東方屍姫伝   作:芥 灰仁

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白ノ雪

「……ん、ゆ……ちゃん……」

 

声が聞こえた。

声質から女の人の声だ。

そして、懐かしい声。

聞き慣れているはずの声なのに、なぜかそう思えた。

 

私はゆっくりと目を開け、私の肩を揺すり小声で私を呼ぶ人物に目を向けた。

 

「……ん、■■ぁ……まだ、夜だぞ……」

 

私は無理やり起こされ文句を言い、上半身を上げる。

しかし、声をかけてきた人物は私の言葉を聞くと、眉間にシワを寄せ叫んできた。

 

「ちょっ! ■■って誰!? 寝惚けてるの雪ちゃん!!」

 

「……あれ?」

 

私は少女に怒鳴られたことで完全に目を覚ます。

 

私が目を開けるとそこにいたのは幼い頃から一緒にいて、今は女同士だが夫婦と言う歪な関係にある白鷺 茜だった。

そして、その白鷺 茜は一糸まとわずで生まれたままの姿で私を睨みつけていた。

 

「な、なんで茜は裸なんだ……?」

 

「そ、それは……今日は雪ちゃんに抱いてもらおうと……ってそれより■■って誰!? まさか雪ちゃん浮気してるの!!」

 

茜のその言葉で、私は先ほど寝惚けて言った言葉を思い出した。

 

そういえば私もよくわからないが、■■って誰だろうか?

確かその名前は先ほど見ていた夢に出てきた少女の名で、見た事もない服を着ていて茜と少し似ていた少女に私はそう呼んでいた気がする。

まあ、目覚めた今となってはもう夢の内容なんて朧げで忘れてしまったが。

 

「し、してる訳ないじゃん。私はいつも茜と居るんだよ? 私は茜、一筋さ」

 

「ほんと……?」

 

「……っ!」

 

涙目で上目遣いをしてくる裸の茜を見て、私は一瞬どきりとした。

同じ女のはずなのに、なぜか茜にトキメイてしまった。

茜の事が好きだから?

今の茜の姿がエロいから?

いや、確かに好きだが私は茜が友達として好きなだけで、女として好きな訳ではない。

時々、肌を重ねるがそれは茜が望むからで、私はどうしてもという茜の言葉と、夫婦としての義務感で……。

 

「なら……証拠にちゅーして?」

 

茜は唇を私に差し出して来た。

私は頰を染めながら求める茜を見て可愛いと思いながらも、躊躇いながらも茜の口に自分の口を押し付ける。

そして、接吻をかまし舌を絡ませると茜は悶えながらも私の背中に手を回して更に求めてくる。

私はそんな茜を見て自重できなくなり、全裸の茜を今ほど私の寝ていた布団の上に押し倒した。

そして、茜から唇を離して言う。

 

「えっちな子だね茜は」

 

私は意地の悪い顔でそう言うと、押し倒された茜は身体をモジモジとさせ私の目を見つめてきた。

 

「もぉ……雪ちゃんが悪いんだよぉ。私がえっちなのは雪ちゃんの事が好きだから、だよ」

 

そして、雪ちゃん以外にこんなところ見せないんだから、と恥ずかしそうに茜は言った。

私は茜にそう言われると、戸惑いと共に嬉しくなる。

こんな魅力的な女の子が私の事を好きだと言い、身体を求めてきてくれる。

例え同性で古きからの仲だとしても、なんだか嬉しい。

それが間違った恋だとしても、私はこのままでいいのかもしれないと思った。

それは、きっとおかしい事なのだろう。

でも……。

 

「なら、今日もいっぱい可愛がってやるよ……」

 

「うれしっあぁん!」

 

私は茜の言葉を遮り、茜の大きな乳房に顔を当て舐め始める。

茜は気持ちそうに悶え、更に求めるように私の頭を胸に抱きよせた。

私は彼女の肌の温もりを堪能して、目を閉じ感傷に浸った。

 

このまま、茜との幸せがずっと続けばいいのに、と。

大人になっても、お婆ちゃんになっても。

そして死んだ後もずっと茜と過ごせたら、私は幸せなのだろう。

 

けど、この茜と溶け合うように愛し合える時間がずっと続けばいいとも思う。

そして今の私を好きでいてくれる茜とずっと一緒にいられたら……、私はそれだけで幸せだ。

だけど、時は一瞬に過ぎるものだ。

ならばこの時間を精一杯、楽しもう。

そして幸せを噛み締めよう。

 

 

「あかね、ずっと一緒に居ような……」

 

 

あぁ、本当にそれだけが私の幸せだーー




白ノ雪ハ、愛ヲ望ムーー
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