博麗の巫女は妖怪の里へ飛ばされました   作:芝山

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第1話

なぜ私の()()()()木の枝があるのだろう?

少女―――――博麗霊夢は何故か木の枝に激突していた。

 

 

 

ある晴天の春の日、博麗霊夢こと私は今日も今日とていつも道理に竹箒で境内を掃き、賽銭箱に賽銭が入ってないかを確認し―――――――勿論、現実は厳しく賽銭は入っていなかったが―――――――少し落胆しつつもいつも道理にお茶を入れて、饅頭を食べ終わりぼやーっと桜を見ていたはず。

そう、いつもと()()変わったことは無かったはず。

変わったことといえば、桜が満開に咲いていたのでお茶を飲んで軽くお花見みたいにしようかなと思い縁側で飲んでいたことぐらい。…うん、あんまり関係ないわね。

まぁ、そんな日常の中にいた私が何故、木の枝をお腹にぶつけて地面に落下しているのだろう。

そして、そんな状況整理(現実逃避)の中で木の枝に激突した時に思わず「ぐがぁっ!」っと叫んだ私は悪くない。

とりあえず、状況を整理しようと仰向けの状態から地面に手を付き立ち上がろうと思ったとたん―――

 

「いぐわぁっ!?」

 

何故かお祓い棒と行李がお腹にヒットした。

当然、私はまた地面に戻される。

というか、何で行李?しかも、それなりに大きくて、重みがあるし…。

当たって欲しくないけど、何か嫌な予感がする…。

うん。気にしちゃ駄目よねー。

 

「全く、いったい何なのよ…。」

 

少し不満を呟き、お腹の上にある行李とお祓い棒をどかし上半身をを起こした時…。

 

ペラッ…ペラッ…

 

「…?」

 

今度は封筒が1枚上から降ってきた。

まったくどれだけ、上から物を落とせば懲りるのよ…。今日の天気は私の周りだけ物が落ちてくる天気なの?

そんな冗談を思いつつ、上からまるで私に読めと言わんばかりに降ってきた封筒を右手で掴んだ。そして、開ける方と裏側の方を見た途端、私は固まってしまった。

 

そこには赤い朱肉に判子をつけ押されたとみられる「雪」という字が在った。

 

その時、私は今日が特に変わらない日常では()()()()ことを思い出した。

 

「…はぁ…。」

 

 

思わずため息が出てしまうが、とりあえずちゃんと座って状況を整理しよう。

 

私はお祓い棒と風呂敷を持って木の枝に飛んだ。

そして、落ちないように風呂敷を木の枝に置いて座った。

 

さて、最初に場所の確認だ。

周りを見渡してみると、高い木々が至る所に生えており、日光を遮っている。そのためか、地面は少し湿っていて一部では苔の生えているところもあるみたい。

これは、十中八九「山の中の森」ね。だけど、ここはどう見ても幻想郷にある山―――――――言わずもがな妖怪の山であるが―――――――ではないだろうね。

なぜなら、辺りに漂う妖気の雰囲気が違うから。

 

通常、妖怪の山は妖怪(主に天狗や河童だが、一部神が住んでいる。)が主に住んでおり()()()()()()()それなりに妖気が強いところ。

そして、辺りを漂う妖気は何だか監視されているようなのを感じるものの、陽気な感じが漂っている。

 

この場所は妖怪がいる場所なのかわからないけれど、それなりに妖気は強い。だけど、妖気の雰囲気がまるで今にも殺しかけてきそうな殺伐とした感じがする。

何だか、この場所から自分の居場所ではないと否定されているような雰囲気だ。

そして、何より気にかかるのがまるでここの周辺一帯が結界の()()()()()に囲まれているという違和感。…今は余り結界のようなものに気を取られている場合じゃないので、無視しておこう。

 

要するにまとめると、この場所は幻想郷の外の世界の可能性が高いということよね。…嫌な予感が当たったわね。(非常に嬉しくないけど。)

だけど、まだ外の世界にもそれなりに妖気が集まる場所があるのかしら…。まぁ、どうでもいいか。

というか、アイツが飛ばすところだもの、幻想郷のはずがないわよね。妙に、ニヤケていたし…。

 

そんなことを思いつつ、私は先ほど思い出したことについて考えていた。

 

 

★回想

 

遡ることお茶を飲み始めてから半刻ほど過ぎた頃。

 

私は、ボーっとしながら桜を見ていた。

お饅頭はもう私の胃の中だ。

誰か美味しい茶菓子なんか持ってこないかなぁっと思った瞬間だった。

ほんのわずかだが風が止まったのを直感で気づき、アイツが来るなんて珍しいと思いながら前を見る。

 

風が私の目の前で集まってゆき、徐々にその中からある人物の姿が見えた。

 

海より深い色の長髪と、面白そうなことをみつけたように蒼色の瞳を細める人物ーーー朝凪 雪皿(あさなぎ ゆきさら)だーー

 

「一緒にお茶して良いかしら、霊夢。」

 

まるで、お茶をするのが当たり前のように言う雪皿。

なぁーに企んでるのかしら…。顔がニヤケているわよ…。

まぁ、それはさておき。

 

「…もう少し穏便に登場できないの?」

 

「まぁまぁ、別にいいじゃなーい。あ!ちゃんと茶菓子は持ってきてるわよ。」

 

「…ったく、相変わらずね。ちょっと、待ってなさい。」

 

…何か流された気がするけど、気にしない。

私は少し不満を持ちながらも雪皿の分のお茶を用意するのに立ち上がり、湯呑みを取り出してお茶を注ぐ。

そして、持ってきた風呂敷を置いて縁側に座っている雪皿に差し出す。

 

「ん、ほら。」

 

「ありがとう。これ、持ってきた桜餅。今、人里の方で話題になっている店の物だから美味しいはずよ。」

 

そう言って風呂敷を私と雪皿の間に置き、結び目を解いて箱を開ける雪皿。

瞬間、桜餅の独特の匂いが鼻の方に香る。

箱の中を見るとそこには、桜の葉に包まれた桃色の皮の桜餅が四つあった。

一見、普通の桜餅と変わらないようだけども…。

 

「良い匂い〜。でも、変わった点はそれ以外なさそうだけれど?」

 

「ふふっ、まぁ食べてみてよ。きっと驚くわ。」

 

微笑みながら桜餅を勧める雪皿。

言われた通りに桜餅を取り出して口の前まで持って行く。うん、いい香り。

 

「いただきまーす。…………!」

 

口の中に入れるとふわりといい香りが広がる。

噛むともちっとした食感とこし餡のなめらかさが伝わり、程よい甘さが口の中を満たす。だが、驚くのはここからだった。

噛めば噛むほど、少し塩の味がしてこし餡の甘さが増えてゆく。

だけど、甘過ぎず丁度良い甘さが広がる。

なるほど、こういう事ね。

 

「美味しいわ。これは、生地の中に塩が入っているのかしら?」

 

「ええ、そうみたい。あと、ここの桜餅は少し作り方と保存方法に工夫を加えてるみたい。さて、私も一つ頂こうかしら。」

 

なるほど、香りの違いはそこね。

とまぁ、私は呑気にお茶を飲みつつ考えていたわけだ。

そして、少し時がたった頃、私は疑問に思っていたことを話した。

 

「ねぇ、雪皿。あんた、何を今度は企んでいるの?」

 

私が話した瞬間、まるで悪戯っ子のような笑顔を私に向けた。

 

「あら、バレた?でも、今回はかなり真面目な事よ。聞きたい?」

 

…嫌な予感がする。とても嫌な予感がする。

是非とも当たらない事を願う。

正直、雪皿がお茶を飲みに来た後は何かしら起こるのだ。いや、それはもう必ずと言っていいほど。(例えば、異変が起きたり等々…)

何故か、差し入れとかで食材を貰ったりする時や宴会の時に来た後は何も起こらないのに、お茶を飲みに来た時は別で本当に何かしら起こるのだ。

いや、ホント恐ろしい。

私の体に徐々に冷汗が流れてゆくのがわかる。

 

「おーい、霊夢大丈夫?」

 

どうやら、固まっていたようだった。

でも、これはしょうがないと思う。

とりあえず、返事しておこう。

 

「ええ…大丈夫よ。」

 

「そう、なら良かった。だって、今回の件は()()が大きく関わっているからー。」

 

そう言って、楽しそうに笑う雪皿。

そう、今回の件は私が大きく関わっているのね。

……へっ?

 

「はぁ!?いったいどういう事よ!?そんなことを聞いてないわよ!?」

 

「だって、言ってないもの。と言うより、言う訳ないじゃない。でも、安心してー。()()()()一年くらい()()()()修行しに行ってもらったりするだけだから、多分。」

 

「はぁ!?」

 

えっ、ちょっと!!修行って何よ、修行って!!

しかも、一年くらいって…。へっ!?一年!?

 

「ちょっと、待って!!どういう事!?」

 

「大丈夫よ。詳しいことは後で書いて送るし、衣服とかも送って上げるから。」

 

「何で行くこと前提なのよ!?」

 

「大丈夫よ。私が()()()()飛ばすだけたがら。んじゃ、早速飛ばす準備するわね。」

 

「ちょっと、待ちなさいよ!!一体どういう事!?」

 

いきなりで何がなんだかわかんないんだけど!!

 

「あっ、飛んだ時()()()()地面に飛ばされる事って無いから気をつけてねー。」

 

「ちょっと、って!!…!!」

 

いきなり、私の下に黒い穴が現れた。

じゃなくって!!

 

「行ってらっしゃーい。」

 

雪皿がそう言うが最後に、私は叫びながら穴に落ちていった。

 

 

 

 

私は思い出したことに顔を引き攣らせつつ、ずっと袖に入れておいた封筒を出す。

…というか、本当に訳が分からなかったわね。

でも、やる事が分かったわ。

私は手元の封筒を見る。

さて、開けますか。

 

ピリピリッ…

 

私は封筒を開けて中に入っている紙を出す。

ーーーーーーーーーーーーーー

拝啓 博麗霊夢へ

 

いきなり飛ばしてごめんね。

物は届いたかしら?行李の中には霊夢が着ている巫女服が一着と仕事用に使えそうな古着が二着、手ぬぐいが二枚入っているわ。

きっと、役に立つと思う。

さて、今回貴方を飛ばした事についてだけど。

まず、場所についてね。

場所は変なとこらについたとはいえ、ある里にいるはずよ。その里は簡単に言うと外の世界で妖怪のみが住んでいる所よ。まぁ、詳しいことは後々わかるはず。

 

次に、飛ばした内容について。

なぜ飛ばしたかというと、飛ばす前にも言った通り修行してもらうためよ。

いくら関係ないとはいえ、巫女として外の妖怪の世界やその周りの状況について学んできて欲しいと思います。きっと、驚かされる事が多いはずよ。まぁ、()()()()も少し入っているのだけれど。

それで、最後にちょっとした約束よ。

あんまり、幻想郷について話さないこと。

妖にせよ人間にせよ、知っている人は少ないと思うけれど念のため、ね。

とりあえず、何か幻想郷について聞かれたら何も応えないこと。多分、話したら色々聞かれると思うし面倒な事になりそうだから。もちろん、この面倒な事は貴方にも関係あるわ。

きっと、情報を聞き出すために貴方を襲うものが増えるだろうしね。

とまぁ、このぐらいかしら?

あ、最後に、この里の首領に貴方を預かってもらう予定よ。

事前に連絡はしていないけど顔馴染みではあるし、これから送るというか、貴方が呼び寄せる予定の風呂敷に手紙と贈り物が入っているからそれを渡せば大丈夫だと思う。

呼び寄せの呪文を下の方に書いておくわね。

では、頑張ってね。

 

呼び寄せ呪文

 

我、博麗 霊夢は朝凪 雪皿からの物を受け取る。

 

あ、あと、不審者という理由で里の妖から()()()()可能性あるから気をつけてー(まぁ、行動しない限りは監視しているだけだと思うけど。)

襲われた時に首領の屋敷に案内してと私の贈り物のことを理由に言えば半信半疑だけれど、連れていって楽なはず。決して襲い返しちゃ駄目よ。

今後不利になるから。

 

この紙は物を呼び寄せたら封筒ごと霊力で燃やしてね。

 

敬具 朝凪 雪皿

ーーーーーーーーーーーーーー

 

「はぁぁぁぁぁ!?」

 

はぁ!?ちょっと、本当にどういう事!?

妖怪の里で一年間修行!?というか、襲われるって!!いきなり過ぎてよくわかんないわよ!!

何なのよ!!

……とりあえず、落ち着こう。

 

「…ふぅー。」

 

…よし、落ち着いた。

じゃあ、手紙の情報を整理しましょう。

 

まず、最初に。

話の全体的に何か、妖怪の里で修行するのが前提で話が進んでいるけど仕方が無いわよね。

頼れるのがそこしか無いし、雪皿の風呂敷をあげれば大丈夫みたいだし。

この際妖怪がなんだかんだ言ってらんないわ。

 

次に、行李について。

正直、これには感謝ね。世話になる方に迷惑かけないし、予備の巫女服あるし。

手紙を読んでいると仕事があるみたいだから普段は古着を着ていた方が良さそうね。

後で、古着の方に霊力込めてすぐに破れないようにしないと…。

 

じゃあ、次の飛ばした内容のところね。

場所のところは理解したから省くわよ。

…理解し難いところがあったけど。

それは置いといて、修行して来いっていっても妖怪の里で何ができるのかしら?

とりあえず、術関係ではない事は確かよね。

ここにも、外の世界についてって書いてあるし。

まぁ、適当に一年間過ごせばいいんじゃないかしら。

さて、これも良いとして次ね。

(正直、最後の私の都合とか書いてある所に腹が立ったけど。)

 

次は、約束についてね。

これは、守るわ。だって、自分に面倒な事が多すぎる。

しかも、ただ単に幻想郷について黙っておけば良いだけで、楽だし。

ってことで、次。

 

次は首領への贈り物についてね。

これは後でやっておこう。

じゃあ、次。

 

……これ結構重要よね。

まぁ、怪しい事しなければ大丈夫みたいだけれど。

というか、さっきから薄々気づいていたのだけれど、監視されているわね。何となく視線がある気がするわ。

…此の里で問答無用に妖怪退治するのやめようかしら。というか、周りが妖怪だらけのはずだからキリがないのかもしれないけれど。

後で監視している妖怪に案内してもらおうかしら。

使えるものは使えってね。

 

 

…さて、だいたい整理できた所で呼び寄せますか。

私はお祓い棒を腕に通し、行李と手紙(封筒も)を持って地面に降りてゆく。

そして、平らな所に着地して持っていた行李を地面に置く。

さて、と。読み上げれば良いのよね。

 

「ふぅー…。『我、博麗 霊夢は朝凪 雪皿からの物を受け取る』…。」

 

すると、胸の前に陣が現れて眩く光る。

そして、だんだんと光が収まり一尺位の物を包んである風呂敷が現れる。

私は腕を風呂敷の下に出し、陣が消えたと同時に受け止める。

重い…。

とりあえず、物は受け取ったっと。

 

さて、監視している人を呼びますか。

何か、物を受け取る時にその人から殺気を感じたけど気にしちゃ駄目よね…。うん。

私は風呂敷を地面に置いた。

おっと、封筒と手紙を燃やし忘れる所だった。

手に封筒と手紙を置き、意識を込める。

すると、徐々に紙は燃えてゆき消えた。

 

さて、と。

私は息を吸って、斜め右上の方に視線を向けながら言う。

 

「…ねぇ、そこにいるの解ってんだから出て来なさいよ!」

 

すると、斜め右上の方から黒い髪にバンダナをした妖怪が現れた。

そして、その妖怪は私を見ながら顔を顰めて警戒心を露にしており、完全に武器を構えている。

…襲う気満々じゃない。

しかも、武器は鎌かしら?

何か、嫌な予感しかしない…。

 

「…おい、お前。どうやって、この里に入った!要件は何だ!!」

 

突如、私にそう叫ぶ妖怪。

とりあえず、首領の人に合わせてもらうために素直にそう言おう。

 

「…要件はこの里の首領に贈り物がある事、そして私は修行をする為に此処に来たわ。ねぇ、あんた!首領の所に案内してくれない?」

 

所々に、嘘があるけれどあながち間違ってないわよね。

 

「…。」

 

「…。」

 

「…。」

 

「…。」

 

「…。」

 

…相手の妖怪は動かず考え込んでしまった。もう、一分ぐらい経ったのだけど…。

このままだと話が進まないので私から動こう…。

私はため息をついて、もう一回話す。

 

「ねぇ、あんた聞いてる!?案内して欲しいんだけど!もし、私が怪しい事起こした場合、斬っても良いからさ!」

 

「…!」

 

ホントは嫌だけれど。

まぁ、実際襲われたら弾幕放てば良いだけだし。

あ、相手の妖怪が構えを解いた。

 

「…分かった、連れていこう。たが、手を出したら只では済まないぞ。」

 

そう言って、飛び上がり木の枝を渡って行く妖怪。

だから、手を出さないって言ってるでしょうが。

…じゃなくって!追い掛けなきゃ!!

でも、いざ追い掛けるとなるとある問題が発生した。

 

どうやって、行李と風呂敷持って行こう…。

行李はそれなりに大きいから、両手で持つことになると風呂敷が持てないし…。

どっちか、霊力で浮かせられないかしら?

…まぁ、物を浮かせるのは初めてだけれれど、どうにかなるわよね。

 

私はそう思いながら両手を風呂敷の方に向ける。

コントロールが心配だけれど、重さ的にこっちの方が良いはず。

そして、両手に力を入れて意識を風呂敷の方に向ける。

すると、うっすらと青白い光が風呂敷を包み浮き上がらせる。

私は意識を風呂敷に()()()()()両手を降ろし、行李を持ち上げる。

…案外、大丈夫そうね。

私はそう思い、浮き上がって妖怪の後を追いかけた。

と思ったら、その妖怪が木の上にいて待っていた。

…ちょっと、以外。

妖怪は何故か固まって目を見開いていたが、すぐに無表情になり言った。

 

「…行くぞ。」

 

そう言って、木の枝を渡りながらかけて行った。

私も飛んで追いつく。

 

すると、妖怪は一緒視線を私と風呂敷に向け呟いた。

 

「…その浮かせているのは陰陽術なのか?」

 

…陰陽術って何?

いや、言葉は知っているけど。

具体的にこれがどうなのかは分からないわね…。

 

「…陰陽術かなのか知らないけど、多分そうじゃない?」

 

「…そうか。」

 

妖怪は満足したのか黙った。

それ以降、一切話がないまま暫らくすると、大きな屋敷が見えてきた。

大きな妖気を感じる…。恐らく、かなりの数の妖怪がいるはず。

まぁ、どうでもいいけど。

 

 

頭の中でどうこう言ってるうちに、屋敷の前で妖怪が止まったので私も止まる。

それを確認した妖怪が屋敷の中に入って行った。

私もそれにつられて入って行く。

屋敷の玄関には人形の女妖怪が二人いた。

どうやら、私を見て固まっているようだ。

だがそんな女妖怪達の反応を無視して、妖怪が靴をを脱いで上がって行く。

私も靴を脱ぎついて行く。

 

そして、妖怪がさっきの女妖怪達に向けて言った。

 

「イタクだ、赤河童様が妙な気配がするという所に行ったら怪しい者がいたので連れてきた。至急、赤河童様の所に通して欲しい。」

 

すると、女妖怪達は目を見開き、声を潜めて妖怪に言った。

…視線はこっちの方を向いているけれど。

 

「…ちょっと、イタクさん。あの女人間ですよ!?」

 

「そうよ!?そんな怪しい小娘を赤河童様に通すだなんて…。」

 

「しかも、陰陽術みたいなものを使ってますし…。」

 

そんなことを言う女妖怪達。

そういえば、ここ妖怪の里だったわね。

だから、こんなにも人間がいることに驚いているのかしら。

そんなことを思っていたら、妖怪が女妖怪達に向かって話した。

 

「その事も含めて赤河童様と話したい。なので、至急伝えて欲しい。責任は俺がとる。」

 

それを聞いた女妖怪達は血相を変えて奥の通路へと駆けていった。

…忙しい人達ねぇ。

 

「おい、このままついて来いよ。あと、何にも行動するな。」

 

そう言って、奥の通路の左側に曲がる妖怪。

さてと、ついて行きますか。

 

「……。」

 

「……。」

 

「おいおい、人間の小娘が来たらしいぞ。」

 

「なんだと!?どうやって…。」

 

「しかも、陰陽術を使うらしいわよ…。」

 

「服装も巫女服の用だって言っていたし。」

 

「いったい、何のようなんだそいつは!!」

 

部屋を通る時に聞こえる野次馬の声。

一応障子で遮られているものの、全て聞こえるし、何か見られている気がする。

というか、そんなに人間が来るのが珍しいのかしら…。

まぁ、陰陽術使うとか囁かれてんだからしょうがないか。

 

 

暫らくすると、妖怪が大部屋の戸の前で止まった。

どうやら、首領はここにいる様だ。

そして、妖怪は大部屋の戸に向かって話した。

 

「失礼します。イタクです。赤河童様が言っておりました妙な気配の所に行きましたら、人間がおりましたので連れてきました。」

 

「うむ、入れ。」

妖怪はそう言われ戸を開けて部屋に入って行ったので、私も入る。

だが、入った瞬間驚いて固まってしまった。

なぜなら、奥にいる首領と思われる人物の姿が予想より大きかったからだ。

いくら、私でもビビるわよ…。

だが、そんなことを思っている暇はない。

私は首領の前まで歩き、そして私を連れてきた妖怪が首領の前斜め右座ったのを見て挨拶する。

…勝負はここからね。

 

「失礼します。私の名は博麗霊夢です。」

 

そう言って、一礼する。

 

「うむ。座れ。」

 

よし、まず最初は大丈夫そうだ。

私は座ってそのまま挨拶を続ける。

 

「今日は、貴方様に贈り物と頼みがあって来ました。」

 

すると、首領は眉をピクッと動かして私を睨んだ。

 

「頼みだと?人間が妖怪の里に頼みなど何もなかろうて。」

 

嫌味を言われて睨まれる。

だけと、私はそれを無視する。

 

「…まず、先に贈り物をお渡しします。」

 

そう言って風呂敷を引き寄せて床に置き、結び目を解いて差し出す。

「どうぞ、お受け取りください。」

 

「…。」

 

首領は私を見て何も動かない。

要するに否定されているのだが、ここで引くわけにはいかない。

こっちには、嫌々だけど今後の生活がかかっているのだから。

 

「…非常にご無礼なのは重んじております。

ですが、せめてでも文は読んで頂けないでしょうか?」

 

首領はしばらく私の眼を見つめた後、渋々といった感じで頷く。

 

「…よかろう。そこまで言うのなら、いたしかたない、読もう。」

 

「…。」

 

そう言って、文を読む首領と無表情のまま私を見る妖怪。

 

「…!何と…。」

 

すると手紙を読んでいた首領が、いきなり目を見開き私と文を交互に見る。そして、少し俯き視線をあの妖怪の方に向け呟いた。

 

「…イタク、すまぬが人払いをしておくれ。」

 

私は文の内容を知らないが恐らく、人払いでもしろとか書いてあったのね。

 

「しかし!赤河童様!!」

 

「どうしても…、この人間と話す内容は他の者に聞かれて欲しくないのだ。」

 

その言葉に驚きつつも一瞬私を見て視線を前に戻し、不満げながらも妖怪は渋々頷いた。

 

「…畏まりました。」

 

その瞬間、あの妖怪は去っていき屋根裏や廊下から感じる視線も消えた。

私と首領しかいない空間に沈黙が流れる。

先に沈黙を説いたのは首領のほうだった。

 

 

「…まず先に聞きたい、お主が雪皿の知り合いであることは確かか?」

 

 

 

 

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