デビルハンターとなった少年がゲイムギョウ界を駆け巡る話   作:伝説のデビルハンター

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Part.8 逃げるんだよォー!

あっつ! うぉ、アッツイ! アッツイよこれ! クソォ、今度は何なんだ!?

 

空を見上げると、あの大きなデカブツが街に出現していた。来やがったか、アイツが!

 

「……っていうか、うずめは!?」

 

そうだ、うずめが隕石に当たったはず! うずめがいた場所を見ると、そこは炎と煙が上がっていた。そんな、まさか今ので――

 

「チッ! 不意打ちたぁ、卑怯じゃねぇか」

 

うずめの声が別の場所から聞こえた。見るとうずめは、隕石から少し離れた所に移動していた。さ、避けたのか……良かったぜ。

 

「やられたからには倍返しだ! 皆、今度はこっちから打って出るぞ!」

 

そう言ってあの大きいのと戦おうとするが、途端に崩れ落ちてしまう。その時、うずめは苦痛に満ちた表情をしていた。

 

「うずめさん、大丈夫ですか!?」

 

「このくらいかすり傷だ、気にすんな……くっ!」

 

ネプギアに対して強がりを言ったうずめ。だが、身体の方は正直だった。かすり傷なんかじゃない、あれじゃ戦えないじゃないか!

 

「……そうだ、逃げ遅れた奴らは無事なのか!?」

 

うずめは何とか立ち上がって、通信機で仲間に連絡する。

 

「俺だ! 避難状況はどうだ!? 皆は無事なのか!」

 

「うずめか。ちょうど今、となり町への避難が完了した」

 

仲間から避難し終わった事を聞いて、うずめはほっとした様な顔をした。

 

「よかった、間に合ったんだな」

 

「あぁ、君が避難する時間を稼いでくれたおかげだ」

 

「そうか。なら、心置きなく戦えるってもんだ」

 

仲間との通信が終わり、改めてあのデカブツを見上げる。もしかして……いや、もしかしなくてもあの大きいのと?

 

「皆、無事に避難できたみたいだ。三人のおかげだ、サンキューな」

 

「よし。逃げよう、うずめ」

 

俺は真っ先にうずめにそう言った。無理だよ、あれと戦うなんて。どう考えたって勝てる気がしないんだもん。

 

「逃げるだと!? このチャンスをみすみす逃すってのか!」

 

「なに言ってやがる! こんなのチャンスって言わねぇ、ピンチって言うんだぜ!」

 

特攻しようとするうずめを説得していると、あのデカブツが俺達に向けてビームを撃ち出してきた。

 

「あぁ、あああ!」

 

「あぶなーい!」

 

俺は慌てて今いる場所から離れる。ビームが地面に当たると、大爆発を起こして周りを焼き尽くした。

 

「やべぇよ……やべぇよ……」

 

ビームが直撃した所を見て、さらに焦る俺。あのデカブツがまた攻撃する前に逃げたい。そう思うものの、腰が抜けてるせいか立てない。だって仕方ないもん、あれ食らったら死ぬよ絶対。

 

「ふぅ、まさかの危機一髪」

 

うずめの方はというと、ねぷっちが庇ったおかげで、デカブツのビームを受けずに済んだ。

 

「お姉ちゃん、うずめさん! 大丈夫!?」

 

急いでうずめとねぷっちの所へ駆け付けるネプギア。ってか、俺の事を忘れるなよ!?

 

「だいじょうぶー! ギリギリだったけど、なんとか間に合ったみたい」

 

「あぁ、ねぷっちのおかげでな」

 

「なぁ、ネプギア! こっちに来て手伝ってくれ!」

 

ねぷっちとうずめが無事な事が分かった俺は、ネプギアに助けを求める。な、なさけねぇ……俺。

 

「……あっ、そうだった。ライジさん、大丈夫ですか!?」

 

ネプギアはすぐに駆け付け、腰が抜けた俺に手を差し伸べてくれた。俺はネプギアの手を掴んで立ち上がり、うずめとねぷっちの所へ駆け寄る。

 

「うずめ! 何度も言ってるけど、あのデカブツと戦うなんて無茶だ! だから一緒に逃げ――」

 

「うるせぇ!」

 

説得し続ける俺に耐えかねて、うずめが一喝した。

 

「なあっ!?」

 

「せっかくデカブツとタイマン張れるチャンスなんだ! 俺は戦う。逃げるなら、三人だけで逃げてくれ」

 

うずめはここであのデカブツと戦う事を宣言する。こいつ、何が何でも戦う気か!?

 

「その傷じゃ無理だって! 第一に、あれに勝てる見込みなんて……」

 

「いいや、戦えるね。例え、己の肉が骨から削ぎ取れようと戦って見せる」

 

おいおいおいおい! やめてくれよ、そんな事言うのは! お前が死んだら、俺はどうすればいいんだ!?

 

「それに、俺は死んでも喧嘩には負けねぇ! 刺し違えててもデカブツを――」

 

「どっせーい!」

 

俺がどうすればいいか困り果てていると、ねぷっちがうずめを倒した。

 

「ってーな! 何しやがる!」

 

「ダメなものはダメ! そんなボロボロな状態で戦わせられないよ」

 

よく言った、ねぷっち! そうだよ、今のうずめは戦える状態じゃないんだ。それを黙って見過ごせる訳ないぜ!

 

「それに、逃げ遅れた人たちの時間を稼ぐっていう目的は達成できたんだし、無理をする必要はないって」

 

「その通り! 今ここで、あのデカブツと戦う理由なんてないんだ!」

 

俺はそう言ってうずめを担いだ。今の俺なら女の子一人を担ぐぐらい、容易な事だった。

 

「って、おい! 勝手に俺を担ぐな! おろせー!」

 

「おろしたらお前、あのデカブツに挑むんだろ? 無理だって! ねぷっち、ネプギア。撤収だ!」

 

「待ってました! それじゃあ、てっしゅー!」

 

ねぷっちの掛け声で、俺達は街から撤収する。急げ、あのデカブツに襲われる前に逃げるんだ!

 

そして走ってから数分。うずめを担いだ俺は街の外にたどり着いた。ここまで来れば、もう追ってこれない……かもしれない。あのデカブツの姿が見えない事を確認して、俺はほっと一息ついた。

 

「待てー!」

 

後ろからねぷっち達の声が聞こえ、遅れてここにやってきた。

 

「はぁ、はぁ……もう、速いよライジ。私達がいるの忘れないでよ」

 

「あっ、悪いな。無我夢中で走ってたから、つい」

 

……そういえば、これだけ走ったのにまったく疲れてないな。ねぷっち達の方は息切れを起こしてるっていうのに。これも、半人半魔の身体のおかげなのか。何だか申し訳ない気持ちになるな。

 

「ったく、余計な事しやがって……。これじゃあ、かっこわりぃじゃねぇか」

 

「大丈夫だって、俺もカッコ悪かったからさ」

 

あのデカブツから逃げ出した事に愚痴るうずめに、俺はフォローにもならない言葉をかけた。まぁ、生きてるから良しって事で。

 

この後、俺達はボロボロの身体を治すために拠点へ戻った。ちなみにあのデカブツはうずめ曰く、向こう側の地区で暴れた後に消えたという。良かった良かった。

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