ビーラビットも異世界から来るそうですよ?   作:shin-Ex-

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今回で箱庭1日目終了です

それでは本編どうぞ


第14話

「・・・・・月は俺達の世界も箱庭も変わらないな」

 

夜風にあたりながら月を眺めるオズ。淡く、優しい輝きを放つ月は、箱庭でも元いた世界とも何も違わない。

 

「オズ、ここにいたのか」

 

「あ、アリ・・・・ス?」

 

背後から名を呼ばれ、振り返るとそこにはアリスがいた。いたのだが・・・・・その姿はいつもとは違っていた。

 

美しく艶のある長い髪を後ろで束ね、その服装は・・・・・やたらとフリフリとしたワンピースだ。

 

「アリス?その服は・・・・」

 

「風呂上がりに飛鳥達に着させられた。この服でオズに会いに行けば喜ぶと言われてな」

 

「そ、そうなんだ・・・・・」

 

「どうだ?似合っているか?」

 

アシルは見せつけるようにオズの前に躍り出て言う。

 

普段の服とはだいぶ違った印象を与えるワンピース・・・・・それはオズの目から見て新鮮そのものだった。常々アリスにはシックな服装のほうが似合うだろうなと思っていたオズであったが、こういった可愛らしい服装も十分にアリスの魅力を引き立てているように感じた。

 

さらに言うなら、ポニーテールの髪型も、ワンピース姿によく合っていてアリスの魅力はさらに増していると言える。

 

まあつまりは・・・・・

 

「うん。よく似合ってるよ」

 

この一言に尽きるということだ。

 

「そうか・・・・・ならば今後はこの服もたまになら着てやらんこともない。わざわざ私がお前の為に来てやるのだから感謝しろよ?」

 

「うん。それはもうね」

 

少し照れくさそうにそっぽを向いて言うアリスに対して、オズはニコリと微笑みを浮かべる。

 

アリスのそういった仕草は・・・・・オズにとって好むところであった。

 

「それはそうと、こんなところで何をしているのだ?」

 

「ん?まあちょっと・・・・・・これからのことを考えててね」

 

「これからのこと?」

 

「うん。ブレイクの話ではこの箱庭は百の巡りで訪れる世界・・・・・この世界で100年過ごせば俺達は元いた世界で生まれ変わって・・・・・そしてギルと再会できる」

 

オズは自身の従者のことを思いながら言う。

 

ギルバート・・・・・オズの従者であり、オズが最も信頼し、オズを最も支えた存在。かつては様々な障害があり、その絆が揺らぎそうなことも多々あったが・・・・・それでもオズにとっては唯一無二のかけがえのない存在。

 

そんなギルバートは、最期のその時にオズとアリスに告げた・・・・帰ってくるのを待つと。それを受け、オズ達は・・・・・再会の願いを込めて『サヨナラ』という言葉を使わず、『またな』という言葉を使ったのだ。

 

「100年か・・・・・日数にするとどれぐらいなのだ?」

 

「おおよそ36500日だよ・・・・・もうすぐ一日目は終わるけどね」

 

「・・・・・長いな」

 

「当然だよ。なにせ100年なんだからさ。でも・・・・・本当に長いよね。ギルの顔しっかり覚えてられるかどうか少し不安になるよ」

 

「それなら大丈夫ではないか?あのピエロは95年私達のことを覚えていたようだからな」

 

「それはブレイクだからなような気もするけどね・・・・・」

 

まあ、あのチートの塊のような男、ザークシーズ・ブレイクなのだから驚くことはないだろう。

 

「・・・・・だがまあ、心配はいらんだろう」

 

「え?」

 

「私はあのワカメのことを忘れるつもりは毛頭ないし忘れない自信もある。だから大丈夫だ」

 

それはおそらく全く根拠のない自信であるだろう。だが、アリスが言うと、本当に大丈夫なような気がするので不思議である。

 

「・・・・・そっか。それなら俺も大丈夫だよ。アリスが大丈夫なんだからさ」

 

「む?どういう意味だそれは?」

 

「あははっ、気にしないで。とにかくまあ、これから100年・・・・・一緒に頑張ろうアリス」

 

「当然だ」

 

100年・・・・・それはとてもとても長い時間。それでもこの世界で100年戦い続けようと・・・・・オズとアリスは心に誓った。

 

「そのためにもまずは明日のガルドとのギフトゲームをクリアしないとね」

 

「それこそ問題ないだろう。あんな小物ごときにやられる私ではない」

 

「まあそれについては同感だけど・・・・・・でも少し不安要素もあるんだよね」

 

「不安だと?」

 

「うん。まず、明日のゲームがどういうルールになることが全くわかってないこと。ルール次第ではただ単純に倒せばいいとは限らなくなる」

 

ゲームというのはルールありき。ただ単純に倒せばいいというのならそれはゲームではなく決闘というジャンルになる。

 

もちろん、ゲームの内容が決闘であるという可能性もあり得るが、ガルドはオズやアリス、飛鳥の力の一旦を知ってしまっている。そんな状態でただ単純な決闘形式のルールになることはないだろうとオズは踏んでいた。

 

「ただ倒せばいいというわけではないのか・・・・・面倒だな」

 

「まあ、それについては明日実際にゲームが始まってから対策を考えるとして問題は・・・・・やっぱりジンかな」

 

「あの小僧がどうかしたのか?」

 

「ちょっと気負い過ぎてる感じがあってね。無茶するぐらいならまだフォローできるんだけど・・・・・」

 

「あんな小僧一人何をしようとも問題ないだろう」

 

「それが問題なんだよ」

 

「ん?」

 

アリスはオズの言っている事の意味が分からず、首をかしげる。

 

「確かに俺の目から見てもジンは大した力を持たない子供にしか見えない。でも、だからこそジンが行動を起こしても良い意味でも悪い意味でも何らかの影響がでる可能性は薄い・・・・・それはジンにとって焦りになりかねない」

 

自分の行動によって良くも悪くも何の結果が残せなかったら、それこそジンは自身のあり方に疑問を抱いてしまいかねない。オズはそれを懸念しているのだ。

 

「力がなくてもジンはコミュニティのリーダー。リーダーが迷って道を指し示すことができなかったらコミュニティは崩壊すると思う」

 

「私やお前がいてもか?」

 

「そうだよ。チェスと同じさ。どれだけ駒が強くてもそれを動かす人によって勝敗は左右される。ここでいう駒は俺達コミュニティのメンバーでそれを動かすのがジンだ。仮に俺達が勝手に動いて戦局を有利にしてもジンは戸惑って自信を無くす・・・・・・そうなればコミュニティは崩壊だ」

 

「ならばどうすればいい?」

 

「可能な限りフォローする。それか理解者、あるいは多少スパルタでも教え導く人を作ることが最善だと思う。俺達ができるのは前者だね。後者は・・・・・・任せられそうな人がいるし」

 

オズの脳裏に過るのは十六夜だった。出会ってまだ一日だが、彼がそれなりに面倒見が良さそうな事をオズは見抜いているようだ。

 

「・・・・私は勝手にやるからその辺りはオズに任せる」

 

「そっか・・・・・うん。アリスはそれでいいと思うよ。まあとにかく、明日のゲームではやれることをやって勝つ・・・・・・それだけだよ」

 

「足を引っ張るなよ?」

 

「わかってるよ。さて、」それじゃあそろそろ休もうか。明日のゲームに備えてね」

 

「そうだな・・・・・・オズ」

 

「なに?」

 

「・・・・・・今日は私と一緒に寝ろ」

 

アリスの予想外の申し出に、オズは面をくらったように驚いた表情を浮かべる。

 

だが、それは一瞬のことで・・・・・

 

「うん。いいよ」

 

オズは笑顔でアリスの申し出を受け入れた。

 

「それじゃあ・・・・・行こうかアリス」

 

「ああ」

 

手を繋いで、オズとアリスは屋敷の中へと入っていた。

 

 

 

こうして二人の箱庭一日目は終了した

 

果たしてこの先二人はどのような物語を奏でることになるのか・・・・・

 

果たしてどのような喜劇が紡がれることになるのか・・・・・

 

それはまだ、誰にもわからない




今回はお茶会はお休みでございます

申し訳ありません


それでは次回もまたお楽しみに
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