バトルロワイアル ~Dream and Phantasm~ 作:歩く激戦区
「えー、みなさんおはようございます。よく眠れましたか?」
壊れかけの蛍光灯しか灯りの無い薄暗い教室に、それとは対照的に快活な若い男性の声が響いた。8×5+7×1の形に綺麗に並び揃えられた47の机に突っ伏して眠っていた生徒達はその声を皮切りに次々に起き出し、起きた生徒は一人の例外もなく混乱していた。
「はーい皆さん早く起きてくださーい。ロングホームルームが始まりまーす。寝てる人を起こしてあげてくださーい」
再びの呼びかけでようやく生徒全員が目を覚まし、何が何だかわからない、といった顔で教壇に立っている男、燈導刹也を見つめている。
「はい号令をお願いします。では出席番号12番、岸間浩平君お願いします」
唐突に指名された眼鏡をかけた如何にも真面目といった風貌の男子生徒、岸間浩平はいきなりの事態に戸惑いながらも無難に挨拶を済ませた。周りの生徒達も何が何だかわからないといった表情を浮かべながら今まで飽きるほど繰り返してきた起立・礼・着席の動作を済ませた。
「皆さんは、今年度のプログラム対象クラスに選ばれました。これから皆さんには……ちょっと殺し合いをしてもらいます」
生徒達は最初惚けた表情を燈導に向けていたが、その単語の意味を脳が理解した者から順に青ざめていった。
「プログラム、さらに略してPGが何かは分かりますよね?はい、え~と、霊松院さん!答えて下さい」
「……正式名称「戦闘実験第六十八番プログラム」。毎年全国の中学3年生50クラスを対象に行われる、陸軍が行う戦闘シミュレーションです。最後の1人になるまで殺しあって……い、生き残った1人だけが家に帰れます」
「素晴らしい!みんな分かったかぁ~?大事なことなのでもう一度言います。これから皆さんに、ちょっと殺し合いをしてもらいます。冗談なんかではありませんよ」
「嘘だろ…………?」
「プログラムって……あの……?」
指名された女子生徒、霊松院鏡花(れいしょういんきょうか 46番)の説明によって今まで完全に思考が停止していた生徒も状況が呑み込めたらしく、皆の顔がだんだんと恐怖と絶望に染まっていく。中には今にも泣き出しそうな生徒もいた。
「いいですか~?では始める前に「ふざけないでよ!!」
突如立ち上がり金切声をあげた女子生徒がいた。初音えりか(はつねえりか 出席番号30番)だ。
「殺し合いなんてできるわけないじゃない!第一貴方たち誰なの!?」
燈導はこれはすっかり忘れていたといった表情を見せ、まるで初音の金切り声など無かったかのように黒板に名前を書きながら自己紹介を始めた。
「申し遅れました。このPGの担当官兼3年2組の新担任の燈導刹也です。そして隣にいる2人が
「松柏栄美(しょうはくえみ)です」
「北條正之助(ほくじょうまさのすけ)だ」
です。この2人はPGの進行の手伝いをしてくれます。そして後ろにいる軍服を着た5人は、専守防衛軍のみなさんです。右から坂持金発君、田原大樹君、近藤拓也君、野村隆君、加藤勝君です。そして出来るわけない、と言っていましたが、出来なくてもやってください。どうしても嫌なら殺されてください。以上。初音さん席に着いてください。あと発言は挙手してからお願いします」
話し終わると同時に燈導はおもむろに右手を上げた。初音はまだ何か言いたそうにしていたが、燈導が右手を上げたと同時に専守防衛軍の兵達によってこちらに向けられた5つの銃口を目にし震えながら席に着いた。銃口が初音に向けられた瞬間教室の至る所から押し殺したような悲鳴が聞こえた。
「みんなも発言は挙手してからしようなー。次私語した奴は悪いけど先生殺すからなー」
「殺す」という普段なら冗談としてしか受け取れない単語が5つの銃口がこちらを向いていたこの状況では酷く現実味を帯び、生徒達の耳に深くこびりついた。
次回の投稿も1週間後です。
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