戦姫絶唱シンフォギアGB   作:ちばばばん♪

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第4話 Edge Works

奏・翼に響・クリスの足止めを任せた伴は、一直線にセレナ2・3の落下点を目指した。

「今日こそあんたらにぶっといのをお見舞いしてやるわ」

開口一番、伴は槍からビームを放つ。

「2対1で勝てるだなんて」

「舐められたものですわ」

左右に散開して交わしつつ、セレナ2は無数の鋸を投擲する。

視界を埋め尽くすほどの鋸を、伴は身を捻り、槍でいなし、躱しながらセレナ2へ進む。中距離攻撃が得意なシュルシャガナは、距離を詰めれば一気に落とせるという判断だ。

だがそうはさせじと、上空からセレナ3が襲いかかる。肩部から無数のアンカーを発射し、伴の退路を断ち、手にした鎌を振りかざす。

伴は槍で重い一撃を受け止めしのぐが、さらに地面が盛り上がり、地中から鋸が飛び出す。

「これが私達のコンビネーション」

「誰にも負けませんわ」

だが鋸は遠くから飛来した何かに弾かれ、伴に直撃することはなかった。

「苦戦してるようだな。先輩を撃ったことは許してねーが、今日のところは協力してやる」

ライフルを抱えたクリスがホバー走行しながら接近してきた。

だがセレナ達と距離を取った伴は、クリスめがけてビームを放つ。

「うっさいわね、邪魔すんならアンタもぶちのめすわよ」

クリスはプロテクターを展開してビームを逸らす。

「テメー何しやがる!」

「邪魔だから邪魔っつってんのよ!何度も何度も、人の計画を台無しにしてんじゃないわよ!」

「ひい、二人とも怖いデス」

「ヤンキー先輩と、ヤンキー歌手…」

遅れながらやってきた調と切歌が2人のやり取りに率直な感想を述べる。

「おい、何で来た!安全な場所にいろって言ったろ!」

「ちょうどいいわ、アンタはプロテクター貼ってその二人のおもりでもしてなさい」

「はあ?素直に手伝われろ!」

「余計なお世話よ!」

再び伴はクリスに向かって発砲した。先ほどより強めに。

「あの…そろそろ戦闘を再開していいかな?」

その様子を眺めていたセレナ達は鋸と鎌を構える。

「私達の歌をお聞きなさい!」

 

「 作る・繋ぐ・植える・流す、operation開始 ちぐはぐな私 」

「 切る・斬る・着る?・KILL、operation開始 あやふやな私 」

 

クローンならではの歌を歌いながら、二人は再び連撃を開始する。

鎌が振り下ろされ、躱した先に鋸が迫る。遠くに気を回すと、今度は至近からワイヤーが襲いかかる。地上・空中・地中・近距離・遠距離、あらゆる場所からの攻撃が伴を追い詰める。

それでも伴は、一人で戦い続ける。

時折クリスに向かって遠距離攻撃を行うことで、手出しはさせない。

 

(そろそろ弱い演技はおしまいかしら)

 

伴はセレナ達の任務を把握していた。あるいは誘導したと言っても過言ではない。

ライブ会場で3つのペンダントが奪われ、3つのペンダントが残ったのは偶然ではない。

セレナ達は、シンフォギアの軍事利用を目論むある国によって作り出された。世界に数例しかいない装者を量産し、安定供給するために。ただし、生産したクローン装者が生粋の装者に劣っていてはならない。

そのために半分だけが強奪され、そして今日、性能実験のためにこの場にセレナ達は現れたのである。ファラ・伴によって、皆神山に遠回しに誘導される形で。

 

片や伴の最終目的は、セレナ達の組織の壊滅である。

そのためにはいずれかのセレナをガングニールで侵し、エインヘリャルとして使役し、情報を得る必要があった。

伴が勝ってしまってはせっかく侵しても処分されてしまうかもしれない。だからこそ力を抑えて戦っているのである。一人での戦いにこだわるのも、自然な負けを演出するためだ。

もちろん、二度も利用したクリス達装者に死なれたら寝覚めが悪いというのもあるが。少なくても今回の実験が成功と認識されれば、もう装者達に危害が加えられることはないだろう。

…だというのに、絶望的な言葉が聞こえてきた。

 

「私達の歌で…」

「不協和音を起こすのデス!!」

 

調と切歌は、無策でクリスの後を追ってきたわけではなかった。

気づかれないように潜入美人操作感眼鏡をかけ戦場に現れた真意は、シュルシャガナとイガリマの元の持ち主として責任を取るため。

敵がLiNKERを使っているのならば、薬切れのタイミングで聖詠を口にすることでギアを取り戻す。そうでなければ敵の歌に自分達の歌をかけあわせ、ギアを混乱させ出力を落とす。

それが彼女達のできること、責任の取り方だと思った。

もちろん二人だけでは危ないが、頼れる先輩が守ってくれる、その信頼が彼女達に行動させた。

『Edge Works of Goddess ZABABA』を歌わせた。

 

かつて風鳴翼は、あえてギアの出力を抑えるために、フォニックゲインの低い歌を口にしたという。その再現を今、調と切歌は実行した。

ギアとの絆が完全に断ち切られたわけではない、きっとギアに思いは届くと信じて、セレナ達の歌に歌をかぶせる。

異変に気付いた伴とセレナ達から攻撃を受けるが、飛来する鋸や鎌は全てミサイルとガトリングで撃ち落とされ、ビームはリフレクターで捻じ曲げられた。

「おらおら、あたし様に遠距離攻撃で勝とうなんてあめーんだよ!」

むろん伴達は接近を試みるが、クリスは肩部に搭載した大型ミサイルを発射させずに推力とし、飛行して距離を保つ。両手で抱えられた調と切歌は歌い続け、セレナ達の動きが鈍くなったのが明らかに分かった。

(これなら勝てる!)

そうクリスは確信したが、次の瞬間、空から飛来した何かがミサイルを貫き、クリス達は地面に向かう。腰部にミサイルを発生させ、その噴射で何とか不時着した。

「何なんだ、今のは?」

 

空を見上げると、そこには先ほどのエアキャリアと、アガートラームを纏ったセレナがいた。

 

「セレナ2、セレナ3、実験は終了です。下がって。エクスドライブ・アガートラーム、良好。セレナ1、実験開始!」

 

エアキャリアにセレナ2、セレナ3が戻るのを眺めながら、伴は戦慄した。

 

「雪音クリス、二人を連れてすぐに離脱しなさい。守りながら戦えるほど優しい相手じゃないわ」

ただならぬ気配を察したクリスは、調と切歌を抱え即座に皆神山の方へと後退していった。

「必ず戻るから、それまで持ちこたえろ!」

 

(そういえば、オートスコアラーは上手くやってくれてるかしら?)

 

一瞬クリス達の向かう先、遺跡の中のことが頭をよぎったが、伴は再び目の前の敵に向き直った。

絶唱を、口にしながら。

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