機動新世紀ガンダムX アムロの遺産   作:K-15

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第12話

ガロードと自警団の少年は共に近くの飲食店に入った。

木造建築の店には暖炉が設置されており、火のぬくもりが冷たい肌を温める。

イスに座りテーブルの上に置かれたメニュー表を開けると、今日の昼食に何を食べようかと視線を動かした。

 

「でも本当に良いのか? 奢って貰っても?」

 

「えぇ、構いませんよ。ご迷惑をお掛けしたお詫びです。好きなものを好きなだけ頼んで結構です」

 

「ラッキー!! だったらタンドリーチキンと――」

 

メニュー表から食べたい料理を手当たり次第に選び出すガロード。

テーブルに来る店員にソレを伝えて暫くすると、作りたての料理が運ばれて来る。

人の目も気にせずに手を動かしガツガツと肉を頬張るガロードに対し、金髪の少年はティーカップを片手に紅茶を飲む。

 

「そう言えば、ガロードさんはどの様な要件でこのフォートセバーンに?」

 

「あぁ、車がガス欠でさ。たまたまここが近かったんだ」

 

「そうですか。つい数時間前にバルチャーの襲撃がありましてね。何事もないようで良かったです」

 

「へぇ、バルチャーね。アンタ、自警団に入ってるんだろ? モビルスーツに乗ったりしてるの?」

 

「人手が足りない時には」

 

簡単に情報を引き出せるような相手ではない。

肉を頬張りながら相手の顔色をうかがうガロードだが、易々と隙を見せてはくれない。

 

「って事はアンタもモビルスーツに乗れるんだ。気になるんだけどさ、こんな雪の中でどうやって機体を動かすんだ?」

 

「僕はモビルスーツの技術にそこまで精通してる訳ではありませんので。それに軍事情報は機密事項ですので、申し訳ありませんが御教えする事はできないのですよ」

 

「そうなのか。でも拾った新聞で見たぜ。ベルティゴって言う強いモビルスーツが居るんだろ?」

 

「ふふっ、よく御存じで。ですがあの機体が出撃するのはごく稀です」

 

「なんで? 強いんだろ?」

 

「さぁ、僕にはなんとも」

 

「そうか……あのさ、なんでアンタは自警団に入ったんだ?」

 

「力があるモノがすべき義務と考えたからです。戦争が終結して幾年が経過した程度では地球の環境は回復しなかった。それでも人間は自らの足で大地を踏みしめ、再び立ち上がる事ができた。もうこんな事は繰り返させてはならない。市民達の平和と安静を守る。そう唱える市長の言葉に共感したからこそ、僕は自警団に入りました」

 

少年の言葉を聞いてガロードは確信した。

この地域に自分達は居てはいけないと。

バルチャーである事もそうだが、またどこからかティファを狙って襲い来るモノも居るかもしれない。

そうなればここに無用な争いを生んでしまう。

 

「凄いな、アンタ」

 

「そんな事はありません。ガロードさんも戦後から今日まで生き残って来ました。あの地獄のような環境の中から。人間にはそれだけの力があります」

 

「力があるモノがすべき義務……か。ごちそうさん」

 

「もう料理は宜しいので?」

 

「あぁ、もう腹は膨れたよ。ここは時間になったら出入り口の門が閉まるんだろ? 俺はもう行くよ」

 

「わかりました。折角いらしてくださったのに大した事もできずに」

 

「いや、メシを奢ってくれただけでも充分だ。ここって良い街だな。俺なんてつい最近まで寝る場所にも困ってたのに、ここならそんな心配もないもんな」

 

「フォートセバーンが復旧して、まだ何年も経ってません。だから僕達のような自警団も必要になって来ます」

 

「そうだな。じゃあ俺、行くよ。また機会があったら会おうぜ」

 

「えぇ、お待ちしております」

 

言うとガロードはイスから立ち上がり少年に別れを告げる。

少年もティーカップをテーブルへ戻し、2人は互いに手を差し伸べ握手を交わす。

手から伝わる熱。

 

「じゃあな」

 

「えぇ、またどこかで」

 

離れるガロードは乗って来たジープに向かって急いで走る。

笑みを浮かべながら走る彼とは対照的に、金髪の少年は笑みは不敵だ。

遠ざかる背中を見ながら、聞こえないくらいの小さな声で囁く。

 

「正確にはすぐ後、ですけどね」

 

通信機を取り出す少年はボタンを押し本部へと連絡を繋げる。

数秒もすると通信は繋がり相手に指示を伝えた。

 

「もう少ししたら外にジープが出て行く。バレないように後をつけるんだ。あと、モビルスーツ部隊をいつでも出撃できるように。僕のベルティゴも準備を」

 

『了解です、隊長』

 

「彼がニュータイプ、ティファ・アディールの場所を知っている。彼女がこちらに付けば、フォートセバーンの守りはより強固なモノとなる」

 

彼の思惑など知る余地もなく、ガロードはジープのエンジンを吹かしフリーデンへと戻って行く。

 

///

 

フリーデンの医務室でティファは目を覚ます。

以前の戦闘が終わってから気分が悪くなり、テクスに診てもらってからベッドで眠っていた。

 

「目が覚めたかい? 気分はどうだ?」

 

「もう大丈夫です。ガロードは?」

 

「アイツならフォートセバーンに偵察だ。正面から行く事はできなくなったからな」

 

「そう……ですか……」

 

「気になるのか、ガロードの事?」

 

「私は……」

 

口を開きかけた時、フリーデンの艦内が激しく揺れる。

デスクを支えにしてなんとか体を支えるテクスは、揺れが収まるとすぐに受話器を手に取りブリッジに繋げた。

 

「ジャミル、何が起こった?」

 

『フォートセバーンの防衛部隊だ、また戦闘になる。テクス、ティファを頼む』

 

「わかった。そっちも任せたぞ」

 

端的に言葉を交わし受話器を置く。

振り返るテクスはティファの様子を見るが、彼女は立ち上がって部屋から出て行こうとしていた。

急いで駆け寄り肩を掴むテクス。

 

「どこに行くつもりだ!? またもうすぐ戦闘が始まる。この部屋から出るんじゃない」

 

「ガロードに……伝えないと……」

 

「ガロードに?」

 

「またあの人が来ます。ガロードでは……」

 

「負けると言いたいのか? アイツなら大丈夫だ。アムロにウィッツ、ロアビィも居る。ジャミルだってサポートしてるんだ。死ぬような事なんてない」

 

「でも……」

 

「ガロードだって経験を積んで強くなってる。アイツの事を心配に思うのもわかるが、信じてみるのも良いんじゃないか?」

 

立ち止まるティファは静かに頷いたが、その瞳にはまだ不安が残る。

ブリッジで状況を見るジャミルは直ぐ様モビルスーツを発進させ命令を飛ばす。

 

「主砲、左翼の頭を狙え。15秒後にモビルスーツ全機発進!!」

 

「了解です。ですがキャプテン、GXの改修がまだ終わってないと」

 

「ベルティゴの相手はアムロにさせる。それまでは何とか持ち堪えるしかない。フリーデン、微速前進!!」

 

指示に従い舵を取るシンゴ。

モビルスーツデッキからはエアマスター、レオパルド、ドートレスが順に発進する。

けれどもガロードのGXだけは、形は出来上がってるが出撃する事ができない。

デッキに来たガロードは作業をするキッドに声を上げた。

 

「なんで出られないんだよ!! パワーアップしてもこれじゃ意味ないだろ!!」

 

「後はシステム関係だけで終わるよ!! もう少しだけ待ってろ!!」

 

「フォートセバーンに行くのは止めようって思った矢先にコレかよ!! アイツまで出てないだろうな?」

 

GXが動くようになるまでまだ時間が掛かる。

そうしてる間にも、出撃した3機はフリーデンを守るべく展開し弾幕を張った。

エアマスターが左舷、レオパルドは右舷に位置して迫るモビルスーツを撃ち落とす。

 

「また向こうから来やがった。ガロードのヤツが連れて来たんじゃないだろうな!!」

 

「そうだとしても文句言ってる暇なんてないでしょ。来るぞ!!」

 

スノーボードに乗るジュラッグが雪上を高速で移動しながらこちらに迫る。

向けられる銃口にビームライフルとミサイルで弾幕を張る2機。

その中でアムロのドートレスは以前に戦闘したベルティゴの反応をキャッチする。

 

「この前のヤツか、GXはまだ出られない。ウィッツとロアビィはこのままフリーデンの防衛だ。俺はビット持ちを押さえる」

 

メインスラスターから青白い炎を噴射してジャンプするドートレス。

弾幕を掻い潜りながら目指す先は、部隊の指揮官でもあるベルティゴの所。

 

「見えた、そこだな!!」

 

「あの時と同じパイロットと見た。プレッシャー……来る!!」

 

ビームライフルのトリガーを引くドートレス。

発射されるビームだが、ベルティゴはスラスターを駆使してコレを避けた。

雪上に直撃するビームは水蒸気と巻き上げて視界を悪くする。

それでも2人には関係なく、ビットを前面に展開するベルティゴはドートレスに狙いを付けた。

 

「そんな機体で!! 行け、ビット達!!」

 

「やりようはある!!」

 

一斉に発射されるビットからのビーム。

回避行動に移るが全てを避け切る事はできずに、シールドで受け止め更にライフルのトリガーを引く。

メインスラスターで加速するベルティゴ。

攻撃を回避して腕のビーム砲を向け、同時にビットで左右から挟み込む。

 

「性能では負けるか」

 

「沈むが良いッ!!」

 

「このくらい!!」

 

シールドを構え前方に加速。

ビットの攻撃は振り切り本体からの攻撃はシールドで防ぐがそう何度も耐えられるモノではない。

それでも接近するアムロは銃口をベルティゴに向けるが相手の動きも早かった。

マニピュレーターにビームサーベルを握り横一閃、ライフルのトリガーを引くのとは同時。

ビームとビームがぶつかり激しい閃光。

アムロはビームライフルを捨てビームサーベルに手を伸ばし、ベルティゴは更に袈裟斬り。

耐久力の落ちたシールドで防ぐも斜めに切断されてしまう。

 

「シールドが保たない。だが近づく事はできた」

 

「勝てると思っているのか? 古き人類が!!」

 

「舐めるなッ!!」

 

互いに振るビームサーベルが交わる。

激しい閃光を浴びながら、ベルティゴはビットでドートレスを狙う。

 

「チィッ!! 機体は保つ!!」

 

「逃しません!!」

 

ペダルを踏み込むアムロはメインスラスターを全開にして機体を飛び上がらせる。

ビットの攻撃を避け、着地と同時に足を踏み出しビームサーベルで袈裟斬り。

ベルティゴも握ったビームサーベルでコレを受け止めた。

同時に飛ばしているビットでドートレスを追い詰める。

 

「地上戦ではこうも動きにくい!! 機体の反応も鈍いぞ!!」

 

発射されるビームにアムロは回避を余儀なくされる。

スラスターを駆使してビットからの細かなビームを避け、コンソールパネルを素早く叩きビームサーベルの出力を変えた。

威力を下げてでもリーチを長くし、ビームサーベルは10メートルにまで伸びる。

そして機体が腕を振るとビットを切断した。

横一閃、縦に、斜めに。

ベルティゴにまで切っ先が届く事はないが、着実に発射されるビットの数を1つ1つ減らす事で動きやすい状況を作り出す。

 

「ビットを切っただと!? そんな事ができるパイロットなのか?」

 

「サーベルに無理をさせるしかない。どこまで行ける?」

 

本来では使用しない出力なせいでビームサーベルのグリップは悲鳴を上げる。

機体の性能を限界まで引き出してもベルティゴに一撃を与えられない。

迫るビットへ更に横一閃。

斬り裂かれ爆発の炎を上げるが、機体が握るビームサーベルは簡単に限界を迎えた。

耐え切れなくなったグリップはマニピュレーターの中で爆発しドートレスの右手を持っていく。

 

「こんな所で!!」

 

「その隙は逃しません!! 確実に仕留める!!」

 

両腕からビームを放つ。

一直線に相手の胴体に向かうビームだが、アムロは卓越した技術と反応速度で機体を大きくジャンプする。

致命傷は免れたが、それでも左足のつま先が撃ち抜かれてしまった。

 

「外した!? なんで!!」

 

「狙われていた」

 

「そんな機体では。行け、ビット達!!」

 

損傷した脚部で雪上に上手く着地する事はできない。

片膝を付きながら着地するアムロはペダルを踏んでメインスラスターで出力を出す。

だが、目の前には銃口を向けるビットが迫る。

 

「新しい機体反応!? 来るのか?」

 

「アムロォォォッ!!」

 

別方向からビームが飛来する。

空中でドートレスに狙いを定めていたビットは瞬時に撃ち落とされ、2人は新たに現れた機体に視線を向けた。

 

「GXが来たか?」

 

「アムロ、まだやられてないな? コイツの相手は俺がやる!!」

 

「いけるんだな?」

 

「おうよッ!!」

 

改修されたGXディバイダーがそこに居る。

ビームマシンガンを装備するGXがドートレスを狙うビットを撃ち落とした。

ペダルを踏み込むガロードはバックパックとシールドからバーニアを吹かし一気に加速する。

 

「あの機体、フォルムは変わっているが……GXか!!」

 

「あの時の借りは返すからな!!」

 

「武装が少し変わった程度で!! ビットよ!!」

 

数は減らされたがそれでもまだビットは残っている。

武器も失い満身創痍のドートレスは後にして、向かって来るGXに敵意を向けた。

パイロットの脳波に従いビットはGXを襲う。

 

「普通のパイロットの貴様に何ができる!!」

 

「頭と体を使えばどうにでもなる!! ウラァァァッ!!」

 

ビームマシンガンのトリガーを引くがビームが命中する事はない。

それを見てガロードはすぐに腰部へマウントさせ、シールドもバックパックと合わせる。

両手にはビームサーベルを握らせて、ガロードは機体をベルティゴに向けた。

高速で回転させるマニピュレーター。

残像を発生させるビームサーベルはバリアのようになり、GXはそのまま目の前のベルティゴに突っ込む。

 

「もうその攻撃にはやられないぞ!!」

 

「ふざけてるのか!!」

 

「やってみなきゃわからない!!」

 

GXを囲むように展開するビット。

全方位から向けられる攻撃に、回転するビームサーベルはコレを弾き飛ばす。

同時にまとわり付くビットも破壊して、ベルティゴに距離を詰める。

 

「あの武器さえ失くなれば!!」

 

「古き人類にこの僕が!? この僕が負ける筈がない!!」

 

両手に握るビームサーベルを振り下ろす。

ベルティゴは右手に握るビームサーベルでコレを受け止め、左手にもビームサーベルを握らせる。

コクピットに向けられる殺意。

 

「来るか!!」

 

ビームサーベルを手放し後退するガロードはベルティゴの突きを回避、背中のシールドとビームマシンガンを装備して更にまた加速。

ベルティゴは右腕を振り下ろすが寸前の所でシールドで動きを止める。

 

「ディバイダ―を使って加速!!」

 

「ぐぅっ!?」

 

加速のGがパイロットを襲う。

もつれながらも上空に飛び上がる2機。

密着した状態でも攻撃手段はまだ残っており、左手のビームサーベルで再び斬り掛かろうとするベルティゴ。

しかし優勢に立つガロードの方が動きが早い。

ビームマシンガンの銃口を左腕に向けてトリガーを引いた。

腕は1発で吹き飛ばされる。

 

「このッ!! 邪魔だ!!」

 

「行ける!!」

 

残る腕のビームサーベルで振り払う。

だがガロードは機体の姿勢を下げる攻撃を避けると、ビームマシンガンの銃口をベルティゴのコクピットに密着させた。

瞬間、時が止まったような感覚に包まれる。

フリーデンの医務室のティファは思わず声を上げた。

 

「ガロード、だめぇぇぇ!!」

 

彼女の声は無情にも室内に響き渡るだけ。

コクピットシートに座るガロードは息を呑むと同時に反射的にトリガーを引いてしまう。

 

「ッ!!」

 

(そうか……GXのパイロットはあの時の。ドートレスのパイロットとティファ・アディールに執着するあまりこんな事にも気が付かないとは。機体の性能差もあったと思いたいが、ニュータイプの僕が負けるなんて。いいえ、違いますね。彼は僕よりも強い。確か名前は……名前は……)

 

コクピットがビームに焼かれる瞬間、銃口と密着した装甲から接触回線で声が聞こえた。

そしてその声をガロードは聞いてしまう。

 

 

 

第12話 ガロード

 

 

 

「カリスなのか?」

 

思った時にはもう遅い。

ビームはコクピットを貫き、機体は今にも爆発する所だ。

ベルティゴを蹴り飛ばすGXはその場から離脱し、炎に包まれる白い機体を視界に入れる。

唖然とするガロードは目の前の光を見ているしかできない。

 

「今……確かに聞こえたぞ。カリスの声が」

 

地上に着地するGXは1点を見つめたまま動かない。

そこに合流したドートレスはマニピュレーターを肩に触れさせる。

 

「ガロード、よくやった。敵の部隊も撤退を初めている。フリーデンに帰還するぞ」

 

「アムロ……でも俺……」

 

「まだ全て終わった訳ではない。油断してるとお前も撃たれるぞ」

 

「あぁ……わかった」

 

「よし、それで良い」

 

フリーデンに戻るGXとドートレス。

その最中でアムロも確かに感じるモノがあった。

 

///

 

フォートセバーンの市長室。

市長であるノモア・ロングはカリス・ノーティラスが戦死したと報告を受け、額に青筋を立てて激昂した。

 

「アイツは一体何をやっているんだ!! 人工ニュータイプとして強化するのにどれだけの金と時間が掛かったか!! これでは、15年前の復讐はどうなる!! パトゥーリアの復活が!!」

 

周囲のモノを蹴り、投げ飛ばし、兎に角手当たり次第に感情をぶつける。

彼の荒れようを見て、部屋には近づくモノさえ居ない。

 

「あ゛あ゛あ゛ぁぁぁァァァッ!! クソッ!! クソくそぉぉぉ!!」

 

「なにやらお困りのようで?」

 

ふと、誰かの声が聞こえる。

頭に登った血を少しだけ冷まして視線を向けると、いつのまにか1人の男が部屋に入っていた。

 

「誰だお前はッ!! 入室を許可した覚えはない!!」

 

「それはそうです、許可されてませんので。初めまして市長、私の名はシャギア・フロストと申します」

 

「シャギア・フロストだと?」

 

「ノモア・ロング、けれどもそれは仮初の名。本当のアナタは15年前、宇宙革命軍に所属していたドーラット博士」

 

「何故ソレを!?」

 

「私はバルチャーをやってまして。情報収集は得意なのです」

 

「そんなモノが理由になるか!! お前は――」

 

言葉を遮るように、シャギアは懐に手を伸ばし銃を抜いた。

 

「っ!?」

 

「お話はここまでです。本来の目的はニュータイプであるカリス・ノーティラスの確保でしだが状況が変わりましてね。個人的にアナタの存在を我々は許しておく訳にはいかないのです」

 

「我々だと?」

 

「紹介します。弟のオルバです」

 

ノモアが振り返った先、ガラスの窓の外に居たのは黒い装甲を纏うモビルスーツ。

 

「も、モビルスーツだと!? これは――」

 

次の瞬間、室内に銃声が響く。

力なくカーペットに倒れ込むノモア市長、その後頭部からはどす黒い血が溢れ出す。

 

『終わったみたいだね、兄さん』

 

「あぁ、もうフォートセバーンに居る理由もなくなった。行くぞオルバ」

 

『了解』

 

///

 

フリーデンのモビルスーツデッキに戻る各機。

戦闘が終わったガロードは一目散にティファの元へ走った。

通路を駆け抜け、行き着く暇もなく医務室へ飛び込む。

 

「ティファ!!」

 

中へ入るとテクスに診てもらいながらベッドに座る彼女が居た。

 

「ティファ、大丈夫なんだな? 俺……」

 

「何も言わないで。あの人の痛みも、ガロードの痛みも伝わってる」

 

「ティファ……」

 

傍にテクスが居る事も忘れて2人は抱き合った。

互いに肌をふれあい、体温を感じ取る。




カリスの最後はアニメとは変更しました。
読む人がどう受け取るのか少し不安ではありますが。
今更ですが今までに自分が書いてきたクロスオーバー作品は転生物に含まれるのかな?
でも他シリーズ同士を絡ませようとするとこう言う方法しか思い付かない。
ご意見、ご感想お待ちしております。

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