ここはストリート近くの喫茶店の小部屋。
外からはワイワイと人の声が聞こえる。ここに来る前、彼女...いや、この神は堂々とその道を歩いてきた。ローブを羽織り顔を隠し。だが、そんな一枚の布キレだけでこの神の『美しさ』は隠せるわけもない。すれ違う人間全てを釘ずけにしてこの部屋に入ってきた。
女神フレイヤ
このオラリオで【ロキ・ファミリア】と並ぶ最強のファミリア【フレイヤ・ファミリア】の主神その者だった。
「よーう。待ったか?」
「いえ、少し前に来たばかりよ」
ドアが開きそこにいたのは、神ロキと横に金髪の少女。このオラリオで最強の女性と呼び声の高いロキのお気に入り。アイズ・ヴァレンシュタインの二人だった。
「なぁ、ウチまだ朝食食ってないんやここで頼んでもいい?」
ロキはすぐに開いてあった椅子に座ると、メニューが書かれた髪を手に取る。
「どうぞお好きに。...そういえば、あの宴の後かなりヤケ酒したそうじゃない」
ゴンッと、ロキは机に頭をうつ。
何故それを知っている。
「おい、腐れおっぱい。どこでそれ聞いたんや?」
「あなたの子達が面白そうに話してたわ」
「あのやんちゃどもめぇ」
「ふふ...元気が良くていいじゃない。ところでいつになったらその子を紹介してくれるのかしら?」
そういいフレイヤはアイズの方をジッと見る。
「あぁ?紹介なんか今頃いるんかい。まぁアイズたん、一応こんなんでも神やから挨拶しとき」
「....どうも、アイズ・ヴァレンシュタインです」
ペコリと無表情で頭を下げるアイズ。それをフレイヤはニコニコとした顔で対応した。
「ええ、初めまして。いろいろ聞いてるわ、よろしくね。でも可愛いわね。ロキが気にいるのもわかるわ」
アイズはもう一度きちんと頭をぺこりと下げる。これが、あの【戦闘狂】とも名高い【剣姫】だというのだから驚く。
「どうしてここに【剣姫】を連れてきたか聞いても?」
するとロキはニヤけながら
「ぬふふふ....今日は
「.....」
ロキは本当に変わった。天界でのロキの破天荒ぶりをしるフレイヤはいや....ロキを知っている者なら皆そういうに違いない。
ロキにとって
「それで、いったい私に何か用だったの?こんなとこに呼び出して」
「いやぁ、たまには久しぶりにダベろうかな思って」
「もう...嘘ばっかり」
そう私が言った時先ほどまでとまったく違いロキの顔が真剣になる。
二人の女神が、こうしてこの小さな部屋にて神々しい気がぶつかる。
「素直に聞く。いったい何やらかすつもりや」
「なにを言っているのかしら、ロキ?」
「とぼけんなや、あほぉ。最近どう考えても動きすぎやろ。興味ない言うてた宴にも顔を出すし。なにが目的や?」
「そんな企んでるみたいなことを言わないでよ」
「じゃかましわ、お前が絡むとろくなことがないんじゃ」
「あら酷い」
先ほどからロキの目は猛禽類のごとくこちらを睨み続けている。
そして少し何かを考えて...
「男か」
「....」
ロキは、はぁ...とため息を漏らす。対する美の神はにこやかに、ただにこやかに微笑んでいるだけだ。
「つまり
宴に参加したのもその子供の情報を集めるためというわけかと考え、ロキはまたかと面倒くさそうにする。
「で?」
「.....?」
「その気に入った。子ってにはどんな子なんや?」
ロキはあまり興味がなさそうに聞いてくる。
「強くは...ないわ。あなたや私のファミリアの子達と比べるとまだ足元にも及ばない」
しかし、そういいながら先ほどまでと違いフレイヤの顔は微笑みを通り越し興奮するようになっていた。
「見つけたのは本当に偶然、たまたま目に入っただけ。それでも私の目を盗むのには十分なほどだったわ。綺麗だった。透き通っていた。今まで見たことがないくらいに...そしてわずかにまだ
ここまでフレイヤが興奮したことは自分が知る限りない。この神は人を魂の色で判断できる。それがあり、言うなれば才能のある冒険者を自分の手の中にした。そのこいつがここまで興奮する子供。
ロキは少なからずその子供に同情した。
「そう、あの日もこんなふうに....っ!」
窓の外を見たフレイヤは何かにきずいたように立ち上がり
「ごめんなさいロキ少し用ができたわ」
そう言いフレイヤは部屋を出た。
この時Level5の冒険者アイズ・ヴァレンシュタインは人ごみに流される白髪の少年が見えたような気がした。
(あの子...あの時の?)
「はいこれ」
「おぉ!!これが」
渡された二つの大きさの違う箱一つは小さくもう一つはヘスティアの足から胸したぐらいの長さだ。
「ご要望には答えれたかしら?」
「ああ、もちろんだよ!」
ヘスティアは目をキラキラさせながら箱の中身を見た。
一つは漆黒の短刀。だが、もう一つの武器が奇妙なものだった。片方にしか刃は付いておらず、細い。
だからと言って、極東のカタナという武器とは違う、刃の部分が紅い片手用直剣だった。
正真正銘、どちらもヘファイストスの魂のこもった武器だ。
「そういえばこの武器はなんなんだい?」
そう言いヘスティアが指さしたのは長い方の剣だ。
「んー...それねぇ。あなたの子がナイフと剣どちらも得意と言っていたからそれを合わせたのよ。カタールでもないし、ウルガでもない。だからと言って切れ味に特化したカタナでもないのよね」
「じゃあなんでこれになったんだい?」
「わからないわ。でも何かきたのよね...。これを作れって」
ヘファイストスは頭を抱える。なぜかこれをこの形にした方がいい気がしたのだ。
『神の直感』だが、鍛冶の神でもあるへファイストスの感だ。特に気にすることもないだろう。
「まぁ、さしずめ、どんな状況でも敵を狩れる獲物。【スレイヤー】ってとこね」
ヘスティアは、おぉと言いながら手を叩いている。
「で!ヘファイストス、この武器にはどんな名前をつけるんだい?なんだったら僕がつけていいかなぁ!そうだねボクとベル君の愛の結晶だから...《ラブ・ダガー》とかどうかな!」
「やめい、駄作臭がプンプンするじゃないの。そうねぇ....さしずめ
《
ヘスティアは自分の名前が使われて照れている。
まったく都合のいいことで...
「じゃあ、こっちは何にするんだい?」
そう言いヘスティアはもう片方の武器【スレイヤー】に指をさす。
ヘファイストスは少し悩んだ後なぜか悪い顔をして
「ええ、決めているわよ」
「な、なんだい」
ヘスティアがワクワクしながらその発表を待っている。
「この武器の名前は...《ラスト・オーダー》よ」
「か、かっこいいね...でも、なんでその名前なんだい?あ、まさか私が受ける最後で最高のものができたか...「いいえ、ただあんたのお願いはもう聞かないっていう意味で」な、なんだって!!?」
もうこれは決めたことだ。ヘスティアに何を言われても変えない。
「ぐぬぬぬぬ...こっちから頼んだから文句言えないし。だけど、まぁ、ベル君になら意味を言わず名前だけ教えたらかっこいいって喜ぶか....」
どうやらヘスティアの方でも納得したらしい。
「あんた
「わかってるわかってる」
そう言い二つ箱を風呂敷で包み背よう。一つ大きいから上が少し出ている。
「もう行くの?」
「ああ、ありがとうヘファイストス!」
そう言いヘスティアは愛すべき我が眷属に会いに走って行った。
「あんたも少しは...っていったか。でも、どうしてあんな武器を作ったのかしら?」
そう疑問に思いながらヘファイストスは今の今まで手をつけなかった、書類の片付けを始めた。
「んーシルさんいったいどこいるんだろう?」
あたりを見回しながら歩いていると、
「あ痛い!?」
誰かにぶつかり倒れてしまった。
上を見ると長い黒髪のエルフの綺麗な少女が倒れていた。どうやら彼女とぶつかってしまったらしい。
「すすすすす、すいません!?あたりをちゃんと見てなくて!!?」
そう言い彼女に立ち上がり頭を下げた。
「いえ、大丈夫です。お気遣いなく」
そう言って立ち上がろうとしていたので手を貸そうとしたその時ーーー
「っつ!私に触れるな!」
「!!?」
手を弾かれジンジンする。ところの話じゃないほど痛い。結構涙目になりながら少しうずくまると。
「あ....す、すまない。わざとでは...」
「い、いえ大丈夫ですよ、お気になさらず。少し配慮が足りませんでした」
そしてこちらも謝ったところで、向こうから男性の声が聞こえた。
「おーい、フィルヴィスどうしたー?」
「あ、今行きます。...本当にごめんなさい」
そう言いながら彼女は走っていった。
エルフには自分が認めた相手にしか肌を触らせないという習慣があるらしく、先ほど弾かれたのもそういうことだろう。にしても痛かった、というかまだ痛い。
おそらく冒険者。しかも断然僕なんかより強い。
「はぁ、おじいちゃん確かエルフのことも言ってたけどこれじゃあ...「ベールーくーん!!」ん?」
声がした方向を見ると、そこには我らと言っても僕しかいないが、女神ヘスティアが走ってきていた。
「神様どうしてここに!?」
「そりゃ君に会いに来たのさ」
そう言いながら僕の胸に飛び込んでくる神様。よく見ると背中に風呂敷を担ぎ箱のようなものが見えてる。
「神様それは?」
「おっと、気づいたかい?でもまだ秘密だぜ?」
そう言いヘスティアはベルの手を握る。
「ベル君、デートしようぜ?」
「は?...何言ってるんですか」
「いいじゃないか、久しぶりの再会でお祭りもやってるんだぜ?」
「そ、それはそうですが...」
「もう!じれったいなホラ行くよ」
「ちょちょ、ちょっと神様!?」
神様に無理あり手を引かれ屋台の方向へ歩き出す。
その後いろいろ食べ歩き、あーんなどさせられたり、口についたクーリムをとってなどの、なぜかテンションマックスな神様につきあった。
「「「「ウアアアアア」」」」
歓声が響き、ここ闘技場が盛り上がってきた。
「始まるか」
ギルドの仕事でここに来ていた。
私はこの闘技場で行われるモンスターの調教をみている。モンスターが鞭で打たれたり真剣勝負のように戦っていたりする。はっきり言って、見ていて私は対して面白くない。
「はぁ〜」
思わずため息が出てしまう。
「エイナさん?」
「あ、ベル君」
「誰だい、このハーフエルフ君は?」
そう言い来たのは最近の私の心配性の原因、ベル・クラネルだった。おそらく横にいるのは以前聞いたヘスティアという主神だろう。
「はじめまして。私はエイナ・チュールです。ベル・クラネル氏の専属アドバイザーをしています。どうぞよろしくお願いします神ヘスティア」
「ああそういうことか、いつもベル君がお世話になっているね」
恐縮ですというように頭をさげる。
「どうしてエイナさんがここに?」
「このフィリア祭ではギルドでも一枚噛んでいてね。環境整備を手伝っているの。で、私はお客さんの誘導」
「そうなんですかお疲れ様です。僕は人を探してるんですけど...エイナさんウエイトレスの格好...さすがにないか...何かお金に困っていそうなヒューマンの女の子を見ませんでしたか?」
お金に困ってそうな子ってなに!!?
そんなの見ただけでわかるってそうとうじゃないかなぁ!?
「う、うーんちょっとわからないかな」
おそらく自分でも苦笑いを隠せてないのかベルは苦笑しながら
「それじゃ僕もう少し探してみます。もしかしたらいれちがいになったかもなので」
そう言い人ごみに消えていった。
「ところでアドバイザーくん」
「はい、なんでしょう?」
「君は立場を使ってベルくんに色目を使ってないだろうね?」
.....ん?
少しポカンとしながら意識を回復させる。
「公私の区別はつけているつもりですが...」
「うん、その言葉信じたよ」
肩をポンポンと叩かれベルくんの向かった方へ歩いって言った。
...ベルくんも意外と大変だな。
「たく、何やってんだあいつら」
「愚痴はいい、早く人を回すぞ」
「あの、何かあったんですか?」
「ああ、西ゲートの警備のやつが大勢倒れたらしい。しかも腰がふにゃふにゃな木なったみたいにな。あいつら、だから昨日飲み過ぎるなって言ったんだ」
警備の人は愚痴りながら西ゲートに向かっていった。
でも...幾ら何でもいきなりそんな大勢なるものなのか?
(....私が少し神経質すぎるのか?)
不安を隠しきれなかった。