デビルハンターとなった少年がゲイムギョウ界を駆け巡る話 作:伝説のデビルハンター
ヤバいヤバいヤバいヤバい。勝てるわけがない、あんな怪物に。俺の人生、たった一時間で終了かよ。
「な、なななななななな! なにあのでっかいの!?」
まったくだぜ! あの怪物って、登場からしてラスボスの立ち位置にいる奴だよな!? 勘弁してくれよ、逃げ出したいぜ!
「あいつの正体が何なのかは俺にも分からねぇ。だがな――」
うずめはあの怪物について衝撃的な事実を口に出す。
「あいつがこの街を、そしてこの世界を滅茶苦茶にしたって事だけは確かだ」
……終わった。それじゃあ、どのみち助からねぇじゃん俺。この世界を滅茶苦茶にした? ハハハッ、イカレてるぜ。
「あいつが、このヤバい亀裂とかを作ったって事?」
「ああ。あいつはただ街を破壊するだけじゃない。土地や空までも破壊しやがるんだ」
土地や空も? ちょっと待ってちょっと待って、うずめさん。それどういう意味なの?
「もしかして、あれと戦うつもりなんですか!?」
「あぁ、そうだ。俺はずっとあいつと戦ってきたんだ」
そう言ううずめの表情に迷いがなかった。えっ、マジなの? マジなのかうずめ? えっ?
「無理ですよ、あんなに大きいのなんて! お姉ちゃんからも、うずめさんに言ってあげて!」
「そそそ、そうだぜ! あんな化け物と戦うなんて、いくらなんても無茶だぞ! お前もそう思うよな、なぁっ!?」
上擦った声で姉の方にうずめを止める様に急かす。せっかく出会えた人間だって言うのに、死んじゃうなんて嫌だぜ!
「よーし! 私も燃えてきたよー!」
「……えぇっ?」
しかし姉は思っていたのと真逆な事を言い放った。そんな……こいつもなのか!?
「相手がビルよりもでっかい? この世界をメチャメチャにした? そんなの上等! むしろやってやんよー!」
な、なんだってー!? こいつ、自分が何を言ってるのか分かんないのか!?
「言っとくが、助太刀はいらねぇぞ」
うずめも何おかしな事を言ってるんだ!? あの化け物に挑むだけでも無茶ってもんなのに、正気じゃねぇぜお前!
「止めても無駄だよ。私の人の話の聞かなさは筋金入りだからねー!」
「ちょちょちょ、待ってくれ! そんなんで死んだら元も子もねぇって! なぁ、お前からも何か言ってくれ!」
今度は妹の方に呼びかける。姉と違って、無茶だって事が分かってくれる。
「ライジさんの言う通りだよ! 二人とも、冷静になってください! あんな大きいのと戦うなんて、常識的に考えて無理だよ!」
「そうだよ! 妹もそう言ってるし、あれと戦うなんて事はやめてくれ!」
俺の必死に言い続けるが、うずめは首をゆっくりと横に振った。
「心配してくれてるところわりぃが、この街を滅茶苦茶にしたあいつだけは絶対に許せねぇ。女神としてな」
……女神? 今、女神って言ったのか? どういう事だ? まさかうずめも、神様って奴なのか?
「ねぷっ!? ちょっと待って、今、女神って言った!?」
女神という言葉を聞いた姉が食いついた。うそっ、反応した? この姉妹、女神を知ってるの?
「そういえば言ってなかったな。まぁ、今はどうでもいいさ。今からここは戦場になる、巻き込まれる前に逃げるんだ」
「逃げろって、お前はどうするんだ? ここで戦っても何もならねぇぞ!」
「……あのデカブツと一緒に、モンスターの群れも沸いてきやがるんだ。逃げ遅れた奴らのためにも、何が何でもここで食い止めなきゃいけないんだ」
「だからって……えっ?」
まだここに誰かいるのか? 嘘だろ? てっきり誰もいないかと思ったぞ。
「そういう理由なら、なおさら手伝わなきゃいけないね! 一緒に戦おう、うずめ!」
うずめの話を聞き、さらにやる気を出した姉。信じられない……俺は逃げたい一心なのに、何でこいつは元気なんだ?
「駄目だ、お前なんかが太刀打ちできる相手じゃねぇ。さっさと逃げろ!」
「やだ!」
「逃げろ!」
「逃げない! ここで逃げたら、うずめを見捨てるようなもんだもん!」
「っ……!」
……何だ、この気持ち? 姉の放った一言が、俺の中にある何かを揺れ動かした。
「お姉ちゃん…………うん」
妹も同じ事を感じたのか少し考えた後、決心する。
「お姉ちゃんが戦うなら、私も戦います!」
妹も戦う事を選んだ。この姉妹の自信……何だろう、俺の中にある不安が取り除かれていく。
よし、決めた。
「俺も戦う事にしたぜ! うずめ! それと、えーと……」
「ああ、まだ言ってなかったね。ネプテューヌだよ!」
「ネプギアです。よろしくお願いします、ライジさん!」
姉妹がそれぞれ名前を名乗った。ねぷ、うーんぬ? とネプギアか。
「……あぁー! もう分かったよ! どうせ言っても聞かないんだろ? いいか、戦うからには絶対に勝つからな!」
「もちろんだよ!」
「よし、絶対に勝つぞ!」
「ならせめて、その傷を何処かで治療しませんか?」
ネプギアがうずめに傷を治す事を提案する。傷だって? よく見るとうずめの身体には所々傷があった。
そういえばうずめ、今まで一人で戦ってたんだっけ……。
「見たところ、あのおっきなのはすぐにこっちには来そうにないし……時間があるなら、万全の状態で臨んだ方がいいと思うんです」
「俺も賛成だ。ワンクッション置いてから挑んだ方が、いい結果になると思うぜ」
「……一理あるな。なら近くに俺の拠点があるから、そこに行こう」
拠点? そんな物があるのか。俺達は戦いの傷を癒すため、うずめの拠点へと向かった。
「た、助かったぁ~……」
途中、俺は気を抜いてそんな事を呟いたが、三人には聞こえていなかったのでほっとした。