ラブライブ! 過去と今   作:頭文字F

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ということで時は少し飛んで退院前日です。


第24話 退院前日

 

「ふむ...。比較的良い傾向だ。段々とダメージが軽くなっている。

明日にでも退院できそうだね。」

 

「「ほんとですか先生!?」」

 

「あなたはまだですよ?お母さん。」

 

「ちぇー...。」

 

 

俺と母さんが今いるのは、西木野先生の診察室。

急に西木野先生が病室へ訪れ、俺に診察室へ来い、と...。

そして何処からその話を聞いたのか、母さんが勝手についてきた...という訳だ。

...本当にどこから漏れたのか。

もしかしてセキュリティガバガバなの...?

 

 

「失礼な...。家族に言うのは当たり前だろう...。」

 

「あっ、なるほど。」

 

 

...いつの間にか声に出ていたみたいだ。

西木野先生は呆れた様子で俺にそう言った。

 

 

「じゃあ最後の入院生活、楽しんでね。」

 

「医者とは思えない発言ですね...。」

 

「そうよ駿!楽しみなさい!」

 

「まぁ母さんはいつでも楽しそうじゃん。能天気だし...。」

 

 

精一杯の皮肉を込めて、母さんにそう言い放つ。

9.9割事実で、0.1割がそうじゃないから皮肉ではないか...。

 

 

「こらこら、そんな事を言うな駿。母さんを大事にしてやれ。」

 

「まぁ...。感謝してはいるけ...って、えぇぇ!?!?」

 

 

後ろで聞こえた声に驚き、椅子から立ち上がる。

そして後ろを見ると...。

 

 

「父さん!?」

 

「よっ。愛しの父さんだぞ。」

 

「私もいるわよっ!」

 

 

そう言ってツバサちゃんが、父さんの背中からひょっこり顔を出す。

 

 

「父さんはあんまり愛しじゃないけどな。いらっしゃい、ツバサちゃん。」

 

「えっ、私の病院なんだけど。それどころか私の診察室なんだけど。」

 

 

ツバサちゃんにいらっしゃいと言うと、ニッコリと笑顔を見せてくれた。

...あと西木野先生が何か言ってるけど、キニシナイキニシナイ。

 

 

「...まぁ元気になったみたいで良かったよ。話はこれだけだよ。

お父さんもお母さんも、綺羅さんもありがとうございました。」

 

「「「「そんな、こちらこそ!」」」」

 

「仲がいいねぇ。」

 

 

そう言って先生は微笑む。

まあ...うち3人は家族だしな...。

それにしてもツバサちゃんとも被るのは嬉しかった。

この体験、プレシャス。

 

そして俺たちは立ち上がり、診察室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

病室

 

 

 

 

 

 

 

 

 

唐突だが、父さんは大阪に帰った。

 

 

「やばい!?新しいソフトウェアの納期明日だ!?」

 

 

それが別れの言葉。死んでないけど。

父さんはSE...だったかな?

 

 

そして母さんはというと...。

 

 

「あーやっちゃったー新しいソフトウェアの納期がー。」

 

 

恐ろしいほどの棒読みで大嘘をつき、去っていった。

...あんたSEじゃないだろ。

 

 

そして最後、ツバサちゃん。

 

 

「ふふふーん♪」

 

 

俺の病室でゆっくりしている。

下の販売店で何か買ってくると立ち上がっても、無理矢理寝かされる。

ヘルパーかな?

 

 

「...今日平日なのになんで朝から?」

 

「創立記念日よ?...嫌だっ「嫌じゃないです。」よかった♪」

 

「嫌なわけないじゃないか。大切な人が隣にいるんだから...。」

 

「俺のこ...」シャ-!

 

 

即効カーテンを閉める。違う、そうじゃないんだ。

あんたじゃないんだ。

 

 

「...閉めちゃっていいの...?」

 

「あの人は俺たちの心の中で生き続けるから...。」

 

 

きっと。

 

...死んでないけど。

 

 

「そ、そう...。あっ!もうこんな時間!」

 

「え?まだ3時だけど...。」

 

「き、今日は用事があるの!ごめんなさいね!じゃあ!」

 

 

そう言ってツバサちゃんは荷物を持って病室から立ち去る。

...もしかして?

 

 

「嫌われた...??」

 

 

そこから1時間ほど枕を濡らしたのはまた別のお話...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1時間後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し落ち着いてきた...。

ツバサちゃんに限って、嫌いになったとかはないと思うけど...。

 

 

「はぁ...。」

 

 

大きなため息を一つ。

すると誰かが入ってくる。

 

 

「...駿、明日退院のよ...ヴエェェ!?」

 

「あ、真姫じゃん。よっす〜。」

 

「目が腫れてるわよ!?泣いてたの!?」

 

「両目に虫が入ったからね、しょうがないね。」

 

「イミワカンナイ!同時に虫が目に入るわけないでしょ!」

 

 

む...。ごもっとも。

なんとか誤魔化そうとしたけど、真姫には通じなかった。

 

 

「...まぁいいわ。それより、た...退院おめでとう、駿。」

 

「おぉ、ありがとう。」

 

 

彼女は恥ずかしいのか、自分の髪をクルクルしながらそう言う。

...少しいじってみよう。

 

 

「お、照れてるのか?」

 

「なっ!照れてなんかないわよ!!」

 

「おぉー...。典型的なツンデレ...。」

 

「だーかーらー!!」

 

「え、真姫ちゃんおこおこしちゃうの?」

 

 

...我ながらとてもウザい。真姫もそう思ってるだろうな。

 

 

「...ねぇ、駿。少し相談があるんだけど...。」

 

「スルーですか。さいですか。」

 

「えぇ、下らないもの。」

 

「ひぅっ!?」

 

 

真姫の言葉に傷つきながら、真姫の "相談したいこと" について聞いていく。

 

 

「...それで相談って?」

 

「...うん。...私、大学は医学部って決まってるの。」

 

「ほうほう...。すごいな...。」

 

 

普通にすごいと思う。

だがその将来が、真姫が決めたものなのか。はたまた西木野院長が決めたことなのか。

そこが重要だ。

 

 

「...私には音楽の夢があるの。...でも...。」

 

「医者の夢を変えられない、と。

...それで、その夢は真姫自身が決めたことなのか?」

 

「...いえ。パパがそれをほのめかすような事を言ってから..,。」

 

 

...ほのめかす?

勘違いパターンか...これ...?

 

 

「...私は音楽を楽しみたい!だけど、医者っていう将来を変えられない!」

 

 

そう必死に伝える真姫。

少し恥ずかしさや憤りを感じているのか、真姫の顔は赤みを帯びている。

 

 

「...音楽続けてみな?」

 

「え...?」

 

「医者と並べるってことは、音楽も夢なんじゃないのか?」

 

「...そう...だけど...。」

 

「ならやってみろ。医者は、浪人だってあるんだから何回でも目指せる。

だけど音楽はそうじゃないだろ?医者の勉強も、だんだんハードになってくる筈だ。」

 

「...。」

 

「よく聞かないか?今を楽しめ、ってさ。

...今がまさに、その時だろ。」

 

「...!」

 

 

真姫は何かに気づいた様子。

ちゃんと俺の気持ちが伝わったみたいだ...。

 

 

「...ふふっ、馬鹿みたいね、私。そんな簡単な事にも気付かないなんて...。」

 

「それだけ焦りとプレッシャーを感じていたんだろ。しょうがないさ。

...西木野先生と、ちゃんと話すんだぞ。」

 

「えぇ。わかったわ。」

 

 

そう言って真姫は立ち上がる。

 

 

「ありがとう、駿。おかげで気が楽になったわ。」

 

「いいよそんなの。また何かあったら相談しろよ?」

 

「えぇ。...あ、連絡先交換してもいいかしら?」

 

「ああ、いいぞ。これな。」

 

「ありがとう。それじゃ。」

 

 

そう言って真姫は病室のドアを開ける。

 

 

「本当に...退院おめでとう。」

 

「あぁ。サンキュー。」

 

 

そしてそれだけ言い残し、病室を去る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やはり駿に相談したのは正解ね。

すごく気が楽になった...けど。

 

 

「道をあけて!!急患です!!」ガラガラ

 

 

...人を救いたい気持ちに、嘘はない。

...決められたような道でも、人を救いたい。

 

...そんな自分がいる。

 

音楽か、医者か。

... "医者は浪人だってある" 。なら今は、音楽を楽しんでも...

 

いいのかもね。

 

 

 

...勉強はするけどね?

 

 

 

だがその時の私は、知る由も無かった。

 

 

 

 

 

 

 

...さっきの急患として運ばれてきた患者が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の親友だったことを。

 




またシリアスか、壊れるなぁ。

だけど退院した後はいちゃいちゃなのでお楽しみに。
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