ビーラビットも異世界から来るそうですよ?   作:shin-Ex-

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今回はガルドとの話です

正直・・・・・ガルド少し可哀想ですけど

それでは本編どうぞ


第4話

(・・・・・なにこの似合いもしないエセ紳士?)

 

オズは男に対して不快感を顕にする。

 

男は紳士のようなスーツを着ているものの全く着こなせておらず、顔から・・・・というより全身から人格の悪さがにじみ出ている。オズが不快感を抱くのは仕方がないであろう。

 

「・・・・・僕達のコミュニティは"ノーネーム"です。"フォレスガロ"のガルド・ガスパー」

 

「はっ、黙れこの名無し」

 

「・・・・・・」

 

ムッとした表情で言い返すジンであるが、ガルドは冷酷に鼻で笑った。

 

そんなガルドを、オズとアリスはつまらなそうな目で見ている。

 

「聞けば新しい人材を呼び寄せたらしいじゃないか。よくもまだ未練がましくコミュニティを存続させるものだ」

 

そう言いながら、ガルドはオズの隣の空いた席に腰下ろそうとする。

 

が・・・・・・

 

「うおっ!?」

 

腰がつく瞬間に、オズは椅子を引っ張る。するとガルドはものの見事に尻餅をついてしまった。

 

その光景を見て飛鳥、耀、ジンの三人は笑いを堪えている。

 

「この・・・・・何しやがるこのガキ!」

 

「ごめん。失礼とは思ってけど同席を許した覚えはないから」

 

ガルドは怒号を放ちながらオズの胸ぐらを掴むが、オズは全く意に介さずに、柔かな笑顔を浮かべながら返事を返した。

 

数多の修羅場をくぐり抜け、それこそガルド以上に悍ましい存在と対峙してきたオズにとっては、この程度なんでもないのだ。

 

「オズくんの言うとおりね。同席を求めるのならば氏名を名乗った後に一言添え、許可をとるのが常識ではないかしら?」

 

「ぐっ・・・・・これは失礼いたしました」

 

飛鳥に言われ、ガルドは青筋をピクピクとさせながらも無理矢理に笑みを浮かべて謝罪した。

 

おそらくはらわたが煮えくり返りそうになっているだろう。

 

「私は箱庭上層に陣取るコミュニティ、"六百六十六の獣"の傘下であるコミュニティ"フォレス・ガロ"のリーダーをしているガルド・ガスパーというものです。同席してもよろしいでしょうか?」

 

「駄目だ」

 

「・・・・・は?」

 

言われた通りきちんと自己紹介した上で一言添え、同席を求めたというのに、アリスがそれをきっぱりと拒否してみせた。

 

「あ、あのお嬢さん?言われた通りきちんと自己紹介して一言添えたのですが・・・・・」

 

「ああ、そうだな。だがそれがどうした?自己紹介しようが一言添えようが私は貴様のような男の同席を許可するつもりはない。とっとと私の目の前から去れ」

 

「・・・・・・・」

 

ガルドに視線を向けもせず、はっきりと拒絶してみせるアリスに、ガルドはこめかみに青筋を立てる。これはもはやいつ怒りを爆発させてしまってもおかしくないレベルだ。

 

「・・・・・失礼ですが私に礼儀を説く前にご自分達を省みたほうがよろしいのではないでしょうか?」

 

「断ります。街を荒らす獣に返す礼儀などありません」

 

「んだとこの餓鬼!口を慎め!紳士の俺にも聞き逃せねえ言葉はあるんだぜ!」

 

「あなたのような乱暴者を紳士など認めません!」

 

(へえ・・・・・結構度胸あるじゃん)

 

体格差が相当あるにも関わらず、ガルドに物怖じせずに反論を返すジンにオズは感心した。

 

「そういう貴様は自分のコミュニティがどういう状況か理解できてんのか!」

 

「はいちょっとストップ」

 

ジンとガルドの口論に、飛鳥が割って入る。

 

「貴方達の仲が悪いことは承知したわ。だからこそガルドさんが指摘する私達のコミュニティが置かれている状況・・・・・リーダーとして説明していただけるかしらジンくん?」

 

「そ、それは・・・・・」

 

飛鳥に説明を促されるジンであるが、言い淀んで説明しようとしない。

 

「くくっ・・・・・レディ、貴女の言うとおりだ。しかし彼はそれをしたがらないでしょう。よろしければ私が客観的に説明させていただきますが?」

 

「そうね・・・・・」

 

飛鳥はチラリと様子を伺うとジンは顔を伏せており、ガルドの言うとおり説明したくなさそうにしていた。

 

そしてこれは何かあるのだと踏んで、ガルドに話をさせることにした。

 

「お願いするわガルドさん」

 

「それではお話しましょう。まず・・・・」

 

ガルドはジンのコミュニティの置かれた状況を説明し始めた。

 

以前ジンの所属するコミュニティは東区画で最大手の一大コミュニティだったが、3年前に箱庭最大の災厄『魔王』に敗北したことで、コミュニティは名乗るべき"名"とテリトリーを示す"旗印"を失いその他大勢を意味する蔑称・・・・・・・・"ノーネーム"と称されるようになってしまった。

 

さらにコミュニティの中核を担う主力メンバーは誰一人としてコミュニティに残っておらず、今のコミュニティの構成メンバーはコミュニティのリーダーであるジン・ラッセルと黒ウサギ、それ以外は10歳以下の子供ばかりだという。

 

そしてそんなコミュニティを箱庭において貴種である黒ウサギが一人奔走してかろうじて支えているという状況にある。

 

このようにかつての栄華を魔王によって奪われてしまったコミュニティは衰退の一途をたどり、地位も名誉も失墜してしまっているのだ。

 

「なるほど、事情はよくわかったわ。それで?ガルドさんはどうして私達に丁寧に説明してくれたのかしら?」

 

飛鳥はわざわざ懇切丁寧に説明してくれた理由をガルドに尋ねる。

 

「もしよろしければ黒ウサギ共々私のコミュニティに入りませんか?待遇はお約束しますよ?」

 

「なっ!?何を言って・・・・」

 

ガルドの一言に、同様を隠せずにいるジン。

 

無理もない。ガルドはせっかく呼び寄せた希望とも言える者達、さらにはコミュニティの支えである黒ウサギを寄越せて言っているのだから。

 

だが・・・・・

 

「結構よ」

 

「断る」

 

ガルドの誘いを、飛鳥とアリスはものの見事に一蹴した。

 

「私はジンくんのコミュニティで間に合っているもの。けどそうね・・・・・春日部さんは今の話どう思う?」

 

「別にどっちでも。私はこの世界に友達を作りに来ただけだから」

 

「あら?じゃあ私が立候補してもいいかしら?」

 

「・・・・・うん。飛鳥は私の知ってる人達とちょっと違うから大丈夫かも」

 

耀は友人に立候補した飛鳥に笑顔でそう返した。

 

「あ、俺とアリスもいいかな?」

 

「うん・・・・・いいよ」

 

「それじゃあよろしくね」

 

自分も耀から友達になってもいいと許可を得られて、オズは微笑みを浮かべた。

 

オズとしては可愛い女の子とお近づきになれて嬉しいのであろう。

 

「オズ、勝手に私を巻き込むな」

 

「え?アリス嫌なの?」

 

「・・・・・・私と友達になりたくない?」

 

「べ、別にそういうわけでは・・・・・」

 

オズとアリスから小首を傾げながら言われてしまったアリスはどこか気恥ずかしくなったのか、頬をほんのり紅く染めて視線を逸した。

 

(・・・・・オズ、アリスすごく可愛いんだけど)

 

(でしょ?アリスは本当に可愛いからね)

 

出会ってまだ間もないというのに、アイコンタクトで意思疎通してみせるオズと耀。これもアリスの可愛さのおかげといっていいだろう。

 

「あ、あの・・・・お嬢さん方?理由を教えてもらっても?」

 

すっかり置いてけぼりにされてしまったガルドは、ビキビキと青筋を立てさせ、さらには表情をヒクつかせながら飛鳥とアリスに尋ねる。

 

だが・・・・・

 

「「「「まだ居たの(か)?」」」」

 

そんなガルドに問題児(オズとアリス含む)のこの対応である。どうやら4人にとってガルドなど葉虫程度の些末な存在であるようだ。

 

「ぐっ・・・・・この餓鬼共・・・・!」

 

流石にガルドも怒りを抑えておけなくなったのか、素が出始めた。

 

「まあいいわ、話してあげる。さっきも言ってように間に合ってるのよ。私は裕福だった家も、約束された将来も、おおよそ人が望みうる全てを支払ってこの箱庭に来たのよ。小さな一地区を支配しているだけの組織の末端として迎え入れてやる・・・・・などと言われて魅力を感じるとでも思ったの?だから私はあなたのコミュニティに入らないわ」

 

ガルドに向かってキッパリと言い放つ飛鳥。

 

「アリスさんはどうかしら?」

 

「どうもこうも、こんなのがリーダーをしているコミュニティに私などもったいないだろう?」

 

「「「確かに」」」

 

・・・・・もはや問題児達の中でガルドの価値は最底辺に等しいようだ。

 

「ぐっ・・・・・そ、そちらの貴方はどうですか?」

 

ガルドはまだどうするかを話していないオズに尋ねた。

 

「この餓鬼はあろうことかコミュニティの現状を伝えもせずにあなた達を招き入れようとしたんですよ?それは不義ではないでしょうか?」

 

「まあそうかもね。でもまあ・・・・・なんとなくそうなんじゃないかとは思ったから別に対して思うことはないよ」

 

「・・・・え?」

 

「だってわざわざ異世界から召喚なんて手間がかかって面倒くさそうなことをしたんだから普通なにか事情があるって考えるでしょ?ただの慈善事業でこんなことするお人好しなんてそうそういるはずないし。だから何かあるんだってことは容易に想像は付いたよ」

 

オズはまだ少年ながら聡明だ。内容までは分からずともジン達に何らかの事情があり、それが原因で問題児達を召喚したのだと察していた。

 

「で、ですがそんなものは貴方には関係ないでしょう?でしたらわざわざ過酷な環境に身を置くことなど・・・・」

 

「無関係じゃないよ」

 

「・・・・は?」

 

「俺はもうジン達のコミュニティが置かれた状況を聞いてしまった。そして・・・・ジン達を助けたいって思ったんだ。それは同情や哀れみから来る感情なのかもしれない。だけど・・・・・・」

 

オズは少しだけ目を閉じ、少し間をおいて・・・・・・微笑みを浮かべながら言う。

 

「無関心でなければ、それはもう無関係じゃない。だから俺は・・・・・ジン達のコミュニティに入るんだ」

 

それがオズの選んだ答えであった。

 

ジン達の置かれた状況を聞き、そしてオズはそれを放っては置けないと思い、無関心ではなくなってしまった。

 

だからオズは・・・・・・自分のジン達を助けたいという思いに従い、コミュニティに入ることを決めたのだ。

 

「・・・・・くくっ、それでこそオズだな。貴様のそういうところ・・・・・嫌いではない」

 

「あははっ、ありがとうアリス」

 

オズのらしさを目の当たりにしたアリスは上機嫌そうに笑みを浮かべ、オズもまた釣られて笑った。

 

「この・・・・・餓鬼どもが!」

 

結局誰一人さそうに乗ってこず、怒りに震えるガルドはギリっと歯を噛み締める。

 

だが・・・・・話はまだ終わっていなかった。

 

「さて、私達全員の答えは決まったところで聞きたいことがあるのだけれど・・・・貴方は先程この地域のコミュニティに両者合意で勝負を挑み、勝利したと言っていたわね?私にはそれが腑に落ちないわ」

 

「ど、どういうことだ・・・・・」

 

動揺しきっているガルドは余裕がないのだろう。言葉遣いが荒れ始めている。

 

「ねえジンくん、コミュニティそのものをチップにするゲームはそうあることなの?」

 

「い、いいえ。かなりのレアケースです」

 

「まあ、当然だよね。コミュニティを賭けるなんてあまりにもリスキーだから」

 

「では貴方はなぜコミュニティを賭けあうような大勝負を強制的に続けることができるのかしら?教えてくださる?」

 

「!?」

 

飛鳥に問われた瞬間、ガルドは何かに支配されるような感覚に陥った。

 

そして自らの意思に反して、その口が言葉を紡ぎ始める。

 

「あ、相手コミュニティの女子供を攫って脅迫し、ゲームに乗らざる得ない状況に圧迫した」

 

(これは・・・・・飛鳥に命令されたから答えてる?飛鳥の能力は『支配』なのかな?)

 

オズは飛鳥に視線を向けながら思う。

 

「・・・・それはコミュニティを吸収した後もかしら?」

 

「・・・・ああ。数人ずつ子供を人質にしてある」

 

「ではその人質は今どうしているの?」

 

「・・・・・もう殺した。うるさいし鬱陶しかったからな」

 

飛鳥命じると、ガルドは答えた・・・・・最悪の返答を。

 

「・・・・酷い」

 

「ガルド・・・・・貴方はなんてことを」

 

「とんだ外道ね」

 

「ゲスが・・・・・」

 

「・・・・・そんなことをしていて何が紳士だよ。ふざけるな」

 

ガルドの外道さに不快感を顕にする一同。ガルドはそれほどのことをしたのだから当然の反応であろう。

 

「ジンくん、今の証言で箱庭の法がこの外道を裁くことはできるかしら?」

 

「・・・・・難しいですね。箱庭でもガルドほどの違法を働いた悪党はそうはいませんが・・・・・裁かれるまでに箱庭の外に逃げてしまえばそれまでです」

 

「そう。なら仕方ないわ」

 

パチンと飛鳥が指を鳴らすと、ガルドの支配は解かれた。

 

「貴様・・・・よくも!覚悟しろ小娘がァァァァァ!!」

 

支配が解かれたガルドはワータイガーと化し、怒りのままにその鋭い爪を飛鳥に対して振りかざした。

 

だが・・・・・

 

「がっ!?」

 

ガルドの爪が飛鳥に届くことはなかった。ガルドの身体はどこからともかく出現した二本の鎖によって縛り付けられてしまっているからだ。

 

その鎖は・・・・・・オズとアリスによって出されたものであった。

 

「自分のしたことを棚に上げて粋がって・・・・・何様のつもり?」

 

「とことんゲスな奴だな。このまま縛り殺されたいか?」

 

「ぐ・・・・があっ・・・・」

 

オズとアリスは殺気の乗った冷たい視線をガルドに向ける。ガルドは自身を縛る得体の知れない鎖、そして二人のあまりの恐怖から上手く言葉を発することができずにいた。

 

(この鎖・・・・・オズくんとアリスさんが出したの?)

 

(二人共・・・・・怖い)

 

(これがこの二人の・・・・・ギフト?)

 

飛鳥、耀、ジンはガルドを凄むオズとアリスを見て、思わず恐怖する。

 

それも仕方のないことだろう。到底オズとアリスのような少年少女が出せるはずのない殺気なのだから。

 

「・・・・俺個人としてはどうしてもお前のしたことが許せない。だから皆に一つ提案があるんだけど・・・・・」

 

オズは飛鳥達の方へと向き直りながら言う。

 

「箱庭の流儀に則って、ギフトゲームで決めるというのはどうかな?"フォレスガロ"の存続と"ノーネーム"の誇りをかけて・・・・ね」

 

かくして、オズ達の初めてのギフトゲームの開催が決定された。

 

 

 




あとがきお茶会のコーナー!

今回のゲストは飛鳥さんでございます!

「よろしく」

はいよろしくお願いします!こちら今回のお茶のカモミールのハーブティとクッキーでございます。

「ありがとう。いい香りだわ」

うん・・・・・予想はしてたけどやっぱり原作問題児組の中では飛鳥さんが一番絵になりますね。

「それは褒めてくれてるのかしら?」

それはもう当然でございますよ

「ならいいわ。それにしても・・・・・オズくんとアリスさん凄いわね。あんな殺気を出せるなんて・・・・」

まあ生きてきた環境が環境ですからねあのお二人は。

「どんな環境で生きてきたの?」

それは・・・・・知ればオズくんとアリスさんを理解することはできるでしょうけどあまりお勧めはしませんよ?

「どうして?」

あまりにも過酷ですからね。利用され、騙され、絶望を知り・・・・・・とても苦しいものでしょうから。

「・・・・・そう。詳しくはわからないけれど大変だったのね」

だからこそお二人には箱庭で幸せになってもらいたいと思ってるんですよねぇ・・・・・そのあたり飛鳥さん達に任せたいのですが・・・・

「そうね・・・・・・構わないわよ。本編でもオズくんが言ってたものね。無関心でなければ無関係ではないと」

その言葉はPandora Heartsの原作でも出てきたんですよね。結構気に入ってます。

「私もよ。この言葉は・・・・・なんだか暖かいわ」

ですね。

さて、今回はここまでにしましょう。

それでは・・・・・



「「次回もまた楽しみにね(お楽しみに)!!」」
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