「咲き誇れ__
そんなこんなで決闘の最中。とある観客の1人に絡む人間がいた。
「おい、夜吹。貴様一体どういう了見だ。」
「わあぁ。申し訳ありませんでしたって零夜様。だって面白そうだったんだって。」
「ったく、様はつけないで良い。面白そうだってのは否定はしないがあいつ今日からの転入生だぞ。」
「分かってるって、零夜。にしてもそうなのか。それにしては……」
「実力が低すぎるって?まあ俺も同意見だが、アイツがわざわざ引っ張って来たらしい。」
「へぇ~。生徒会長自ら。」
「まぁ底が見えないという点では面白そうだしあれは本気ではないな。手加減してるわけではないだろうが、今は全力を出せないといった感じか。」
「相変わらずよく気が付くな。」
「まあな。」
そんな話をしているさなか今まで楽しんでいた観客の空気が突然慌てた空気に変わる。一体何事かと前を見ればユリスが大技をだそうとしていた。
「ってやべぇ。」
「お前なあったく。」
夜吹は零夜の後ろには隠れ周りの観客は遠くへとにげる。動かないのはレイヤただ1人だった。
(さて、どうする。天霧綾斗?あの技はただ良ければいいってもんじゃない。)
「咲き誇れ__六弁の爆焔花」
先程とは比べ物にならないほどの同じ技が再び出現した。そうして
「爆ぜろ。」
その命に従い、綾斗の目の前で火球が爆発した。あれに巻き込まれれば星脈世代であろうとしばらく動けない。ユリスは勝利を確信していた。___しかし。
「天霧辰明流剣術初伝__
「
「いや、違う。あれはおそらくただの剣術だ。」
「はぁ!まじかよ。」
「あぁ……っおいおい危ねえなぁ。」
そんな呆れたような感心した様な夜吹の呟きを聞きながら自らも驚いていた零夜はその瞬間何かを見つけて咄嗟に能力を発動させる。
「お、おまえ、なにを……!」
あちらも気づいたようだがとりあえず叩き落し、あたりを見渡す。しかし気づく範囲には何もいない。と、そろそろ自分が止めなくては遅れてしまう時が来たようなのでまだ揉めているようだが手を2回打つ。
「ほらほら、お前らそこまでだ。」
綾斗はその瞬間そちらに目を向けた。するとギャラリーの中からあらわれたのは蜂蜜のような金色の瞳と深い群青色の髪が印象に残る美麗な青年だった。同年代なのだろうが、まるで海の深くにいるような静かな空気をもっているためかなり大人びて見える。
「……零夜、何の権利があって邪魔をする?」
「それはもちろん星導館学園風紀委員会委員長としての権限だ。あたりまえだろう、ユリス。」
零夜と呼ばれた少年はそう返すと校章へと手を当てた。
「赤蓮における風紀の総代たる権限をもって、ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルトと天霧綾斗の決闘を破棄する。というわけで火遊びは終わりだユリス。ったく面倒増やしやがって。」
「何が火遊びだ!」
「うるせえ。まぁこれで大丈夫だろ、天霧綾斗君。」
今度こそどうにかなったらしい。額の汗をぬぐい大きく息を吐く。
「はぁー……ありがとうございます。えっと風紀委員長、さん?」
「ああ。星導館学園風紀委員会委員長、氷﨑零夜だ。よろしく。」
そう言って差し出された手を慌てて、綾斗は取った。一方でユリスは今の判定に納得いかないらしい。
「いくら風紀委員会委員長といえど、正当な理由無くして決闘への介入はできなかったはずだが?」
「理由ならあるぞ。そいつは転入生でデータこそ登録し終わっているがまだ厳密にはうちの生徒ではない。そいつには最後の転入手続きが残ってる。それにクローディアから呼び出し受けてるしな。決闘はお互いが学生の時のみだ。要するに成立しない。そうだろう?クローディア。」
そう言った零夜の後ろから出てきたのは綺麗な金髪と豊満な体を持った少女だった。
「ええ、そうですよユリス。さてみなさんも解散して下さい。このままここにいると遅刻されますよ。」
「ええっと、あなたは……」
「星導館学園生徒会会長、クローディア・エンフィールドと申します。よろしくお願いしますね、綾斗。」
「あ、はい。よろしくお願いします。」
出会ったか。さて俺の仕事はここからだし、
「クローディア、後はこっちで良いんだな。」
「ええ、よろしくお願いしますよ零夜。」
「ああ、任しとけ。」
こうして、序列2位にして前々回王竜星武祭最年少優勝者「氷呀の覇皇」こと氷﨑零夜と後に序列1位の座を勝ち取り一連の騒動に巻き込まれることになる「叢雲」天霧綾斗は出会った。