デビルハンターとなった少年がゲイムギョウ界を駆け巡る話 作:伝説のデビルハンター
怪物を倒した俺は荒れ果てて無人の街を彷徨っていた。何やら光っているが、電気とかは通っているのか? そんな事を考えながら歩いていると、ロボットらしき物体が見えた。身の危険を感じた俺はとっさに身を隠し、物陰からロボットを見つめる。
「……でけぇ」
ロボットを見た俺の第一印象はそれだった。でかいのだ。ロボットの大きさが俺の数倍ぐらいだった。暗い色調になっていて、頭部には単眼が赤く光っている。さらにロボットは一体だけではなく数体いた。
「あれに見つかったら、戦う事になっちゃうんだよな……」
数体のロボットを見てどう対処すればいいか悩んでいると、ロボットと向き合っている一人の少女に気が付いた。赤い髪の二つ結び。白のワイシャツに灰のスカート。
「てやぁ!」
その少女は拳を振り上げ、ロボットの一体を倒す。もう一体の攻撃をかわすと、上から振り下ろして地面にめり込ませた。少女は数体のロボットを難なく倒したのだった。
「……た、助かるぞ!」
少女がロボットを倒した事に俺は安心し、物陰から身を乗り出した。
「おーい、助けてくれー!」
俺は少女の元に走り出し、助けを求める声を出した。しかし――
「ちっ、また来やがったか!」
少女は鋭い目で俺を見る。それと同時に拳を突き出し、俺に殴りかかってきた。
「はあぅ!」
俺は咄嗟に振りかかる拳をかわし、少女の横を通り過ぎた。身体を少女の方に向き直し、再び少女を見る。
「へぇ、さっきのよりはやるじゃねぇか。上等だ!」
「待って! 話を聞いてくれ!」
「てめぇと話す事なんざねぇよ!」
少女は聞く耳持たずで駆け出す。今度は連続で拳を繰り出し、俺に攻撃する。繰り出される拳は速いが、強化された身体能力と動体視力でかわし続ける。
少女の攻撃が全て見える。見える……けどそういう問題じゃない。俺は少女と戦いに来た訳じゃないんだ。
「オリャァ!」
俺の考えている事はつゆ知らず、少女は拳を振り落とした。まずい、避けられない! そう思った俺は両腕を前に出し、少女の拳を防いだ。
(い、痛ぇ! こいつ……なんて力だ!)
予想外の腕力にうめき声が出そうになるが、歯を食いしばって声を殺した。攻撃が不発に終わった少女は後退し、俺との距離を取った。
「まさか俺の攻撃を悉くかわしちまうとはな。俺は
「ら、
「ライジか……へっ、あいつとの前哨戦にもってこいだな!」
「俺はお前と戦う気なんてないんだ! お前と同じ人間なんだ!」
「人の姿に化けて俺を騙そうってか? そうは行くかよ!」
駄目だ、うずめは俺の話を信じてくれない。どうすればいいんだ!? うずめはまた飛び出し、俺に攻撃を仕掛けてきた。
「ああもう、どうなっても知らねぇ!」
遂にヤケクソになった俺はリベリオンを構え、うずめに迎え撃とうと飛び出した。俺とうずめ、この戦いに勝つのは――
「ちょっと待ったぁーー!」
突然、別の少女が俺達の間に入り込む。薄紫の髪に白いパーカー。その少女に驚いた二人は徐々に勢いを失い、少女の前で止まった。
「もう、何やってるの君達! モンスターじゃない人と戦ってさ!」
「うおっ、新手か!?」
戦う寸前になっていた俺達二人に説教する少女。だが止められても尚、うずめは少女を怪物か何かと勘違いする。
「ムカー! だから違うってば! 何をどう考えたらそうなるのさ!?」
「お姉ちゃん、落ち着いて!」
怪物扱いされ怒った少女を、もう一人の少女が宥める。……妹? 逆じゃないのか?
「えっと……うずめさん、とライジさん……でしたよね? 実は私達、いつの間にかこの街にいて困っていたんです」
自分の事情を話す妹らしき少女。二人もなのか? ここに彷徨いこんだのは。まさか死んだ……訳じゃなさそうだな。ならどうしてここに?
「ここで何が起こっているのか不安なので、あなた達に助けてもらいたいんです。話を聞いてくれませんか?」
「そうなんだよ! 俺も何でかここに来ちまってるから物凄く困ってるんだ! だからお前に助けて欲しいんだ、頼む!」
俺もうずめにそう訴え、頭を下げた。信じてくれ……お願いだ! 今の俺にはお前しか頼れないんだ!
「……テメェらの話、本当なのか? あいつの手先じゃないのか?」
あいつ? うずめの言うあいつって誰なんだ?
「ウィーン……」
駆動音らしき音が聞こえた。急いで振り返ってみると、さっきのと同じロボットが五体もいた。
「!? おいテメェ、勝負はこいつらを片付けてからだ!」
ロボットを見たうずめは俺にそう言い、前に出た。いや、だから戦う気なんてないよ!?
「私達も助太刀するよ!」
うずめと協力しようと二人の姉妹も並ぶ。えっ、戦えるの? あの姉妹は何者なの? いやいや、それよりも!
「お、俺も戦うぜ!」
三人が戦おうとしてるのに、俺が戦わない訳には行かないぜ! 俺はリベリオンを構えなおし、三人の横に立った。
「テメェら……おっし、行くぜ!」
うずめの掛け声を合図に俺達は一斉に駆け出した。三人はロボットを一体ずつ相手にするが、俺は二体のロボットを相手にする事になった。
まずロボットの攻撃を避け、リベリオンで腕を斬りつける。そしてもう片方のロボットの攻撃を避け、二体を相打ちさせた。ロボットが体勢を崩した所で上から攻撃し、一体の頭部にリベリオンを突き刺す。ロボットは機能を停止して倒れた。
一体を倒した所で俺はもう一体のロボットに目を向けた。倒れた状態から立て直したロボットは、腕のドリルで俺に攻撃する。
「やあっ!」
俺はリベリオンを振り払い、ロボットのドリルを弾く。怯んだ所でロボットへ飛び、赤く光る単眼を斬った。その後、着地してロボットの背後に回り込むと、リベリオンを振ってロボットを打ち上げた。ロボットは高くまで飛び、重力に従って落ちていく。
「はあああぁぁぁぁぁ……」
タイミングを見計らい、俺はリベリオンを持った手に力を籠める。そして――
「貫け!」
溜めていた力を開放し、リベリオンは勢いよくロボットを貫いた。そのあまりのダメージにもう一方も機能を停止し、動かなくなった。
勝った。そう確信した俺はリベリオンに刺さっているロボットを振り払う。ロボットは重い音を立てて、地面に倒れ伏した。
……これがデビルハンターの力なのか。分かってはいたけど、試してみるとやっぱり凄いな。
「こっちのモンスター、全部倒したよ!」
「こっちも、終わったよー!」
うずめ達の方も終わったらしい。姉妹が怪物を倒した事を俺達に伝えた。本当に倒したのか、あっちも凄いな……。
「ふぅ、片付いたか……」
怪物を全て倒した事で安心し、うずめは溜息を吐いた。
「一応、礼は言っておく。さっきは聞きそびれちまったが、お前ら、あいつの手先じゃないんだな?」
あいつか……さっきも言っていたけど、あいつって一体どこの誰なんだ? 気になるな。
「あいつ、というのが誰かは分かりませんけど……私達は貴女を戦う意思はありません」
ネプギアは自分たちが手先じゃない事を答える。ネプギア達もあいつの事を知らないんだな。……あぁもう、あいつが気になって仕方ない!
「そうか……ライジ、さっきは話も聞かないで攻撃して悪かったな」
うずめが俺を見て、攻撃してきた事を謝った。よ、よかった~……。
「あっ、あぁ……もう済んだ事だし、嬉しさの方が大きいからいいよ。俺、お前達と会うまで誰にも会ってないから不安だったんだ」
「私達も人に会えて良かったよ。ここ、本当に誰もいないからさ」
どうやら姉妹の方も誰にも会っていないようだな。うずめは何か知ってそうだけど……。
「そりゃあ、ここには誰も――――」
うずめが何かを言いかけてると突然、周囲が揺れ始めた。えっ、なんだこれ!? 何が起こっているんだ!?
「ねぷっ! こ、今度は何事!?」
姉妹の方も突然の揺れに驚く。だがうずめは分かっていたかの様に落ち着いていた。
「……どうやら、あいつのお出ましの様だぜ」
あいつ? またあいつって言ったのか? しかも来るって? この揺れもあいつが来てるって事なのか!?
空を見上げると、隕石らしき何かが降ってきていた。あれがあいつ、なのか……? その何かが街に落ちたかと思えば、周辺が紫色に燃え盛り、その中心からは何やら巨人が姿を現した。
あぁ、あれがあいつか……
死ぬな。これはもうヤバいどころじゃない。俺は死んでしまうのかもしれない。
俺は現れた巨人を見て絶望的な思いに駆られた。