幻想幼女リリカルキャロPhantasm   作:もにょ

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第20話 家族

「……ここは?」

 

 目を覚ますと、私は不思議な空間にいた。

 上下左右が定まっておらず、何色なのかも分からない空間、そしていたる所に目が浮いており、こちらを覗きこんでいる。

 その異様さに混乱しながらも、ここに来るまでのことについて順を追って思い出していく。

 任務で訪れていたミッド臨海空港、手違いによって暴走させてしまったレリック、トラブルに見舞われながらもレリックを確保し、持ち帰る途中で出会った少女、そして

 

「私達は……死んだのか?」

 

 そう言いながら、目の前にいたキャロに声をかける。

 戦闘機人にも死後の世界はあるのだな、等と考えていると、キャロは困ったような顔をして

 

「いえいえ、まだ死んでませんよ」

 

「む、本当か?」

 

「今からその辺のことについて説明しますから、お話聞いてもらえますか?」

 

 

 

 

 幼女説明中……

 

 

 

 

「要するに、ここはキャロがレアスキルで作った空間で、私たちは死んでないと?」

 

「はい。それでですね、この秘密を知られた以上、チンクさんには選んでもらわないといけません」

 

 キャロにとっては、この能力が管理局などに発覚することが好ましくないらしい。

 それはそうだろう。こんな空間を作るレアスキルなんて聞いたことが無い。ドクターなら何か知っているかも知れないが、それでも全次元世界を通して珍しいのには変わりない。隠しておきたいというキャロの気持ちはもっともだ。

 

 キャロから与えられた選択肢は3つ

 

1.キャロに関する記憶を消去した上で元いた場所に戻る

2.管理局に保護してもらい、その後キャロと生活する

3.発信機を埋め込んでから管理外世界で生活する

 

「ちなみに私的オススメは2番です。管理局ならその体も修理してくれますからね。1は記憶消去の際にリスクが伴います。3の場合は修理する設備が無いので、車椅子での生活になっちゃいますね」

 

 ここまでの話から分かるように、キャロは私が戦闘機人であることを知っていた。

 怪我した足から骨格フレームが覗いたのを見て確信したんだそうだ。

 戦闘機人についての情報を知っていたのには驚きだが、今重要なのはそれではなく、私がどの選択肢を選ぶかだ。

 これら一切を無視してキャロに力づくでいう事を聞かせる、という手段も考えられるが、この空間を作ったのがキャロであるのが事実なら、下手に動く事は出来ない。

 キャロに危害を加えて、そのせいで脱出不可能になってしまうリスクがある以上、迂闊な動きは慎むべきだ。

 生殺与奪を握られている私に出来るのは、与えられた選択肢の中から最善を選ぶ事だけだった。

 悩んだ末、私が出した結論は

 

「1だ。姉や妹達がいるんでな、帰ってやらないと心配する」

 

「やっぱりそうなっちゃいましたか、残念です。一緒に暮らしたかったなあ」

 

「ならお前が私たちの所に来るか? レアスキル持ちなら歓迎するぞ」

 

「私にも家族がいますから」

 

「そうか、本当に残念だ」

 

「ありがとうございます。では、早速ですけど……藍、モード「白沢」」

 

 キャロがそう言うと、手に付けていた腕輪から30センチほどの小人が出てきた。

 ユニゾンデバイス!? キャロには驚かされてばっかりだな。

 そんなことを考えながら、私の意識は再び闇に落ちていった。

 

 

 

 

 空港火災の翌日にチンクさんと相談した結果、記憶を封印してからスカさんの所へ送り返すことになりました。

 モード「白沢」の「歴史を食べる程度の能力」で私と出会った歴史をなかったことにして、細かい記憶の辻褄会わせは藍にお願いしました。一応食べた歴史はそのまま保管してあるので、JS事件が終わったら戻してみるのもいいかもしれませんね。

 処理が終わってからスキマを使って空港近くに移動、人目のつかない所にチンクさんとレリックを置いていきました。

 本当はレリックはこちらで確保しておきたかったんですけど、それだとチンクさんが任務失敗した事になって、ウーノさん辺りが疑念を抱きそうですからね。

 ……チンクさんに情が移ったのは否定しませんけど。

 

 それからスキマを通って元いた病院へ帰って、色々検査を受けました。

 へ? 何でそんな所にいるのかですって?

 事件の直後、私とギンガさんは病院に担ぎこまれて、先に行っていたスバルさん共々、検査入院することになったんです。私は特に怪我も無いのですけど、煙を吸い込んでたりすると危険だと言われて、念のために検査を受けることになりました。

 幸い三人とも異常は見つからず、当日に退院できたのは良かったです。

 それからしばらくの間、ナカジマ家で保護観察という名のNEETを満喫していたんですが

 

 

 

 

「旅行、ですか?」

 

「おう。お前さん、あと数日で保護観察が終わるだろう? その祝いにと思ってな」

 

「へー、いいですねえ。それで、行き先は決まってるんですか?」

 

「ああ、キャロは知らないかも知れないが……第97管理外世界だ」

 

 へ?

 

「俺のご先祖さまが住んでいた世界だ。墓参りついでに観光しようと思ってな。嫌か?」

(後、スバルにせがまれたっていうのもあるんだが、それは言わないでも良いだろう)

 

「いえいえいえいえ!嫌なんかじゃないですよ!」

 

「そうか、なら良かった。出発は保護観察が終わる週の土日だから、用意しておくんだぞ」

 

「はい!」

 

 元気に返事をしながら、私は自分にあてがわれた部屋へと引きこもります。

 鍵を掛けて、カーテンを閉めて、サーチャーの反応が無いことを確認してから、ポケットに隠していた夢幻珠から藍を呼び出しました。

 

「藍、聞いた? 第97管理外世界だって!」

 

「随分テンションが高いですね、マスター。」

 

「当たり前です! ああ、今からしなきゃいけない事リストアップしとかなきゃ!」

 

「……こんなノリノリのマスターを見たのは初めてです」

 

「ノリ悪いなあ。もう油揚げ買ってあげない」

 

「すいませんでしたー!」

 

 反射的に土下座をする藍を見ながら、私は旅行の計画を練っていきます。

 ああ、早く保護観察解けないかなあ。

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