幻想幼女リリカルキャロPhantasm   作:もにょ

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第21話 小旅行

「という訳で、やって来ました第97管理外世界!」

 

「ねえギン姉、キャロ誰と話してるんだろ?」

 

「え、えっと……」

 

「あかんでスバルちゃん。ああいうのはスルーしてあげるのがお約束や」

 

「何漫才してるんだお前らは……ほら、さっさと行くぞ」

 

 はあ……せっかく分かりやすく状況説明してあげたのに、周囲の反応が冷たいです。

 

 あれから数日後、無事に保護観察処分が解けた私はかねての予定通り、ナカジマ家+αで家族旅行に行く事になりました。

 メンバーはナカジマ家の面々に加えて、研修時代のよしみで連れて来られたはやてさん。生憎スケジュールの都合上、ヴォルケンズは不参加です。本来ならはやてさんも来れないはずだったんですけど、ゲンヤさん自身は今までは第97管理外に来た事が無く、案内役としてどうしても来て欲しかったので、半ば無理矢理スケジュールを合わせたそうです。

 はやてさんに割り振られていた仕事はリインが代行してるんでしょうね……乙。

 

 そして、はやてさんの案内で連れてこられたのは日本の海鳴市。霊能力者や超能力者、メカに戦闘民族がひしめく魔窟です。

 はやてさん案内って時点で予想出来ましたけど、これは微妙にピンチです。

 とらハ世界では魔力の存在は認知されてないので大丈夫だと思いますけど、問題なのは霊力です。

 霊力の存在を自覚し、魔力と同じように鍛えている私の霊力量は、当然普通の人よりも多いです。まだまだ修行中ですけど、霊力の概念自体存在しないミッドでは、ひょっとすると最高クラスかもしれません。

 それでもバレないから良いんですけど、今いるのは幻想郷の存在する世界の海鳴市。もし退魔業をしている人なんかとエンカウントしたら、余計なトラブルに巻き込まれる可能性大です。

 

「それで、はやてさん。これからどこに行くんですか?」

 

 内心の不安を出さないようにしてはやてさんに聞いてみます。出来ればフラグ立たないような所お願いしますと祈りながら。

 

「すぐ観光、っていうのもええんやけど、みんなそろそろお腹空いとるやろ? この辺に翠屋っちゅう喫茶店があるから、まずはそこでお昼にしよか。ゲンヤさん、ええですか?」

 

 ああああああやっぱりいいいいいいい! いきなり戦闘民族フラグキター!

 

 

 

 

「士郎さん、桃子さん、お久しぶりです」

 

「あら、久しぶりね、はやてちゃん」

 

「久しぶり、はやてちゃん。今日はなのは達と一緒じゃないのかい?」

 

「二人とは仕事の都合が合わんかって、私一人なんです。その代わり、管理世界からお客さん連れて来ました」

 

「おいおい、俺達は代用品か? そんな生意気な事言うんなら、研修時代の思い出、この人達に話してやってもいいんだぞ。」

 

「ちょ、それは卑怯ですって!?」

 

「あらあら、二人とも仲が良いのね」

 

「まだまだ未熟な子狸なんで、仕方なく世話してやってるってだけでさあ」

 

「だから、狸言わんといてくださいよー!」

 

「あー……、後ろの3人が固まっているんだが……」

 

「「「あ」」」

 

 やっとこっちに注目してくれましたね。全く、長かったです。ギンガさんとスバルさんなんかポカーンと口開けてますよ。

 にしてもはやてさん、いきなりギャグ時空を展開するとか予想外でした。まさか私を除け者にして発動するとは、さすがは関西娘です。これからは師匠って呼んだ方がいいでしょうか?

 

「そういや、まだ自己紹介してなかったな。ゲンヤ・ナカジマだ。ほら、お前らも挨拶しろ」

 

「初めまして、ギンガ・ナカジマと申します」

 

「えっと、スバル・ナカジマです」

 

「キャロ・シエルです」

 

「初めまして。私は高町士郎、ここのマスターをしている。こっちは家内の桃子だ」

 

「桃子です。よろしくね、ギンガちゃん、スバルちゃん、キャロちゃん」

 

 やっと会話に参加できました。どうやら恭也さんや美由希さんは居ないみたいですね。とりあえず、とらハフラグは立たないみたいなので良かったです、セフセフ。

 

「今日はご飯食べに寄らせてもらいました。何か適当に摘める物お願いします」

 

「分かったよはやてちゃん」

 

 そう言って、士郎さんは奥の方へ引っ込んで行きます。私達は桃子さんに案内されて席に着きました。

 席に着くと、スバルさんが何やらそわそわしています。どうしたんでしょうか?

 

「お姉ちゃん、トイレですか?」

 

「違うよキャロ! えっと、はやてさん。ここって、ひょっとして高町教導官の?」

 

「ええ所に気付いたなスバルちゃん。実はここ、なのはちゃんの実家やねん」

 

「ほ、本当ですか!?」

 

「嘘やないって。ほら、良く言うやろ、関西人は嘘つかへんって」

 

 スバルさん大興奮です。まあ、気持ちは分かりますけどね。

 

 空港火災の件でなのはさんに助けられて以来、すっかり信者になってしまったスバルさん。雑誌の記事を集めたり、ファンクラブに登録したりと、立派な追っかけになってしまっています。

 それだけじゃなく、たまに私とギンガさんでやってる訓練に参加してくるようになりました。今まで敬遠していたシューティングアーツに真面目に取り組んでます。災害救助隊に入るのを目指しているらしく、一生懸命に頑張っている姿には少し感動を覚えました。

 そんなスバルさんの気持ちに応えるべく、体術のみの模擬戦の時は全力で相手してフルボッコにしています。初めて戦った時には

 

「……オウフ。何でそんなに強い……」

 

「キャロに常識は通用しないんだよ」

 

 なんて事をギンガさんに言われちゃいました。確かに魔法無しって条件ならギンガさんにも勝てるけど、それは言いすぎじゃないですか?

 最大火力に難アリの局地戦仕様じゃ限界が見えてますし。

 

 昼食が終わり、平日なので客がまばらなのもあってか、そのまま士郎さん達と雑談タイムに移行しました。ゲンヤさんは父親どうし息があったのか、士郎さんと談笑、そこにはやてさんも加わってます。

 スバルさんとギンガさんは桃子さんから、なのはさんの話を色々聞いてます。特にスバルさんの目がやばいです。こんな話聞ける機会そうそう無いんで、気持ちは分かりますけどね。

 さてと私はどうしたものか、と視線を巡らせてみると、店の片隅にあった「あるもの」が目に入りました。

 

「あの、あれは?」

 

「ああ、あれね。お客さんからの要望で、1台だけだが導入したんだ。気になるかい?」

 

「はい。ちょっと触ってみてもいいですか?」

 

「ああ。分からない所があったら聞いてくれ」

 

 許可を貰ってさっそく件の物―PCの前に座って情報収集を開始します。

 ミッドにあるコンピュータとは微妙に違うものの、私にとってはむしろこっちのPCの方が得意です。

 

(えーっと、調べる単語は、東方、幻想郷、神主、それと博麗神社……)

 

 検索エンジンに単語を放り込んで結果を見ます。幻想郷が実在している事は知っているけど―

 

(東方、幻想郷、神主についての情報は無い、か……)

 

 どうやらゲーム化はしていないようです。出来ればマイナーな掲示板も覗きたいんですけど、そこまで時間は無いです。

 

(後は博麗神社だけ……ヒット!)

 

 半ば諦めていた所に、博麗神社の情報が舞い込んできました。

 調べた所、〇〇県の隅の方に存在する神社らしいです。

 それなりに歴史のある神社らしいのですが、今は神主不在、巫女不在で誰も住んでおらず、なのに殆ど荒れていない事と、参拝に行った人が神隠しに遭ったという噂から、ミステリースポットとして有名だそうです。

 

 おそらく、「外」の博麗神社でしょう。

 幻想郷側の博麗神社と繋がっているのなら、向こう側で掃除した結果、こっち側も掃除されて荒れていないことに説明がつきますし、神隠しの件はそのまんま幻想入りしたんでしょう。

 サイトに載っているアドレスをメモしながら、この情報について考えます。

 幻想郷について知りたいなら行ってみるのもアリですけど、今の私は魔法少女。下手に近づくと幻想側に引き込まれて戻れない可能性だってあります。とりあえずはスルーしておきましょう。

 

 調べ物が終わったので周りを見てみると、そっちでも話が終わったのか、すでに店を出ようとしているいるはやてさんにゲンヤさん、遅れてギンガさんとスバルさんがいました。

 

「お、そっちはもういいのか? ならそろそろ出るからお前も準備しろ。」

 

「は、はい!」

 

 急いで鞄を持って店を出ます。ただ、よっぽど慌てていたのか、入店してくる人に気付かず、そのままぶつかってしまいました。

 

「はうっ! す、すいません!」

 

「あらあら。私は気にしてないから、今すぐ家族の所に行ってあげなさいな。待たせると怒られるわよ」

 

 すぐに頭を下げると幸いにも許してもらえたので、そのままぶつかった相手の顔を確認する暇も無く、ギンガさん達の待っている方へ走り出しました。

 こっちで調べたいことも大体終わったので、後は思いっきり遊びましょう!

 

 

 

 

 おまけ

 

 ―旅行が終わって、スキマ内にて―

 

「やば」

 

「どう……しました? マス……ター?」

 

「フェイトさんのお土産買うの忘れた」

 

 これはマジでやばいです。フェイトさんとは会えばからかうような関係ですけど、さすがにお土産無しなんて鬼畜な所業は出来ません。

 

「ああもう、どうしよう!?」

 

「落ち……ついて……ください」

 

 藍も暢気にお稲荷さん食べながら喋ってるんじゃないですよ!

 とにかく何か探さないと……っ!

 

「藍、これは?」

 

「それ……ですか? 先日……スキマ内に……落ちてきたものです」

 

 決して食べる手を止めようとしない藍の忠誠心に感動しつつ、私は「それ」を手に取ります。

 

「……フェイトさんのお土産はこれにしましょう。一応、第97管理外世界のものだから大丈夫だよね」

 

「良かった……ですね。マス……ター」

 

 だから藍よ、いい加減お稲荷さんモッキュモッキュするのやめれ。

 

 

 

 

 ▼▼▼▼▼▼▼▼

 

「おーい、フェイトちゃーん」

 

「久しぶり、はやて。旅行どうだった?」

(仕事があったのだから仕方ないんだけど、本当は私もキャロと旅行に行ってみたかったなあ)

 

「楽しかったよ。んで、フェイトちゃんにお土産。翠屋のシュークリームや」

 

「わあ! ありがと、はやて」

 

「ええてええて。結構入ってるから、なのはちゃんやエリオ君にも分けてやってな」

 

「うん」

 

「それとな、あとキャロからもお土産があるんよ」

 

「へ、本当?」

(キャロから私に!? でもどうしてだろう? あの書き置きの時みたいな予感がするのは)

 

「何が入ってるかは私も知らんのやけど……コレや」

 

 そう言ってはやては大きな包みを取り出す。開けてみると、そこにあったのは茶色いコートと……帽子?

 

「何なんだろ……?」

 

「ん? ここにカードがあるなあ。なになに『これであなたも銭型警部』……ってフェイトちゃん!?」

 

「うん、やっぱりそういうオチなんだよね。いいんだ、分かってたことだから……」

 

「フェイトちゃん、そんなにいじけんといて。ってコレ手錠に十手に……拳銃!? しかも何か本物っぽい! 質量兵器持ち込むとか、あの幼女はナニ考えとるんやあああああああああ!」




 製作裏話

 この時に押し付けられた銃、処分に困ったフェイトさんがなし崩し的に所持してます。
 実はこの銃、JS事件の最終決戦時、AMF下の絶体絶命の状況で逆転の切り札に……なる予定でしたが没になりましたw
 執務官がそんな事すると後始末が大変過ぎるというのがその理由。あと、こんな所に伏線張っても誰も気付きませんしw
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