄になりたい。読んだおとぎ話に出てくるような英雄に。様々な武具を使い、全てをなぎ払い全てを救う英雄に

 

『子供だなぁ。でも』

 

ごめん、でも

 

「『でも、それが(キミ)だ』」

 

本の中の僕は最後に微笑んだ。そしてすぐに、僕は意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.....君!.....ル君!!」

 

声が、聞こえる。

よく聞いなれた。僕の大好きな声だ。僕を救ってくれた大切な人の...。

 

「...かみ、さま?」

 

「やっと起きたかいベルくん?まったく、帰ってきたら机の上で突っ伏したいたから心配したよ。寝るならちゃんとベットかソファーで寝なよ?」

 

ああ、そうか。僕は本を読んでいて寝てしまったんだ。

時刻は夜の7時。すっかり夜になってしまっていたようだ。

 

「なんだい本を読んでたのかい?」

 

神様は僕の横にあった本を見て、そう聞く。

 

「あはは...そうなんですけど途中で寝て...」

 

アレ?ぼくは読み切って寝てしまったんだろうか?少し記憶がないんだが...。

 

「あはは、やっぱりベルくんはかわいいね」

 

「や、やめてくださいよ神様〜」

 

「ふふっ。さ、ご飯にしようぜ」

 

神様は笑顔でそう言って椅子に座る。僕もすぐに調理に取り掛かった。

 

「ところであんな分厚い本なんてどこにあったんだい?まさか買ってきたわけじゃないし...」

 

「あはは...ちょっと知り合いに借りまして」

 

「ふぅん...ベルくん後でボクにも貸しておくれよ。最近、本なんて読んでなかったからさ」

 

神様はこう見えて、かなりの本好きだ。あんな分厚い本などもよく読んでいるのを見たことがあった。

僕ははい。よ、返事をして出来上がったご飯を机に持っていき、そして数十分後に食べ終えたのだった。

そして、久しぶりのステイタス更新をすることになった。

 

「んー...」

 

「どうですか僕の熟練度の伸びは?悪いですか?」

 

「...いや、別に。いつも通り絶好調(・・・)だよ」

 

あ、あれ?なんで神様怒っているんだ?

ベルの熟練度の伸びが良いということは、ベルの憧れの人であるアイズ・ヴァレンシュタインへの思いが強いということだ。ヘスティアとしてはいい思いはしない。

 

「まぁ、ステイタスもだんだんSに近ずいていくから、今までとは違うと思うけど...」

 

「へぇ、そうなんですか」

 

「それでもかなり破格だけどね」

 

そんな事を話していると、背に乗っていた神様が急に動きを止めた。

本当にピタリと...。

 

「神様?」

 

「.....」

 

返事がない。どうやらしかばねではないが、僕の背を見て固まっている。そして、しばらくして口を開いた。

 

「魔法」

 

「ふぇ?」

 

「新しい魔法が発現した」

 

.....

 

「うえぇぇぇぇええええええ!!?」

 

「ピギャ!?」

 

僕はその帰ってきたとんでもない答えに思わず体を起こす。しかし、神様が乗っていることを忘れていた。

 

「あ、か、神様ぁーごめんなさい!!」

 

「い、いや、大丈夫だけど...。でも、そこまで驚くかい?もう一つ発現しているじゃないか」

 

そうだとしても魔法を覚えたと言われれば、盛り上がるものだ。というか、それが普通の....はず!

僕は神様から、ステイタスが書かれた紙をもらう。

 

ベル・クラネル

 

Lv.1

 

【ステイタス】

 

力:C631→B701

耐久:F360→E413

器用:B705→B789

敏捷:B793→A849

魔力:G209→F325

 

《魔法》

限定色魔法(リミットカラースペル)

・各色によって発動できる魔法が変化

・通常時発動不可

 

【ライトホーリー】

・速攻魔法

 

《スキル》

幻夢一途(ファント・フレーゼ)

・早熟する

・夢が続く限り効果継続

・夢の丈により効果向上

 

英雄色(ヒロイック・カラー)

・力を宿す

・各色によって能力の変化

・黒

・赤/血食らう魔剣(ブラッドイーター)

【】

・銀/銀界の鬼(オールドシルバー)

【世の理を覆し鬼よ

酒に酔いし我、友と共にこの世を否定せん

ひとつちぎれば恐れられ

ふたつ喰らえば逃げ出され

みっつ引き裂きゃ死合いを望まれたもう

我の名聞きたきゃ目を覚ませ】

・金

 

 

 

ライトホーリー。それが僕が覚えた魔法の名前だった。

嬉しすぎて思わず頬が緩むのがわかる。だが、それと同時にもう一つ変化を見つけた。【英雄色】の項目の赤の部分だ。はっきり言って全くもって心当たりがない。

童子さんはともかく一体なんだろう。

 

「でも...やったー!!魔法ですよ魔法!!ねぇねぇ神様ぁ!!」

 

「わ、わかったわかった。とりあえず落ち着きなよベルくん。とりあえずこの魔法のことについて話そうか」

 

「このライトホー...ふぐっ」

 

魔法の名前を言おうとした時に神様に口を塞がれた。結構焦った顔をしているのがわかる。

 

「ベルくんいきなりソレを言わないで!?いいかい。これは魔法にはあるはずの詠唱がない」

 

詠唱がない?

詠唱とは、魔法を発動するために必要な魔力を籠める文だ。普通は魔法にはその詠唱文があるはずなのだが、ベルの魔法にはそれがなかった。

 

「ベルくんのこの魔法には詠唱がない。もちろんボクが書き忘れたということもないよ?つまり...この魔法は詠唱が必要ないかもしれない」

 

「え、えぇぇぇええ!!?それだったらこのライトホーっふぐ!?...ご、ごめんなさい。この魔法はこの名前を言うだけで発動できるかもしれないということですか!?」

 

「そういうことになるね」

 

それは自分で言うのもなんだが、かなり良い。通常魔法は時間がかかるものだが、それがないのだ。

やばい...今すぐ試して見たい。

 

「...はぁ、先に言っておくけど、今からダンジョンに向かうとか言わないでよ?今日はもうお風呂に入って寝てなさい」

 

「そ、そんなぁ〜...」

 

「ダメだ。これは絶対だよベルくん」

 

それから数時間後、僕はソファーに寝転がていた。神様はもう寝ている。

 

(....ごめんなさい神様)

 

僕は神様が寝ているのを確認すると、こそっと簡単な装備を持ちホームを出た。

しかし、この時はまだ魔法の欠点を知っていなかった。

 

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