「てやああああああ!」
エクスドライブモードとなった翼が高速で飛翔し、先陣を切る。
オーディンは槍からビームを放ち、翼を迎撃するが、
「させない!」
調が放った無数の鋸がビームを遮り、ビームに当たり、減衰させる。
「せいっ!」
その間に接近した翼が両の手の剣で切りかかるが、槍でいなされ蹴りで吹き飛ばされる。
「そっちは囮だ!」
すると上空に突如、クリスが現れる。その周囲には月の欠片を破壊した時のように、無数の巨大なミサイルが展開している。
クリスはプロテクターで光そのものを屈折させてステルス状態となる傍らで、大量のミサイルを発生させながら上空へ移動していたのであった。
オーディンはSTARDUST∞FOTONを発生させて迎撃にあたるが、
「それも囮だ!」
一発、クリスが発生させたものではないミサイルが、S.O.N.G.の潜水艦から放たれたミサイルが、別方向の宇宙から飛来する。
中から現れたのは白銀のギアを纏ったマリア…だがそのギアはアガートラームではない。
「喰らえ、ネフィリム!」
ガングニール量産計画において、ガングニールが制御不能になる可能性を考慮して保険として中国が作成したギア。
神獣鏡ほどではないが、神獣鏡と同じく世界に複数ある聖遺物であり、中国でもいくつかの発見されていた。
神獣鏡とは違い非常に強力なギアであるため、保険としてはネフィリムが充てられることになっていた。
高フォニックゲイナー達の歌の奇跡で纏っているところはあるが、かつてセレナが命を賭して封印したソレを纏うということは、今のマリアはかつてのセレナを越えたとも言えるかもしれない。
マリアは巨人のアームドギアを形成し、その巨人がオーディンから何かを食べた。
「今度こそ消えて!」
オーディンが上空に気を取られている隙に、今度は地上から浄化の光がオーディンを射す。
ミカの壊れた部分を他のオートスコアラーのパーツで補い、さらにオートスコアラー同士を連結し、未来の全力を凝縮した一撃を放つ。
オーディンに直撃すると同時にオートスコアラー達は爆散するが、確実にオーディンから何かが削れた。
「削る!」
さらに別方向から鋸の援護射撃を受けながら切歌が接近する。
魂を削り取る鎌で、オーディンの力だけ削ぎ落とすべく振りかざす。そして削る、削る、削る。
「今デス!セレナ!!響サン!!」
各々が取れる最善の策でオーディンの力を削いだ。
これが完璧なオーディンであれば不可能であったかもしれないが、響は直感的にオーディン内に異物、伴の魂がまだそこにあるのを感じていた。
ガングニールの奏者としての共鳴、なのかもしれない。
響は金腕のアームドギアをオーディンの腹部に当てる。
さらにそのギアの上に、セレナが銀腕のアームドギアを重ねる。
「…リインカーネーションを応用して魂の位置を検索…見つけました、伴さんを!サルベージします!!」
「セレナさんがアガートラームで導いた魂を!私が掴んで離さない!!」
『グオオオォオオォォォオオオォォォ』
断末魔を上げるオーディン。STARDUST∞FOTONを自身に向けて全方位から発生させる。
絶望的な数の槍ではあるが、だがそれは、逆に奏者達を勇気づけた。
「オーディンは焦っている!今、伴の魂が体内から失われれば、降霊の儀式は成立しないのだからな!」
オーディン自身が先史文明期この儀式を行った際には9日9夜を費やしたと言われている。
だからこそ伴はその間に世界に神の力の一部で呪いをかけ、かつ降霊前に神獣鏡で浄化するという作戦を立案したのだ。
もっとも本来のその作戦は、例の如く失敗に終わっているのだが。
だが今は、展開されている槍は何とかしなくてはならない。
そこに新たな援護がやってきた。
「伴!!返ってきて!!」
海根重、ガングニール奏者。
聖詠で翼の体内のガングニールを強制的に回収し、その身に纏う荒業を持て、戦場に現れた。
顔は伴の最後に会った時のままで幼いが、その髪は身長の数倍は長く、年月を感じさせる。
重はその手を、ガングニールを持つオーディンの手に添える。
元々ガングニール装者の中では群を抜いて適合率の高い重、一度はもう一本のガングニールのレプリカになってしまった重。
そんな重だからこそ、ガングニールと共鳴し、オーディンの攻撃を、完全でないにしても抑えることができる。
「伴!」
「伴さん!」
「おめえ!」
「地羽伴!」
「伴先輩!」
皆が呼びかける。その声に呼応して…。
「うっさいわね…馬鹿野郎共…」
オーディンの体内から伴の魂が抜き取られる。
そしてオーディンは、伴の肉体ごと消滅した。