「出来損ないって...どういうことだ...?」
「...お兄ちゃんは...勉強だってなんだって出来た...。
お母さんの期待は全部...お兄ちゃんにかかってたの...。」
...つまり娘は用無しだった、ってことか...。
なんて親だ...
そう、怒りを感じた。
「でも私は...ツバサちゃんをいじめなかった...。
いじめるようになったのは...1年後のことよ...。」
彼女の中では、記憶を失っているツバサちゃんでも...
親友だった。
人間誰しも記憶を失うと、別人だと思われてしまう。
だが彼女はそうじゃなかった。最後まで信じていた。
...目頭が熱くなるのを感じたが、この後の話が残酷すぎた。
...泣いてる暇なんて、ない。
「...最初は、私の方からずっと話しかけたわ...。
どんな些細なことでも...思い出して欲しくて。
もう一回親友に戻りたくて...。」
そしたらね、言われちゃった。
ってね...。
...そこで全身の鳥肌が立ち、寒気が走った。
ツバサちゃんはそんな事を言わない。
いや、言うはずがない。
...そう、信じたかった。
だが...次の言葉でその希望は掻き消される。
「...次の日のツバサちゃんは...とっても冷たい目をしてた...。
...話しかけるな、と言わんばかりにね...。」
もう...聞きたくない...。
そう言って耳を覆う。
が、彼女によってすぐに剥がされる。
「...聞いて...信じたくないかもしれないけれど...。」
目に涙を浮かべながら、彼女は俺にそう言う。
...何も答えることが出来なかった。
「...そしてね、私も...ツバサちゃんとお揃いのペンダントをつけてたの...。
...一生の親友だよ、ってね。」
でも。
「...お母さんに...千切られちゃった...。」
そこで...思ったの...。
"もうツバサちゃんとは、親友じゃない"
"彼女に嫌われる方が、きっと彼女も幸せ"
ー彼女と一緒にいられないんじゃないかって...。ー
...俺もそう思ったことがある...。
...また俺と似た人を見つけちまったな。
「"あの殺人鬼に、同じ苦しみを与えろ" ってね...。
...とことん嫌われた方が...きっと楽になる...。
そしてツバサちゃんは...誰かがきっと守ってくれる...。
...私が悪者になって...彼女と一緒にいてくれる人が出来たら...!
それで...っ!!嬉しかった...!!」
ーここで放っておくほど、俺は馬鹿なのか。
「そしたらね...?あなたという人が現れた...。
彼女は...あなたの前では、記憶を失う前の本当の笑顔を浮かべていた...!
本当に...嬉しくて...!!」
ー彼女もまた、俺と同じで...
ー
「お母さんは...ツバサちゃんと一緒にいるあなたも標的にした...!
そして...最後に出された命令は...。」
...あなたの、ツバサちゃんとの繋がりを断つこと。
私には...そんな残酷なこと、出来なかった。
だから...あなたのネックレスを...
直せるほどの力で千切った...。
本当に...ごめんなさい...!!
ー決意は、前から固まっていたはずだ。
【助ける...って...言ったでしょ?】
あぁ、言った。お前に言われるまでもない。
「過去の俺」にはな。
「大丈夫だ...。
俺が...お前らの関係を修復してやる。
止まった時間を...動かしてやる...!!」
根拠はない。
...が、やってやる。
昔、俺がツバサちゃんを助けたように。
ちょっと進みましたね。
少しだけ過去を絡めました。
ここで主人公の成長が垣間見えると思います。
ツバサちゃんを助けたい
から
誰でも助けたい
ってイメージですかね...?