ビーラビットも異世界から来るそうですよ? 作:shin-Ex-
それにしても・・・・・クロスもの初めて書くけど思った以上に苦戦しそうだと思う今日このごろです。
それでは本編どうぞ
「さて、呼び出されたはいいけど何で誰もいねえんだよ。この状況だと普通箱庭とかいうものの説明をする奴が現れるもんじゃねぇのか?」
十六夜はガシガシと頭を掻きながら言った。
「箱庭?」
「なにそれ?」
覚えのない言葉に首をかしげるアリスとオズ。
「私達が今いる場所をそう言うそうよ。手紙に書いてあったわ」
「手紙に・・・・・その手紙にはなんて書いてあったの?」
手紙の内容がどういったものかはわからないオズは直接聞いてみることにしたようだ。
「『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。その才能ギフトを試すことを望むのならば、己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、我らの"箱庭"に来られたし』・・・・・そう書かれてたぜ」
十六夜は一字一句間違いなく手紙の内容を話す。開いてすぐに箱庭に来たというのによくもまあ覚えていられるものだ。
(悩み多し異才ね・・・・・確かに俺は
オズの中に一つの疑問が生まれた。オズの今の身体は人間の姿をしている。だが、それは本来オズではなく、ジャックという男の体であった。
そしてオズの身体は
(一体どうなってるんだよ・・・・・わけがわからない)
「オズ?どうしたのだ?」
オズの様子がおかしいことに気をかけたアリスが尋ねる。
「ううん、なんでもないよアリス」
「・・・・・」
ひとまず誤魔化そうとするオズであったが、アリスはジト目を向けている。なんでもないということはないとアリスにはわかっているのであろう。
「それにしても、十六夜くんの言うとおりなんの説明もないままでは動きようがないわね。どうしましょうかしら?」
「この状況に対して落ち着き過ぎるてるのもどうかと思うけど?」
「いや、そういう耀ちゃんも落ち着きすぎてるから」
「オズもな。あとアリスも」
「俺はなんていうか・・・・・・結構修羅場を潜ってるから。下手に焦ったり取り乱したりしても状況が良くなるわけでもないし」
「そんなことよりも腹が減った」
(5人ともなんでそこまで冷静なんですか!というかすごく出て行きにくい雰囲気なんですけど!)
兎耳の女性は困惑していた。目の前の5人のあまりの冷静さに。普通ならばもっと慌てふためいて混乱していてもおかしくないというのに・・・・・何とも肝の座った5人だ。まあ兎耳からしてみればある意味では願ってもない人材なのだが。
「仕方ねえ。こうなったらそこに隠れている奴にでも話を聞くか」
十六夜は兎耳が隠れている茂みの方を見ていった。
(き、気づかれてたー!?)
「あら?あなたも気がついていたの?」
「当然。俺はかくれんぼじゃ負けなしだぜ?そっちの二人も気づいてたんだろ?」
「風上に立たれたら嫌でもわかる」
「まあ俺も一応はね」
「さっきから視線は感じていたからな」
どうやら全員にバレていたようである。現在5人は兎耳の隠れている茂みをじっと見つめている。ちなみにオズとアリス以外の3人は笑顔なのだが熊が逃げ出してしまいそうなほど眼光が鋭い。まああんな理不尽な招集を受けたのだ。怒りはもっともすぎる。
(これは・・・・出ざるを得ませんね)
流石にこの状況では出ざるを得ない。出なかったら・・・・・何をされるかわかったものじゃない。
兎耳は観念して茂みから出てきた。
「い、いや~・・・・流石はこの黒ウサギが召喚した方々ですね~。いえ、決して隠れていたわけではないんですヨ?出るタイミングを計れなかっただけで・・・・」
黒ウサギは苦笑いを浮かべながら弁明した。
「「「・・・・・・」」」
5人は変わらず黒兎を見つめ続ける。
うち二人・・・・・オズとアリスの視線は兎耳に注がれていた。
(あれって・・・・・ウサギの耳だよね?)
(黒ウサギとっていたな・・・・・・まさか同類か?)
オズもアリスも
「や、やだなぁそこの皆様。そんな飢えた狼さんのように怖い顔で見られると私、黒ウサギは死んじゃいますよ?ええ、ええ!古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます。そんな黒ウサギの脆弱な硝子のハートに免じてここは一つ穏便に御話を聞いていただけたら嬉しいでございますヨ?」
「断る」
「却下」
「お断りします」
「やだ」
「別に狼など怖くない」
「あっは、取りつくシマもございませんね♪若干一名なんか違いますし♪」
黒ウサギはお手上げといったふうにバンザイと手を上げた。しかしその目は5人を見定めている。
(肝っ玉は及第点、この状況でNOと言える勝ち気と余裕さは買いです。まあ、扱いにくそうなのが難点ですが。それに実力もまだ不明確ですし)
どうしたものかと頭を悩ませる黒ウサギ。そんな黒ウサギに耀は背後から近づき・・・・
「えい」
「ニギャッ!?」
兎耳を鷲掴みにした。
「ちょ、ちょっとお待ちを!まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きにかかるとはどう言う了見ですか!?」
「好奇心のなせる業」
「フリーダムにも程がありますよ!?」
「おいおい・・・・これ本物のウサ耳なのか?」
「・・・・じゃあ私も」
十六夜と飛鳥も黒ウサギの耳を掴み引っ張った。特に飛鳥は目を輝かせてしまっており止められそうにない。
「え、ちょっと待・・・・ニギャー!」
耳を引っ張られた黒ウサギの悲鳴が木霊する。よほど痛いのだろうか?よくあたり周辺に通る悲鳴だ。
「これは中々の感触だな。おい、お前らはいいのか?」
黒ウサギの耳を弄りまわしながら、十六夜は動こうとしないオズとアリスに尋ねる。
「俺はいいかな?」
「私もどうでもいい」
((正直見慣れてるし))
二人共ウサギの姿になることができたのだ。今更ウサ耳の一つや二つ特に珍しくもないのであろう。
「まあ、あなた達がそれでいいなら構わないけれど。私達は存分に楽しませてもらうわ」
「この感触・・・・・中々」
「や、やめてくださいって!そこのお二人も弄らないでくれるのは嬉しいですが助けてください!」
「え~?・やだ」
「断る」
「そんなぁぁぁぁ!!」
オズとアリスの無慈悲なる宣告に絶望する黒ウサギ。
それにしても、女性には紳士的なオズがこれを放置するとは・・・・・黒ウサギの被虐体質は相当なものであることが伺い知れる。
まあ、本人からすれば不本意なのだろうが・・・・・
ともあれ、黒ウサギの耳弄りはここから1時間ほど続くのであった。
~1時間後~
「あ・・あ・・あ・・・ありえないのですよ。話を始めるのに1時間もかかるなんて・・・・学級崩壊というのはきっとこのような状況を言うに違いないのデス」
黒ウサギはどんよりとした雰囲気でいった。ちなみに耳は弄られすぎたためにかなりヒリヒリと痛んでいる。
「はいはい、悪かった悪かった。それよりもさっさと説明始めろよ」
十六夜はとくに悪びれた態度を見せることなく説明を促した。
「うぅ・・・・わかりました。それではいいですか御五人様?定例文で言いますよ?言っちゃいますよ?言っちゃっていいんですね?」
「早く言え。焦らされるとイライラする」
若干不機嫌そうにアリスは黒ウサギに言い放つ。
「(この人・・・・・可愛い顔してすごく怖い)で、では言います!ようこそ"箱庭の世界"へ!我々はあなた達にギフトを与えられた者達だけが参加できる『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼントさせていただこうかと召喚いたしました!」
「ギフトゲーム?」
「そうです!既に気がついておられるでしょうがあなた達は普通の人間ではございません!」
(・・・・・普通どころか俺は人間ですらないけどね)
黒ウサギの発言に、オズは自嘲気味の笑みを浮かべる。
「皆様の持つ特異な力は様々な修羅神仏、悪魔、精霊、星といったものから与えられた"恩恵"でございます。『ギフトゲーム』はその"恩恵"を用いて競いあうゲームのことです!そしてこの箱庭は強大な力を持つギフト保持者がオモシロオカシク生活できるように作られたステージなのでございますよ!」
(与えられた恩恵・・・・・・
今度はアリスが・・・・・・既に力を失った自分では競い合うことなどできないかもしれないと不満そうな表情を浮かべた。
「まず初歩的な質問をしていいかしら?」
飛鳥が手を挙げて質問した。
「はいどうぞ」
「貴女の言う"我々"とはあなたを含めた誰かなの?」
「YES!異世界から呼び出されたギフト保持者は箱庭で生活していくにあたって数多くある"コミュニティ"に必ず属していただきます♪」
「嫌だね」
「属していただきます!!」
「・・・・・」
いやらしい笑みを浮かべて言った十六夜を黒ウサギは咎めた。その様子をオズは黙って見つめる。
「そして勝者はゲームの"主催者ホスト"が提示した商品をゲットできるといういたってシンプルな構造となっております」
「"主催者ホスト"って誰?」
次は耀が質問する。
「様々ですね。修羅神仏が人を試す試練のために開催されるゲームもあれば、コミュニティの力を示すためのゲーム、商店街の店主が店の商品を賭けて開催するゲームもあります。それに合わせてゲームの難易度も調整されていてそれこそ修羅神仏のゲームなど命懸けの凶悪かつ難解なものになります。まあその分見返りも大きいですが。なにせ新たな"ギフト"を手にすることも夢ではありませんから」
「・・・・そのゲームに参加するとして参加者は何をチップにするの?まさか無償でそのゲームに参加できるわけではないんでしょ?」
次にオズが聞いた。
「もちろんですとも!参加者は金品、土地、利権、名誉、人間・・・・そしてギフト。これらをチップとしております!例えばギフトを賭けたゲームに負ければご自身のギフトを失うのです」
「そっか」
(つまりその気になればどんなものも賭けられるってことか・・・・・物騒だね)
「つまり・・・・『ギフトゲーム』はこの世界の法そのもの・・・・と考えてもいいのかしら?」
「鋭いですね。ですがそれは8割正解2割間違いです。我々の世界でも強盗や窃盗、殺人は犯罪ですし金品による物々交換も存在します。が、しかし!相手側が提示したゲームさえクリアすればタダで物が手に入っちゃったりもします!」
「ほう、それはつまり肉屋とゲームして勝てば肉がたらふく食べられるということか?」
「え?まあ、場合によりますがそういったゲームもありますが・・・・」
「そうか・・・・ふふっ」
「アリス、よだれよだれ」
元来肉食であるアリスのことだ、きっと大量の肉を頬張る自分の姿を想像したのだろう。
「でも随分と野蛮で物騒だね」
「"ホスト"は全て自己責任でゲームを開催しております。腰抜けはゲームに参加しなければいいのです」
黒ウサギはいたずらぽい笑みを浮かべて言った。
「さて、皆さんを黒ウサギの所属するコミュニティに入れてさしあげても構わないのですが先ほど言ったようなゲームに参加しないような腰抜けははっきり言って不必要です!邪魔です!あくまでも私達に必要なのはゲームで勝てるような人材ですから!お荷物・邪魔者・足手まといの三足揃った方など必要ありません!・・・・皆様は一体どちらなのでしょうかね?」
黒ウサギは挑発するように5人に言った。その挑発は十六夜、飛鳥、耀、アリスの4人には効果抜群のようで4人はすっかりその気になったことを黒ウサギは見逃さなかった。ただ・・・・
(ふむ・・・・・彼だけはあまり乗ってきませんね)
オズだけは冷静に考えふけっているようで、挑発に乗るようなことは無かった。
「なあ、俺からも質問していいか?」
そんな中十六夜が黒ウサギに尋ねた。
「はい、どういった質問ですか?ルールですか?ゲームについてですか?」
「いや、そんなもんはどうでもいい。俺が聞きたいのはたった一つ・・・・・・この世界は・・・面白いか?」
元いた世界の全てを捨ててやって来たこの世界・・・・・この世界は果たして全てを捨てるに値するのか?それは十六夜だけではない。飛鳥にとっても耀にとってもなにより重要なことであった。
「・・・・YES!『ギフトゲーム』は人を超えた者たちだけが参加できる神魔の遊戯。箱庭の世界は外界より格段に面白いと黒ウサギは保証いたします♪」
黒ウサギは満面の笑みを持って答えた。
「・・・・そうか」
黒ウサギの答えを聞いて、飛鳥と耀もまた笑みを浮かべる。この世界は自分たちを楽しませてくれる・・・・・それが何よりも大きな意味を持っていたから。
「俺からもいいかな?聞きたいことがあるんだけど」
オズも質問があるようで声をかけた。
「はい、なんでしょうか?」
「俺とアリスには手紙なんて来てなかったんだけど・・・・・それはどういうことかな?」
「あ、それは・・・・・すみません」
黒ウサギは申し訳なさそうに頭を下げた。
「それについては黒ウサギにもわからなくて。召喚したのは3人のはずなのですが・・・・・」
「つまり私とオズは召喚される予定ではなかったということか?」
「はい・・・・・何らかの理由で巻き込まれたようで」
(何らかの理由か・・・・・"鎖"の崩壊は止められたし、"アヴィス"を本来の姿に戻す事は出来たけど向こうはてんやわんやだったからね。その影響で俺とアリスが箱庭に召喚されたっていうのが一番しっくりくるけど・・・・・確証とはいかないかな?)
オズは自分とアリスが箱庭に召喚された理由をおおよそ推測する。もっとも、それが合っているかは確認する術などないが。
「本当に申し訳ありません。それでその・・・・・やはりお二人は元居た世界に帰りたいですか?」
「・・・・・オズ」
黒ウサギが恐る恐ると尋ねると、アリスがオズの手をギュッと握った。
(・・・・・わかってるよアリス)
このまま元居た世界に戻ったとしたら・・・・・オズとアリスは消滅することになるだろう。
それは本来訪れるはずだったことであるが・・・・・それでもオズとアリスは・・・・・・
「いいや・・・・・大丈夫だよ」
「え?」
「せっかく来たのだ。少しくらいこの"箱庭"とやらを満喫するのも悪くはない」
「アリスの言うとおりだね。ギフトゲームっていうのに興味があるし、しばらくこっちで楽しませてもらうよ」
「そ、そうですか!それはなによりです!」
オズとアリスのこの発言に、黒ウサギは歓喜の声をあげる。
こうして、オズとアリスもこの箱庭で過ごしていくこととなった。
(ギルバート・・・・・ちゃんとそっちに・・・・お前のいるところに帰る。だから少しだけ・・・・)
あとがきお茶会のコーナー!
今回はアリスさんと進めてまいります!
「私が来てやったのだ。光栄に思えよ」
はい、それはもう。さて、それではまずはお茶を・・・・・
「肉だ」
へ?
「お茶よりも肉が欲しい」
いや、でもこれお茶会・・・・
「肉」
・・・・・・すぐに用意いたします。
~数分後~
「うむ、中々美味いな」
両手に持った骨付き肉を頬張る美少女・・・・・ある意味すごい光景だよねこれ。
「そんなことより何か話をしなくてもいいのか?」
あ、そうでした。とはいえ何を話したものか・・・・
「では私からいくつか聞かせてもらう。オズのあの身体はどういうことだ?既にオズの身体はビーラビットのものになってるはずだが?」
それはまあ色々あってね?
「その色々を答えろ」
・・・・いずれということで。
「・・・・はあ、わかった。もういい。それはともかく、オズはともかく今の私ではほとんど役立たずなのではないか?」
自分で言っててそれ虚しくなりません?
「うるさい、そんなことぐらいわかっている。それよりも答えろ」
はいはい。まあ、それに関しては大丈夫ですよ。流石にそんな状態にはしておきませんからね。どう大丈夫なのかはまだお教えできませんが。
「そうか・・・・・なら私もギフトゲームとやらを楽しむことができるのだな」
楽しいかは保証できませんがね。
さて、今回はここまでにしましょう。
結局お茶会っぽくなくなっちゃったなぁ・・・・・お茶すら出てないし。
「別に構わないだろ」
まあいいけどさあ・・・・・
それでは・・・・
「「次回もまた楽しみにしていろ(楽しみにしてください)!!」」