ラブライブ! 過去と今   作:頭文字F

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第19話

 

 

 

家に到着し、またもや気分が沈む。

帰り道でも、帰ってからも西木野先生の言葉が脳内を駆け巡ったままだ。

「記憶を取り戻す」

俺は、彼女が一番幸せだと感じる生き方をして欲しい。

だけど思い出した際にはアイツの兄貴の事も思い出すってことになる。

...しかもその反動で、俺のことを忘れてしまうかもしれない。

勝手な事情だが、俺のことを忘れて欲しくない。

...あんなに好きになったのだから...。

 

「...飯...作るか...。」

 

そう言ってベッドから起き上がり、キッチンへ向かう。

なんだかんだ初めてだな、ここに立つの。

 

「今日の気分は...張り切ってオムライスでいくか!」

 

半ば無理矢理決めたものだが、元気づけるのには丁度いい。

そう思い、オムライスを作ることに決めた。

 

そして冷蔵庫を開けようとした時、メールが届く。

 

「なんだろう?」

 

『今日、家泊まっていい?』

 

「...なるほどなぁ...。丁度いいし、ツバサちゃんの分も作るか。」

 

『いいよ。晩飯も作っとく。』

 

これでよし。

そして淡々と作り始める。

 

 

 

 

 

 

作り終えた頃、ツバサちゃんが家に来た。

 

「お邪魔しまーす。」

 

「おーう、丁度出来たところだよ。」

 

「オムライスじゃない!すごいわね!」

 

そう言って目を綺羅綺羅...もといキラキラさせるツバサちゃん。

 

「...もしかしてオムライス好き?」

 

「オムライスを好きじゃない人なんているの?」

 

何をバカなこと言ってんだ、と言わんばかりの表情でこちらを見てくる。

謝るからそんな汚物を見る目で見ないで。

 

「そうだな。もう食べようか!」

 

「ええ!」

 

そして席に着き、食べ始める。

おいしー、と言いながら食べてくれるツバサちゃんを見ると、今日の出来事を忘れてしまいそうだ。

...が、実際にあったこと。

 

(...どうすれば...いい?)

「はい、駿くん...あ、あ〜ん」

「パクッと。...」

「ナチュラルに食べてしかも無反応なの!?」

 

「え?」

 

そして意識を目の前に戻す。

目の前には差し出されたスプーン。そして顔を赤らめているツバサちゃん。

...これはつまり、あ〜んというやつか!?

 

「あ〜ん...って!無いじゃん!!」

 

「あなたが今食べたじゃない!?//」

 

「そうなの!?」

 

無意識のうちにしてたんだな。

残念...。

 

そして2人とも食べ終わり、食器を片付ける。

 

風呂に入り、寝室へ向かう。

 

...ちなみに風呂は何もなかったぞ?

 

ベッドに寝転んだその時。

 

「ねぇ...駿くん。」

 

「ん?」

 

「最近ね...来ないの。」

 

「何が?」

 

 

 

 

 

「おんな「デタラメ言っちゃダメだよ。」...むぅ...。」

 

急に何を言い出すんだこの子は。

...俺じゃなくて他の人...?

そう考えたら死にたくなってきた。

丁度いい。ここ4階だし。

 

「それは冗談よ。...でも、最近頭に声が響くの。」

 

「え?」

 

「 "あなたや駿くんをいじめた子は、悪くない" って...。どういうことなの...?いじめたなら悪いはずよね...?」

 

これは...チャンスか...?

 

「...そうだ。君とあの子は、もともと親友だったんだ。」

 

「そんなわけ...。」

 

「...ツバサちゃん、記憶喪失なんだよ。」

 

「...え?」

 

「...あの子のお兄さんが死んでしまったことによる心因性か、頭を強打したことによるものか...。

それはわからないけど、ツバサちゃんは記憶を失くしてるんだ...。」

 

「...うそ...。」

 

「...本当だ。」

 

そして、もっと詳しい話をする。

だんだん思い出してきたのか、ツバサちゃんが何かに気づいた様な顔をする。

 

「...なら...私は...一番忘れちゃいけないことを...。」

 

「...でも仕方ないよ。」

 

「仕方なくなんてない!!」

 

そう言って立ち上がるツバサちゃん。

憤る気持ちもわかる。だが、仕方ないことなんだ...。

 

そう、言って聞かせる。

 

だが...。

 

「私...最悪じゃない...。...駿くんもそう思ってるんでしょ!?」

 

...マズい。このままじゃあ...。

 

「思ってるわけないだろ!?」

 

「...ッ!そんなの絶対嘘!!もう一人にして!!」

 

ツバサちゃんは走って部屋を出て行く。

...そして後悔や達成感を感じつつ、力が抜け、ベッドに座り込む。

 

ガチャン!!!!ドンッ!!!!

 

「...!?まさか!!!」

 

そう言ってすぐに部屋を出る。

...さっきの音は玄関のドア...。

 

「...マズい!!!!」

 

ツバサちゃんは混乱し、走って行った。

しかも外へ。

混乱した中だと、何も正常な判断が出来なくなる。

...また、悪夢を繰り返す可能性もある。

 

俺は、靴を乱暴に履き、外へ出た。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「はぁ...はぁ!」

 

走っていると、ツバサちゃんが見えた。

ようやく追いついた。

もっと速度を上げ、戻ろう、と声をかけようとする。

 

...だが、遅かった。

もう、手遅れだった。

 

 

...過去には、戻れない。

振り返ることしか、できない。

...変えたくても変えることなんて、出来ない。

 

「ツバサちゃん!!!!!!」

 

そして彼女を突き飛ばす。

 

...また、彼女に嫌な思いをさせてしまう。

俺は、彼女に何かをあげることが出来たのか?

助けて...あげられたのか?

 

そんな事、聞く事もできない。

 

...即死...かな。

 

ドンッ!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガンッ!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

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