東方八風凛   作:翠月茉弥

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一周年記念コラボ編〜異世界の幻想達〜
コラボ第1弾 無と悲しみの少年【東方無集録】


人間という物は過去に起こった出来事により自らの感情を隠したり原因となった感情が欠如したりする。これはそんな少年が常識に囚われないもう一人の少女と出会った話。

 

地底に存在する屋敷、地霊殿。そこに異世界からの客人である少年がいた。今、少年は特に何も無いのに笑っているが何かを思い出したりして笑っている訳ではない。彼は常に笑っているのだ。まるで過去にあった事を忘れるかのように。実際彼の過去は辛い物だった。だが、それを語ったりするのに抵抗がないあたりある程度は受け止めているのだろう。そんな彼の名前は全無 真也(ぜんむ しんや)。この幻想郷(東方八風凛)とは違う幻想郷(東方無集録)の住人であり、その世界の主人公。そんな彼が待っている相手はここの世界のいわば主人公である八雲 夏凜だ。彼は少し夏凜にどんな人物なのだろうかという関心を持っているがその感情を取り戻したのもつい最近の出来事である。そのまま待っているとようやくドアが開いた。そして額に汗を滲ませながら息を切らす、帽子を被った緑髪の少女が現れた。

 

「はあ・・・はあ・・・、本当にすいません!」

「別にいいよ〜。変な人に美味しい物を食べさせてもらったからね〜。」

 

気にしていないという様子を見せる真也。正直どこまで本当でどこまでが嘘か分からないが彼の様子からして本当だろう。・・・変な人が誰か気になるけど。本当に変な人が何者か気になるが多分ベルフェゴールの事なのであえて気にしないでおく。ずっと笑っている真也に少し警戒しつつも彼と向かい合う形で椅子に座る。

 

「はじめまして〜、僕の名前は全無 真也。よろしくね〜?」

「ご丁寧にどうも。私の名前は八雲 夏凜と言います。」

「夏凜ね〜。で、どういう訳か僕が君の世界にいる訳だけど理由知ってる〜?」

「分かりませんけど・・・多分原因はお婆ちゃんだと思います・・・。」

 

そう言って申し訳なさそうにする夏凜。なんだかんだであの親子は八雲 紫に振り回されているのだ。しかもその意図が読めない為、更にタチが悪い。夏凜も祖母を尊敬はしているものの、反面面倒くさがっているのも事実である。そのまま黙っていると突如スキマが開いた。

 

「あら、どうしたの?二人共全く喋ってないじゃない。意外と似たような境遇だったから話しやすいと思ったのに。」

「・・・君、僕の所の紫だね。何の用?」

「分からないと思ってたけどバレてたのね。そうねえ・・・別世界の私の孫を見に来たじゃダメかしら?」

 

そう言い夏凜の方へ目を向ける紫。だがその目は少し殺気を孕んでおり、夏凜は恐怖で顔を青ざめ震えていた。いや、厳密には紫の殺気で怯えているのではない。真也から溢れる殺気で怯えているのだ。殺気と殺気のぶつけ合いをしながら話し続ける二人。

 

「さっさと帰りなよ?僕が君を殺す前にさ。」

「ここには私が二人いるのよ?私達の手にかかれば今度こそ本当に赤子「そのよく動く口を無くしてあげようか?」・・・!?」

 

途中で口を挟まれ言葉が出なくなる紫。真也はさっきよりも強い殺気を紫に向け、話した。

 

「本当に学習しないね君は。同じ事を言ってこの前ビビってたの忘れたの?忘れたなら思い出させてあげようか?」

「・・・な、何をするつもり・・・?」

 

恐怖で言葉がちゃんと出なくなる紫。すると真也は夏凜の方へ歩くと夏凜の肩に手を置き、笑顔で夏凜の方を見るともう一度紫の方を向きこう言った。

 

「そのまま二人で来るか、本当に思い出せないって言うならここにいる夏凜と一緒に君を殺す。言っちゃあ酷いけど夏凜は人質みたいな物だから向こうの紫はこっち側につくかな?」

「・・・確かに私を人質にしたならお婆ちゃんは真也さんの方につきます。ですが、これだけはそちらの紫さんに言わせてください。」

「な、何かしら?」

「あまりその姿で私に醜態を見せるな。今度私の前で醜態を見せたら真也さんでもそちらの世界の誰かでもなく私が直々にぶっ殺す。」

 

真也に負けず劣らずの殺気を紫に向ける。ぶっ殺すという言葉は14歳の夏凜なら軽く冗談にも聞こえるが状況と殺気が相まって本当にやると言わんばかりだった。二人分の殺気を向けられた紫はひどく怯えた顔をすると急いでスキマの中へと消えていった。そのままでいると再び紫がスキマから現れた。

 

「あっちの世界の私はあそこまで弱いのね。」

「あ、お婆ちゃん。どうしてここに来たの?」

「そこにいる真也君を元の世界に送り届けようと思ってね。私の姿で弱いなんて不愉快以外の何物でもないわ。」

 

紫は少しイライラした様子を見せると真也の前にスキマを開く。イライラしているがちゃんと行き先は真也のいる世界の地霊殿。その辺りはきちんとしてくれているのは双方にとっても助かる。真也は夏凜の顔を見ると握手をし、別れの言葉を告げた。

 

「脅しの材料にしちゃったけどごめんね〜。どっちにせよやる時はそのつもりだったんだけどね〜。」

「あはは・・・出来るならまた会いましょう。今度は脅しとかそういう怖い話なんて無しで。」

「そうだね〜。僕も出来ればまた会いたいかな〜?」

 

そう言い手を振りながらスキマの中へと姿を消す真也。彼の後ろ姿を見送った後、夏凜は地霊殿の外へと出た。全無 真也さん・・・か。変わった人だったなあ〜。あっちの世界のお婆ちゃんが怯えるなんて本当にあの人、人間かな?




はい、というわけでコラボ編第1弾どうでしたか?
真也君キャラ崩壊しちゃってますね(汗)本当にすいません。さて、今回は生きる死神さんの東方無集録とのコラボ編となりましたがいかがでしたでしょうか?私としては心と情を失った人間であり悲しい過去を持つ真也君は本当にストーリーを作るのが難しかったです。多分人質にするのに真也君悪気はなかったんでしょうね(笑)そんな事しない人だと信じてますが。
では、次回も良ければ見ていってくださいね。
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