ジョーカーも異世界から来るそうですよ?   作:パズドラー

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なんとか連続更新


疑惑

「ありえない、ありえないのですよ。まさか話を聞いて頂く為に小一時間も費やすなんて、学級崩壊とはこのようなことを言うのデスよ。」

 

「いいからさっさと進めろ。」

 

弄られまくって嘆いているところに十六夜の慈悲のない言葉が黒ウサギへと向けられる。それによって半ば本気の涙を浮かばせながらも、話を聞いてもらえる状況になったのだと理解してようやく話せると心の中で呟く。といっても目の前の四人はとりあえず話を聞くだけ聞こうという態度なため黒ウサギが考えている通りには事を運べるかがわからないためいまだに緊張している。

しかし黒ウサギは気を取り直し、咳払いをして説明を始める。

 

「それではいいですか、皆様方。定例文で言いますよ?言いますよ?さあ、言います!ようこそ”箱庭の世界”へ!我々は皆様方に恩恵(ギフト)を与えられた者だけが参加資格を持つゲーム、『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼントさせていただこうかと召喚いたしました!」

 

「ギフトゲーム?」

 

「そうです!すでに気づいていらっしゃる方もいるでしょうが、皆様方は皆、普通の人ではございません。その特異な力は様々な修羅神仏から、悪魔から、精霊から、星から与えられた恩恵でございます。『ギフトゲーム』はその恩恵を用いて競い合うためのゲーム。そしてこの箱庭の世界は強大な力を持つギフト保持者がオモシロオカシク生活できるために作られた遊び。つまりステージなのでございますよ!」

 

 

 

黒ウサギが定例文を必死に語っているのを聞いて俺以外の三人を見る。

 

「(こいつらはなにか特別な力を持っているのか?)」

 

自身の場合は恐らくモンスターマスターとしての力なのであろう。なんせモンスターマスターとして活動できないものまでいるのだから特別な力の枠には入るのだろう。

 

と考えていると横の飛鳥が手を上げる。

 

「まず初歩的な質問からいい?貴方の言う"我々"とはあなたを含めた誰かなの?」

 

「YES!異世界から呼び出されたギフト保持者は箱庭で生活するにあたって、数多とあるコミュニティに必ず属していただきます。」

 

「嫌だね。」

 

十六夜が黒ウサギの言葉を一蹴する物言いを即答ですると一瞬だけ黒ウサギが動揺の色を見せた。が直ぐに属すという言葉を強調したあとに説明へと戻る。

 

「主催者って誰?」

 

「様々ですね。暇を持て余した修羅神仏が人を試すための試練と称して開催されるゲームもあれば、コミュニティの力を誇示するために独自開催するグループもございます。特徴としては前者は大体が自由参加なので誰でも参加できるのですが、主催者が修羅神仏なだけに凶悪かつ難解なものが多く、命の危険に晒されるものもあります。しかし、見返りは大きいです。ゲームを開く主催者次第ですが、新たな恩恵(ギフト)を得られる場合もあります。後者は参加のために必要なチップを用意する必要があります。参加者が敗退すればそれらは全て主催者のコミュニティに寄贈されるシステムです。」

 

「後者のチップっていうのは?」

 

「それも様々ですね。金品・土地・利権・名誉・人間……そして恩恵(ギフト)を賭け合うことも可能です。新たな才能を他人から奪えばより難度なギフトゲームに挑むことも可能ですから。ただし恩恵(ギフト)を賭けた戦いに負ければ当然ーーご自身の才能も失われてしまいますのであしからず。」

 

黒ウサギが挑発するような笑顔で言うと同じく挑発したような声色で飛鳥が問う。

 

「そうね……ゲームの始め方はどうするの?」

 

「コミュニティ同士のゲームを除けば、それぞれの期日内に登録していただければOKなのでございますよ。商店街等でも商店自身が小さなゲームを開催しているのでよかったら参加していってくださいな。」

 

「といことは……ギフトゲームがこの世界の法そのものと考えてもいいのか?」

 

俺の発言に黒ウサギは"お?"と驚く。

 

「なかなか鋭いですね。しかしそれは八割正解で二割不正解なのです。我々の世界でも強盗や窃盗は禁止ですし、金品による物々交換も存在します。ギフトを用いた犯罪などもってのほか!そんな不逞な輩は悉く処罰されます。しかし!ギフトゲームの本質は全くの逆で一方の勝者が全てを手にするシステムです。店頭に置かれた商品も店側が提示するゲームをクリアすればタダで手に入れることが可能なのです。」

 

「そうなのか。」

 

「しかし主催者は全て自己責任でゲームを開催しております。つまり奪われるのが嫌な腰抜けは初めからゲームに参加しなければいいだけの話でございますよ。」

 

まぁこの中にはそのような腰抜け様はいないと思いますがね?と挑発を入れて一枚の封書を取り出す。

 

「さて、皆さんの召喚を依頼した黒ウサギには、箱庭における全ての質問に答える義務がございます。が、それらすべてを語るには少々お時間がかかるでしょう。新たな同士候補である皆さんを何時までも野外に出しておくのは忍びない。ここから先は我らのコミュニティでお話しさせていただきたいのですが……よろしいですか?」

 

「待てよ。まだ俺が質問していないだろ。」

 

説明の間一人静聴していた十六夜が威圧的な声を上げて立つ。ずっと刻まれていた軽薄な笑顔が無くなっていることに気付いた黒ウサギは、構えるようにして聞き返した。

 

「……どういった質問ですか?ルールですか?それともゲームそのものですか?」

 

「そんなのはどうでもいい(・・・・・・)。腹の底からどうでもいいぜ、黒ウサギ。単刀直入に一つだけ聞く。」

 

十六夜は周りを見て見下すような視線で一言、

 

「この世界は……面白いか?」

 

実に快楽主義者な十六夜らしい質問。俺とほか二人も無言で返事を待つ。確かに俺を召喚した手紙にもこう書いていた。

 

『家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨てて箱庭に来い』と。

 

それに見合うだけの催し物があるのかどうか、俺も気になるが他三人にとっては最重要内容なのだろう。

 

「YES。ギフトゲームは人を超えた者たちだけが参加できる神魔の遊戯。箱庭の世界は外界よりも格段に面白いと、黒ウサギは保証致します♪」

 

その言葉を聞いて十六夜他二人は納得し、天幕に向けて足を進める。黒ウサギが急いで前に行こうと俺の横を素通りしようとしたときに黒ウサギに聞こえる声で俺は呟く。

 

「黒ウサギ……お前は何を隠してる?」

 

その声に黒ウサギが驚愕しこちらを見てくるが数秒見つめあった後、俺は何も言わずに十六夜たちがいる方向へと歩みだした。




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