「VRMMORPG…?」
「virtual reality Massively Multiplayer Online Role-Playing Game(バーチャル・リアリティ・マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロール・プレイング・ゲーム)の略語さ!仮想現実大規模ロールプレイングゲームとも言うね!
ゲームにアニメに漫画にグッズ、エトセトラ。大人から子供まで、かつてないほどの大人気となったポケットモンスターはなるべくしてオンラインゲームと化したわけだ。しかも、ただ選択するだけの以前のゲームじゃない。
よりリアルに、あえて言うならばアニメのような自由度が高く、柔軟性のあるバトルができるようにシステムも多少変化している。
コマンドではなく音声による指示や、技を組み合わせた自分だけのコンテストバトル、フィールドの有効利用に友情・根性・愛情といったいわゆる絆のチートとやら、撫でたりポフィンやポロックを与えることも、一緒に寝たり食べたりと生活を共にすることも、ボールの投げ方なんかも自分で好きなようにすることが可能だ。ちなみに1ターン1攻撃制度もなくなった。それが吉とでるか凶とでるかはプレイヤー次第だがね。
バトルのルールも追加されていて、数の指定はもちろん、見せ合いの有無やダブル・トリプル・ローテーション、道具もポケモンのみかトレーナーもアリかの選択、そして技の数もフォースキル・フリースキルの選択ができるのさ!ポケモン自体はわざをいくつでも覚えられる仕様になったからね。
まあその背景にはよりリアリティを出すために食費や光熱費その他諸々の生活費も支払う必要性ができた、ということもあるのだけれどね!
君が決めた【設定】にもよるけれど、おそらくポケモンを大量に保持するのは大部分の人にとって難しいものとなるだろう。なんせポケモンのベストコンディションを維持するためには、いろいろとお金が物入りだ。
まあ、そのための対策措置というわけさ。秘伝わざですべて覚えているわざが埋まってるポケモンなんて、バトルではあまり使い物にならないからね。
ああ、ちなみに目があっただけでバトル開始――なんて理不尽なことにはならないから安心したまえ。残念ながら君の世界がどうなっているかは知らないが、此処でのバトルは全てのルールを制限し、お互いに受諾した上で行われない限り有効とならないさ!カツアゲに遭うこともない。しかし万が一そんなことがあったら私に言えばいい。君の世界に関与する気はないし、というかできないだろうが、此処においては私の力の及ぶ限り力になるとしよう」
つらつらと語られる言葉は一気に頭には入ってこない。
しかし少し気になったのは、まるで、一人ひとりにその人のための世界があるようなことをいうものだ、ということ。
そのことについて問えば、「もちろんあるとも」と答えが返ってくる。
「赤・緑・青・黄・金・銀・水晶・紅玉・蒼玉・翠玉・真珠・金剛石・白金・黒・白、君がどの、そしていくつのパッチを持っているのかは知らないが、そのパッチに応じた君の世界が君のことを待っていることだろう!パッチがすなわち君の世界を開く君だけのキーだ。君の世界へは君以外の誰も行くことができない」
「MMORPGなのに?」
「だからこの場所がある。【ハイリンク】と呼ばれる場所さ。いわゆるプレイヤーである者たちだけが来れる場所。一種の異次元、もしくは閉鎖空間のようなものさ。ここには野生のポケモンはいないし、プレイヤー以外の住人はいない。ここで交換やらアイテムや情報の売買やらバトルやらの交流に励むというわけだ!」
「…それだけ?」
「では逆に聞こうか。それぞれ固有の世界がなかったらどうなると思う?」
「どうなる、って…」
「リーグ制覇者が大量発生する可能性は高いだろうなあ。そうなるとリーグやジムリーダーの強さが疑問視されて、全員プレイヤーに置き換わるかもしれない。このゲームはポケモンの世界をよりリアルに再現してあって、この世界での生活や住人たちとのコミュニケーションも売りなのに、目当てのキャラの位置に別の人がいたら嫌だろう?」
好感度システムとかあるのだろうか。
「あるとも」と即答された。顔にでていたのだろうか。
「それに世界観上伝説のポケモンは一体しかいないのに、プレイヤー達が同一世界にいてごらんよ。世にも醜くて誰にも止められない争いが勃発するだろうよ。大体MMORPGは俺TUEEEEEEEE!!がやりたくて集まってくる連中がわりと多いんだ。それなのにチャンピオンやポケモンマスター、コンテストマスターが大量にいてごらんよ。萎えるだろう?」
それは、なんというか。
「とりあえず、詳しいことは場所を変えて2人で話そうか。このあたりでバトルをしたそうな奴らがちらちらこっちを見てる」
知らず邪魔をしてしまったようだ。言われるがままに手をひかれ、人気のない森の方へと進んでいく。あのふわふわの生き物たちは置いていくようだ。しばらく歩いていくつか切り株がある少し開けた場所につくと、彼女は切り株に座り込んだ。
「さて、ここで聞きたいことがある」
彼女は眼を鋭くすると、いたって自然な動作でピンと上空にボールを投げてみせた。パァン、という音とともに彼女と同じくらいの身長の生き物がボールの中から現れる。
「君、一体何者だい?」
言いながら口元は弧を描いているが、目は全く笑っていない。
「正直に答えてほしい。残念だが、仮に君が初心者でなく最強のポケモンを持つチャンピオンだとしても、私のサーナイトに君が持っているポケモンで太刀打ちするのは不可能だ、と断言しておこう」
「何故」
「この子のレベルは100を超えているからね」
どういうことだ。そういった意図を込めて見れば、彼女はやれやれと両手を挙げて肩をすくめた。警戒は未だ解かれていない。
「製作者権限というヤツさ。私の仕事はゲームの中でプレイヤーの動向を観察し、不穏な動きがあれば対処することだ。そのために特別処置として、私の持っていた元のゲームソフトからの引き継ぎかつレベル制限を解かれている。ああ、ちなみに隠しイベントではあるが、一般プレイヤーも条件を満たせばレベルは無制限にできるから問題ない。頑張ってくれたまえ」
にっこりとうすら寒い笑顔を浮かべられる。おそらくそう簡単に満たせる条件ではないのではないだろうか。嘘は、言っていないのかもしれないが。
「私が作ったのはこの【ハイリンク】のシステムまでだけれどね。だから生憎それぞれのパッチや他の機能については詳しくないんだ」
でもね。と彼女は続ける。
「自分が用意したアバターについて、詳細までは覚えてなくてもこれだけは言える。私はね、青く光るようなそんなアバター、見たことないよ」
連れてきた彼は単純にレアなエフェクトだと思っていたみたいだけどね。
そう言われて、体が蒼い燐光をまとっているのに気が付いた。生き物――ポケモンを見た時点で、思わず警戒して出してしまっていたらしい。これは単純にこちらのミスだな―――そう思ってひとり頷くと、彼女はそんな反応を見て、なんとも言えないような感じで言った。
「君はバグなのかい?」
「ハッキングしたとか改造した、じゃなくて?」
「だって、どうやってそんなことするんだい」
「ゲームなのに」
「ゲームだからさ。そして某ゲーム風に言うなら私たちは【未帰還者】だ」
ログアウトできない、いわゆるゲームに閉じ込められた住人ってことだよ。
「何故か五感はあるし、三大欲求やらなにやら、現実世界と同様にあるから実感はないけれどね。しかし私もプログラマーの端くれだというのに、全くコードに干渉できないのだから無能もいいとこさ。そもそもどこでどうやって入力するのかわからない。ハッカーや違法改造する人がいるならぜひともご教授願いたいものだ」
もし君がそうだというなら、是非教えてもらえるかい?
慌てて首を振れば、「それは残念だ」と至極残念そうに彼女はつぶやいた。
「取り乱す人とかは、いなかったの」
「いたよ。だから、忘れさせて彼女の【世界】に送った」
基本的に親や出身地といった細かい設定までして、個人仕様にこだわったパッチが配布されるのだ。それだけ元のゲームよりは高価で注文から発送まで時間がかかるようになっているものの、それだけの価値がある作りこみようになっている。プレイヤーが自らがプレイヤーだということを忘れても、その世界の住人の一人として普通に暮らしていけるレベルには。
「選んだのがサーナイトでよかったよ。そういった対応にエスパーやゴーストタイプのポケモンはとっても適している。嘘なんかも分かるしね」
いつもありがとうね、と彼女は傍のサーナイトを撫でた。サーナイトはふわりと慈愛に満ちた優しい笑みを浮かべる。
なるほど。そういうからくりでここは平和を保ち、まわっているのか。そうか。
まだ観測したことがないのにやけに"if"が多く存在すると思ったら、そういうことだったのか。
存在する似たような「個人の世界」は「平行世界」とひどく似通っている。それはあの機関が好む「もしも」の可能性の模索の結果ともひどく似ている。此処はきっとあれにとっての絶好の観測場所となるんだろう。
「それで、君は一体何者なんだい?バグ?ハッカー?はたまた別のなにかかい?」
「そうだな、あえて言うなら」
すっかり思考に集中してしまっていたようだ。そして自分の定義を思い返して、なんといえば一番伝わりやすいかを考える。自分が何なのか、どういうシステムで此処にいるのか、何がしたいのか、そんなことを説明していたらキリがない。
「神様、ってやつだな」
彼女はぱちり、と目を瞬いて、「おや、まあ」と声を漏らした。
「恰好が制服の少女ってのはどうだろう。いやいや、似合っているし、君の容貌はとても可愛らしい。しかし、せっかく蒼く発光するくらいだ、髪をこう蒼っぽい銀とかにして、服も青系統で統一してはどうだろう――ああ、性別を変えてみてもいいかもしれないね。今の君は男どもがなんだか群がりそうな愛らしさだ――訂正する。今度は婦女子が群がりそうだ。もう少し年齢を抑えて、…ああ、いいんじゃないか?ショタな腐女子が湧きそうではあるが、絶対数がまだ少ない可能性はある。賭けてみてはいかがかな」
言われるがままに姿を変えてみて、しかし変な人だと思う。普通神様とか言われたら「頭おかしいんじゃないか」とか、状況を考えれば「元の世界に還して!」とか言われそうなものだが。
「ああ、どうにかできるならしてもらっても構わないが、できないならできないで構わないんだ、私は。残っている人も同様さ。騒ぐ人や悪いことやらかす鬱陶しい奴らはすでに記憶消去で彼らの世界へ送ってある。【ハイリンク】にいるのはもはや自分の世界で生きることに前向きな連中だけだ」
それに、私はむしろ感謝したいかもしれない、と彼女は警戒をすっかり解いて笑う。
「そりゃあ最初のハイリンクの混乱ぶりはすごかったし、私はとても忙しかった。けれど、落ち着いた今となっては現実世界では考えられないとても楽しい自堕落生活を送っている。私の動きがどう作用したのか分からないんだが、お金に困らないニート生活なんてすばらしいと思わないかい?こればっかりは神の采配とやらに感謝するしかないと思っているんだ」
にこにこしている彼女に本当に変な人だな、と思う。
私に、…今は少年の姿だったな。俺に何も求めないなんて、本当に変な人だ。
けれどまあ、悪くはない、な。
「せっかくだから帰る前にハイリンクを観光していきなよ神様!狭いし魅力的な建物なんかはないけど、なかなかバトルも迫力があるし、見応えがある!バトルが苦手な人も良く考えて努力値屋さんとかいろいろやってるんだ。面白いぞ!」
伸ばされた手を、少女だった蒼い少年は多少戸惑いながら掴んだ。
少年のカタチのそれは、いずれある少女にイデアと呼ばれるモノだった。
イデアはまた別のアレなので存在については深く気にしないでよろしい。全く関係はしてこない。一言で説明するならいわゆるよくある神様転生系のカミサマです。
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フォースキル・フリースキルは造語です。ようするに覚えている技を無制限で使えるか、4つに制限して使うかということ。フォースキルの場合、5つめの技を出した時点で敗北となる。基本的に判断は審判が行う。
ちなみに孵化選別作業をこのゲーム上でやるのは非常に難しい。費用と日数もそうだが、人道的にアレなので、周囲の好感度がガンガン下がる。
あと性格補正がそこまで重要視されなくなりつつある。補正ありだと、ポケモンとトレーナーとの性格の相性がよければ別だが、初めはかなりの確率でポケモンがいう事をきかない=努力値が振れない(戦わなかったり、勝手に適当なポケモン倒したりするため)=致命的。
よって性格は補正なしの「まじめ」や「すなお」といった方が好まれるようになりつつある。性格補正ある=個性的も同義なため。
隠しイベント:レベル制限解除はわりとっていうかかなり条件が鬼畜。
まず対象のポケモンを手持ちから外しちゃいけない。何があっても外しちゃいけない。外した時点でイベントは発生しなくなる。
なつき度MAX。
勝利回数が10000回以上。
レベルが100になってからの戦闘1000回以上。
敗北回数が100回以上でうち30回は100レベの状態での敗北、なおこの敗北はうち対象となるポケモン単体での敗北、またいわゆる「めのまえ が まっくら に なった !」という全滅状態での敗北がそれぞれ30回以上含まれていなければならない。
抜け道としてはポケモンが勝手にバトルをして敗北するくらいか。その場合は単体・全滅の両方の敗北として換算される。100回以上負けなければいけないのは変わりないが。
基本的にポケモンが勝手にバトルをするということはない(トレーナーが怒るから)ため、もしも意図的にこのイベントを起こすならばかなりの出費を覚悟しなければならなくなるだろう。(ハイリンクではバトルに負けたらそのとき持っていた金額の半分を渡さなければならない)(ただし生活最低額は自動的に保護されるので問題はない)(お財布がかなり寂しくなるけどね!)
最初の時点でこのイベントの存在を知っていればまだマシだが、そうでなければかなりひどいことになると思われる。
レベル100まであげたらそうそう個人の世界において負けれないためである。
わざと負ければポケモンのなつき度が下がるため、全力で闘って負ける必要がある。(この時点で大部分のトレーナーはハイリンクでバトルをする必要性が生まれる)(つまりお財布がry)なおこのイベントはプレイヤー・キャラクターの差別なく発生する。
キャラクターにおいては個人の【設定】や世界に対する働きかけによって発生が左右される。
参考までに。現在のリオのサーナイトのレベルは193、エーフィは114。キュウコンは100でカンスト状態(レベル制限無解除)、タブンネは87、ミロカロスは80、エルフーンは努力値振った直後が37、のちにミロカロス狩りまくって69。今後もこの子ら勝手に身内でバトルしまくるからレベルは上がりまくると思われる。努力値配分も考えてるけど、まあ興味ないだろうから割愛です。ちょろっとは出すかもしれないけど。
ちなみにサーナイトは最初から制限なかったんだけど、エーフィはサーナイトに喧嘩売りまくって気が付いたら制限とけてました。(多分主人公のファーストポケモンっていうポジションが気に入らなかった)最近はサーナイトのことを認めているのか喧嘩売るっていうより腕試し的に挑むようになってる。でも隙あらば倒す気満々。さらっとあしらうママンまじぱねえ。