仕事の休憩時間、同僚や上司がタバコを吸いに敷地外へ行く中、僕は自分の席から動こうとしなかった。僕の勤め先である男女共学の高校では、敷地内での喫煙はご法度なのだ。学校と言っても僕は教師と言うわけでは無い。勿論、校長みたいな偉い職業でも無く、経験の浅いスクールカウンセラーだ。思春期の少年・少女達の悩みに親身に対応するあれだ。
席から立ち上がろうとしない僕に、普通サイズのおっぱいの事務のお姉さんがコーヒーを入れてくれた。先日まではロングヘアーだったのだが、ショートヘアーに髪を切ってきた事務のお姉さんは、ニコリと笑うと自分の席に戻って行く。どうやら、彼氏さんと別れたらしい。この事務のお姉さんは失恋するたびに髪を切ってくるのでわかりやすい。今回の彼氏さんは彼女の髪がロングヘアーになるまで持ったのだから、よくやったということだろう。
白のティーカップからコーヒーの香りと湯気が出ていた。僕はそれを口に含みながら、おっぱいについて考える。おっぱいは素晴らしい。あの手に吸い付く感じはたまらない。早く、仕事を終わらせて彼女のおっぱいを揉みたい。何なら今すぐ彼女の元へ行き、そのおっぱいを拝むことも可能だが、ここは学校だ。あくまで先生と生徒の関係だ。
そんなことを思いながらコーヒーを飲んでいると、何やら事務の方でお姉さん方がこちらを見て笑っていた。中には頬を染めた人もいるが何かあったのだろうか。僕は再びおっぱいを脳内に思い描きながらチャイムがなるのを待つ。僕は職場であろうと休憩時間はおっぱいについて考える。暇さえあればおっぱい、これに限る。
チャイムがなった。四時間目の授業の終了を告げるそれが鳴り終わる前に、僕はティーカップを洗い、部屋を出た。廊下には食堂へと移動する学生や教室への出入りなどで騒がしくなっているが、僕は特に気にもせずに学生相談室へと歩みを進める。すれ違う女子生徒と挨拶を交わしながら、おっぱいをさりげなく見る。学校というのは素晴らしい場所なんだと社会人になって気づいた。多種多様なおっぱいがこの学校という一つの箱庭に集まっていると考えると学校という制度を考えた人物は天才では無いだろうか。いや、そもそも学校とは男が行く場所という考えだったから、女性も行けるようにした人物が天才なのか。学生時代は学校に行くのが億劫だったが、こうしていろんなおっぱいを無料で鑑賞出来るなら世の男子学生は嬉々として登校するべきである。
窓からグラウンドを見れば、体育を終えた女子高生の体操服姿が拝める。昼休みの時間を確保したいのか忙しなく、走り出す女子高生のおっぱいが揺れるのを見れるなんて幸せだ。女子高生のおっぱい最高だぜ。でも、僕の彼女のおっぱいが一番良いけどね。
とまぁ、生徒の悩みを緩和する仕事についたスクールカウンセラーの僕が真昼間からおっぱい、おっぱいと脳内を満たしているというのは些かどうかと思いながらも、おっぱいが好きだから仕方が無い。いきなり女子高生に襲いかかることをしないだけありがたいと思って欲しい。理性を抑えるのに僕も一苦労しているのだから鑑賞ぐらい許して欲しいよ。勿論、ジロジロ見るのでは無く、さりげなく自然におっぱいを見ているので、気づかれる心配はない。
僕は大学生時代、医学部として過ごした時間を全て、おっぱいをいかにして愛でるかということだけを心の支えにして生きてきたので、他人に気付かれることなくおっぱいを視界に入れることなど造作もないのだ。そもそもスクールカウンセラーになること自体、女子高生の制服越しのおっぱいを見たいという純粋な欲望を叶えるためだけに選んだようなものだ。医学部ならそのまま医者になれば患者のおっぱいぐらい見れるだろ、と思うかもしれないがそれじゃ駄目なのだ。日常に垣間見えるエロス、何気ない仕草の中に感じられるおっぱいほど素晴らしいものはない。
廊下を歩く女子高生のおっぱいを見ながら廊下を歩けば、僕の本当の仕事場、学生相談室がもうすぐそこだ。各学年の教室がある新校舎とは違う、理科室や美術室、音楽室などの移動教室を中心に集められ、昼休みには人気のない静かな場所になる旧校舎の一角に学生相談室はあった。教室の三分の一ほどの大きさのそこは、テーブルに椅子が二脚、壁には花が描かれたカレンダーがぶら下がっている落ち着いた部屋となっている。それと奥にお茶などを出すための小さな給湯室があるぐらいでこじんまりとしていた。
僕はまず奥へ行き、自分の分のお茶を注いで席に着いた。窓から差す暖かな陽光が、部屋を照らし出している。外からは昼休みは始まったばかりというのにもうグラウンドへ出て、遊んでいる男子生徒の騒がしい声が聞こえてくる。外で遊ぶ暇があれば、今のこの時間を同級生のおっぱいを鑑賞することに費やせばどれほど幸せかを彼らに教えてあげたいが、この学校で僕は生徒思いの頼れるスクールカウンセラーということになっているらしいので、迂闊なことを口に出せない。だから僕は渋々、言葉を飲み込み、騒がしい声をBGMに朝、彼女に渡された手作り弁当を開ける。色鮮やかなお弁当に僕は目を輝かせ、とりあえず唐揚げを口に入れる。そういえば今朝、お弁当と一緒にマシュマロも貰っていた。
マシュマロといえばおっぱいと似ているなんて言うが、おっぱいを愛している僕はそれは間違いだと声を大にして言いたいね。マシュマロはやわらかすぎで、おっぱいはもう少し弾力がある。こう、おっぱいを押すと弾き返してくるような感じがあるのに、マシュマロにはない。あんなことを言うやつは童貞だ。そういえば、先月、旅行に行った熊本県でおっぱいのようなマシュマロというものがあると聞いて、その商品を買ったが、時代の流れというのは凄まじいらしい。あれはおっぱいだった。驚愕した。一個三百円代と手頃な価格で片乳が手に入るのだ。六百円でおっぱいになるのだ。学生時代、中華まんを胸に当てた友人Yか僕がこのおっぱいのようなマシュマロの存在をもう少し早く知っていれば、Yが胸を火傷せずに済んだのかもしれない。
そんなことを思い出しながら、お弁当を食べていたら、コンコンと控えめにドアがノックされた。どうやら誰かが相談に来たようだ。僕はお弁当を一旦片付け、ドアを開ける。そこには一人の男子生徒。僕はとりあえず彼を部屋に招き入れ、給湯室へと行く途中、部屋の窓を開け換気する。弁当の匂いが充満した部屋というのは居心地の悪いものなのだ。給湯室から彼の分のお茶を注いだコップを持ってきて彼の前に置く。彼はそれに一口、口をつけると意を決したように話しだした。
どうやら彼は自分の将来が不安らしい。今まで真面目に勉強し、順位もトップを維持していたがふと将来、自分が何をしたいのか分からなくなった、というものだった。先程までおっぱい、おっぱい考えていた僕からしたらとても立派な考えすぎて感服する。僕なんて高校の今頃は、おっぱいの魅力に取り憑かれ始めていた頃だ。そんな僕のおっぱいエピソードを絡めて話すわけにも行かず、そういったことへの対応にはテンプレート通りのことを言う他ないだろう。それを心理学を専攻していた僕は、相手の心に深く訴えるような演技をしながら彼の心に染み込ませていく。
どうやら彼は僕のその対応に納得したらしく、やけにすっきりとした顔でありがとうございます、と礼の言葉を述べて、部屋から出ていく。おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい。真面目な相談に、至極真面目に対応したからだろうか、無性におっぱいが恋しくなった。高校2年生の僕の彼女は新校舎の二階の二年二組の教室にいるはずだ。今すぐ彼女に会いたい衝動に駆られるが、まだ勤務中であることを思い出し、遣る瀬無い気持ちを抱きながら食べかけの弁当を開く。
やけに甘ったるい卵焼きを食べながら僕は思う。
僕はおっぱいが恋しい。
書き上げた後に、自分のことが心配になってきた今日この頃。