BLEACHの世界でkou・kin・dou・ziィィンと叫びたい 作:白白明け
次回から原作突入!((; ・`д・´)
「やったか!」
爆炎に包まれ薄れる意識の中で、四楓院夜一のそんな声を聞いた。
---薄れる意識の中で思い出した千年前の情景は地獄と言っていい修羅場だった。
千年前に山本元柳斎重國の手によって創設された初代護廷十三隊。
それは護廷とは名ばかりの殺戮集団だった。
尸魂界と瀞霊廷の秩序を守る為に作られた集団は悪を滅ぼす為に悪を行うことを躊躇しなかった。膨大な死体の山の上に平和を築き上げることに微塵の戸惑いも抱かなかった。
---”
---
その一文のみを信奉し戦い続けた初代護廷十三隊。
殺伐とした殺し屋の集団といっても問題ない彼らの内において四番隊の存在。
四番隊の隊花は竜胆。込められた意味は「悲しむ彼方を愛しむ抱擁を」。
慈愛に満ちたその一文は万人に受け入れられ愛されるものだろう。しかし、大悪を斬る為に殺し屋の汚名すら被ることを
あるいは、狂っている。
戦いの中で愛を叫び。積み上げた
そんな奇行凶行は狂人でなければ出来ない。
故に初代護廷十三隊において初代四番隊隊長を務めた男は、尸魂界史上最悪の大罪人すらも受け入れ強大な力を得るに至り、同時に狂人奇人を数多く抱え込んだ初代護廷十三隊に中でも、
---痴れた音色を聞かせてくれよ『
そして、振るう斬魄刀もまた異質にして悪質。最恐最悪の
護廷十三隊において山本元柳斎重國が四番隊に与えた役割は救護の部隊。
十三ある部隊の中でただ唯一、戦うだけでなく仲間を癒すことも求めた。
その役割を知った時に初代四番隊隊長は歓喜する。
他の部隊の隊長を含め護廷十三隊の隊員たちは比喩でなく彼が夢にまで見た宝物。
そんな彼らに。癒しを、救いを、愛を与えることに彼は歓喜し酔い痴れる。
---愛しているのだお前達を---救ってやろう---お前たちの幸せを俺は心の底から願っている---善哉善哉---お前がそう思うのならお前の中ではそうなのだろう---お前は俺に救われたいのだな---
心の底から愛を叫び仲間に癒しと救いを与える為に彼は仲間に
痛みに飲まれ苦しむものには痛みを感じられぬほどの幸福を与えた。
癒えぬ傷を負ったものには傷など忘れてしまうほどの快楽を与えた。
戦場で戦い傷つく仲間たちを救うために彼は『
戦いの中で手足を失った者は阿片に毒され欠損した筈の四肢を幻視し
文字にすれば救いとしか言いようがない
結果、傷つき戦えなくなった者が再び戦場に立てるようになっているのなら、それも良かろうと受け入れた。
四肢が捥げても戦え。血が乾いても戦え。心が砕けても戦え。何があろうと戦い続けろ。
千年前。そうしなければ勝てない
千年前。そうしなければ生きられない時代があった。
そうして、戦い続けた者たちがいた。
一から十三までの数字を背負い戦い続けた者たちは、何時からか数を減らして
戦いに敗れ。病に倒れ。天寿を全うし。姿を消した。
そうして、長い時間の果てに初代護廷十三隊の中で残ったのは数字を背負った三人と一の数字を支えた隊士のみ。
残された四人は更に長い時間の果てにそれぞれの道を歩むことに決めた。
その内の一人。かつて四の数字を背負った男は時代の流れと共に自分の救いが時代錯誤なモノに代わっただと理解して、一番の戦友に四の数字を預けて前線を退いた。
---最早護廷十三隊に俺の
---千年前に阿片に酔わねば勝てない戦は終わったのだ---
---千年前にそうしなければ生きられない時代は終わったのだ---
---ならば俺は俺の
初代四番隊隊長。護廷十三隊において初めて四の数字を背負い、間違いなく歴代の四番隊隊長の中でも群を抜き仲間を救った愛に溢れた狂人は、笑いながら時代の移り代わりに飲まれていった。
そして---現在。俺は笑う。
「やったか!」
聞こえてくる声に反応できないほどの傷と痛みを負った身体に俺は自らの斬魄刀を向ける。
「痴れた音色を聞かせてくれよ『
始解と共に切っ先に空く四連の穴。そこから漏れ出す阿片の毒の強度を俺は初手から阿片に痴れぬ俺の身体すら痴れさせる濃度へと変える。
「
---阿片強度強化。
俺の身体が痴れていく。爆炎に包まれ痛みで飛びそうだった意識が覚醒し、煤けた身体に力が籠る。あらゆる痛みを痛みとして感じることが出来ないほどに身体は鈍化し、感覚は麻痺して受けた傷さえ傷として脳が受け入れないほど閉じていく。
かつて仲間に施した救いを自分の身に与えながら俺は浦原喜助と四楓院夜一を前に立つ。
浦原喜助と四楓院夜一は信じられないモノを見るような眼で俺を見ていた。
「いつ以来だ。お前達の様な死神に会うのは。おかげで、随分昔のことを思い出した」
「…そんな…馬鹿な」
「…なん…じゃと」
「何を驚く。驚くほどのことをしたつもりはない。阿片の毒を薄めれば麻酔となること位はお前達なら知っているだろう。その応用だ。どれほどの傷を負おうとそれを俺の意識が傷だと認識しないなら、無傷と同じだ」
「何を戯けたことを言っておる!儂の『瞬閧』!喜助の『紅姫』!儂らの攻撃は確かにお主を捕えたであろう!元にお主は目に見えて重傷を負っておる!」
「そうだ。身体は傷を負っている。だがな、四楓院。傷とは
「………化け物め」
「良い良い。そう褒めるなよ。照れるだろう」
「”
「すまん!喜助!」
「…身体を縛られ止められる二度目か。俺も学習しないな」
「随分余裕っスね。風守サン。”
”
「夜一サンの言葉は何も間違っちゃいませんよ。貴方は傷を負っている。幾ら阿片の毒で身体を不感症にした所で、痛みを感じないだけで失った血と肉が戻る訳じゃない。攻撃を喰らい続ければ、何時か身体は限界を迎える筈」
浦原喜助の言う通りだ。例え痛みを感じず傷を傷と認識しない身体を作ったとしても、生物学上的に活動が困難な領域の傷を負えば俺の認識とは関係なく俺の身体は倒れるだろう。
故に---今の攻撃をただ受けるなんて言う選択肢はない。
「
---阿片特性変異。
”
自分の斬魄刀の能力が奇妙な現象に飲まれて不発に終わった浦原喜助は驚愕に顔を染めながらも即座に俺からの距離を離し四楓院夜一の横に付いた。
その反応は賞賛すべきもので俺は思わず拍手を送る。四楓院夜一と浦原喜助の視線がより一層鋭く変わった。
「………”
「その筈です。斬魄刀『鴻鈞道人』の能力はその性質の凶悪さ故に情報が広く開示されている斬魄刀の一つですから。アタシが知る限り、阿片の毒を生成し操ることが『鴻鈞道人』の能力の筈です」
「ならば、いまのは一体なんじゃ?なぜ
「知りたいか?”
「…」
「あっはっは、なんだ、教えてくれるんスか?風守サン。貴方、良い人っスね」
阿片の毒を生成する能力の筈の斬魄刀『鴻鈞道人』が起こした予想外の現象に不意を突かれ、態勢を立て直す為に退き、攻めあぐねていた浦原喜助と四楓院夜一に俺が掛けた言葉に対する二人に対する反応は両極端なモノだった。
四楓院夜一は
俺は二人の反応に微笑しながら『鴻鈞道人』の切っ先を天井に向けた。
「『鴻鈞道人』の能力は阿片の毒を生成すること。これに間違いはない。だがな、『鴻鈞道人』の生み出す桃色の煙は死神や人間や虚、
「生物以外じゃと?」
「ああ、そうだ。『鴻鈞道人』は斬魄刀すら仙丹の夢に沈められる。”落魂陣”に捕らわれた斬魄刀は
俺が阿片に酔い痴れることで身体の傷を無視して戦うことできるように、認識と思い込みは時として現象や現実すらも覆すだけの力を持つ。
---お前が思うのならそうなのだろうよ。お前の中ではな。それが全てだ。
何も難しいことではない。俺がずっと説いてきた理屈。
「…斬魄刀を狂わせる斬魄刀。そんなものが存在するとお主は言うのか?」
「斬魄刀には”心”がある。そんなことは死神であれば誰でも知っている。そして、”心”があれば
「…っ!」
阿片に痴れぬ俺の身体すらをも痴れさせる濃度の阿片を生成する”万仙陣”と斬魄刀すらも痴れさせる特性の阿片を生成する”落魂陣”。
万物を痴れさせる桃色の煙を率いる斬魄刀こそが尸魂界史上最悪と言われた『
「さあ、次はどうする?浦原喜助。四楓院夜一。仙丹の夢。桃源郷の理はお前達の技も力も
「………夜一サン。離れてください」
「………何をする気じゃ、喜助」
「いえね、ただあの人の期待に応えようかと思いまして。アタシの卍解の効果は”範囲”。
「…わかった」
浦原喜助の言葉で四楓院夜一は一息の内に距離を取る。
十分に離れた四楓院夜一にまで影響を及ぼす程に『鴻鈞道人』の阿片毒を散布するには時間がかかる。その間に浦原喜助は卍解を終えるだろう。
---
四楓院夜一を追うこともせず笑う俺に対して浦原喜助は目深く被っていた帽子を脱ぎ棄て鋭い眼光を俺に向けて言った。
「ホントに、随分と余裕っスね。風守サン。そんなにアタシの卍解が怖くないですか?いえ、確かに万全である貴方ならその余裕も当然でしょう。けれど、」
---今の貴方は万全からは程遠い。
そう続いた言葉に俺は改めて浦原喜助の洞察眼に心からの称賛を送る。
「負った傷のことを言っているんじゃありませんよ。斬りかかった時に見えた胸元の『
「………本当によく見ている」
護廷十三隊の隊長・副隊長格の死神は自身の持つ強大な霊圧が現世の
『限定霊印』を打ち込んだ死神は霊圧を極端に制限され、その制限率は八割にも及ぶ。
「ケシの花が特派遠征部隊の隊花であり隊証。その花が貴方の身体に打ち込まれているということは、貴方はいまだ『
あまり舐めないでくださいと続く言葉に返す言葉は「勿論」だ。
俺は浦原喜助を舐めてなどいない。むしろ称賛し脅威だと認識している。
百年前のことだけじゃなく、浦原喜助の神算鬼謀は本物だ。でなければ彼がこうして今だに俺の前に立っていることはないだろう。戦いが始まってから俺の出鼻を挫き続けた
しかし、だからこそと俺は笑う。
死に瀕して恐れを抱けるほどに俺は
迫りくる命に届きうる浦原喜助最大の一手を前に俺は身体を動かすことはしなかった。
かつて護廷十三隊を裏切った男の全力を見てみたいと思ったからだ。
たとえこの命が途絶えたとしても、俺は。
「終わりにしましょう。卍か--「射殺せ『神鎗』」--っな!?」
見てみたかったのだと、そんな気持ちはしかし、浦原喜助に向け伸びてきた切っ先によって裁断される。
タイムリミットだった。
俺と浦原喜助達との戦いの終わりを告げる為、見慣れた微笑を携えながら彼らはやってきた。
「それはあかんわ。卍解とか、怖い怖い。いくら風守隊長でも、『限定解除』もしないで、その傷を負いながら卍解とやり合うのは無理や。無茶しないでくださいよ」
「ふん。止めることなど無かったというのに、余計な真似をしたな市丸。私達の到着を待たずに先走った男など、此処で死ねば良かったのだ」
「貴方たちは…」
「砕蜂…」
市丸ギンと砕蜂の登場に四楓院夜一と浦原喜助の顔が驚愕に歪む。
それほどまでの衝撃を携えての登場だった。確かに二人の登場は考えられないものだった。
浦原喜助達の捜索の為に結成された第九十九次特派遠征部隊の隊員は隊長である俺一人のみ。
その理由は隊長格の死神である浦原喜助たちと戦うことになるかもしれない遠征の危険性から並の隊士では足手纏いになるという理由が一つ。
そして、もう一つは護廷十三隊。ひいては護廷十三隊の統括機関である中央四十六室の
百年前に浦原喜助達が起こした大逆は頭の固い中央四十六室の重鎮たちにとって忘れ去りたい過去でしかなく、その過去の遺物を掘り返す遠征に対して中央四十六室はあくまで俺一人で遠征を成功させろとの命令を出していた。
その命令を受けた山本元柳斎重國は誰でもない俺ならばそれも可能であると判断し、俺もまた人見知りで口下手で引っ込み思案な性格故に嬉々としてそれを受け入れた。
そんな水面下のやり取りを読み切れない浦原喜助ではなく、故に市丸ギンと砕蜂の登場は予想外とまではいかないまでも意外性に富んだ彼らにとっての奇手そのもの。
そして、その奇手はそのまま浦原喜助と四楓院夜一を追い詰める切り札となる。
護廷十三隊の隊長格が二人という大きすぎる増援を前にそれでも冷静さを失わず浦原喜助は飄々と笑う。
「いやぁ、流石に驚きました。まさか四十六室が風守サン以外に、隊長格二人も現世への派遣を認めるなんて思いませんでした」
「うん?それは違うわ。四十六室が君らの捜索の為に許した人員は風守隊長ただ一人や。僕らは君たちを捕える為に派遣された訳やない」
「…どういう意味です」
「…プライベートいう意味や。僕らは遠征ばかりで疲れとる仲間が久々にとる休日に一緒に現世観光でもしないかと誘われて、休みを取ってやってきただけや。ねえ、砕蜂隊長」
「ふん。私はそうせねば現世へ降りる許可が出ないと言われたから茶番に付き合っただけに過ぎん。全ては、貴様と戦う為だ!四楓院夜一!」
「っ!まて砕蜂!話を聞くのじゃ!」
「
砕蜂は俺に一瞥もくれることなく四楓院夜一に向かって行った。その様を呆れたように見ながら市丸ギンはゆっくりとした足取りで俺の隣までやって来て口元を釣り上げる。
「ほんまに協調性の無い子やなぁ。まあ、ええけど。それじゃ、風守隊長。僕たちは仲良く一緒に浦原喜助を倒しましょう」
「…お二人は随分と親しいんスね」
「うん?ああ、そか。知らへんのか。君らがいなくなった後、風守隊長は三番隊の隊長になったんよ。僕はその時の副隊長。仲良くしてても不思議やない」
「…っ」
「なんや?不服そうやね。僕が風守隊長と仲良くなると、なんか不都合でもあるん?」
「いえね、別にないですよ。ただもうそこまで浸食されているのだと思っただけですから」
「浸食?意味不明や。伝えたいことがあるなら、ちゃんと言葉で伝えた方がええよ。何か言いたいことでもあるんちゃうの?」
「…っ」
冷静を保っていた浦原喜助の顔が市丸ギンの言葉で歪む。彼ら二人の間には何か確執があったのだろうか。あったとして俺が知らないとするのなら、それは市丸ギンが俺の副官になる前の事。
浦原喜助が大逆を起こす前の事だろう。
何があったのか気にならないと言えば嘘になる。しかし、それよりも気になる疑問を解消する為に切っ先を浦原喜助に向けようとする市丸ギンを制して前に出た。
市丸ギン達の登場により出来た戦闘の合間の一時。この瞬間にしか聞けないことを聞く。
「浦原喜助。一つだけ、聞きたいことがある」
---お前は何故、護廷十三隊を裏切った。
「刀を交えれば相手の心が解るなどと、修羅場に生きる剣鬼のような言葉を吐く積りはない。だが、それでも俺の眼にはお前が”悪”には見えない」
俺はかつて尸魂界史上最悪の大罪人と呼ばれた死神を知っている。
--
そんな彼女を見続けてきたからこそ、俺には浦原喜助が悪には見えなかった。
浦原喜助は確かに
しかし、それでもなお、浦原喜助の根底にあるあるは悪意ではないと俺は戦いの中で感じてしまっていた。
故に浦原喜助達が裏切者であることすら忘れて、次代を担う死神の成長にあれほどまでに歓喜した。
それは全て俺の中にある思いが芽生えていたから。
「風守隊長。何言うてるん?浦原喜助達は裏切者や」
「ギン。百年前に俺の言ったことを覚えているか?浦原喜助達だけで俺や山本重國達を欺くのは不可能だと言う話だ。あの時に俺は浦原喜助達にはまだ共犯者がいるのではないかと思っていた。しかし、そうでないとしたのなら」
「…そうでないとしたなら、なんなん?」
「黒幕がいるんじゃないのか?百年前に浦原喜助達に罪を被せ、俺達を謀った黒幕がい--」
「風守サン駄目だ!」
「--………ギン?」
背後から突き立てられた斬魄刀の切っ先が腹から生える様を見ながら、俺は首を動かし後ろを見る。そこにはやはり市丸ギンが立っていて、市丸ギンは口元に弧を描きながら嗤っていた。
「風守隊長。…流石、正解や」
市丸ギンの言葉を聞き終える前に俺の身体は背後からの奇襲には反応し『鴻鈞道人』から桃色の煙を放出する。俺以外の者が吸えば一瞬で痴れる濃度の阿片毒が俺の半径1m圏内に瞬時に散布される。
市丸ギンは距離を取りそれから逃れた。
「ほんと風守隊長はすごいわ。普通、幾ら疑問を持っていたから言うてその結論までは辿りつかへんよ」
「…ギン?」
「風守隊長の言う通り、百年前の事件には黒幕がいる。そして、僕は黒幕側や。ずっと騙していてすいません」
百年前の事件の犯人は浦原喜助達ではなく黒幕が別にいる。市丸ギンから突如聞かされた事実は、しかし、すんなりと俺の胸に落ちていった。
元々百年前から抱いていた疑問があった。そうとしか思えない節も確かにあった。
浦原喜助達が本当に裏切者であるのなら、こうして俺が生きていること自体が不自然だ。
『限定霊印』を刻み霊圧の八割を抑制された状態で俺は浦原喜助と四楓院夜一の攻撃を受けた。躊躇の無い攻撃はしかし本気ではなかったのだろう。でなければいくら俺でも倒れていただろう。彼らには俺を殺す気がなかった。
彼らの根底にあるのは間違いなく善性だった。
「風守隊長は危険すぎる。そう判断したあの人の命令で僕はずっと風守隊長のことを見張っていた。動向を観察して真相から遠ざけた。そして、こうして真相にたどり着いた時には---」
朦朧とした意識の中で市丸ギンの斬魄刀『神鎗』の切っ先が向けらるのを認識する。
動こうとする身体は、しかし、既に血を流し過ぎていた。
浦原喜助と四楓院夜一との戦いで既に俺の身体は満身創痍だった。それがいま市丸ギンから受けた背後からの一撃で完全に動きを止める。阿片の毒で痛みを消し身体を動かせるようにしようと血を流し過ぎた俺の身体はもう生物学上的に行動不能に陥る。
「殺せ言われとる。だから---」
故に向けらえた『神鎗』に反応することは出来ず。
俺の命は市丸ギンの手によって---救われる。
市丸ギンは『神鎗』を鞘に納めた。俺を助けようと動いていた浦原喜助も驚き動きを止める。
俺は朦朧とした意識の中で市丸ギンを見た。
市丸ギンは何時も浮かべている笑みを消し、閉じていた眼を薄く開いて懇願するような声色で言う。
「---生きてください。あの人を殺す為に」
「………」
「風守隊長。覚えてますか?僕とあなたが初めて会った日のことを」
「………ああ」
「僕は蛇や。肌は
---だから僕はあなたに
---だから僕はあなたに
---だから僕はあなたを生かす。
「あなたなら、あるいはあの人に届くかもしれへん。せやから、僕はあなたを殺しません。生きてください。生きて、どうか約束通りに」
---頑張り終えた僕を
そう言って去る市丸ギンの背中を俺は追うことが出来ずに地面に倒れた。
俺はこの日、二人目の副官を失った。
そして、次の日の早朝。瀞霊廷内に中央四十六室から一つの罪状が告げられた。
それは現世における禁則事項及び禁忌事象行使の罪により特派遠征部隊部隊長『風守風穴』及び護廷十三隊二番隊隊長『砕蜂』を現世に永久追放するというものだった。
『
元ネタは『鴻鈞道人』と同じく相州戦神館學園から引っ張ってきました。
まあ元の能力が最強過ぎる為に名前だけの使用です。
作中の『落魂陣』は斬魄刀を痴れさせる阿片毒を出すという、元ネタの能力からすれば塵屑のような性能です。
本家本元、最強の眷属が放つ本物の『