Who is the liar.   作:Gasshow

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最終話です。次はこの話の《解》となるので、まだ考えたいと思う方は開かないで下さい。でもとっとと見ちゃた方がいいです。本当に『いないいないばぁ。』のどの話よりも理不尽すぎるので(笑)。


liar

「ど、どういうことだよ!?」

 

私の大声が、大きな和室にも関わらず反響する。

 

「簡単な事です。何故、わざわざ顔を潰すなんて殺し方を選択したのか、それを疑問に思いまして」

 

「そ、それは霊夢を確実に殺すためだろ?」

 

何を言うのかとばかりに、私は阿求に喰ってかかる。

 

「確かにそれもあるかもしれません。でもそれ以上に一つ、メリットがありまして、顔を潰せば誰かは分からなくなるんです」

 

それは確かにそうだ。そうすれば誰かは分からない。だがそれは……。

 

「そう断定できる根拠はない」

 

「まぁそれは確かに。でもよく考えて下さい。だって魔理沙さん。霊夢さんの死体をよく調べてないんですよね。ならば逆に問います。あれが霊夢さんの死体だと、断定できる根拠はなんですか?」

 

「それは紫がそう言っていたからー「ならば」」

 

私が言い切る前に、阿求がその台詞を切る。

 

「紫さんがウソを付いているとしたら?」

 

阿求が真っ直ぐ私を見つめる。私は蛇に睨まれた蛙のように、体を全く動かせなかった。

 

「な、なんでそんなことをする必要があるんだよ?紫は幻想郷の管理者だぞ?」

 

「理由は分かりませんが、紫さんはウソを付いています。と言うのも、あまりに彼女の言動がおかしいからです」

 

阿求の言葉の意味が分からない。おかしなところなどあったのか?

 

「そもそも、霊夢さんが死んだことを私以外、誰にも伝えないと言うのはあまりにおかしな話です」

 

「なんでだよ?」

 

「幻想郷全体に広めるのは確かに止めた方が良いでしょう。その部分に関しては紫さんの発言は的を得ています。でも誰にも、と言うのは少し理解に苦しみます。私なら少なくとも幻想郷の有力者には話をしますね。例えば妖怪の山の天魔とか、紅魔館のレミリアさんとかに」

 

何故だ?と私は首を捻る。

 

「そんな難しいことではありません。霊夢さんを殺した人物は、博麗の巫女を殺すという間違いなく幻想郷最大の大事を起こした人物です。そんな人物の目的が、ただ博麗の巫女を殺すというだけなのか分からない。ならばまた犯人が何かを大事を起こした場合に、それを対処する必要があります。それをまた紫さん一人でできるとは限らない。ならば少なからず幻想郷でも力のある方たちにその事を話しておけば、その事態に迅速に対処できるはずです。幻想郷を一番に考えている紫さんが、そんな保険を一つも用意していないのはおかしいんですよ」

 

確かに言われてみればそうだ。紫の対応は、もう幻想郷に何か大きな事件など全く起きない事を前提にした対応だ。

 

「それに、その有力者が犯人だった場合の(くさび)にもなります」

 

(くさび)?」

 

「はい。ではもし、犯人がレミリアさんだったとして、紫さんから『博麗の巫女が殺された。幻想郷の混乱を避けるためにこの事は他言無用』と言われれば、レミリアさんはどう思いますか?」

 

「それは、どうにかして霊夢が死んだことを広めて紫の視線を自分から外したいと思うさ」

 

「はい。幻想郷中に広める行為は、霊夢さんを殺した犯人にしかメリットはありません。もし、レミリアさんがこの事を広めれば自分が犯人と言うことになってしまいますし、もし紫さんが話した他の人物に擦り付けようとして幻想郷中に話をしても、少なからず紫さんが話した有力者の中に犯人がいることになり、自分が疑われる確率が大幅に上がります。そもそも他の有力者にこの話をしているのかさえ、分かりませんしね」

 

なるほど。そうすればもうレミリア(が犯人だった場合)は大きな動きは見せれない。たとえ、奇妙な動きを見せて紫に言及されても『霊夢が殺されたなんて知らなかったから』なんて言う言い訳は通じない。レミリアは疑われないように、大人しくするしかない。

 

「それで分かるとおもいますが、今私がとっさに思い付くような対応を賢者である紫さんが思い付かないはずがないんですよ。それに紫さん、魔理沙さんが霊夢さんの死体を見つけてからすぐに来たんですよね。そうしてすぐにスキマを使って魔理沙さんを家へと放り込んだ。それから何かと理由を付けて、博麗神社に結界をかけて近づけないようにする。まるで魔理沙さんにわざと死体を発見させて、そして霊夢さんの死体を調べられないようにするためだとは思いませんか?」

 

私は当時の状況を思い出す。紫は私が死体を発見してからすぐに来た。今思えばタイミングが良すぎる。

 

「それとこれは紫さんに関係のない話なのですが、確か霊夢さんが咲夜さんに博麗神社を修復するのに必要な木材を頼む為に、紅魔館へ定期的に通っていた。そうですよね」

 

「ああ、咲夜が言うにはな」

 

「ではもしそれだけなら、本当にそこまでの頻繁で紅魔館へ行く必要はあったのですか?木材を分けてもらうだけ、それだけのために」

 

言われてみればそうだ。そもそも、霊夢よりよく紅魔館へ行っている私が知らないことを、霊夢が知っている確率は低いはずだ。いや、だがたまたま咲夜から聞いただけかもしれない。断定はできないか。

 

(またよく分からなくなってきたな)

 

はあ、と私は大きくため息をついて、肺から一杯に空気を吐き出した。そんな私の様子を見た阿求は、ふふっと笑って口に手を当てた。

 

「まぁ私が今まで言ったことは私の仮説に過ぎません。死体についても、なぜ足が切断されているのかはよく分かりませんしね」

 

そう言って、阿求は湯飲みを傾けて中にあるお茶をすすった。

 

「…………いや、充分参考になったぜ。ありがとうな」

 

そんな私の言葉に、阿求はいつもの笑顔で返事をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

阿求の屋敷を後にして、私が向かったのは自分の家の地下にある研究室だ。取り合えずそこで一旦、考えをまとめようとここに来た。なぜわざわざ地下の研究室に来たのかと言うと、私自身が普段から一番落ち着いて考え事ができる場所と知っているからだ。私は一人、狭い個室で椅子に座りながら、メモに今日分かったことを書いていく。

 

・霊夢の死因は頭を潰されたことによるもの。

・霊夢の片足は切断されている。

・霊夢の体から体から鈴蘭の毒が見つかった(紫談)。

・霊夢は私が博麗神社を壊してから今に至るまでの二週間、博麗神社の修復に必要な木材を分けてもらうために紅魔館へ頻繁に通っていた(咲夜談)。

・霊夢が死ぬ前日に、私とアリスが霊夢の元に一体の人形を持っていった(金髪で赤服、身体中に博麗神社にまつわる札が張ってある、その札には『私の怒りを忘れるな』と言う意味の文字が書いてある)。

・人形はメディスンの可能性が高い

・メディスンはアリスと鈴蘭の毒に関する何かの約束をしていた(鈴仙談)。

・霊夢の死体は偽物の可能性あり(阿求推測)。

・紫は嘘を付いている(阿求推測)。

・咲夜が嘘を付いている(阿求推測)。

 

 

 

 

こうしてまとめて見ると、阿求の推測が多い。

 

「まぁ阿求の言うことを全部鵜呑みにするのも良くないな。実際、阿求も自分で言ってたし」

 

私はその阿求の台詞を思い浮かべる。

 

 

 

《まぁ私が今まで言ったことは私の仮説に過ぎません。死体についても、なぜ足が切断されているのかはよく分かりませんしね》

 

 

 

 

(…………ん?)

 

なぜだろう?何でもないこの台詞に違和感を覚える。私は自分の中にある違和感を取り除くため、今一度深く考える。何度も台詞を反復させる。何度も何度も繰り返し、その引っ掛かりを見つけ出そうとする。そこで分かった。その引っ掛かりの原因を。思わず乾いた笑いが起こる。頭の中がぐるぐるとかき回されて、椅子ごと床に倒れそうになる。

 

なんで、なんで阿求はーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーなんで阿求は霊夢の足が潰されたのではなく、()()されていたことを知っているんだ?

 

 

 

 

そこで私ははっとする。誰か後ろにいる。誰かが私の後ろに存在している。冷や汗が全身から溢れて出て、ぶるぶると震える。

 

駄目だ、後ろを振り向いては駄目だ。

 

私の中の本能が激しくそう警告する。しかしそれとは裏腹に、首がゆっくりと後ろに回る。何か分からない力が私に作用する。

 

駄目だ!止まれ!

 

そう願っても私の頭は動きを止めない。ゆっくりとゆっくりと首が回り、やっとのことで視界の端に捕らえたのは、大きな隙間から飛び出た白い手が私を掴む瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




阿求がごちゃごちゃ言っていますが、これはーー

・霊夢の死体って思ってたやつ、本当に霊夢のものなの?
・ゆかりん嘘ついてるよ。
・咲夜さん嘘言ってるんじゃない?

ーーとこれだけを言っているに過ぎません。根拠を説明してたので、ただややこしく書いてるだけです。

さて、やっと終わりました。『誰がうそつきか分かりますか?』分かったら本当に凄いです。恐らくIQとんでもない事になっていますよ(真面目に)。

ヒントをいうなれば『誰一人信じるな』って事ですかね。もうこの時点で問題としての要素が消えています(笑)。まぁ改めて言いますが、これはクイズではなく読み物なので(考えるならば)軽い気持ちで適当に考えるくらいがちょうどいいです。

では次話が《解》なので、どうぞ。
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