ラブライブ! 過去と今   作:頭文字F

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第41話 理由

 

家が立ち並ぶ住宅街。

その住宅街を夕日が照らし、家...そして歩いている "2人" の影をアスファルトに映し出す。

歩いている2人は...。

 

 

「...。」

 

「...。」

 

 

お互いに言葉を交わす事なく、ただ単に歩き続ける。

周りから見るとその光景は余りに奇妙。...だが、影だけ見ると、仲睦まじいであろう2人が一緒に歩いている。そういった微笑ましい印象を与えていた。

 

その内の男が痺れを切らしたのか、遂に口を開く。

...その正体は。

 

 

 

「...あ...あのさ!」

 

「なっ!なんだ!!」

 

「きょ...今日はなんで一緒に帰ろうって...誘ってくれたん?」

 

 

大輝と、英玲奈だ。

 

大輝は所々どもりながらも、歩いている間に散々悩まされていた疑問を英玲奈にぶつけてみる。

...疑問に思うのも無理はないだろう。今まで一緒に帰った事がない、なのに急に誘われたのだから。

 

その疑問をぶつけられた英玲奈は肩をビクッと震わせ、逸らしていた目を大輝へと向ける。

そしてその疑問に、ゆっくりと、そしてしっかりと答え...

 

 

「...そ...そうだ!え...えーと...」

 

「...?」

 

 

...ようとするのだが、上手く言い訳が見つからない。

...そして苦し紛れに出てきた言葉は。

 

 

「きょ...今日も良い天気だなっ!!」

 

「...あっはい。...えーっと...理由は....」

 

「うぅっ!?」

 

 

よくありがちな言い訳だけが、口から紡ぎ出された。

それを大輝は避け、的確にカウンターパンチを放ち、英玲奈をどんどんと追い詰める。

 

...それに観念したのか。

 

 

「...こ...この前の事を...話したくて...」

 

 

恥ずかしさを押し殺し、本当の理由を話し始める。

...その顔は、とても暗い。

 

 

「...加藤くんが、身柄を拘束された時だ...」

 

「っ...」

 

 

加藤。 そのワードを聞いた途端、大輝も表情を強張らせる。

...大親友が言わば "逮捕" された時の話なのだから。

 

それに、その話には暗い事柄しかない。

無意識のうちに心で覚悟を決め、次に来るであろう言葉のラッシュと戦う用意をする。

 

 

「...あの時の君が...とても "かっこよかった" んだ。」

 

「え...?」

 

 

だが飛び出してきた言葉は、意外なものだった。

その言葉に大輝は呆気にとられてしまう。

 

その様子を気にもせず、英玲奈は顔をほんのり紅潮させ、そして淡々と話し続ける。

 

 

「...私は、知ってるんだ。

 

 

 

 

...加藤君が逮捕された時、君は諦めずに警察署まで行って...何度も何度もこう叫んでいたこと。 "智樹クンは悪くない、ちゃんと調べてくれ" ...と。」

 

「...今思うと...スゴイ醜いな...ボク...」

 

 

大輝は、自分自身を醜い。そう罵る。彼は人を殺した。

人を守る為とはいえ、人を殺した者は裁かれるべき。

...そう、考えていたのに。... "彼は違う" そう、思ってしまって。

 

... "彼は殺人者なんかじゃない" 大輝の中でそう、心が変わっていったのだ。

 

その気持ちを込め、零した一言。

...すると。

 

 

「醜くなんかない!!」

 

「!?」

 

 

隣で大きな声がした大輝は横を素早く向き直す。

...その声の主は、間違いない。

 

 

「...君は、守りたかったんだろう...?...加藤君を。」

 

 

隣を歩いていた、英玲奈。

急なことだったので驚いたのだが、その質問に答える。

 

 

「...うん。間違いないよ。」

 

「...ならそれが正解なんじゃないのか?」

 

「...正解?」

 

 

正解。何を言っているんだ。...そんな顔で英玲奈を向く。

 

 

「...この世界に正解なんてない。それこそ正解じゃないかもしれない。...だけど自分が正しいと思ったら正解なんだと...私は思う。

...変なことを言ってしまって申し訳ないが。」

 

 

そう言って自分の頬を少し掻く英玲奈。

 

自分が正しいと思ったら正解。急に何を言い出すのか。

...話の脈絡が全く掴めず悩んでいると、すぐに答えは見つかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

智樹は人を殺していない。そう思った自分が、正解だったのかもしれない、と。

 

 

「...じゃあボクは...正しかったんかな...?」

 

 

大輝は自信なさげに恐る恐ると聞いてみる。

 

 

「世間的には正解ではない...が。」

 

 

「...私たちにとっては、これ以上ない正解...だ!」

 

 

笑顔でそう答え、いきなり大輝の手を取る英玲奈。

 

 

「えっ...えっ!?」

 

 

困惑している大輝を無視し、そのまま胸の前まで手を持っていく英玲奈。

 

...そして最上級の笑顔で。

 

 

「だから私は、君がとてもカッコよく見えるんだ!」

 

 

そう、言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...なあ、優木さん。」

 

「ん〜?どうしたのかしら?」

 

「...今日は何で誘ってくれたんだよ?」

 

 

...一方その頃、こちらにも同じ現象が起きていたのだ。

 

 

「...ん〜それはね〜?」

 

「...」

 

 

智樹の方から固唾を飲み込む音が響く。

静かにその理由が話されるのを...ただ待つ。

 

 

「...なんとなくよ♪」

 

「あーそうか。なんとなくかぁ...って、んん!?」

 

 

...こちらもまた意外な答え。...必殺 "なんとなく" である。

あんじゅは動揺した智樹を見て大笑いした後、心を落ち着け、本当の理由を話し始める。

 

 

「...はぁ〜...本当におもしろかったわ...。」

 

「...あんなに笑うことないだろ...。」

 

「まぁまぁいいじゃない♪...それより、理由...よね?」

 

「...ああ。」

 

「...あなたが釈放されて、本当に嬉しかったから...かな?」

 

「え?」

 

 

また呆気にとられてしまう。本当に嬉しかったとはどういう意味なのか。

難しい顔をして考えていると、あんじゅが衝撃的なことを口にし始める。

 

 

「...ね、 "智樹くん" 。」

 

「...?なんか...聞いたことがある...響き...。」

 

「...覚えてないかしら?」

 

 

覚えてないかしら。この言葉がホイッスル。...智樹はすぐに頭の中の思い出を整理し始める。

...すると一つだけ、あったのだ。思い当たるものが。

 

 

「...もしかして...!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...久しぶり。...智樹くん。」

 

「...あんじゅ...ちゃん...?」

 

「...覚えて...くれてた...!」

 

 

そう言って微笑んだ彼女は、静かに。

 

 

 

 

智樹の背中に手を回し、抱きしめた。

 

 




41話終わりです。

あのさぁ...高校一緒でなんで気づかなかったの?(自ら指摘していくスタイル)

またまた少し質問を。
...R18第二弾、書いた方がよろしいですか??
また活動報告の方でコメントをください。
需要があれば書きたいと思います。

そして次回、ちょっとだけ衝撃かも...?
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