デビルハンターとなった少年がゲイムギョウ界を駆け巡る話 作:伝説のデビルハンター
「着いたぞ。ここが、俺の拠点だ」
拠点に向かい始めて数分。俺達はうずめに連れられて、古びた建物の中に入った。
「ここが拠点なのか? 俺が思ってたのとは違うな」
「まぁ、拠点といっても廃ビルの一室なんだがな。野ざらしの外よりはマシだろ」
なるほど、古びたビルを拠点に利用しているのか。
「おおーっ! 廃ビルを使ってるあたり、いかにも秘密基地って感じでカッコイイかも!」
うずめが拠点に使ってる一室を見て、ネプチューンがはしゃぐ。秘密基地か……そう思うと何だかカッコよく見えるぞ、ここ。
「うん! 何気ない廃ビルの一室に見えて、必要最低限の住居設備に、回復アイテムと食料。そして、申し分の通信端末。まるで、アニメとかで見るレジスタンスのアジトみたいでカッコイイです!」
凄いなネプギア、隅々まで見てるのか。恐れ入ったぜ。
「なに!? お前ら、この拠点のカッコよさが分かるのか?」
ネプテューンとネプギアが言った、カッコイイという言葉にうずめが食いついた。えーと、俺も言わなくちゃ……。
「うん」
「はい!」
「あっ、ああ! 俺もカッコイイと思うぜ、ここ! これからここで住むって思うと、胸が躍りまくるぜ!」
「そうかそうか! ここのカッコよさが分かるのか。なら、悪い奴じゃなさそうだな」
この拠点をカッコイイと言われて、うずめは嬉しそうな顔になった。それにしてもカッコイイか。うずめって男っぽい趣味してるんだな。
……今の俺、あのデビルハンターな姿になってるんだよな。なら一度でもいいから、誰かにカッコイイって言われたいな。特に女の子から。
「さて、時間がないからざっとだけ説明する」
嬉しそうな表情から一転、うずめはキリッとした顔に変わった。来たばかりの俺達に、この世界について教えるのか。
「さっきも言った通り、あのデカブツが街や世界をぶっ壊してる元凶だ」
「確か、街だけじゃなくて土地や空も破壊するんだっけ? ヤバくないか?」
「あぁ。だけどアイツの厄介な所は、建物や生き物を壊すだけじゃない。存在そのものを消滅させる力を持つんだ」
そ、存在そのものを消す……!? もしその事が本当なら俺、消されちまうのか!? そういうのはやめてくれよ、うずめ!
「そして、この国には生き残ってる人間はいない」
……何だって? 生き残ってる人間はいない? どういう事だ?
「そっか。だから、シェアエネルギーが……」
「ちょ、ちょっと待ってくれ! ならさっき言ってた奴らって一体何だ? 生き残ってる人間はいないんだろ?」
「ああ、人間の代わり……って言い方は変だが、言葉の通じる善良なモンスター達がこの国には多く暮らしているんだ」
も、モンスター!? モンスターって、街の外で出会ったあの怪物たちの事か? しかも善良って……何がどうなってるんだ?
「そして、今回の作戦目的だが、そいつらがこの街から避難するまでの時間稼ぎだ」
そうか、だからうずめはあの場所で怪物、いやモンスターと戦ってたのか……他に仲間はいるのか?
「はいはーい、他に仲間とかいないの?」
同じ事を考えていたネプチューンがうずめに聞く。こいつ、俺が質問しようとしてたのを……!
「残念ながら、戦えるのは俺だけだ」
つまり、うずめは今まで一人で戦ってきたのか。とてもハードじゃないか、俺にはとても耐えられない。
「うわぁ……それで、よく今まで戦ってこれたね」
「正直、俺もよく今まで持ってると思うよ。住めそうな場所を見つけてもデカブツが現れる度に逃げる日々。それを何度も繰り返してるうちに、気がつけば街も大地も壊され、どんどん行き場がなくなってる……」
「マジかよ……それじゃあ、どうにもならないって事か?」
さっきまで抑えていた絶望感が、今になって増してきた。何なんだよ……前世じゃこんなの無かったぞ。神様から色々な物を貰えたってのに、こんなんじゃ意味ないじゃねぇか……。
「もう~二人して暗い顔しちゃってるの? 早い話、あのデッカイのを倒しちゃえば、全て解決だよね? 簡単だって!」
だがネプチューヌは違った。さっきの話を聞いても落ち込まず、むしろ元気よく俺達にそう言う。何なんだ、あの明るさ……?
「簡単に言ってくれるぜ……悔しいが、こちとら何度も挑んで負けてるんだからよ」
「そんな……」
まぁ、そうだよな。あの怪物を簡単に倒せれば苦労はしないよな。やっぱ駄目か……。
「そんな顔するなよ。今は無理でも、倒す策は考えてあるんだ」
……えっ、倒す策はあるって? それって、あのデッカイ怪物を倒す事ができるって事か? 本当か!?
よっしゃ、希望が見えてきたぜ!
「まだ準備中だけどな。で、肝心の時間だが……」
そう言いかけているとうずめの腕の通信機が鳴りだした。うずめは腕をかざして、通信機に向けて話し出す。
「俺だ。そっちの避難状況はどうだ?」
『うずめか、無事なようで安心したよ。こっちの避難状況は七割と言ったところだ』
通信機から返ってきたのは渋い声だった。驚いた。うずめの仲間みたいだけど、こんないい声をしているなんて思っていなかったぜ……。
「まだ結構残っているな。それじゃあ、引き続きそっちを頼むぜ」
「すまない、苦労をかけるな。うずめも、くれぐれも無理はしないように」
向かい側の返事を最後に仲間との通信が切られた。
「さて、それじゃあ、そろそろ行くか。くれぐれも忘れ物だけはするなよ」
そろそろか。俺はゆっくりと深呼吸して、気持ちを落ち着かせる。この状況、あの伝説のデビルハンターみたいに余裕綽々でいたい。
大丈夫だ、今の俺はデビルハンターの力を持っている。だから大丈夫、大丈夫さ……そう自分に言い聞かせて、俺はうずめ達と一緒に拠点を出た。
「さて、イカれたパーティーの始まりだ!」
拠点を出た俺はテンションを高くして、思いっきり走り出す。そして――
「いや、そっちじゃねぇぞ」
思いっきり道を間違えたのだった。泣けるぜ……。