デビルハンターとなった少年がゲイムギョウ界を駆け巡る話 作:伝説のデビルハンター
あっつ! うぉ、アッツイ! アッツイよこれ! クソォ、今度は何なんだ!?
空を見上げると、あの大きなデカブツが街に出現していた。来やがったか、アイツが!
「……っていうか、うずめは!?」
そうだ、うずめが隕石に当たったはず! うずめがいた場所を見ると、そこは炎と煙が上がっていた。そんな、まさか今ので――
「チッ! 不意打ちたぁ、卑怯じゃねぇか」
うずめの声が別の場所から聞こえた。見るとうずめは、隕石から少し離れた所に移動していた。さ、避けたのか……良かったぜ。
「やられたからには倍返しだ! 皆、今度はこっちから打って出るぞ!」
そう言ってあの大きいのと戦おうとするが、途端に崩れ落ちてしまう。その時、うずめは苦痛に満ちた表情をしていた。
「うずめさん、大丈夫ですか!?」
「このくらいかすり傷だ、気にすんな……くっ!」
ネプギアに対して強がりを言ったうずめ。だが、身体の方は正直だった。かすり傷なんかじゃない、あれじゃ戦えないじゃないか!
「……そうだ、逃げ遅れた奴らは無事なのか!?」
うずめは何とか立ち上がって、通信機で仲間に連絡する。
「俺だ! 避難状況はどうだ!? 皆は無事なのか!」
「うずめか。ちょうど今、となり町への避難が完了した」
仲間から避難し終わった事を聞いて、うずめはほっとした様な顔をした。
「よかった、間に合ったんだな」
「あぁ、君が避難する時間を稼いでくれたおかげだ」
「そうか。なら、心置きなく戦えるってもんだ」
仲間との通信が終わり、改めてあのデカブツを見上げる。もしかして……いや、もしかしなくてもあの大きいのと?
「皆、無事に避難できたみたいだ。三人のおかげだ、サンキューな」
「よし。逃げよう、うずめ」
俺は真っ先にうずめにそう言った。無理だよ、あれと戦うなんて。どう考えたって勝てる気がしないんだもん。
「逃げるだと!? このチャンスをみすみす逃すってのか!」
「なに言ってやがる! こんなのチャンスって言わねぇ、ピンチって言うんだぜ!」
特攻しようとするうずめを説得していると、あのデカブツが俺達に向けてビームを撃ち出してきた。
「あぁ、あああ!」
「あぶなーい!」
俺は慌てて今いる場所から離れる。ビームが地面に当たると、大爆発を起こして周りを焼き尽くした。
「やべぇよ……やべぇよ……」
ビームが直撃した所を見て、さらに焦る俺。あのデカブツがまた攻撃する前に逃げたい。そう思うものの、腰が抜けてるせいか立てない。だって仕方ないもん、あれ食らったら死ぬよ絶対。
「ふぅ、まさかの危機一髪」
うずめの方はというと、ねぷっちが庇ったおかげで、デカブツのビームを受けずに済んだ。
「お姉ちゃん、うずめさん! 大丈夫!?」
急いでうずめとねぷっちの所へ駆け付けるネプギア。ってか、俺の事を忘れるなよ!?
「だいじょうぶー! ギリギリだったけど、なんとか間に合ったみたい」
「あぁ、ねぷっちのおかげでな」
「なぁ、ネプギア! こっちに来て手伝ってくれ!」
ねぷっちとうずめが無事な事が分かった俺は、ネプギアに助けを求める。な、なさけねぇ……俺。
「……あっ、そうだった。ライジさん、大丈夫ですか!?」
ネプギアはすぐに駆け付け、腰が抜けた俺に手を差し伸べてくれた。俺はネプギアの手を掴んで立ち上がり、うずめとねぷっちの所へ駆け寄る。
「うずめ! 何度も言ってるけど、あのデカブツと戦うなんて無茶だ! だから一緒に逃げ――」
「うるせぇ!」
説得し続ける俺に耐えかねて、うずめが一喝した。
「なあっ!?」
「せっかくデカブツとタイマン張れるチャンスなんだ! 俺は戦う。逃げるなら、三人だけで逃げてくれ」
うずめはここであのデカブツと戦う事を宣言する。こいつ、何が何でも戦う気か!?
「その傷じゃ無理だって! 第一に、あれに勝てる見込みなんて……」
「いいや、戦えるね。例え、己の肉が骨から削ぎ取れようと戦って見せる」
おいおいおいおい! やめてくれよ、そんな事言うのは! お前が死んだら、俺はどうすればいいんだ!?
「それに、俺は死んでも喧嘩には負けねぇ! 刺し違えててもデカブツを――」
「どっせーい!」
俺がどうすればいいか困り果てていると、ねぷっちがうずめを倒した。
「ってーな! 何しやがる!」
「ダメなものはダメ! そんなボロボロな状態で戦わせられないよ」
よく言った、ねぷっち! そうだよ、今のうずめは戦える状態じゃないんだ。それを黙って見過ごせる訳ないぜ!
「それに、逃げ遅れた人たちの時間を稼ぐっていう目的は達成できたんだし、無理をする必要はないって」
「その通り! 今ここで、あのデカブツと戦う理由なんてないんだ!」
俺はそう言ってうずめを担いだ。今の俺なら女の子一人を担ぐぐらい、容易な事だった。
「って、おい! 勝手に俺を担ぐな! おろせー!」
「おろしたらお前、あのデカブツに挑むんだろ? 無理だって! ねぷっち、ネプギア。撤収だ!」
「待ってました! それじゃあ、てっしゅー!」
ねぷっちの掛け声で、俺達は街から撤収する。急げ、あのデカブツに襲われる前に逃げるんだ!
そして走ってから数分。うずめを担いだ俺は街の外にたどり着いた。ここまで来れば、もう追ってこれない……かもしれない。あのデカブツの姿が見えない事を確認して、俺はほっと一息ついた。
「待てー!」
後ろからねぷっち達の声が聞こえ、遅れてここにやってきた。
「はぁ、はぁ……もう、速いよライジ。私達がいるの忘れないでよ」
「あっ、悪いな。無我夢中で走ってたから、つい」
……そういえば、これだけ走ったのにまったく疲れてないな。ねぷっち達の方は息切れを起こしてるっていうのに。これも、半人半魔の身体のおかげなのか。何だか申し訳ない気持ちになるな。
「ったく、余計な事しやがって……。これじゃあ、かっこわりぃじゃねぇか」
「大丈夫だって、俺もカッコ悪かったからさ」
あのデカブツから逃げ出した事に愚痴るうずめに、俺はフォローにもならない言葉をかけた。まぁ、生きてるから良しって事で。
この後、俺達はボロボロの身体を治すために拠点へ戻った。ちなみにあのデカブツはうずめ曰く、向こう側の地区で暴れた後に消えたという。良かった良かった。