のんたん
以上。
ではなく、怪しさ満点の終わり方でした。
どうなるのでしょうか。
ピピピピ...ピピピピ...
朝にけたたましく鳴り響く目覚まし時計。
それに若干腹を立て。
「...んっ!」バンッ!
...乱暴にベルを止める。
現在時刻は午前6時30分。
その数字を見て、少し一安心する。
いつもより、30分も早めに設定しておいたからだ。
これで俺はこれから30分、早く起きることが出来る。
このことが証明された訳だ。...割とどうでもいい。
...というのは嘘で。
少しでも早く起きて、リスクを減らしたいからだ。
早めに起きればその分、身体をすぐに動かせるようになるまでの時間が早くなる。
...鈍いままだと、殺されるかもしれない。
「...こんなの、映画の中だけだろうけどな...。」
このことを実践してはいるのだが、いつまで経っても半信半疑。
殺害、暗殺なんて考えた事がない。故に、信じられない世界なのだ。
...だが現に、殺されそうになった。
...あの日に。
そう思うと、恐怖感や不安感などが入り混じり、やるせない気分になる。
「...今はそんなこと考えてる暇じゃないな。
...学校行く準備しないとな...。」
準備をするためにベッドを立ち上がった瞬間。
何か違和感を感じるのだ。
そして少し横を見やる。
「...いない...!?」
...そう、ツバサちゃんがいないのだ。
そこで、昨日に希が言っていた言葉を思い出す。
「まだまだ辛いことは続く」...。
「...ッ!!」
...嫌な予感がし、俺は一目散にリビングへ走り出す。
乱暴に扉を開き、周囲を見渡しても。
「...いない...。」
彼女は、いなかった。
だが一つ手掛かりが。
「...?紙切れ?」
それは机の上にちょこん、と置いてあった紙切れ。
そこに書いてあったのは。
「今日は委員に当たってるので家に帰ります。そのまま学校へも行くので今日は一人で登校してください。楽しみにしています。」
「...ほっ...。」
この紙切れを見て、俺は安心した。
日に一度、ランダムで委員に選ばれる。
委員に選ばれた者は、早めに学校へ行き、教室内を綺麗にしておかなければならないのだ。
...とても面倒くさいシステム。
「これなら安心だ。...朝飯食うか...。」
そして席に着き、朝食をとり。
時間になると、そのまま学校へ。
玄関の扉を開け、エントランスを出た後には。
「...すげぇなぁ...。」
上に雲一つない、青空が続いていた。
その美しさに、思わず感嘆の声を漏らす。
それと同時に、自分の今の心と対比をしてしまうのだ。
自分の心は曇っているのに、空はこんなに青い。
世間一般の人々と俺が、かけ離れた存在のように見えてしまう。
同じ世界に生きる。しかも同じ人間だ。
...なのに、どうしてここまで目の前に広がる "現実" と、俺の心の中の "現実" は違うのだろうか。
...ふと、そう考えてしまった。
「...そんなこと考えるな俺!やれるだけやるぞ!!」
...今までの考えを一蹴し、気持ちを切り替える。
そして学校へと足を進めるのだった。
目の前で光る物が青に変わった時、俺は横断歩道を歩き出した。
...だが。
「...!?」
ブウウウゥゥゥゥゥン!!
やかましいほどのエンジン音を鳴らした車が、こちらに突っ込んでくる。
バックステップで何とか躱し、その車の後ろ姿を眺める。
「...トランクも動いてんぞ。危ねぇなぁ...。」
トランクの振動が目に見えて分かるほど、あの車はスピードを出していたのか。
そう、結論を出し、また歩き始める。
「よーっす。」
「「おおっす!!」」
「駿ちゃん轢かれそうになってたね〜。」
「何で知ってんだよ...。」
「後ろおったもん!」
気怠げに、智樹と大輝に挨拶を飛ばす。
すると俺の気だるさを無視したかのような、元気な返事が返ってくる。
こういう時に、友達の大切さを感じてしまう。
こちらの元気が無い時に、元気に接してくれる時。
まるで元気を分けてくれるかのような存在に見えるのだ。
そして席に着き、辺りを見渡す。
...ツバサちゃんがいない。
「...なぁ...ツバサちゃん...見てないか...?」
「「いいや?」」
「...ッ!?」ダッ!
「ちょっ!?駿ちゃん!?」
「おい!駿!!」
マズいマズいマズいマズいマズいマズいマズいマズい。
頭の中には、この言葉しか無い。
行く宛てもない。ただただ走り続ける。
...先ほどの車が走って行った方向へ。
そもそもおかしかったんだ。
...机に置いてあった紙が。
...楽しみにしています。
アイツが言ってた言葉と、全く同じじゃないか。
そこから学校の授業を全て受けずに、思い当たるところを探し続けた。
...だが手掛かりも無く、途方に暮れてしまう。
「くそっ...!!」
近くにあった壁を殴りつける。
...守る、と言ったのに。自分が傍にいたのに。
...結局、約束を果たせなかった。
そう、後悔していると。
ピロリン
「駿ちゃん!キミを轢きそうになった車って何色!?」
そんな内容のメールが送られてきた。
「黒だぞ。」
そう、送り返す。
すると10秒も経たない内に返事が来る。
そのメールには添付ファイル。
...開くボタンを押すと、衝撃的な画像が出てきた。
...今朝の車。
しかもトランクが開いている。
画像を見終えたあと、続けざまに誰かからメールが来る。
...全く知らないアドレス。
そこにはこう書いてある。
さっきはごめんね!
よく大事な用を忘れちゃうんだ!現に忘れてて...
うまく起こさずに家を出れたかな?いざ起きるといなかったでしょ?(笑)私天才かも!驚いたんだったら、その姿を見たかったな〜!昨日行った神社の、ご利益のおかげなのか、私はとてもよく眠れたの!目もしっかり覚めたし!...あの時は、一人にしてなんて言っちゃってごめんね?....わがまま...だったよね...?
でも、もう私は大丈夫!
...ほんとにありがとう!
今日も一緒に寝よう?待ってて!
彼女にしては、珍しく長文だった。
だが、知らないメールアドレスからのメールなのだ。
...何かがおかしい。
そう思い、俺は大輝に電話を掛ける。
「大輝か?その車のあった場所教えてくれ。」
「...目立ってる大きい倉庫やで。...行くつもり?」
「あぁ。行くよ。」
「ボクらも行く「いや、来るな。」...わかったわ...。」
「ありがとな。」
そう言って電話を切る。
...彼らを巻き込みたくない。その気持ちだけで断った。
...俺と同じ目に、遭って欲しくなくて。
...段々と雨雲が空に広がる。
時間が経つたびにポツリと、雨が降る。
やがて強くなり、人々は傘をさしはじめる。
そのなか、俺は走っていた。
...あの倉庫へ。
気づいた方は気づいたんじゃないですか?
...不自然ですしね...。
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