BLEACHの世界でkou・kin・dou・ziィィンと叫びたい   作:白白明け

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主人公と原作キャラの日常よりも戦いを書いている方がキーボードを打つ速度が速くなる自分には圧倒的に何かが足りない。

藍染様…自分は進化に失敗したのか…(; ・`д・´)


千年前の出会い方②

千年前。尸魂界。流魂街最外園。西流魂街80地区『口縄(くちなわ)』。

その地を訪れた当時の卯ノ花八千流は戦いに()んでいた。

 

―――――”(たたかい)”を――――

―――――”(ただ)(それ)を―――

 

掻きむしるほどに渇望し、吐き出しそうになるほど切望した。

その血の渇きは時間と共に転移し増大していく癌細胞の様に当時の卯ノ花八千琉を蝕んでいた。

 

卯ノ花八千琉は戦場を駆け血潮を啜り修羅場で呼吸する女だった。

天下無数に在るあらゆる流派を極め、そしてあらゆる刃の流れは我が手にありと自ら名付けた”八千流”の名。

 

―――(ただ)(それ)だけが欲しかった。―――

 

その為だけに自ら名付けた”八千流”の名。その名が勇名として、悪名として、轟けは轟くほど、自分の前には”敵”が現れ、自分の剣を満足させると信じていた彼女は、しかし、直ぐに絶望することになる。

確かに”八千流”の名が高まれば高まるほど彼女の前には卯ノ花八千流との戦いを望む者が数多く現れるようになった。彼らとの戦いは確かに彼女を期待をさせた。

しかし、そこまでだった。

”八千流”の名に釣られてやって来る彼らを斬れば斬るほどに、戦えば戦うほどに、卯ノ花八千流はその事実に気がつき絶望していった。

 

―――上段斬りで二つに割れる。胴を放てばまた二つ。袈裟切りで三度二つなら、籠手を打てば四散に割れた。ただの一撃、それにてお仕舞。―――

 

誰も彼女に敵う者はいなかった。

 

卯ノ花八千流以外に天下無数の流派を極めた者は無く、卯ノ花八千流以外にあらゆる刃の流れを掌握した者はいなかった。

それはつまり、卯ノ花”八千流”の敵となるものが誰一人としていないという事と同義だ。

その事実に卯ノ花八千流は絶望し悟る。

 

―――周りを見ても雑魚ばかり。”八千流(この名)”に群がる者達に、最早剣を悦ばせる”敵”は居ない。―――

 

故に卯ノ花八千流は剣を悦ばせる為に足る敵を求めて、あらゆる場所を彷徨った。

 

 

 

そうして、彷徨い続けた卯ノ花八千流は、自分とは真逆に生きる一人の男に出会う。

あるいは、もし仮に卯ノ花八千流の放浪が後数百年後であり、放浪の場所が西流魂街でなく北流魂街であったなら、彼女は自分と同じく戦いに倦む鬼の少年と出会っていただろう。

しかし、未だに鬼子は生まれておらず、その出会いは数百年先と定められている。

故に卯ノ花八千流が出会うは白痴の剣士。

流離(さすら)う彼女とは対照的に故郷を離れず守る男は卯ノ花八千流を見て静かに笑った。

 

「ようこそ阿片窟(とうげんきょう)へ。お前はとても綺麗な顔をしているな。()()い。気に入った。お前の為なら、幾らでも阿片を用立ててやろう」

 

そう笑う総白髪の若い男は放浪の最中で数多くの者を斬り既に尸魂界にその悪名を轟かせていた卯ノ花”八千流”の名も顔も知らぬのだろう。裏表無く歓迎する様に卯ノ花八千流を出迎えた。

その歓迎を前に卯ノ花八千流は戦慄した。強者との戦いを求めての放浪で場違いな歓迎を受けてしまったことへの失意に戦慄した、のではない。大悪党である自分を歓迎する総白髪の若い男の阿呆すぎる頭に戦慄した、のでもない。

ただ、その総白髪の若い男に戦慄した。

 

西流魂街80地区『口縄(くちなわ)』の外れにある阿片窟の噂は卯ノ花八千流も知っていた。何時の時代からあったかすら定かでないその場所は、痛みも苦しみも悲しみも忘れさせてくれる中毒者(じゃくしゃ)達の阿片窟(とうげんきょう)

鉄火の世界に生きる者として生涯交わることがないだろうと思っていた場所に卯ノ花八千流がやってきたのは偶然だった。卯ノ花八千流がたまたま通りかかったそこが阿片窟(とうげんきょう)への入り口であり、たまたまその日は引きこもりで人見知りで口下手で引っ込み思案な門番が珍しく日の下で見張りをしていて、奇跡的に通りかかった女性に声をかけるなんて言う軟派な真似を気まぐれで行っただけだった。

 

だから、”八千流”と”風守”の出会いは偶然で、故に必然―――”八千流”は剣を抜いた。

 

”一閃”。前を通りかかった姿勢のまま、自然体からの息もつかせぬ抜刀術。

幾人もの強者たちを一撃の下で屠ってきた卯ノ花八千流の剣はしかし、”風守”には届かなかった。

避けたのではない。受けたのでもない。ただ、”外れた”。

”八千流”の名を持つ者として、それがどれほどの異常事態かを理解しながら、卯ノ花八千流は嬉々として嗤った。ようやく一撃で死なぬ”敵”が現れたと歓喜した。

対して”風守”は卯ノ花八千流が外した”一閃”を眼で追いながら、しばし茫然と立ち尽くした後、その目に悲しみと怒りを滲ませながら刀を抜き叫んだ。

 

「なにを、する!いきなり何を!初対面の相手に急に斬りかかるなどっ、お前は狂っているのか!」

 

阿片窟の門番が真っ当なことを叫ぶその様はあまりに滑稽で卯ノ花八千流の顔の笑みは深まる。それと同時に罪の意識は薄れて消える。今の反応で眼の前の男が自分と同じように真面(まとも)でないということが分かった。ならばもはや、卯ノ花八千流の中に躊躇は無かった。

 

外れた切っ先で次に追うは”風守”の首。決まれば間違いなく必殺の一撃を、”風守”は次は防いだ。剣と剣が交差する。その時、鳴く音は紛れもない歓喜の音色。卯ノ花八千流は自身の刀が喜びに咽び泣くのを感じながら、深く笑った。

一合。二合。三合。卯ノ花八千流が剣を振るい、望めば望むだけその歓喜の音色は鳴り続ける。

(ただ)(これ)が欲しかったのだと卯ノ花八千流は叫び刀を振るう。

対して”風守”は最初の叫び以降、何の声も発さず静かに卯ノ花八千流の剣を防ぎ続けた。

切っ先の邂逅の度、”風守”は射貫く様に自分を見る卯ノ花八千流の視線に声を震わせ、卯ノ花八千流の笑い声が聞こえる度に顔の筋肉を硬直させた。

恐れ戦いているとしか思えない反応。だがしかし、無様を晒す”風守”は決して戦いに対する恐怖を感じているのではない。

それは卯ノ花八千流もわかっていた。

 

ならばなぜ?”風守”は震えるのか。

理由は単純。”風守”の拭えぬ性分にある。

 

阿片窟(とうげんきょう)で生まれ、阿片(ゆめ)に溺れる中毒者(かぞく)達と洞窟の底で生きてきた”風守”にとって唐突に現れ剣を振るう卯ノ花八千流の存在はただ偏に埒外なモノでしかなかった。

阿片窟(とうげんきょう)を訪れる多くの者たちは阿片(ゆめ)を求める弱者達。彼らは阿片窟(とうげんきょう)を守る”風守”に剣を振るうことはない。

勿論、阿片窟(とうげんきょう)を訪れるのはそんな者達ばかりではない。門番である”風守”に対して剣を抜く者達も無論いた。

しかし、彼らは彼らなりの理由があり阿片窟(とうげんきょう)を襲うのだということを”風守”は知っている。

戦いの前に彼らは語るのだ。曰く正義。曰く正義と。

平和の為にお前達を斬るのだと大上段から言ってのける彼らのことを”風守”は理解している。彼等は彼等なりの理由があり戦うのだと知っている。そこに恐怖は無い。理解できるモノに恐怖を抱けるほど”風守”は真面じゃなかった。

故に”風守”が恐怖するのは埒外の修羅。理由なく戦いを求め流離う眼の前の剣鬼。

阿片窟(とうげんきょう)に在ってなお、理解が出来ない卯ノ花八千流の感情を恐怖する。

戦いの最中に口数の少なくなった”風守”とは対照的にその時の卯ノ花八千流は剣が伝えてくる歓喜の音色が強くなればなるほどに語尾を強め声を荒げた。

―――求めていたと。(ただ)(これ)を。

―――戦いを求めて戦い続け、今ようやく剣を愉しませる敵に遭えたのだと。

―――だからそこにもう戦う理由は無く、もはや理由は完結しているのだと。

 

その叫びは二人が戦う場所、阿片窟(とうげんきょう)の入り口から漏れ出す阿片の毒に卯ノ花八千流が毒されているからこそ出た紛れもない彼女の本心。

それを理解しているからこそ、”風守”は更に卯ノ花八千流への恐怖を強めていく。

 

「戦う理由などないのか?」

 

―――是。

 

「戦う為に戦うと。そんな科白(せりふ)阿片(ゆめ)に酔い痴れ、本心で吐くのか?」

 

―――是。

 

「なんて奴だ。この痴れモノが。そんなモノはただの通り魔じゃないか。ふざけるな!そんな危険な奴に手加減出来るほど俺は優しい男じゃないぞ」

 

”風守”の語る言葉の何と重みの無いことか。阿片窟の門番が吐く科白(せりふ)じゃなかった。けれど、卯ノ花八千流とのやり取りを終えた”風守”の戦いに先ほどまでの震えも静かさもない。彼は彼なりの信念を持って卯ノ花八千流に全力で対峙する。

”風守”が全力で戦おうとしている。その事実に卯ノ花八千流は歓喜した。

 

 

 

其処(そこ)には彼女の求めた(ただ)(たたかい)の文字があった。

 

 

 

既に剣の交わりは百を超え、直ぐに千を数えるだろう拮抗した戦い。久しぶりに味わうその悦びの戦いが、しかし、互いの実力が対等だから行えているものではないことを卯ノ花八千流は徐々に理解していっていた。

眼の前の男は強い。それは間違いのない事実。しかし、なお、”八千流(じぶん)”に届いてはいない。

ならばなぜ、今の一合を持って千を越えた邂逅を果たすほどに拮抗した戦いを演じられているのか。

その答えに辿りついた時、卯ノ花八千流の膝から力が抜けた。

 

―――これは。

 

全身の筋肉が弛緩している。視線はぼやけて思考は慢性な速度に眠る。

 

―――阿片の毒か。

 

”八千流”と”風守”の戦いの舞台。それは、阿片窟の入り口の前という”風守”のテリトリー。門番たる”風守”が全力で戦えるその場所に吹く風は阿片窟から漏れた阿片の毒が混じり甘い香りを漂わせる。

卯ノ花八千流の身体は最初から阿片の毒に犯されていた。故に初撃の居合抜きは外れ、戦いの最中で阿片の毒を全身に巡らせた今、膝をつく。

 

卑怯などと語る言葉がある筈もない。実力で劣る”風守”が”八千流”に対して優れる部分で戦いを挑んできたというだけのこと。

阿片に酔わぬ身体を持つ者が刀を振るうのだ。卯ノ花八千流からすれば、その特性を生かさないなんて、とても戦いを愉しむ者の発想ではないと逆に訝しんだだろう。

 

だから、卯ノ花八千流は阿片の毒に侵されながらも眼の前の”敵”を一切否定することなく地に伏した視線を上げた。

膝を付き自分を見上げる卯ノ花八千流に”風守”が無言で刀を上段に構える。

言葉は無い。そのことにも卯ノ花八千流は何の悲しみも無かった。もとより無言でいきなり”風守”に斬りかかったのは彼女の方。言葉なく始まり叫びと共に白熱したこの戦いの終わりが静かなものであることに対して、彼女はそれが正しいのだとも思った。

 

―――これにてお仕舞。……いえ、しかし、それは。

 

振り下ろされる”風守”の上段斬りに動かぬ筈の”八千流”の剣は動いた。

その反応は卯ノ花八千流が意図したものではなかった。何より卯ノ花八千流の思考は阿片に毒され痴れている。今の卯ノ花八千流には”風守”の上段斬りを攻撃だと知覚する思考もない。

故に動かぬ筈の剣を動かしたのは反応ではなく反射。

天下無数に在るあらゆる流派を極め、そしてあらゆる刃の流れを掌握した”八千流”の剣。

思考無き意思の修羅となりて”八千流”は再び”風守”の前に立ち上がる。

 

―――ああ、(ただ)(たたかい)を。私はまだ、戦える。

 

立ち上がった”八千流”を前に”風守”は慟哭する。彼の感性では理解することの出来ない埒外の化物が眼の前に居た。

 

「何故痴れぬ。何故、何故溺れない。お前は阿片(ゆめ)を見られるのだろう?なのに何故その阿片(ゆめ)を棄てて立つ。何故自ら苦しみ嘆き痛みの中で生きようとする」

 

―――苦しみ。嘆き。痛み。(たたかい)の中で得られるそれを私は求めている。

 

「ふざけるな!誰が―――苦しみながら進む道で幸せになれるという!」

 

―――”八千流(わたし)”。

 

「…………なん、だと」

 

”風守”は戦慄する。眼の前の名前も知らない女に戦慄する。理由無く死の交わりに立った者達の矜持として互いに名など名乗っていない。名を知るということは少なからず相手のことを理解するということだ。しかし、もう”風守”に”八千流”の名を聞く気はなかった。”八千流(その名)”など、知らずとも理解できた。知る必要などないのだと理解した。

”風守”は生涯、”八千流”を理解することは出来ないのだと理解した。

眼の前の女が正真正銘の埒外の化物なのだと理解した。

 

「………争いを好み。戦いの中で生きることを好む。お前の様な奴がいるから―――」

 

その声は絞り出すような感情。悲鳴を越え絶叫と共になる絶魂歌。

 

「―――お前の様な奴がいるから、皆は嘆き悲しむのだろうがァ!」

 

”風守”は怒り。”八千流”は嗤う。

 

相容れぬまま戦う二人の剣戟は三日三晩続き、そして三日目の深夜に二人ともほぼ同時に地面に倒れた。

”風守”は全身に刀傷を負い、両腕は既にその機能を果たしてはいなかった。刀を握れなくなった後の”風守”は阿片(ゆめ)に溺れた中毒者(かぞく)がするのと同じように自身の爪と歯すらも使いながら戦い。そして倒れる壮絶な終わりだった。

対して”八千流”は阿片の毒を全身を犯されながらも最後まで剣を手放すことのなく倒れた。しかし、その思考は”風守”よりも大分早い段階で飛んでおり、意思なき彼女の身体を剣が動かし続けていたという狂いきった終わりを演じた。

 

”風守”と”八千流”の決着は決着付かずという形で決着した。

 

後日、早朝。同時に目を覚ました”風守”と”八千流”は地面に倒れる相手の(さま)を互いに確認すると同時に相手から眼を背けた。

”風守”は阿片窟(とうげんきょう)の中へ芋虫の様に這いながら戻っていき、”八千流”は刀を杖にして揺ら揺らとした足取りで阿片窟を後にした。

 

次に出会う時に再び戦うことになるだろうと思いながら、傷を癒す為に去っていく。

お互いに名も知らないまま二人の最初の出会いは終わった。

 

そして、数年後。再び出会った二人が次は”敵”ではなく”味方”として出会うこととなったのは何の因果か。山本元柳斎重國により次は出会う前から相手の名前を知った状態で出会った”卯ノ花烈”と”風守風穴”は顔合わせの瞬間しばらく硬直し、その日の夜にどちらからともなく家路を共にして道中にあった酒屋へと一緒に入っていき、大いに酒を飲んだ。

戦いにしか酔えない女と阿片にも酔えぬ男が酒に飲まれるなどということは無かったが、しかし、二度目の出会いは上手い形で決着する。

 

そしてその後の千年間、”風守”と”八千流”が二度と剣を交えることはなかった。

 

阿片(ゆめ)に酔えぬ風守風穴は山本元柳斎重國の下で生まれて初めての夢を見て、故にその夢”そのもの”である卯ノ花烈を斬ることは無く、また卯ノ花烈も風守風穴がそう望むのならあの三日三晩の悦びを一夜の夢と封じることに決めた。

 

 

 

 

 

だから、千年後の此処。二度目の出会いを果たした、昔は酒屋であった料亭『千寿庵』で酔い潰した風守風穴の失態を見ながらも卯ノ花烈が彼の首を狙うことはない。

卯ノ花烈が伸ばした手は風守風穴の頭を撫でた。総白髪の髪質は固く風守風穴が不規則な生活を送っていることを卯ノ花烈に感じさせる。

 

「無理もありませんね。この人は特派遠征部隊の隊長。瀞霊廷に居る時間の方が少ない人なのですから」

 

遠征ばかりの生活で規則正しい生活を送れという方が無理だろう。その上、風守風穴という男は遠征から帰っても遠征の報告を山本元柳斎重國に伝えると碌な静養もせずに直ぐに次の遠征に向かって行ってしまう。

昔は引きこもりを自称していたとは思えないほどの放浪癖が風守風穴にはある。

 

故に、こうして旧友である卯ノ花烈でさえ風守風穴と顔を合わせたのは百年ぶりだった。

おそらく自分で語る人見知りで口下手で引っ込み思案な性格だけは、確かなのだろう。人前に姿を現さないその性分だから、卯ノ花烈には遠く及ばないが古参と呼んでいい隊長格である京楽春水や浮竹十四郎も風守風穴の名も顔も知らなかった。

 

「何も変わっていないのは、貴方の方です。相変わらず、桃園に霞む煙の様な人」

 

卯ノ花烈が千年をかけて特別に調合した酒の酒気と香気を用いてこうして酔い潰さなければ触れることも出来ない様な男、風守風穴。その風守風穴に今自分は触れているのだと卯ノ花烈は小さく笑い、頭を撫でていた手を放しその手を風守風穴の着る死神装束に手を伸ばす。

その手を止める者はおらず、風守風穴の死神装束は肌蹴ていった。

 

「…もし仮に、まだ私が貴方を諦めていなかったのだと知ったのなら、貴方はなんと言うのでしょうか」

 

あるいはあの三日三晩の夢の様に罵倒を投げかけてくれるのかと卯ノ花烈は芯を熱くする。

あの”風守”と”八千流”の戦いを一夜の夢だと封じながらも、卯ノ花烈は風守風穴との決着を諦めてはいなかった。

ただし、それは戦いではない。ただ生物としての単純な決着。男と女の行きつく終わり方。

 

「『互いに千年間独り身だったら結婚しよう』。そんな酒の席で交わされた千年も前の約束を信じているほど、私は少女ではありません。しかし、大人な私は既成事実というものがあることを知っています。ふふ。逃げられませんよ。その為に千年かけて貴方を酔わせる術を準備したのですから。勿論、店の者たちも抱え込んでいます。貴方が新しく見つけた厄介そうな副官は、山田清之介、私の部下が相手をしていることですし、もう止める者はありません」

 

机に突っ伏していた風守風穴の身体を畳の上に横たえる。

それを見下ろす卯ノ花烈はこの世のものとは思えぬほどに美しかった。

 

「そう言えば、まだ言っていませんでしたね」

 

―――お帰りなさい。世界で初めて私を悦ばせた(ひと)よ。

 

 




中高生位の時は『大紅蓮氷輪丸』みたいな斬魄刀が好きだったのですが、今は『皆尽』とか『逆撫』とか刀の形を残した斬魄刀が好きです。
これは大人になったということなのか、それとも患ったと言うべきか…

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