デビルハンターとなった少年がゲイムギョウ界を駆け巡る話 作:伝説のデビルハンター
眩しい。唯々、眩しい。いつになったら光が消えてくれるんだ? 腕で目を覆い、俺は別世界に着くのを待っていた。
「……まだか?」
しばらくの間、落下しているが一向に着く気配がない。いつ到着するんだ? まさかこのまま彷徨う事になるのか……。
「あっ、眩しくない?」
ふと周囲の光が消え去り、眩しさは一瞬で無くなった。俺は腕を退かし、目を開いて周りを見る。
「…………へっ?」
禍々しい色合いに割れた空。最初に目に入ったのは、そんな異様な光景だった。
「なにあれ? ヤバくね?」
俺の不安は一瞬で頂点に達した。しかし、それだけでは無かった。俺は割れた空に目を奪われ、肝心な事を忘れていた。
「というか俺、今落ちてるんじゃん」
なんてこった! 新しい人生の始まりが、こんなデンジャーなスカイダイビングになるなんて! 下手したら五秒で終わるぞこの人生! 一回終わってるけどな!
あれこれ考えている内に街が見えてきた。荒廃した、という注釈付きだが。うん、間違いなく死ぬな俺。助かる道なんてないや。
「こりゃあもう、『
あまりの無理ゲーさに笑いがこみ上げてくる。だってそうだもん。この状況、一体どうしろっていうんだ。どこかの主人公なら平気だろうけど、俺は普通の人間だぞ? 何とかできるはずが――
「……いや、待てよ?」
俺、転生したんだよな? その前、神様に特典とかもらったんだよな? 確か、伝説のデビルハンターの外見に武器。それから……そうだ。
「脳や心臓が破壊されても死なない身体……そうだ、今の俺は不死身の身体を持ってるんだ!」
あのデビルハンターはとてつもない高さの塔を頂上から駆け下ったんだ。なら同じ不死身な身体の俺も死ぬ事はない! そう思うと何だか自信が沸いてきた。
「よし、行くぞ!」
地面に激突するまで一秒。俺は気合を入れて壊れた建物の壁を踏む。それからはもう勢い任せで壁を駆け下り、地面を踏みしめた。これで終わり、という事にはならず、俺は向かい側の建物に向かって走り続ける。
「せいや!」
鼻の先まで近づくと建物の壁を足場にして、今度は駆け上がっていく。建物の頂上辺りまで行った後、壁を蹴って空に飛び出した。
「フゥーッ!」
空高くまで飛んだ俺は周囲に見せびらかすように大きく一回転する。そして地面に華麗に着地し、両手でガッツポーズをとった。
「ハッ!」
決まった……新人生、開始早々に決まったぞ俺。技が大成功した事に誇らしさを感じる。
「…………」
しかし、見ている者は誰もいなかった。無念!
気を取り直し、この世界の状況を確認する。廃墟の様に荒廃した街並み、亀裂が生じた空。周囲には誰もいない。
どう見ても大丈夫じゃない。ヤバすぎる。なにここ? 一体なにがどうなってんの? 死んじゃうの俺? 誰か助けて。
「ォォォ゙ォ゙ォ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙!」
不安になっていると咆哮らしき声が聞こえた。振り返ると上半身が人、下半身が昆虫っぽい、街に雰囲気に違わない悪魔っぽい怪物がいた。
「えぇっ?」
怪物の姿に呆然とする俺。何なんだあれ、殺意剥き出しだぞ? もしかして俺の事狙ってる?
「ォォォ゙ォ゙ォ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙!!」
さっきより大きい雄叫び声と共に、周囲に地鳴りが起こった。えっ、戦闘態勢? マジで? マジでなの? やめて、俺はまだ死にたくねぇ!
「オ゙オ゙オ゙ォ!」
怪物は突然、俺に襲い掛かる。俺はとっさに怪物の攻撃をかわし、距離を取った。
「――――えっ?」
避けられた? 今、俺は怪物の攻撃をかわしたのか? 俺がやったのか? という事は、あの怪物を倒す事だって……できるか?
「……よし、来いっ!」
心を決め、俺は背負っていた大剣リベリオンを構えた。怪物は俺の声に答え、さっきより速くスピードで襲ってきた。
「見える、見えるぞ! ――そい!」
ギリギリまで引き付け、目の前まで来た所でリベリオンを振り上げる。刃を受けた怪物は打ち上げられ、宙に浮いた。俺は怪物を追尾する様に飛び上がり、リベリオンを振るって怪物に連続攻撃を与える。
「最後はこれだ!」
トドメに移った俺は怪物を踏み台にして、さらに上空へ飛んだ。俺はリベリオンを振り上げ、そして怪物を目掛けて勢いよく振り落とす。怪物は地面に叩き落され、息絶えたのだった。
「……ふぅ、よかった~」
初めての戦闘で怪物を倒した事に、俺は安心する。一時はどうなるか不安だったが、やってしまえば何も問題はなかった。さて、これからどうするか――
――――なんじゃこりゃあああああああ!
えっ、声? 突然の大声に俺は驚いた。今の声……人、なのか? それとも言葉を話せる怪物? どっちなんだ? そう思った俺はとりあえず――
「……ぁぁぁあああああああああああああああ!」
さっきの声に続いて大声を出した。俺の声が聞こえてればいいんだけど……どうかな?
「ねぷっ! 何か返ってきた!?」
「この声って、まさかモンスター!?」
「ちいっ、まだ沸いて出やがるのか! かかってきやがれ!」
彼の声は見事、三人の耳に届いたのだった。