戦姫絶唱シンフォギアGB   作:ちばばばん♪

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第8話 撃槍

「「クアドラプル伐剣!!」」

そう唱えたシュルシャガナを纏うセレナ2と、イガリマを纏うセレナ3は、純黒のギアを全身に纏った。

暴走を制御し得る精神を人工的に手に入れた二人。

だがそれだけではなく、シュルシャガナとイガリマという惹かれあう二つの聖遺物、混じり合う二つの歌声が、二人を正気にさせる。

 

「エクスドライブ!!!」

そう唱えたガングニールを纏う伴と、伴のエインヘリャルたる奏・翼は、姿を一変させる。

エクスドライブモードでは、シンフォギアの301,655,722種類のロックを自在に解除し、装者が自由自在にカスタマイズが可能となっている。

親友の重の元へ一直線に飛んでいきたいと願った伴は、光の巨翼に包まれ、その手には光の槍を持つ。

威力を大幅に上昇させながらも質量を最大限落とすことで、最速を追及した形態である。

元来、放ったエネルギーがドリル状に渦巻く、破壊力・突貫力に秀でたギアを纏っていた奏は、肩部に嵐を放つ一対の巨槍を装着する。

腰部には自立飛行するシールド装置を複数装備し、遠距離攻撃に特化した形態をとる。

一方、天羽々斬による斬撃を得意としていた翼は、両腕・両脚に槍を直接装着する近距離攻撃に特化した形態を取る。

腰部や槍にはスラスターを持ち、伴ほどではないが高速での移動や斬撃も可能である。

 

巨大なドームの中に、五つの奇跡が舞い降りる。

遅れてセレナ4達ギアを纏うクローン達がドームに入ってくるが、これから起こる戦いが自分達の運命を決めるものと直感で察する。

伐剣のような、暴走を誘発する仕組みをギアに導入することで、自分達にも新たな希望が開かれるのではないかと。

ギアを持たないクローン達の元に集い、ただ攻撃の余波への対応だけと心に決める。

まず動いたのはセレナ2。セレナ2は無数の円鋸を投擲する。その数数百、伴達の視界は完全に奪われる。

それらを吹き飛ばすべく、奏はセレナ2達がいた方向へ、肩部の槍より破壊の嵐を放つ。

空いた空間から翼が飛行し突撃するが、円鋸の裏から現れたセレナ3が鎌を振るう。

だが、翼は囮、別方向、奏が円鋸を処理していない部分から器用に旋回し、接近した伴がセレナ3へ槍を振り下ろす。

セレナ3は肩からワイヤーを飛ばし、近くの円鋸を伝って緊急回避する。

伴と翼は急旋回し、セレナ3を追う。奏は周りの円鋸を利用されないよう、広域に嵐を撒き散らす。

その奏の背後に回った円鋸が突如形を変え、セレナ2が現れる。

奏はシールドでその斬撃を防ごうとするが、鋸刃はシールドに食い込み、切り裂こうとする。

セレナ2は完全に奏の槍砲の間合いに侵入するが、奏は壁に向かって嵐を打つことで、その反動で伴達と合流する。

その際に幾つかの円鋸に触れ、体が抉れるが、伴は光の巨翼で奏と翼を覆い隠し、覆いが取れると傷は全て癒えてきた。

元々奏と翼の体は生身ではなく魂の入った聖遺物であるため、多少の攻撃では倒すことはできない。

セレナ3は周囲の円鋸全てにワイヤーを張り、三人の居場所に再投擲する。

さらにセレナ2も再び円鋸を無数に放ち、曲線軌道を描かせることによって逃げ道を巧妙に封じる。

奏は上方に向かって砲撃を加え、逃げ場を確保するが、足元から忍び寄ったワイヤーによって絡め取られ、一人脱出の期を逃す。

ワイヤーに引きずられ、鎌を構えるセレナ3の元へと引きずり寄せられる。

奏の砲撃は、砲槍の内側に入られることで対象に当てることができなくなる欠点をセレナ達は先程の攻撃で見破っていた。

また今回は仰向けのまま引き寄せたことで、地面を利用した脱出は不可能。

鋸よりも鋭利な鎌は、シールドを簡単に打ち破り、奏に切りかかる。

「魂を削り取れば、お前は復活できない…」

これで2対2になる、そう確信して鎌を振り下ろすが、その鎌が槍によって塞がれる。どこから…?

「暫し眠るがよい」

そこにいたのは天羽奏ではなく、風鳴翼だった。

奏と翼は聖遺物に魂を入れた存在、つまり簡単に入れ替えることが可能である。

伴は巨翼で二人を覆った時に二つの魂を入れ替え、セレナ達を嵌めたのである。

腕槍で鎌を受け止めた翼は槍から電撃を放ち、その電撃は鎌を伝ってセレナ3へと流れ込む。

セレナ3は全身が麻痺し、動けなくなる。

「残るはアンタだけよ」

翼の姿を解いた奏が全力の砲撃で全方位の円鋸を破壊し、伴が高速で肉薄する。

セレナ2の武装は全て光槍で破壊され、その喉元に槍が突き立てられる。

「…私達の負け、ですわね」

「約束よ、重の居所を吐きなさい」

「沖縄の、米軍基地よ」

 

その瞬間、施設が地面から爆発した。

遠方よりカメラを通して一部始終を覗いていたクローン計画の責任者である李将軍が、基地の自爆スイッチに手をかけたのだった。

既に実験は終了し、時間稼ぎも終わった。セレナ2以下は不要となった。

 

突然の爆発。

一瞬意識を失った翼は目を覚ましたが、視界は先程までとは違っていた。

S.O.N.G.の潜水艦の、医務室の天井…?

「夢、だったのだろうか…」

だがすぐに、先程までの戦闘は夢ではなかったと実感した。

手にはシュルシャガナとイガリマのペンダントがあり、そして…。

「おはよう、剣ちゃん?」

ベッドの傍で、ソードブレーカーで器用にリンゴを剥くファラの姿があった。

翼は急ぎ、司令室へ向かう。

「指令!!急ぎ沖縄へ!!」

「すでに向かっている!!沖縄米軍からの救援要請だ、何者かに襲撃されている、とな」

 

決戦が、始まる。

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