戦姫絶唱シンフォギアGB   作:ちばばばん♪

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第2話 ガングニール、二たび

VIPルームにいた響達は、煙に覆われたステージを見て、これが演出でないと直感で悟った。

「翼さんっ!!」

響が勢いよくVIPルームのドアへ向かう。

だがその時、突然ドアが爆発し、中に煙が…ステージと同じものが充満する。

「危ないわよ、拳ちゃん?」

吹き飛んできたドアは突如現れた古風なドレスを身に纏った女性、否オートスコアラーによって両断される。

「げほっ、お前は…ファラか!?」

少量の煙を吸い込んだクリスが呻く。

「今日は味方よ? 新しいマスターの命令ですもの。ウフフ」

異変に気付いた襲撃者達はマシンガンを乱射しながら室内に突撃してきた。ファラは手にした剣で銃弾をすべて弾く。だがその場に足止めされてしまう。その隙に襲撃者は煙に咽ぶ調と切歌に接近し、そしてナイフをかざし、胸元のペンダントを刈り奪う。

「任務完了」

そう言い残し、襲撃者達は銃撃で牽制しながら撤退していくのであった。

変身できれば…装者封じのための煙にまかれながら、そう思う響であった。

「さっきの…似てる…。あの声は…」

「でも、そんなのおかしいデス!だって、だって!死んだはずデス!」

 

突然の銃声、崩れ落ちる翼、動揺したように見える見知らぬ装者、そしてガスマスクの少女達。

目を開けたマリアは周りを見渡し、そして状況が理解できない。

「これは一体、…翼!?」

煙が吹き飛んだステージで、マリアは翼の元に駆け寄る。

「マリア…彼女は無事か…?」

か弱い声で、胸から血を流す翼がマリアに問いかける。煙で目も見えぬ中、翼は殺気に反応し、襲撃者を庇うために射線に割り込んだのであった。

「馬鹿っ!!」

その時、見知らぬ装者が手にした槍をペンダントの少女に向ける。

「すまない翼…」

その装者はマリアがかすかに聞き取れる程度の小声でそう呟き、ペンダントの少女に突進した。

だがそこに、遠方から鋸と鎌が飛来する。これはシュルシャガナとイガリマの…?

胸元からペンダントを奪われたマリアは安堵するが、遅れて登場した装者の顔は調と切歌ではなく…。

「………セレ、ナ?」

そこに現れたのは、かつてマリア達を守り、そして亡くなったセレナの姿をした少女達だった。そしてペンダントの少女もまた聖詠を唱え、露わになった顔はセレナそのものであった。

どうして? どうしてセレナがここにいるの!? 3人も…いえ、もしかしたら残るガスマスクの少女達も…?

混乱するマリアの元に、さらにもう1人、装者が現れるのであった。

 

「3対2、分はこちらが悪そうね。K、いけるわね?」

ステージ上に現れた、ガングニールを纏ったB=地羽伴は、相棒のKに問いかける。

「ああ!」

2人のガングニールの少女と、イガリマ・シュルシャガナ・アガートラームを纏う3人のセレナ。

一触即発の空気のに、さらに上空から乱入者が現れる。

「マリアさん!! 翼さんっ!?」

「先輩!! どいつだ、てめーがやりやがったのか!?」

ギアを纏う響とクリスが到着した。クリスは伴の持つライフルを見て、伴に弓を向ける。

その一瞬に、3人のセレナとガスマスクの少女達は撤退する。

「ちっ、作戦失敗よ。K、引くわよ」

伴もまた背を向ける。だがKは響を見つめ、じっと動かない。そして、少し笑った。

「良かった…またな」

外へ向かう2人に向けてクリスが弓を穿とうとした瞬間、響が間に割って入った。

「待って、クリスちゃん!今の、奏さん!奏さんだよ!!」

「…なんだと!?」

見つめ合った瞬間、Kが天羽奏であると理解した。死んだはずだけど、生きていた。

良く分からないけど、響は見送りながら嬉しく思った。

 

 

「翼さんは意識は相変わらず戻りませんが、肉体的には峠を越えました。間もなくこの潜水艦に移譲予定です」

事件から数日後。響達が所属するS.O.N.G.の潜水艦の司令室で、緒川慎次が説明する。

フロンティア事変で一度、そして魔法少女事変でもう一度潜水艦が破壊されたため、これが三隻目である。

響・クリス・マリア・調・切歌そして未来は安堵の表情を浮かべるが、緒川は説明を加える。

「ただ、胸に受けた銃弾の破片が心臓部分に複雑に食い込んでいるため手術でも摘出不可能でした。しかもそれは、ただの銃弾ではなく聖遺物…ガングニールだったようです」

「昔の私と一緒…」

緒川は頷きながら、さらに別の説明を始める。

「ガスマスクの襲撃者達ですが、残された髪のDNAを鑑定したところ、マリアさんと一致しました」

「やっぱりあれは、セレナなのデスか?」

「でもセレナはもういないはず…それにあんなにいっぱい…」

「クローン…なのかもしれないわね」

「そんな!何のためデスか!?」

マリアは首を横に振る。だが自分と調・切歌のギアだけが狙われた理由は何となくわかった。

フィーネの魂の拠り所の候補として選ばれた、つまり全員遺伝的に繋がりがあるから、ギアを纏える可能性があったということなのかもしれない。

「それから、ヒンメル・アンド・ヘルのツインボーカルのBとKですが、そのことはこちらの方からお話が聞けるそうです」

緒川はそう言って、何もない空間を向く。いな、そこには透明化したファラがいた。

「彼女達は何者なのか、目的はなんなのか、そしてなぜ貴女が再び我々の元に現れたのか」

 

「ウフフ。まずマスターのBですが、私と出会った時には既にガングニールの装者であり、東洋錬金術の陰陽術の使い手でしたわ」

「本名は地羽伴、かつてリディアンの生徒でしたが、ある日突然友人と共に行方不明になりました」 

「マスターの絶唱特性は「死」。Kちゃんはマスターが絶唱を介したエインヘリャルで現世に呼び戻した過去の戦士よ」

「つまりあれは天羽奏さん本人で間違いないんですね」

「目的は教えられていないわ。あの場に私が使わされたのは、私が透明化できるから。私への命令は、第一に襲撃者から鋸ちゃん達の命を守ること。第二に襲撃者にガングニールの弾丸を植え込むこと。ウフフ、これで満足かしら」

「動力源は、以前と同じく他者の記憶ですか?」

「いいえ、フォニックゲインよ。マスターが目的に合わせて構造を少し弄ったみたい」

「なるほど、ありがとうございます」

緒川とファラの会話から、あの場にいた2グループのうちの片方の姿がおぼろげながら浮かんできた。

「逆に私から聞くけど、これからどうするの? 急務は剣ちゃんのことかしら?」

ファラが楽しそうに聞き返す。

胸のガングニールを取り除かねば、かつての響のようにガングニールに体が浸食されてしまうかもしれない。

「それなんですけど、私から提案があります!」

思わぬところから声が上がった。声の主は小日向未来、響の友人であり、かつて神獣鏡のギアを纏い響を救った。

「皆神山に行きませんか? あそこなら、もしかしたらまだ、…未発掘の神獣鏡が残っているかもしれません!」

かつて皆神山で行われた聖遺物の発掘。だがノイズの襲撃により、発掘チームは壊滅し、中止となった。その際、フィーネによって皆神山の聖遺物・神獣鏡は持ち去られたが、それが全てとは限らない。幸いにして神獣鏡は、かつて大量生産されたという文献が残されている。

「私なら、LiNKERを使えば、見つけられるかもしれません!」

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