「ふんふんふ~ん、晴天デ~ス、ピクニックデ~ス♪」
響・クリス・マリア・調・切歌・未来・緒川・ファラの一行は、長野県皆神山に到着した。
「じーーー、切ちゃん…」
「たく、呑気なもんだな、全く。ちょっとは緊張感持てってんだ」
「まあまあクリスちゃん。未来のサンドイッチ、美味しいよ~。考えたらお腹空いてきちゃった」
「もう、響ったら」
「私もささやかながら皆様の分のお弁当とお茶を作ってまいりましたわ」
「ファラさんってそういうこともできるんですね~。えへへ、楽しみだな~」
非常に和気藹藹とした雰囲気ではあるが、むろん目的はピクニックではない。
皆神山、かつて聖遺物神獣鏡を出土した遺跡を再調査し、未発掘の神獣鏡の回収が目的である。
「先輩も、一緒に来れたらな…」
「そういえば、伴さんと奏さんは来るんですか?」
「マスターは私を介して状況は把握しているでしょうけど、来るかどうかは分かりませんわ」
「そそそそれって、スパイじゃないデスか!!」
「切ちゃん、…気づくの遅い」
「まあまあ皆。こうやって一緒に行動することが、伴さんと分かり合う一歩になるかもしれないんだから」
響はファラにライブ会場で救われたことや、奏の交わした一言から、伴達が敵ではないと感じていた。
もう一つの、マリアの妹のクローン達は良く分からないけど、彼女達とも分かり合いたいとも。
話しながら進んでいるうちに、いつしか一向は遺跡の入口にたどり着いた。
「未来、大丈夫?」
「ありがとう響。私は大丈夫だよ。LiNKER、打って?」
未来はむりくりではあったが、かつて一度神獣鏡と適合した。
幼い頃の翼は、そしてセレナのクローン達は、高い適合率をもって聖遺物のもとに導かれた。
未来はLiNKER、人と聖遺物を繋ぐための制御薬をもって、神獣鏡を探すというのが今回の計画である。
響は未来の首元にLiNKERを押し当て、そして投与した。
少しの間を置いて、未来は言葉を発した。
「…かすかに、感じる。何かが呼んでる、この中にきっと神獣鏡がある!」
未来は顔を輝かせ、一行を見渡す。
これで翼さんの胸のガングニールを消し去ることができると。
そして未来は気づく、一行の後ろから突如エアキャリアが現れ、二つの人影が飛び降りるのを。
「 Verias kami-tamisu trun 」
「 Zerios kami-tamisu trun 」
空から降ってきたのはセレナのクローンであった。
「セレナ2、シュルシャガナとの適合、良好。任務開始ですわ」
「セレナ3、イガリマとの適合、良好です。任務開始します」
鋸と鎌が響達に向けられる。
響とクリスは即座に聖詠を唱え、戦闘態勢を整える。
「未来は中へ!」
「お前らも安全な…」
二人はそれぞれ避難を促すべく、言葉を発した。
だが未来とファラ、緒川が遺跡内に突入した瞬間、更なる乱入者が現れる。
別方向からの竜巻が遺跡の入り口を吹き飛ばし、空から降ってきた物体がセレナ達と響達の間に壁を作る。
「なんだ!?…剣!?」
「槍だっ!!」
巨大な物体の上から聞こえた声には聞き覚えがあった。それは潜水艦で眠っているはずの…。
「翼さん!?それに奏さんと伴さんも!!」
そこにはガングニールを纏った三人の少女、天羽奏と地羽伴、そして風鳴翼の姿があった。
「よう、またあったな。悪いがあたし達の相手、してもらうぞ」
「こうして交わるのは久しいな、立花、雪音。いざ参る」
「そっちは任せたわよ、手駒ども。セレナシリーズ、今日こそ殺すわ」
奏・翼が響・クリスに向けて槍を向け、伴はセレナ達へ向かって駆けていく。
「そんな、どうして?」
「操られてるのか!?先輩と戦うなんて…」
戸惑う響とクリス、だかその二人の肩にマリアが手をかける。
「歌と歌をぶつけ合えばわかる。立花響、あれを使う!」
「そんな、あれはまだ未完成どころか一度も…。それを実践でいきなりなんて」
「雪音クリス、こっちは任せてあっちへ…きっと私はセレナの顔をした彼女達とは戦えない…」
「分かった、任せろ」
クリスは伴を追いかける。奏がクリスに槍を向けるが、そこで動きをとめた。
新たな聖詠、ギアを持たないはずのマリアの聖詠が聞こえたからである。
響と手を繋いだマリアは聖詠を唱え、そして黒いガングニールを身に纏った。
「これが…他者と手を繋ぎ合う特性の立花響だからこそなせる奇跡…」
ライブ会場での事件で四名もの戦力を失ったS.O.N.G.は、この有事に戦力補充のために、一つのギアを二人で纏うという手法を考え出した。
もっとも、ファラが潜水艦に同乗していたため、一度も練習はなされていなかったのだが、マリアは無事に変身した。
「歌いましょう、マリアさん!」
手を繋いだ響は、マリアを見つめながら力強く発した。
「 この出会いは偶然なの? 」「 それとも瞞しか? 」
「 この出会いは奇跡さ 」「 再び奏で始まる 」
「 歩む方法も道も違う 」「 それでも終着点は同じさ 」
「 この戦いに意味があるなら 」「 私達は歌おう 」
「「「「 We are gungnir 」」」」
響とマリアの歌に呼応するように奏と翼は歌い、そしてぶつかる。
響は確信した、彼女達は彼女達の意志で今戦っている。
ならば私は、それに応えるために歌いたいと。
目的は分からないけれど、この二人なら、必要な時に話してくれるのだと。