おっぱいが好きだ   作:ゆきひな

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彼女のおっぱいが好きだ

 僕はおっぱいが好きだ。大きなおっぱいも小さなおっぱいも好きだ。だが勘違いしないで欲しい。僕は誰のおっぱいでも良いのではなく、今は僕の彼女のおっぱいが好きだ。あの可愛らしいおっぱいが好きだ。あのおっぱいに触れて、揉めるのなら僕は何だってするだろう。少なくとも彼女が僕の彼女でいてくれる限り、他の女に手を出すような不埒な輩にはならないと誓ってもいい。

 

 そんな僕は今、正座している。自分の部屋の絨毯の上に縮こまって正座している。僕の前には愛しの年下の彼女が仁王立ちで僕に何かを言っている。間髪言わずに捲し立てて来る彼女はどうやら怒っているようだった。いつもはハの字の可愛い眉毛が逆ハの字になっているのを見ると相当頭に来ているらしい。だが、僕はそんな彼女の言い分なんて耳に入れずに、ただ、彼女のおっぱいを一心不乱に見ていた。今日の彼女はTシャツの上に薄いカーディガンという服装のため、女性のおっぱいは強調されるはずだが、残念なことに彼女の小ぶりなおっぱいはその姿を現してはいない。それでも僕は彼女のおっぱいが好きだから彼女がわずかに動くたびに変化する服の皺がぴったりとおっぱいの形を現すまでそこから目を離さない。

 

 熱心に見ていると頭に衝撃が走った。折角可愛いおっぱいを眺めていたのにそれを邪魔されたことに不快感を抱きながら、顔を上げる。そこにはジト目で僕を睨む彼女がいて、その手には僕のお宝本、表紙に巨乳のグラマスなお姉さんのビキニ姿が描かれたエロ本が丸められて棒状にされ握られていた。そう、そうなのだ。僕が部屋の押し入れの底、それも二重底の下に隠していた秘蔵のエロ本集が彼女に見つかってしまったのだ。

 

 何十冊とあるエロ本を全て部屋に晒され、その内容に目を通していく彼女。数冊読んだ彼女は涙目になっており、僕に正座を促した。僕はもちろん反抗する気はなく、寧ろいつもは背の高い僕が彼女を上から見つめるという図が多いが、今回は僕の方が低い位置なので下から彼女のおっぱいが眺められると内心大喜びで正座した。人間のクズのような考えだが、僕は彼女のおっぱいが好きだから仕方がない。好きすぎていろんな角度から見てみたいと年がら年中思っている。

 

 そんな僕のくだらない男の欲望はこの際、隅に置いて置くとしてだ。彼女はエロ本に載っている女性が皆、巨乳と呼ばれる大きなおっぱいの女性ばかりということに腹を立てているらしい。はっきりと言おう。僕はどんなおっぱいも好きだが鑑賞するなら大きなおっぱいが好きだ。おっぱいを両腕で抑えて強調している姿が好きだ。おっぱいを下から持ち上げる姿も好きだ。だが、僕はエロ本は巨乳の女性が多いという熱い思いを彼女に伝えるなんて暴挙に出るつもりはない。ましてや、彼女は小さなおっぱい、貧乳だ。そんなことを言えば絶対に傷つき、下手したらさようなら、なんて展開が訪れるのも無いとは言い切れないだろう。

 

 そんな僕が中々、弁解をしないことに苛立つ彼女は、エロ本の山から一冊、『おっぱいがいっぱい~魅惑のエデンへようこそ~』とデカデカとしたタイトルに、巨乳の女性が扇情的な黒の下着を身に付け、女豹のポーズをした表紙の書物を取り出した。馬鹿丸出しのタイトルだが、それが僕の部屋に有り、その所有者が僕ということは僕もまたおっぱいに取り憑かれた馬鹿なのだろう。そして彼女は表情を一切消し、その本を捲っていく。そこには淡々とおっぱいのことが書かれており、男性側から見たらおっぱいというものは性的興奮を煽るものという流れになってきていた。

 

 さらに彼女はページをめくり、それを声に出す。はっきりと僕に聞こえるようにだ。

 

 『私はおっぱいが好きだ。しかし、Bカップより下の胸はあまり好きではない。なぜなら揉みごたえもないし、私の体も反応しない、つまらない。興奮を覚えないのだ。そもそもおっぱいというのは谷間ができてこそであり、谷間がないなら出直してこい、と言いたい』

 

 彼女の可愛らしい口から繰り出されるその言葉に、僕は最高にパニックに陥っていた。よりによってそこを音読するか、と。この本を書いた筆者の気持ちなのに、それがまるで僕の気持ちを代弁してんでしょ、みたいな彼女の圧力が純粋に怖い。違う。僕は真の意味でおっぱいが好きなのだ。この筆者のように選り好みなどせず、分け隔てなく等しくどんなサイズのおっぱいも好きなのだ。

 

 彼女は後数ページ同じように音読していたが、遂に我慢できなくなりそのエロ本を床に叩きつけた。そのエロ本を親の敵を見るように見つめ、次いで僕に視線を移した。その目がもうこの部屋から出ていきたい。谷間のない私はこの部屋にいる資格がないのだから、谷間を作ってくる、と暗に訴えているようだった。ここで僕が無言のままだったら彼女は本当に谷間を作りに出ていくだろう。ただ、彼女の胸のサイズ、Aカップから谷間を作るとなるとほぼ不可能に近い。つまりはここで別れましょうなのだ。そんなことをされれば僕は我慢できなくなり、道行く他人の女性たちにおっぱいを揉ませてくれと頼み込み、警察に捕まるだろう。彼女との関係も終わり、人生も終わる。おっぱい好きの紳士からただの性犯罪者へと成り下がるのだ。それは避けなければならない。僕にはまだ僕を産んでくれた母親が生きている。次に母と会うのが警察官に見守られ面会などとんだ恥さらし、親不孝ものだ。

 

 ちょっと待て、僕は縋るような気持ちで彼女に声をかけた。緊迫した空気がより一層濃くなった気がしたが、今はなりふり構ってられない。

 

 さっきの本の三十四ページを開いてくれ、僕の言葉に彼女は困惑した表情を見せるが、おずおずと床に落としたその本を拾い、言われた通りにそのページを開いた。

 

 そこにはこう書かれているはずだ。大きいが全てじゃない、小さくたっておっぱいだ!! 馬鹿みたいな見出しだが、ページ数を覚えるほど読み込んだ僕は度を超えた大馬鹿野郎なのだろう。唖然とした表情で僕と本を交互に見つめる彼女に間髪入れずに言う。

 

「僕はおっぱいが好きだ。大きいのも小さいのも好きだ。僕が君のことを好きになったのは君のおっぱいを気に入ったからだ。おっぱいから恋が始まったといっても間違っていない。僕は君のおっぱいが気に入って、この子のおっぱいを揉みたいと思って告白した。はっきり言って、体目当てだ。でも、今は君のおっぱいじゃないとダメなんだ。君がどんなにそのおっぱいに自信が無かろうと僕にとっては最高のおっぱいなんだ」

 僕は熱く語る。彼女は顔を引きつらせているが知ったことか。僕は彼女の両肩に手を置き、真剣な眼差しで彼女に言う。

 

「君のおっぱいが好きだ。愛してる」

 彼女の顔がみるみる赤くなりプルプルと彼女の体が震えだした。そして、一閃、パシンと甲高い音が鳴り、僕の頬に衝撃が走った。呆然とする僕を置いて、彼女は部屋から飛び出していく。頬が熱い。ビンタされたのだ。そう気付いた時、僕の体から力が抜け膝から崩れ落ちた。

 

 終わった、僕の人生が終わったのだ。さようなら、おっぱい。さようなら、僕の人生。

 

 僕はそのあと何もする気が起きず、ベットで不貞寝した。次の日、職場に行くため玄関を開けた僕の目の前には、やけに気まづそうにしている彼女がいた。

 

 あぁ、やっぱり僕は彼女のおっぱいが好きだ。




何か勢いで書いたらこんなになった。反省はしていない
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