東方干渉想   作:nagatsuki

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主人公は若干ヘタレ?


第一話 突然それは起きた

 「ふう~、だいぶ真っ暗闇だな」

 俺こと豊塚光騎(とよつかみつき)はそう呟きながら夜の道で、我が自宅へと足を進める。

 

 月が浮かぶ深夜の道。一定間隔に街灯が設置されており、その光る部分に虫が集まっている。それを全く気にもせず、目をつぶって歩けるほど通いなれていた道を歩く。

 

 「ふう、遊び続けるのもいいんだけど、疲れたまま歩くのって結構キツイね」

 

 さっきまで友達と遊んで、クタクタになっていたので、つい愚痴が出てしまった。

 

 「遊んでたつってもひたすらゲームばっかだけどな」

 

 そう、約12時間。ひたすら友達の家でゲームをやっていた。そして、その友達と一緒に某動画投稿サイトに、実況プレイをアップしていたのだ。

 

 動画上に流れるコメントが意外と面白く、ついついハマってしまうものだ。

 

 投稿されたコメントを思い出しながらも、歩き続ける。しかし、突然、動き続けていた足が止まった。

 

 「うわー、ホントにこの坂なんとかならないのかな?」

 

 眼の前にあるのは、異常とも言ってもいい急な坂。果たしてこんな道路がこの国にあっていいのかとつい思ってしまう。

 しかし、この道を通らずに遠回りで自宅への道を選ぶと、5kmも道のりが増える。

 5km歩くんだったら、あと数百メートルで自宅へ帰れる坂を選ぶ。

 

 そして前に進むことを躊躇していた足を、何とか動かし、その坂へと歩む。

 

 「う~、きっつい……」

 

 いくら通い慣れていた坂であれとも、この急な坂は緩くはならない。通称心臓破りの坂と言われているこの坂は、自宅という楽園に向かう俺にとって最終試練だ。

 

 坂の上へと上る。

 苦しい。何度転びそうになったことやら。足がガクガクと子鹿のように震えてやがる。それでも上っていく。

 そしてなんとか頂上についた

 

 「ふうー、やっときたぜ……」

 

 膝に手をつき、腰を折りながら休憩する。

 やっと坂の頂上についたのだ。すこしぐらいは満たされる達成感に浸ってもいいはずだ。

 

 呼吸を整えている最中、それは起きた。

 

 「え!?」

 

 突然、周りが光り始めた。とてつもなく明るい。

 周りが著しく、光へと変わりはじめる。とてつもなく眩しい。

 後ろを見てみると、坂の道のアスファルトが蒸発し、全てが光になる。

 まるで別の世界に来たような感覚だ。

 

 そして気持ち悪さ、吐き気が沸き上がってきた。

 

 「うえ……」

 

 正直言うと、吐きたい。食べたものを戻したいという欲が、今の俺を支配する。そして気持ち悪さが俺の中に溜まっていく。

 

 そしていつのまにか、気を失っていた。

 

 

 どうやら俺は気を失っていたらしい。

 目を開けてみる。そこにあったのは、知らない天井……じゃなくて、鬱蒼と茂る、 木々だった。

 

 「どこだ、ここ?」

 

 周り四方八方見渡しても、鬱蒼と茂る木ばかり。森どころか、樹海か?

 青木ヶ原樹海よりも、深く木々が茂っている。そして濃い霧のせいで、樹海の奥を見ることが出来ない。

 

 そして上を見てみると、太陽の光が見えるが、地面まで届いていない。故に、この樹海は暗い。

 あたりを見渡したとき、恐怖がにじみ出て、足が竦んでしまう。そして動いてもいないのに、地面に転んでしまう。

 

 遠くから、鳥?のような鳴き声が少しづつ聞こえ、またそれが俺の恐怖心を高める。

 

 怖いのだ。この不気味な樹海が。

 

 なんだろう。この恐怖は?

 

 富士山の麓にある青木ヶ原樹海では、自殺者が多いとよく聞く。また、友達がその樹海の近くでキャンプした時、霊を見たと聞いた。

 

 もしかしてこの樹海も……

 

 そう思い始めると、俺の中の不安と恐怖が入り混じり、収束がつかなくなる。

 

 「誰か……」

 

 誰かいないのか。一人は怖い。こんな不気味な樹海で一人でいるのが物凄く怖い。

 そもそも何故自分はこの樹海にいるのだろうか。

 

 拉致されたのか?

 いや、ならなぜこの樹海に連れて行く?

 

 無意識のうちに来たのか?

 いや、そもそもあの道の近くにこんな樹海は無いはず。

 

 そういえば、気を失う前に、まわりが変化していった、と思い出す。

 もしかして、別の世界に来てしまったのか?

 

 いやいや、そんなはずはない……

 ブラックホールにのまれたとか、ワームホールに入ってしまったとか、そんなことがあるはずがない……

 

 そう自問自答し続けると、脳に違和感が感じた。

 突然、脳にとある文字列が浮かびあがったのだ。

 

 それは……

 

 "干渉する程度の能力"

 "封印する程度の能力"

 

 

 え?

 

 

 まさかの東方?

 あらゆる幻想が入り混じる世界に来てしまったのか俺は?

 

 しかも能力が2つって……まあそれは置いといて。

 

 "干渉する程度の能力"と"封印する程度の能力"の2つの能力。

 

 使い勝手がいいのか悪いのかよう分からん能力だ。どうせ能力を手に入れるなら、"能力を司る程度の能力"とか、"神の力を司る程度の能力"とかチートな能力が良かった。

 

 チートな能力じゃなくても、"境界を操る程度の能力"とか"式を操る程度の能力"とか良かったのに。八雲一家には悪いが。

 まあ、無いものねだりしてもしょうがない。

 

 ただ、少なくともこの世界が東方の世界という可能性が出てきた。

 俺は東方の原作や二次創作をそれなりに楽しんできたこともあるし、それなりに知識もある。しかし、あくまでもそれなりに、だ。

 

 それでも東方の世界なら……

 この世界に来ても良かったのかもしれない。

 

 この樹海は怖いが。

 

 




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