ラブライブ! 過去と今   作:頭文字F

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前回の話に不備がありました...すいません。

まずは前回をご覧ください。


第10話 本当の意味

 

 

 

放心。魂が抜けたようにぼんやりすること。

 

正にその言葉が似合うだろう。

 

だって、目の前には

 

 

 

変わり果てた母の姿があるのだから。

 

 

 

「...な...んで...?」

 

声が掠れる、うまく発することができない。

 

ピンポ-ン

 

急にインターホンがなる。

 

俺は一目散にドアの方へ走り出した。

 

(母さんを...母さんを助けて!!)

 

あの時の俺は気が動転、救急車を呼ぶという行為も頭に浮かばなかった。

 

だから、誰かが来たらきっと母さんを助けてくれる。そう考えたんだ。

 

ガチャッ

 

「わわっ!?どうしたの駿くん!?」

 

インターホンを鳴らしたのはツバサちゃんだった。

この際助けてくれれば誰でもいい。

 

「た...たす...け...て...!」

 

なんとか声を絞り出す。

 

「...どうしたの?駿く...(パシッ)...えぇぇ!?」

 

ツバサちゃんが言葉を言い終わる前に彼女の腕を掴んでリビングへ走った。

彼女がいることで、少し落ち着けるかもしれないと思ったんだ。

...今考えてみると、あの時は自分の都合だけで彼女を傷つけてしまったな...

 

「どうしたの急...!?キャアアアアアアアア!!!!!」

 

ツバサちゃんの叫び声がこだまする。

 

「ツバサちゃん!足の下に椅子を入れて!」

 

結果的に俺は最初より落ち着いていた。

理由は簡単、一緒にいたい人が、そこにいたから。

 

「...ヒグッ」コクリ

 

彼女はショックからか泣いてしまっていた。

だがしっかりと母さんの足の下に椅子を入れ、母さんの足を支えて、首への負担を少なくしてくれていた。

 

(あとはこれで縄を切るだけだ...!)

 

キッチンから包丁を持ち出し、縄を切った。

 

切った直後に俺は、母さんの体を支えに行った。

ツバサちゃんが足を支えてくれていたおかげで、少し猶予ができていたのが幸いだった。

 

そして母さんを床に寝かせ、腕を持ってみる。

 

(...まだ少し息がある!)

 

奇跡だった。だいたいは頸椎が折れて、死んでしまうらしいから。

 

「ツバサちゃん!救急車読んで!」

 

「...うん...わかった...グスッ」

 

「お母さん!しっかりして!お母さん!!」

 

大丈夫だ、声を掛け続けていればきっと大丈夫...!

 

そのまま俺は母さんに呼びかけ続けた。

 

 

 

 

すぐに救急車が来た。

 

ツバサちゃんには家に帰ってもらい、俺は救急車に乗った。

 

「お母さん!死なないでよ!」

 

「君!下がって!」

 

救急隊員に押さえられる。

 

それでもまだ、叫び続けた。

 

 

 

 

 

病院

 

 

 

 

 

「おい!駿!」

 

「父さん!」

 

俺が病院に着く頃に、電話をかけたのだ。

 

「母さんは!?」

 

「...まだ...」

 

まだ、と言った瞬間、担当医が出てきた。

 

「先生、妻はどうなんですか!?」

 

ここまで必死な父は初めて見る。

 

「気管挿管なども行いましたが...

...恐らく昏睡状態になってしまうかと...」

 

「...そうですか...」

 

「...」

 

俺はずっと放心していた...

 

「ですが、息子さんのおかげで比較的良い方向だと思います。

息子さんが取った手順で無ければ、恐らく亡くなっていたでしょう。」

 

...医者が何か言ってるけど...何も聞こえない...

 

父さんが言っていたことは...このことだったのか...

 

「先生...ありがとうございました...

駿、帰ろう...」

 

俺は黙ったまま動き出した。

 

 

 

 

 

 

タクシーで家に帰ってきた。

 

俺は何も話す気になれず、ずっと黙ったままだった。

 

母さんは西木野総合病院へ移送され、俺は父さんの住んでいる大阪へ行くことになった。

 

そして父さんはずっと誰かと電話で話をしている。

 

確か..."高坂さん"、"南さん"、"園田さん"って言ってたな...

 

それぞれ母さんの友達で、娘さんの"穂乃果ちゃん"、"ことりちゃん"、"海未ちゃん"とも何回か遊んだっけ...

でも、もう遊べないな...

 

呆然としていると...

 

ピンポ-ン

 

(...誰だろう...)

 

ガチャ

 

「駿くん...大丈夫...?」

 

...ツバサちゃん...この子には...また迷惑をかけてしまった(・・・・・・・・・・)

 

「...うん...」

 

「...私の家で少しお話ししない...?」

 

ツバサちゃんは気を利かせてくれたのか、そう誘ってくれる。

 

「...うん...わかった...でも、確認したいことがあるから...後で行くね...」

 

「...待ってるから。信じてるから(・・・・・・)。」

 

ツバサちゃんは彼女の家へと歩いて行った。

 

「...ずるいよ...ツバサちゃん...行くしかなくなるじゃん...」

 

"信じてるから"

俺も彼女に使った言葉だ。

それをそのまま返されてしまったのだ。

俺はこの言葉を、絶対に来て、という理由で使った。

彼女もきっと、そうなのだろう。

 

 

そして、俺の確認したいこととは。

 

「これ...か...」

 

朝食の時に見かけた、紙の束だ。

 

そのうちの一枚を手に取ってみる。

 

 

 

「いきなり叫んで人を殴るような狂人を産んだお前は死ぬべきだ。」

 

 

 

確かに...そう書いてあった...

 

 

 

「なんだよ...これ...」

 

この家に届けられているということは...

 

「いきなり叫んで人を殴るような狂人」...俺の...ことか...?

 

「狂人を産んだお前」...母...さんのこと...か...?

 

 

他の紙を手に取る。

 

「精神異常者はどこかへ消えてしまえ」

 

「二度と顔を見せるな」

 

...そういった内容のものばかりだった。

 

 

...いじめのリーダー格がいきなり俺をいじめなくなったのは...

 

「これ」をするため...?

 

こうして家へ紙を送り付け、母さんを追い詰めてたのか...?

 

 

 

そうなってしまった直接的な原因は...?

 

...他でもない、この()だ...

 

 

 

 




一章を終わらせたい(血涙)

母親が死ぬと言ったな?あれは嘘だ。

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