「……ん」
目が覚めた。
眩い光にあてられ、私は目が覚める。
「ここは……」
私は寝惚けた目を擦りながら周囲を見渡す。
そこは何処かの林の中で、木漏れ日が木と木の間から私に差し込む。
そして私はそこで木の根を枕代わりにして寝ていた。
「あぁ……夢か……」
私は目を擦りながら上半身を起こし、夢の内容を思い出す。
確か茜と肌を重ねた夢だった。
そして愛し合った夢。
それは懐かしき茜と過ごした夢であった。
あぁ、懐かしい。
「茜、お前の夢を見たよ……」
私はそう呟きながら、私と並んで寝転がっている彼女の顔を見る。
目を瞑り息もすることなく、本当に眠っているように見える彼女の死体を私は見る。
私が妖怪となって既に数十年の時を得ても腐る事なく姿形を保っている彼女の死体。
おそらく私の能力に関係しているのだろうか、茜の死体は五十年過ぎた今でも腐る事なく形を保っている。
私は不思議なものだと思いながら彼女の死人とは思えない柔い肌を撫でる。
しかし、撫でると死体特有の冷たさがあり、彼女の温もりは感じられない。
「そう考えると妙にリアルな夢だったな……」
ふと私はそんな事を思った。
そして夢での彼女との情事の温もりを思い出し、少し顔を赤くする。
私はちらりと夢の中で貪り続けていた彼女の大きな乳房を見た。
「いやいや、流石に茜のといえども流石にやばいって……」
一瞬と彼女のそれに手を伸ばしかけたが、慌てて手を引っ込む。
しかし、やはり寂しさがあったので茜の死体を抱き上げた。
彼女の死体は冷たく、私が抱き上げても身体に力が無く抱き返してくる事は決してない。
だけど、彼女と抱き合うと私は妙に落ち着く。
冷たく温もりは無いが茜に触れると安心する。
そして私には茜がいないと、と確信してしまう。
「あぁ、茜よ。待ってろ、すぐにお前を生き返らせてやるからな……」
私は冷たい彼女の頭をひと撫でして、彼女の身を自分の影に沈みこませる様にしまう。
そうだ。
私は彼女を、茜を生き返らせないと。
でないと私は一人なんだ。
彼女が居なければ私は誰に愛されればいいんだ。
孤独な私を誰が愛してくれるんだ。
妖怪に殺され、人に否定される異形な私を誰が見てくれるんだ……。
やはり、私には茜しかいない……。
だから、私はどんなに傷ついても殺しても彼女が生き返るならなんでもしてやる。
そして彼女が生き返ったら、夢で見た事だろうがなんだろうができる。
そう思うと私は今日も頑張れる。
「さて、今日も殺りますかーー」
私はそう呟き、頭に響く怨霊らの声に耐えながらも歩き出す。
私が妖怪を喰らい、力をつければ茜は生き返るはずなのだ。
だから私は殺し続ける。
今日も明日も明後日も、彼女が生き返るその日まで。
私がこの孤独感から解放されるその日までーー
屍ハ、孤独ヲ埋メルーー