ビーラビットも異世界から来るそうですよ?   作:shin-Ex-

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今回、オズくんとアリスさんが受ける試練がわかります

それでは本編どうぞ


第8話

「・・・・・・すごい」

 

グリフォンの背に跨り・・・・・というより、振り落とされないように必死にしがみつく耀を見て、オズは思わずそんな感想を漏らした。

 

オズもかつて空を飛ぶチェインにしがみついたことがあったが、その時は鎖を使っていた上に今のグリフォンよりもスピードも出ていなかったためどうにかなった。

 

しかし、耀は素手でしがみついている。その上、空気抵抗は激しく、体感温度だって相当に低いにも関わらずにだ。

 

はっきり言ってしまえばそれは到底人間業ではない。

 

「ねえアリス。アリスだったらあそこまで耐えられる」

 

「あ、あれぐらい余裕だ」

 

口では余裕だと言っているが実際声は上ずっている。どう見ても強がりだった。

 

(まあ俺やアリスなら鎖使えばできなくはないだろうけど・・・・・・・相当きついよね)

 

鎖を使えばしがみついてはいられるだろう。しかし、それでも肉体への負荷は甚大。いかに身体が丈夫であろうとも限度があるだろう。

 

(これも耀ちゃんのギフトの恩恵なのかな・・・・・一体どんなギフトなんだろ?)

 

耀のギフトがどんなものなのだろうかと考えを巡らせるオズ。そうしている間に、山脈を折り返したグリフォンはとてつもないスピードでオズ達のいる方へと近づいてくる。

 

「マトモな人間なら一瞬でぺしゃんこになる衝撃なんだがのう・・・・あの娘よう耐える」

 

グリフォンのスピードに耐えている耀を見て白夜叉は思わず感嘆の声を上げた。

 

みるみるグリフォンはゴールへと近づいていく。そして・・・・・グリフォンはオズ達の真上を通り過ぎていった。

 

「ゴールです!」

 

「春日部さんの勝ちだわ!」

 

耀の勝利に声を上げて喜ぶ黒ウサギと飛鳥。だが・・・・

 

「え・・・・?」

 

その直後に目にしたのはグリフォンに振り落とされる耀の姿であった。重力に従って耀は大地に向かって落下していく。

 

「春日部さん!」

 

「待て!まだ終わってない!」

 

耀を助けなければと駆け寄る飛鳥を十六夜が制止した。

 

そして耀は・・・・グリフォンがしていたのと同じように四肢で風を絡めとり、踏みしめるように宙に留まった。

 

「「なっ・・・・」」

 

その姿を見て飛鳥と黒ウサギは驚きの声を上げ、オズ、アリス、十六夜、白夜叉は笑みを浮かべていた。

 

そのまふわふわと泳ぐように不慣れな飛翔で命達のいる方へと近づいていき、無事に大地に足をつけた。

 

『お嬢!怪我はないか!?』

 

「大丈夫。ちょっと指がジンジンしただけ」

 

駆け寄ってきた三毛猫を抱きとめ、耀は笑顔で言った。

 

「・・・・お帰り耀ちゃん。お疲れ様」

 

オズは耀を笑顔で出迎えた。

 

「ただいま。これありがとう・・・・・もう着られないかもしれないけど」

 

耀は借りていた上着を脱いでオズに返した。ただまあ、零下にさらされていたせいで服はカチコチに凍ってしまっており、着られそうにはない

 

「いいよいいよ、気にしないで。少しでも女の子の助けになれたなら服の一着や二着問題ないよ」

 

凍った服を受け取りながら、オズはなんでも無いように振舞った。まあ、実際女の子好きのオズからすれば本当にかまわないのだろうが。

 

「・・・・・随分とお優しいじゃないかオズ」

 

そんなオズに声を掛けるアリス。その声色は明らかな不機嫌さを顕にしていた。

 

「そりゃあまあ女の子には優しくする主義だけど・・・・・アリスどうしてそんなに不機嫌なの?」

 

「・・・・・・誰のせいだと」

 

「え?」

 

「・・・・・なんでもない。気にするな」

 

「??」

 

いまいちアリスの考えを理解できていないようで、オズは頭をかしげてしまう。

 

(・・・・・オズって案外鈍い?アリス大変そう・・・・・)

 

そんな光景を間近で見ていた耀は、思わずアリスに同情してしまっていた。

 

「それにしても、お前のギフトってやっぱり他の生き物の特性を手に入れる類のものだったんだな」

 

「・・・・違う。これは友達になった証」

 

近くに落ちていたグリフォンの羽を拾い上げながら軽薄な笑みを浮かべて言う十六夜に、むっとした声色で耀が返す。

 

「けどいつから知ってたの?」

 

「ただの推測だ。お前黒ウサギと出会った時に"風上に立たれたら分かる"とか言ってたろ?そんな芸当は普通の人間にはまずできない。だから春日部のギフトは他種とコミュニケーションをとるわけじゃなく他種のギフトを何らかの形で手に入れるものなんじゃないか・・・・と推察したんだが、どうやらそれだけじゃなさそうだな。あの速度に耐えられる生物は地球上にいないだろうし?」

 

色々と興味津々な十六夜の視線を耀はフイッと避ける。

 

『見事。お前が得たギフトは、私に勝利した証として使って欲しい』

 

感嘆の眼差しを向けてグリフォンは耀に言った。

 

「ありがとう。大事にするね」

 

「いやはや大したものだ。このゲームはおんしの勝利だの。・・・・・ところで、おんしの持つギフトだが。それは先天性のものか?」

 

パチパチと拍手を送りながら白夜叉は耀に尋ねる。。

 

「違う。父さんに貰った木彫りのおかげで話せるようになった」

 

「木彫り?」

 

『お嬢の親父さんは彫刻家やっとります。親父さんの作品でワシらとお嬢は話すことができるんや』

 

首を傾げる白夜叉に三毛猫が説明した。

 

「ほほう、彫刻家の父か。よかったらその木彫りというのを見せてくれんか?」

 

耀は頷きながらペンダントにしていた丸い木彫り細工を首から外して白夜叉に渡す。白夜叉は渡された手の平大の木彫りを見つめて、急に顔を顰めた。

 

オズ達もまた、興味があるのかその隣から木彫り細工を覗き込む。

 

「複雑な模様・・・・何か意味があるの?」

 

「昔教えてもらったけど忘れた」

 

飛鳥が尋ねるも耀は模様の意味を覚えていないらしい。

 

「材質は・・・・楠の神木?神格は残っていないようですが・・・・・」

 

「この中心を目指す幾何学線は・・・・それに中心に円状の空白・・・・おんしの父親には生物学者の知り合いがいなかったか?」

 

「うん。私の母さんがそうだった」

 

耀は白夜叉の問いかけに答えた。

 

「生物学者ってことはやっぱりこの図形は系統樹を表しているのデスかね?」

 

「おそらくの・・・・ならこの図形はこうで・・・・この円形が収束するのは・・・いや、これは・・・これは、凄い!本当に凄いぞ娘!!これが本当に人造ならばおんしの父は神代の大天才だ!まさか人の手で独自の系統樹を完成させ、しかもギフトとして確立させてしまうとはの!これは正真正銘"生命の目録"と称して過言ない名品だ!」

 

白夜叉は少々興奮気味に言った。

 

「系統樹って、生物の発祥と進化の系譜とかを示すアレ?でも母さんが作った系統樹の図は、もっと樹の形をしていたと思うけど?」

 

「うむ、それはおんしの父が表現したいモノのセンスが成す業よ。この木彫りをわざわざ円形にしたのは生命の流転、輪廻を表現したもの。再生と滅び、輪廻を繰り返す生命の系譜が進化を遂げて進む円の中心、すなわち世界の中心を目指して進む様を表現している。中心が空白なのは流転する世界の中心だからか、生命の完成が未だに視えぬからか、それともこの作品そのものが未完成の作品だからか。うぬぬ、凄い。凄いぞ。久しく想像力が刺激されとる!実にアーティスティック!おんしさえよければ私が買い取りたいぐらいだの!」

 

「ダメ」

 

耀はあっさり断って木彫り細工を取り上げてしまう。白夜叉は見かけ相応に子供のように落ち込んだ素振りを見せた。よほどに欲しかったのであろう。

 

「で、白夜叉ちゃん。これは結局どんな力を持ったギフトなの?」

 

「それは・・・・・」

 

「それは・・・・?」

 

「わからん!」

 

「ええっ!?」

 

たっぷりと貯めた挙句にわからないと言われて黒ウサギはずっこけた(他5人は平然としているが)。

 

「今分かっとるのは異種族と会話できるのと、友になった種から特有のギフトを貰えるということぐらいだ。これ以上詳しく知りたいのなら店の鑑定士に頼むしかない。それも上層に住む者でなければ鑑定は不可能だろう」

 

白夜叉でも理解できないらしく首を傾げた。

 

「白夜叉様でも鑑定できないのですか?今日は鑑定をお願いしたかったのですけど・・・・」

 

「よ、よりにもよってギフト鑑定か。専門外どころか無関係もいいところなのだがの」

 

白夜叉はゲッと気まずそうな顔をする。どうやらゲームの報酬として依頼を無償で引き受けるつもりだったのらしい。白夜叉は困ったように白髪を掻きあげる。

 

「まあ、それについては後ほど考えるとして、それよりも・・・・・次はオズくん達に試練を受けてもらいまショウ」

 

「うむ、そうだな。では・・・・・・これがおんし達に受けてもらう試練だ」

 

白夜叉は羊皮紙にゲームの概要を記し、契約書類(ギアスロール)にしてオズとアリスに見せた、

 

 

 

ギフトゲーム"隻眼道化との戯れ"

 

プレイヤー

オズ・ベザリウス

アリス

 

クリア条件

ザークシーズ・ブレイクに一矢報いる

 

クリア方法

何らかの方法で一撃与える

 

敗北条件

降参又はプレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合

 

宣誓

上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

 

"サウザンドアイズ"印

 

 

 

 

「・・・・・え?」

 

「ほう・・・・・・」

 

 

契約書類(ギアスロール)を目にしたオズとアリスは、両極端な反応を示す。

 

オズは冷や汗を浮かべながら表情を強ばらせ、アリスはニヤリと上機嫌そうに笑みを浮かべてみせた。

 

「あ、あの白夜叉ちゃん・・・・・これってつまりブレイクと戦えってこと?」

 

「うむ、そうなるの」

 

「オズくんと剣を交えるのは久しぶりですからネェ。楽しみデスヨ」

 

「いやいやいやいやいや!ちょっと待って!これ無理ゲーだから!普通に難易度高すぎるから!」

 

ニコニコとしている白夜叉とブレイクに対して、オズは慌てふためいていた。

 

「何を言っているオズ!これは合法的にピエロをブチのめすチャンスなんだぞ!」

 

「気持ちはわからなくないけど冷静に考えてアリス。相手はブレイクなんだよ?パンドラ最強で体にガタが来てるにも関わらずバスカヴィル相手に無双するようなチートなんだよ?」

 

「うむ、ブチのめしがいがあるということだな!」

 

「そうじゃなくて!」

 

必死にアリスに言い聞かせようとするアリスだが、アリスのリアクションはことごとくオズの期待するものとは程遠かった。

 

まあ、アリスからすればブレイクをブチのめすチャンスができたことが嬉しくてしょうがないということなのだろう。

 

「ブレイクよ・・・・・・おんしアリスにどんだけ嫌われておるんだ?」

 

「え~?私は好きなんですけどネ~。ああいう単純で扱いやすい子は」

 

「聞こえているぞピエロ!少しは手加減してやろうと思っていたがもう容赦はしない!私が引導を渡してやる!」

 

「お願いだから落ち着いてアリス!」

 

くくっと悪戯な笑みを浮かべて挑発するブレイク、その挑発に見事にかかってしまい、青筋を立てながら堂々と啖呵を切ってしまうアリス。そして、そんなアリスを無駄だとは思いながらもオズはどうにかなだめようとするのであった。

 

かくして、オズとアリスはかつての最強の仲間であったブレイクに挑むこととなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あとがきお茶会のコーナー!

今回は黒ウサギさんをお呼びしております

「よろしくお願いします」

では今回のお茶は・・・・・シベリアニンジンのハーブティです

「なんだか聞きなれない名前ですが・・・・・効能はなんですか?」

ストレス、疲れ、意欲減退に効きます

「・・・・・・嬉しいと思う反面悲しくなります」

まあね・・・・・今後胃薬が手放せなくなるのは確定的ですから。

「本当にもう皆さんの問題児っぷりには困ったものですよ・・・・・・しかもオズさんとアリスさんがブレイクさんに挑むことになったせいで更に心配事が・・・・・」

そんなに心配ですか?

「当然です。ブレイクさんが参加したゲームの審判を努めたことがありますが・・・・・なんですかあの人?チートですか?」

どんなゲームに参加して何やらかしたんだあの人は・・・・・・・

「とくにあの人のギフト・・・・・・イカレ帽子屋(マッドハッター)は色々とアウトでしょ。あんなの相手にしたら勝てませんよ」

イカレ帽子屋(マッドハッター)・・・・・・箱庭に来たせいで能力改変しちゃったからなぁ・・・・・おかげでブレイクさんのチート具合が振り切ってしまいましたが

でもまあ、今回のギフトゲームはブレイクさんにはハンデを課しますから大丈夫だとは思いますが

「むしろハンデがないとお二人の勝目絶望的だと思います」

ですよね~・・・・・・

さて、今回はここまでにしましょう

それでは・・・・・・




「「次回もまたお楽しみに!!」」
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