そしてあとがきの方で少し発表がありますのでお読みください。
ではどうぞ!
目が覚める。
あまり見慣れない、だがそれでいて最近見たことがあるような白い天井。
...俺は、病室にいた。
「...んっ。」
ボロボロであろう身体を起こす。
鎮痛剤を投与されているのか、痛みは感じない。
身体を起こし、あったことを振り返る。
死を覚悟した瞬間は走馬灯のように、俺の脳裏を駆け巡る。
「...っつか俺...頑丈だな...。」
そう、呟く。
確かにそうだ。何度も何度も胴体を殴られた筈。
...だがヤツは、肋骨辺りには一切攻撃を当てていなかったのだ。
それに少し、衝撃を感じる程度の攻撃。
それがどんな意図なのか、俺には予想がつかない。
「...起きたかい。駿くん。」
今回もお世話になったであろう西木野先生が、病室に入って来る。
だが何かあったのか、顔が険しい。
「...車椅子を用意する。少し来てもらいたい場所があるんだ...。」
「え?...え、えぇ。わかりました。」
そう言う先生の顔は険しさよりも、悲しさが読み取れる。
何があったのかはわからないが、只事ではない筈。
戸惑いつつも返事を返し、車椅子に座る。
そして、病室を出た。
...何故か、異世界へ通じる門を通ったような気分だった。
「先生、どうかしたんですか?」
「...すぐわかるよ。」
何度聞いても、その返事。
冷酷に、且つハッキリと。...悲しそうな目も一緒に。
そして廊下を進むこと2分ほど。
目的地に着いたのか、ある場所で止まった。
「ここだ。」
「...ここって...。」
止まった場所は、ある病室。
まだ誰かが入ったばかりなのか、名札も入っていない。
ぽかーん、という擬音が似合うほどに口を開き、放心をしていると。
「...駿くん。」
...先生が、今度は決意を固めたような目でこちらを見る。
「はい?」
少し不安を感じつつ、返事をする。
先生は少しだけ涙を溜め、大きく息を吸う。
そして、俺に向かってこう言った。
「...何があっても。受け入れてくれ。現実を...っ...!」
「...?」
先生は悲しみを全て出し切るかのように、涙を交えつつ。
...それでいて、力強く。
そう言い放った。
「はい。」
だが俺は、その事態を重く見ず...。
「...では...入ろう...。」
...後悔することになる。
「ここが...警察署やな...。」
「ええ、そうね。」
「ああ。」
「ごめんな、二人とも。着いてきてもらっちゃって。」
大輝、あんじゅ、英玲奈の3人は、智樹の無実を証明するべく警察署へ来ていた。
...相手にされなかったとしても、無実を訴えることはできる。
その訴えが、誰かの心に響いてくれたのなら...。
そう、切に願いながら、ここにいる。
「いいのよ、そんなこと。」
「ああ、そうだ。気にするな。」
あんじゅと英玲奈は、心配するな、と返す。
大輝はこの時まで、躊躇いを感じていた。
この二人を連れてきても大丈夫なのか。
...元はと言えば二人が行きたいと言い出したのだが。
「そっか...。ありがと。」
感謝の言葉を述べ、警察署へと向き直る。
入り口には警察官が二人立っている。
その警察官に質問をしようと、3人は近づいていくと。
「...。」
タイミングよく、智樹が警察官と共に出てきた。
手には何も着いておらず、無実が証明されたのかもしれない。
そう希望を抱き、智樹の方へと走って行く。
「智樹クン!」
「加藤くん!」
「加藤!」
「...お前ら...。来てくれたのか...。」
彼の目の下には、黒く大きな隈。
この中で隅から隅まで色々なことを聞かれたのかもしれない。
そう考えると、自然と目頭が熱くなる。
すると警察官が。
「正当防衛が証明された。...君、良かったな。こんな仲間がいて。
...大切にしろよ。」
「...はい...。...ありがとうございます...。」
「「「ありがとうございます!」」」
警察官ば少しだけ微笑み、すぐに踵を返し、署の中へ入って行く。
皆、智樹に寄って行き...。
「「「おかえり!!!」」」
一斉におかえり、と言う。
これはここに来るまでに、皆で言おうと決めていたのだ。
智樹は、涙を流し。
「...ああ...。ただいま...!」
まだ元気こそ無いが、泣き笑いをこちらに見せた。
ガラガラ
「...?...あっ!西木野先生!!」
「...おはよう。
綺羅さん。」
「え...?」
何故ツバサちゃんがここに。
その疑問が頭に浮かんでくる。
だが頭に浮かんできた疑問は、シャボン玉のように浮かんでは消え、浮かんでは消え、を繰り返す。
...だがそのうちの一つに、消えないシャボン玉があった。
「...えー...っと...。
...どちら様...ですか...?」
「...え...?」
...シャボン玉は消えずに。
希望だけが、消えてしまった。
ーー君のことを忘れてしまうかもしれない。
...そう言っただろう。
「...そんな...。」
「...さぁ、実情がわかったところで...。私の診察室へ行こう。
...そこで詳しく話そう。綺羅さん、それでは。」
「はい!」
ツバサちゃんは、元気にそう言う。
だがその元気さが、俺の心を抉っていく。
...天国と地獄。正にそれらを繋いでる門を、俺は抜けた。
「...言っただろう。 "解離性健忘" だ。」
「...でも、交通事故の時は...!」
「...どうしてだろうな。...今回は、倒れ方が似ていたのかもしれない...な。」
...先生も、よく分かっていない様子だ。
だが俺は、まだ信じられない。
「嫌ですよ先生!こんなの!!」
「これが現実なんだ!!!受け入れなさい!!!」
「...ッ...。」
...初めて怒鳴られてしまった。この人に。
優しい、それで評判だったこの人が初めて怒鳴ったのだ。
だが、この怒鳴り声で俺は堪えられなくなり。
「...!!」
...病室を出てきてしまった。
...車椅子なので上手くスピードが出ない。
それなのに、先生は追いかけて来ない。
きっと、あの人も悲しいのだ。
「...色々、大変ね。大丈夫?」
「...真姫か...。...正直壊れそうだ...。」
皮肉ではなく、本気。
一番忘れてほしくない人に忘れられてしまったのだから。
「...でも駿。...諦めるの?」
「...どうしようも...ないだろ...。」
俯いて、そう呟く。
ツバサちゃんの記憶が消えた。
いつ戻るか分からないのだ。いや、戻らないかもしれない。
そう考えてしまうと...。
「...いい加減にして!」
「...。」
真姫が俺に怒鳴る。
今日はよく怒鳴られる。俺が悪いのか、そうでないのか。
...そんなことわからない。
なのに、心が震えた。
真姫の心からの叫びを、初めて聞いたからか。
「...諦めるな...!あなたが教えてくれたじゃない!!」
ハッと気づかされる。
...そう、俺は彼女にそう言った。
諦めるな、と。
...諦めるな、そう言った俺自身が諦めてどうする。
...忘れてしまったなら、もう一回やり直せばいい。
単純だと思うかもしれないが、どん底まで叩き落とされている俺にとって、この言葉は俺を助けるのに十分だったのだ。
「...ほんと...馬鹿だな俺...。」
「真姫。俺、もう一回やり直す。最初からでも良い。...また作り直せば良いんだ。」
「...そう...。なら行ってきなさい!」
「ああ、ありがとう。」
真姫の後押しを貰いつつ、車椅子を進める。
...目的地は、病室だ。
「...そこまで愛されてるのね。私なんか、無理じゃない...。」
微かにそう零す、真姫であった。
一つアンケートを取りたいのですが...。
イチャイチャ専門の過去と今
このままの過去と今
こういう形に分けた方が良いでしょうか?
少し、意見を頂きたいのです。
活動報告の方でコメントをください。
それでは!