今回も甘々で行きたいなーと!
ではどうぞー。
ある日。
用事から家に帰ると。
「お...お帰りなさいませ!ご主人様!」
「あっ、えっ...えっ?」
俺にはいないはずの、可愛らしいメイドがいた。
時は遡る。
前日、俺とツバサちゃんは普通に起床、普通に登校し、普通に到着。
席は少し離れているので教室内では離れ離れ。
...寂しい気もしないでもないが、仕方ないだろう。
よってツバサちゃんは統堂さん、優木さん、彩美と話しているのだ。
俺は智樹、大輝と。それぞれ役割分担のようなもの...なのか?
だが向こうの様子が少しおかしい。
ツバサちゃんが突っ伏し、他の3人が慰めているように見えるのだ。
「..,もう〜...。なんで駿くんはぁ〜...。」
「ほら、ツバサちゃん♪お菓子よ♪」
「...ん...おいしい。」
「菓子食べさせている場合じゃないだろう...。
それで、相沢がどうしたのだ。」
「そうよそうよ。何かされたの?」
あんじゅはツバサに菓子を食べさせ、英玲奈はそれを見て呆れている。
彩美は便乗し、少し疑問を漏らす。
その言葉を聞いた瞬間、ツバサは一気に頭を上げ、必死に何があったのか伝えようとする。
「逆なの!!!何もしてこないの!!!!」
「...駿、綺羅さん叫んでるぞ。」
「え?なんで?」
「知らねぇよそんなの...。お前が余計なことしたんじゃねぇの?」
「マジでか!?」
...こっちはこっちで、とても大きな勘違いを。
あながち間違ってない気もするが。
「...どうすればいいのかしら...。」
そう零すツバサに。
「...お前Mなのか...?」
英玲奈が辛辣なツッコミを。
「違うわよ!?」
「あら、ならツバサちゃん。いい案があるわよ♪」
そう言って微笑みあんじゅ。
ツバサは何も疑うことなく、その案を聞くことにした。
「...わかったわ!!」
「じゃあ、用意しとくわね?私の家に取りに来て♪」
...彼女たちの、計画開始。
授業が終わり、今は放課後。
駿はというと...。
「うわあああ!!!!freedomとlibertyの違いなんてわかるかよおおおお!!!!」
...補習に悩まされていた。
予めツバサには、先に帰っているように伝えていたので大丈夫なのだが。こちらの補習は大丈夫ではない。
「おい!お前ら、助けて!!」
「「フリ-ダムフリ-ダムリバティ-リバティ-」」
「うわああああああああ!!」
智樹と大輝も補習。
...だが二人とも、このザマだ。
そしてこの現象は感染性のようで...。
「「「フリ-ダムフリ-ダムリバティ-リバティ-」」」
...駿も巻き込まれてしまうのだった。
...補習が終わったのは17時だった。
担任に帰ってよし、の合図を貰い、今は帰路についている。
「じゃあな〜!」
「フリ-ダム!」
「リバティ-!」
「大丈夫かお前ら」
駿は感染症から抜け出したものの、智樹と大輝は抜け出せていなかった。
少し心配しつつ、マンションへ入る。
そして駿は、今日会ったことを思い返す。
「補習があったな...。他にも補習とか補習とか。」
...補習しかない。思い出が薄すぎる。
と言うより、補習ばかり言っているあたり、駿も感染症にかかっているのかもしれない。
そして目的の階層へ。
エレベーターを降り、自分の部屋へズカズカと歩いていく。
扉を鍵で開け、ドアを引っ張る。
...すると...。
「お帰りなさいませ、ご主人様!」
...とまあこういうわけだ。
「夕食が出来ておりますので、お召し上がりください。」
「あっはい。」
いつもと違うツバサに、なにかトキメキのようなものを感じる。
彼女は本格的なメイド服を着て、頭にはメイド特有のアレがついている。
アレとはカチューシャみたいなもののことだ。
そしてダイニングへ案内され...。
「お召し上がりください。」
「あ、ああ...。」
いつもと違うツバサに戸惑いつつ、食事に手をつける。
味は...とても美味い。
「...すげえ美味い...。」
思わずそうこぼしてしまう。
...ツバサは見えないようにガッツポーズをする。
だが残念。思い切り見られていた。
どんどん箸が進み、すぐに食べ終えてしまった。
「お粗末様でした。お風呂も沸かしてありますので、どうぞお入りください。」
「...仕事早いな。...手伝おうか?」
すこし悪気を感じてしまう。
いくら彼女が今日はメイドだからといって、全ての家事を任せることは如何なものなのか。
その気持ちから、彼女を手伝おうとすると...。
「ご主人様はお優しいのですね。ですが大丈夫です。お風呂にお入りください。」
やんわりと断られてしまった。
これ以上食いさがるのもしつこいかと判断し、お礼を言い、風呂へ向かう。
...メイドが黒い笑みを浮かべているのも知らずに。
「よし、身体洗うかぁ...。」
そう言って風呂用の椅子に座る。
その瞬間。
「お背中お流しいたします。」
「メイドなのそれ?っつか入ってこないで!?」
彼女は涼しい顔をして風呂場へ入ってくる。
...なぜかバスタオルを身体に巻いているだけの状態で。
「...今更何を恥ずかしがっているのです?ご主人様は...私を...あんなにしたくせに...。」
「え?なんかした俺?」
本当に心当たりがない。
頭をフル回転させる。
だが、何も思い当たることがないのだ。
「...あの日の夜に...。」
「あっ、メイド以前の設定も引き継がれんのか。
...あれは...ごめん。」
"あの日" の夜の事を思い出す。
...遊園地から帰った後のことだ。
「いえ、お気になさらず。寧ろ嬉しい限りでしたから。」
彼女は笑顔でそう返す。
少し気が楽になり...。
「そっか。じゃあ背中流してもらおうかな...。」
背中を流してもらうことに決めた。
彼女の善意を受け取らないわけにはいかない...。
何故かそう感じた。
「ふぅー...。」
風呂から上がってきた。彼女にはまだ入ってもらっている。
食事の片付けもしてくれていたので、疲れをしっかり癒して欲しいのだ。
彼女が入っている間に、布団を整えておく。
そして彼女が風呂から上がってくる。
「どう?疲れは取れた?」
「ええ。ありがとうございます。」
彼女は俺に向かって深くお辞儀をする。
それを見て少しだけ安心を覚える。
「なら良かった。布団も用意してあるし、寝ようか。」
「はい。お休みなさい。」
そう言って彼女は、部屋を出て行こうとする。
「はぁ...。"ご主人様の命令" が聞けないのか?」
「...少々お待ちいただけますか。」
彼女は少し考えたのち、承諾をしてくれた。
彼女はまた風呂場の方へ行き、髪を乾かしているようだ。
乾かし終わり、こちらへ戻ってくる。
「...お待たせしました。」
「...ここに入りな?」
俺は端に寄り、もう片方の掛け布団を手で上げ、空いていることを見せる。
彼女は静かにそこに入り、こちらへ向き直る。
「...今日はお疲れ様。メイドさん...じゃなかった、ツバサちゃん。」
「...ありがとうございます。...聞きたいことが一つ。よろしいですか?」
「ん、どうぞ。」
すると彼女は息を吸い、覚悟を決めたような目でこちらを見る。
...そして、こう言葉を紡いだ。
「...ご主人様はどうして、私を...?」
「...質問の意味がわからないけど、多分。一緒にいたいから。
これでいいか?」
顔を赤くし、俯く彼女。そして少しの間俯いたあと、こちらを見上げた。
「...そして、大切にしてくれている...。のですね...。」
「...そんな感じかな。」
「...好きなのに、どうして...。私を求めてくれないのですか?」
少し恥ずかしそうに、俺にそう聞いてくる。
答えるまでの時間が、まるで10分以上も経っているように感じられた。
...そして答えを見つけた後、口を開く。
「...傷付けたくないから...かな。」
「...クスッ、本当に大切にしてくれているのですね...。ですが...!」
「うぉっ!」
彼女は俺の上に座る。
紅潮させた頬と、恥ずかしそうな目と共に、こう紡ぐ。
「...好きな人とそうして、嫌な人はいないと思いますが?」
それを言った途端、彼女は笑顔になる。
その笑顔を見て、俺のリミッターが外れてしまった。
...だが、彼女に抑えられる。
その状態でこちらをじっと見つめ、こう話す。
「...これが、今日最後のご奉仕です。」
そして俺たちは。
口付けを交わした。
「ありがとう、あんじゅ!上手くいったわ!」
「それは良かったわ♪しっかりね!」
「ええ!」
ツバサは今日、机に突っ伏していない。
なぜなら、昨日あんなことがあったのだから。
いま、とても幸せなのだから。
「「「カスタムカスタムハビットハビット」」」
...一方こちらはまたまた補習。
今度は習慣という意味の単語に悩まされていた。
「はい、行くぞ!世間の習慣は!?」
「「「カスタム!」」」
「個人の習慣は!?」
「「「ハビット!」」」
「帰ってよし!!!」
「「「やったああああああ!!!!」」」
だが今日は早めに終わったようで。
皆帰る準備を音速で終わらせ、学校を出る。
空には、とても綺麗な夕日があった。
二人と別れ、家に入ると。
「お帰りなさいませ、ご主人様!」
夕日に照らされ、もっと綺麗に写る彼女。
その姿にうんざり、...感謝を感じる。
彼女とはこれからも、もっともっと親密な関係になりたい。
これからずっと、一緒にいると決めたのだから。
「ただいま、"俺だけのメイド" さん。」
番外編の度に危ない方向行ってんなこいつら。
...俺のせいなんですけどね。
さて如何でしたでしょうか!
感想など、お待ちしております!