ビーラビットも異世界から来るそうですよ?   作:shin-Ex-

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今回はオズくん&アリスさん対ブレイクさんとなります

どうなるかはその目でお確かめを

それでは本編どうぞ


第9話

「落ち着きマシタかオズくん?」

 

ようやく冷静になったオズはアリスと共にブレイクと正面から対峙していた。

 

「まあ騒いでもどうにもならないからね・・・・・時には諦めが肝心って言うし」

 

「諦めデスか?」

 

「うん。諦めてブレイクに挑んで・・・・・勝つって選択肢を選ぶことにしたよ」

 

「ふっ、よく言った。それでこそ私のオズだな」

 

オズは笑みを浮かべながらどこからともなく鎌を取り出してその手に掴むと、アリスもまた好戦的に笑いながらオズのものと同じ鎌を出す。

 

「おやおや、相変わらず生意気デスねぇ・・・・・でもまあ、その方が私としてやりがいがありますが」

 

ブレイクもまた、仕込み杖の鞘を抜き抜刀。そのまま剣を左手で持った。

 

「これは戦闘ではなく試練なので手心は加えますケド・・・・・それでも全力で挑んできてくださいネ。出ないと手も足も出ないでしょうカラ」

 

「ほざけ!行くぞオズ!」

 

「うん!」

 

ブレイクの挑発に乗ったアリスは、オズを伴ってブレイクに攻撃を仕掛けに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい黒ウサギ、白夜叉。聞きたいことがある」

 

戦いの様子を眺めながら、十六夜は黒ウサギと白夜叉に声をかけた。

 

「なんですか十六夜さん?」

 

「あのブレイクって奴は具体的にどれぐらい強いんだ?」

 

「・・・・・・相当な実力者ですよ。なにせ大手コミュニティである"サウザンドアイズ"のエースですから」

 

「そうだの。単純な腕力なら蛇神を素手で打倒したおんしの方が上であるだろうが、ブレイクの戦闘技術、戦術、知略は人間のそれから大きく逸脱しておる。私の知る限り『人間』という種の中では最強であるだろうな」

 

「・・・・・へえ、そいつは面白いな」

 

黒ウサギと白夜叉のブレイクに対する評価を聞き、十六夜はニヤリと口角をあげた。彼にとってはそういった強者の存在は嬉しいものなのだろう。

 

「でも確かにそう評価されるだけのことはあるわね。素人目から見てもあれは異常だわ」

 

「・・・・・私だったら絶対に敵わない」

 

飛鳥と耀もブレイクに対して戦慄していた。二人の目に映るブレイクの身のこなしはとても人間業とは思えないものだったのだ。

 

オズ、アリスから繰り出される鎌による斬撃を時に身体を少し捻らせるだけで躱してみせ、時に剣で弾いてみせ、時に鎌ではなくそれを振るう腕を剣の柄で払い除けて防御する。

 

戦い慣れしていない飛鳥と耀からしてみてもそれは十二分に異常であることはわかっていた。

 

「だが、あれでも相当手を抜いてはおるがの。動きに制限をかけておるし何より・・・・・・ギフトを使っておらぬからの。まあ、あの最恐最悪な"イカレ帽子屋(マッドハッター)"を使ってしまえばそれはもう試練とは呼べんのだから当然だがの」

 

「"イカレ帽子屋(マッドハッター)"?それが彼のギフトの名前なの?」

 

「・・・・・・どんなギフト?」

 

耀は興味本位で白夜叉に"イカレ帽子屋(マッドハッター)"がどのようなギフトかを尋ねる。

 

「あれは・・・・・・ギフトを破壊するギフト。ほとんど全てのギフトを消し去ってしまう脅威のギフトだ」

 

「ギフト殺しのギフト・・・・だと?」

 

それはあまりにも悍ましい力に十六夜は驚きを顕にし、飛鳥と耀も驚愕していた。

 

"イカレ帽子屋(マッドハッター)"・・・・・それは元々はチェインを殺しのチェイン。しかし、ブレイクがこの箱庭に来てしまった際、彼の契約チェインたる"イカレ帽子屋(マッドハッター)"はその力を変質させてしまったのだ。

 

もっとも箱庭にふさわしく、もっとも箱庭において悍ましい力・・・・・・・ギフト殺しという力に。

 

「まあ、今はそれを使わぬから心配する必要はないであろうがの。それよりも、今はおんしらの同士の戦いを見守るがいい」

 

白夜叉に促され、十六夜達は視線をオズ達の方へと戻した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっそ・・・・・ひょろひょろ避けるなピエロ!潔く刻まれろ!」

 

「いやいや、流石にそういうわけにはいきませんので」

 

ブンブンと身の丈ほどもある鎌を振り回すアリスであったが、それがブレイクに当たることはなかった。飄々と余裕に躱され、ただただアリスの苛立ちは募るばかりだ。

 

「このっ・・・・いい加減くたばれ!」

 

一際大きく鎌を振り下ろすアリス。だがブレイクはそれを待ってましたとばかりに身体をひねって回避し、鎌の柄を踏みつけてアリスの動きを封じにかかる。

 

「あまり痛くしないので勘弁してくださいネ」

 

「させないよ」

 

アリスに当身をして間合いを離そうとするブレイクだが、そうはいかなかった。アリスの背後からオズが鎖が出現させ、ブレイクめがけて飛ばしたのだ。

 

「おっと」

 

もっとも、それがブレイクにヒットすることはない。ブレイクは大きく後ろに後退することで鎖の射程から離れてしまったのだ。

 

ただまあ・・・・・・一応はアリスへの攻撃を防ぐというオズの目論見はかなったわけだが。

 

「大丈夫アリス?」

 

「ああ。だが・・・・・あのピエロめ。ひょろひょろしてるから全然当たらん」

 

「まあブレイクが相手だからそうそう上手くはいかないよ・・・・・流石にここまで加減されてると精神的に凹むけど」

 

オズは苦笑いを浮かべ、ブレイクへと視線を向けながら言う。

 

現在、オズの目に映るブレイクは剣を利き手とは逆の左手で構えており、更に紅に煌めいていた右目を閉じている。

 

片手と片目・・・・・左目はそもそもないので視覚そのものをだが、ともあれそれを封じているのと、"イカレ帽子屋(マッドハッター)"を使わないことがブレイクの言っていた手心であるのだろう。

 

(というかわざわざ右目を閉じるってことは視力が戻ってる?そうなるとチェインの影響でガタが来てたっていう体の方も全快なんじゃ・・・・・・うわっ、ハンデあっても勝てる気しない)

 

オズはかつて護身の為にブレイクから剣術を習っていたことがある。そのときブレイクは視力を失っており、更に身体はチェインとの契約の影響であちこちガタが来ていたのだが・・・・・・その状態でも、オズを余裕であしらっていた。

 

だが今はそれらの不備がブレイクにはない。たとえ手心を加えているとしても・・・・・・ほんの気休め程度であることは明白だ。

 

(箱庭に来てもう95年建つって言ってたし・・・・・その経験を考えると右手使ってない状態でも俺の知ってるブレイクよりも遥かに強いんだろうなぁ。これ本当に無理ゲーだよ。しかも・・・・・)

 

「おいオズ・・・・・なんか上手く力が使えない気がするんだが?」

 

「あー・・・・・やっぱりアリスも?実は俺もなんだよね」

 

どうやらオズとアリスは現在思うように力を振るうことができなくなっているようであった。

 

(黒うさぎ(ビーラビット)の力自体は使えるのにこの中途半端さ・・・・・・もしかして)

 

「鎌は普段よりも一回り小さいし鎖も一本しか出せん。その上その鎖の長さもいつもより短かい・・・・・どうなっているんだまったく」

 

「・・・・アリス、多分だけどそれ力を共有してるからだよ」

 

「なんだと?」

 

「多分俺とアリスで黒うさぎ(ビーラビット)の力を共有しちゃってるから全力が出せない・・・・二人の力を合わせてようやく黒うさぎ(ビーラビット)の全力になるんだ」

 

「それはこの箱庭に来た影響か?全く面倒な・・・・・」

 

オズの推測は正しかった。二人は現在黒うさぎ(ビーラビット)の力を共有している状態にあり、それぞれ半分づつしか力を発揮できないのだ。

 

これはおそらくオズとアリスの繋がりがあまりにも強く、それが箱庭にきたことによって影響を受けた結果なのだろう。

 

「だがそうなるとピエロを倒すのは難しいぞ?認めたくはないが・・・・・あいつの力はグレンにも引けをとらん」

 

「それはわかってるよ。でもやるしかないし・・・・・・一つ作戦を思いついた」

 

「作戦だと?」

 

「うん。まあ作戦といっても賭けだけどね。実際できるかどうかわからないしできたとしてもそれでブレイクに一撃入れられるとも限らない・・・・・どうするアリス?」

 

「よし、やるぞ」

 

「・・・・え?」

 

アリスの一切の迷いのない返事を聞いたオズは、思わずキョトンとしてしまった。

 

「ん?何を呆けている?」

 

「いや・・・・・作戦の内容も話してないのに簡単にやろうって言われちゃったからついね」

 

「・・・・・馬鹿かお前は?私はオズ・・・・・お前を信じてる。信じているオズの立てた作戦というから仕方なく乗ってやるんだ。だから簡単などではないぞ?」

 

ニヤリと笑みを浮かべながらそう告げるアリス。

 

その笑みを見てオズは思ってしまった・・・・・・アリスには敵わないなと。

 

「とっとと作戦とやらの内容を教えろオズ。そいつで・・・・・あのピエロに一泡吹かせるぞ」

 

「アリス・・・・・うん、わかったよ」

 

アリスに促され、オズは作戦の内容をブレイクに聞かれないように小声で話し始めた。

 

「・・・・・そうか、わかった。ならお前に全て託してやる」

 

「俺に?」

 

「む?なんだその意外そうな顔は?」

 

「いや、てっきり逆を選ぶのかと思ったから」

 

「確かに個人的にはそっちの方が好みだが・・・・・私の方が黒うさぎ(ビーラビット)でいた時間が長い分力の使い方はお前よりもおそらく上だ。ならそっちのほうがいいだろ?」

 

「・・・・・そうだね。それじゃあそれで行こう」

 

ひとまずどう動くかが決まったところで、二人は改めてブレイクの方へと向き直る。

 

「作戦会議は終了デスカ?」

 

「うん。待たせちゃって悪かったねブレイク」

 

「全くデスヨ。実戦だったらそうはいきませんヨ?」

 

「それはわかってる。でも・・・・これは試練だ。だから待ってくれたんでしょ?」

 

「・・・・ええ。まあそうですネ」

 

「だったら待ってもらった分・・・・・しっかりと結果を出さないとね!アリス!」

 

「ああ!」

 

オズとアリスは再びブレイクへと肉迫する。

 

はじめに飛び出してきたのはオズだ。ブレイクに斬りかかろうと腕を振り上げる。

 

ブレイクはそれを剣でガードしようと構えるが・・・・・その瞬間にオズの背後からアリスが出現させた鎖が自身めがけて飛び出してくる。

 

(ッ!これは・・・・)

 

それは先程と同じ行動パターン。だが・・・・それでもブレイクはわずかながら動揺した。なぜなら・・・・・向かってくる鎖のスピードも勢いも先程よりも桁違いに高かったからだ。

 

「くっ・・・・・」

 

一瞬の動揺から動き出しが遅くなってはしまったが、それでも身体を逸らして鎖を回避するブレイク。

 

だが、その一瞬の遅れを見逃さずに今度はアリスが鎌で斬りかかる・・・・・・先程よりも一回り大きくなっている鎌で。

 

回避は間に合わないと判断してそれを剣で防ぐブレイクだが、その攻撃の威力も格段に上がっていたせいで人間レベルの腕力しか持ち合わせていない腕は衝撃で一瞬痺れてしまう。

 

そしてそれは・・・・・わずかな隙を生じさせてしまった。

 

「終わりだよ・・・・・ブレイク」

 

いつの間にかブレイクの背後に回り込んでいたオズ・・・・・その拳が軽くブレイクの背に当てられていた。

 

「一応これでも一撃ってことでいいんだよね?」

 

「・・・・・まったく、やってくれましたネ。ええ、それは十分一撃と呼べるものデスヨ」

 

ブレイクはおどけたように笑みを浮かべながら小さく万歳した。

 

「ふう・・・・・うまくいって良かった。お疲れ様アリス」

 

「ああ。だがオズ、なんだあれは?殴るならもっと思い切りやれ」

 

「いや、そういうわけにはいかないでしょ・・・・・相手はブレイクなんだし」

 

「そうか・・・・・・だったら私がやる。おいピエロ、とりあえず殴らせろ」

 

アリスは物凄い黒い笑みを浮かべ、拳を握ってブレイクに言う。

 

「流石に勘弁願してください。それよりも・・・・・どうしてアリスくんが急に強くなったのかお聞かせ願いたいものデス」

 

「別に大したことしてないよ。ただ俺の黒うさぎ(ビーラビット)の力をアリスに移しただけだから」

 

「オズくんの黒うさぎ(ビーラビット)の力を・・・・・ああ、そういうことデスか。お二人が黒うさぎ(ビーラビット)力を共有していてそのせいで本来の黒うさぎ(ビーラビット)の力の半分づつしか使えないっていうのはわかってはいましたが・・・・・・まさかその力を移すことができるとは予想外デス」

 

「まあイチかバチかの賭けだったんだけどね。できるって保証はどこにもなかったしできたとしてもブレイク相手じゃ上手くいかないかもしれなかったし・・・・・・というかブレイク、手加減どころか俺たち相手だから少し気が緩んでたんじゃない?」

 

いくら意表を突けたとはいえ、相手は百戦錬磨のブレイクだったのだ。もしもこれが戦闘で、相手がオズとアリスでなかったのならばまず違いなくオズの立てた作戦は成功していなかった。

 

成功したのは・・・・・これが試練であり、ブレイクが95年ぶりにオズとアリスに再会できた喜びから気が緩んでしまったからほかならなかった。

 

(95年ぶりとはいえ友人との再会で気を緩めてしまうとは・・・・・私も焼きが回りましたかネ?でもまあ・・・・・)

 

「・・・・・悪くはないか」

 

「何か言ったブレイク?」

 

「いいえなんでも。まあともかく・・・・・ゲームクリアおめでとうございますオズくん、アリスくん」

 

ニコリと微笑みを浮かべながら、ブレイクは試練を突破したオズとアリスに賞賛の言葉を送る。

 

かくして、オズとアリスの初めてのギフトゲームは勝利で飾られるのであった。

 

 

 

 




今回はお茶会はお休みして本編の補足となります

まずブレイクの身体について

ブレイクの身体は全快状態でなおかつ視力も戻っています

ただし、左目は無くなったままです

どうしてこうなってるかはいずれまた


次にイカレ帽子屋(マッドハッター)について

イカレ帽子屋(マッドハッター)の性質は箱庭においてギフトを消滅させるというものに変質しています

ただすべてのギフトをというわけではなく、一部は消滅不可です

例えば十六夜の正体不明や飛鳥の威光は消滅不可です


次にオズとアリスの力について

オズとアリスは黒うさぎ(ビーラビット)の力を共有しており、通常時は半分づつ使える状態です

しかし、これは本人達の意志で譲渡可能です

天秤のようなものだと思ってくれていいです

なお、これは個人的な考えですが黒うさぎ(ビーラビット)でいた期間の長さからアリスの方が力を使うのが上手いと思っています



それでは今回はここまで

次回もまたお楽しみ!
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