あざとい後輩のささやかな趣味   作:MITO TOMIO

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第3話

そんなこんなで一色が来てから二時間は経ったろうか。飯はいいとしてもメイドもどきは間違いなく必要なかった気がしなくもない事もない。満足したからいいのか。まず俺が頼んだからですね、はい。

 

とそんな脱線状態にそろそろ歯止めをかけるべく本題のカマクラを招集する。一色のマタタビ効果なのか、それともこの空気を読んだのかは分からないが、普段なら有り得ないくらいの素早さで目の前に居座るカマクラに感謝感激雨あられまである。なんだかんだで賢いカマクラのことだから後者な気もする。なんか迷惑かけてごめんね?

 

もとよりカマクラはあまりモフられるのが好きではない。ある程度見知った相手でも自発的に近づいたりはしないし、家族である俺たちですら、モフっていいのはよほど機嫌がいいときかご飯を食べて気を抜いている時くらいのものなのだ。ご飯タイムはもう終わってしまっている、つまり自分から近寄ってくるのはかなり希少価値が高いわけである。飯の時にしか近寄ってこないわけだし。

 

まあ、もしかすればそれは俺だけなのかもしれないけど。

この場にいるのが一色という初対面の人間と普段からの嫌われ者だけだとするとずいぶん譲歩してくれているものである。

 

 

 

一色も従順とすらいえるカマクラの姿に気分を良くしたのか、さっきのメイド事件のことは少しの間脇においてモフる事に集中するつもりらしい。

なんかむっちゃ手をワキワキさせてる。どうやらネコをモフりたかったのは本当らしい。一色がここに来てからあまりにも脱線しすぎていたせいで若干ネコの事はあんまり好きではないのかと疑ってしまっていたのだが。

 

 

そんな事は全くなく、むしろネコはかなり好きなのかもしれない。カマクラがモフられるのが嫌いなのは昔とある事件があったからなのだ。

とある少年があまりにもネコを可愛がりすぎてモフりすぎたのだ。それはもうノイローゼになるんじゃないかってくらいに遠慮なくやりまくった。

その結果しばらくストレスのせいで毛が抜けまくるのを体験したカマクラは、それ以来モフり嫌いになったわけである。少なくともその少年の前では。

 

つまり俺である。……まあアレは少し反省してる。特に後悔してないけども。

 

 

とそんなわけでカマクラはモフられたくない系猫になったのだが、ちゃんとツボを理解して手荒くしないと分かれば意外と簡単になされるがままになる。今の一色みたいに。

 

一色もカマクラをモフるのは楽しいらしい。まあ正直カマクラは贔屓目に見てもかなり高レベル猫だと思う。ちなみに高レベル猫というのは、毛がサラサラとか耳がピクピクとか尻尾でビタンビタンするとかである。

てか最後の不機嫌な時のカマクラの癖じゃねぇか。

 

 

 

なんにせよ二時間近く脱線した甲斐はあるかもしれない。一色はさっきまでのムシャクシャをカマクラにぶつけるくらいの物凄い勢いでモフモフしていた。

 

実際精神的にはさっきのメイドもどきでかなり削れてるだろうし、肉体的にもご飯作りでそれなりに疲れているだろう。その後でダラダラしたはしたがそれだって大した時間ではなかった気がする。まあコレでストレス発散になるならカマクラも光栄だろう。そのカマクラだって一色のモフり具合には満足してるようだし、これこそWin―Winの関係なのかもしれない。

 

 




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