幻想幼女リリカルキャロPhantasm   作:もにょ

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第2話 自業自得

 こんにちは。キャロ・ル・ルシエです。先日4歳になりました。

 今私は、自分の持ち物をまとめているところです。

 

 ええ、アレです。追放イベントです。

 長年立ちっぱなしだったフラグが消化されてしまったのです。

 あ、今から回想入ります。

 

 4歳の誕生日の日、私は大人達に呼び出され、竜召喚の儀式を受けることになりました。

 立ち向かう決意は出来ていたけど、それはもう少し先、5、6歳くらいだと思っていたので大いに慌てました。

 里を出るのは仕方がないとしても、こっちにも準備ってものが必要なのです。

 追放されるとわかっていながら成功させるほど私は⑨ではないので、当然、ワザと失敗してやりました。

 予想していたよりも早かったなと思いつつ、とりあえずはフラグ延期成功し、この日は終わったのでした。

 次の日、私はまた呼び出しを受けました。

 内容は昨日と同じで、竜召喚の儀式をさせるそうです。

 この日もワザと失敗し、フラグ回避しましたけど、帰り際にこっちを見ていた大人達の視線が、なんだか気になりました。

 そして次の日、2度あることは3度有ると言いますが、案の定、呼び出されて儀式をすることになりました。

 すでに2度失敗してるっていうのに、大人達からは諦めムードは感じられません。むしろ期待に満ちた目で見てきます。なんか1人はこっちを見てサムズアップしてます。

 流石におかしいと思ったので、思いきってサムズアップしてる人に聞いてみることにしました。

 

「あの、どうして何度も挑戦させるのですか?私にはまだ無理です、才能が無いんです」

 

「キャロ、そんなに弱気にならないで。あなたには才能がある。デバイス無しで魔法を使うなんて、この年の子供が出来ないことを平然とやってのける。そこに痺れ……とにかく、自信を持ちなさい」

 

 ナンデスト?

 

 後半部分はとりあえずスルーして、私はその人から話を聞き出しました。

 聞いたところによると、最初はたまたま通りかかった人が、私達のやっていた弾幕ごっこを見ていたそうで、それを他の人に言い回ったらしいです。

 初めはみんな信じなかったらしいのですが、なら実際に見てみようという流れになり、交代で外から覗くようになったそうです。

 そして室内で繰り広げられる弾幕の応酬―。

 噂はすぐに真実として広まり、知らぬは本人ばかりなりって状態になりましたとさ。

 

 マジですか。っていうか、気付け昨日までの私! 何調子に乗って「散弾「スターボウブレイク―Easy―」!」 とか「贋作「殺人ドール」!」とかかましてるんですか!!

 過去に跳べるなら今すぐにでも自分にワンパン入れてやりてえ……。

 

 現実逃避タイムが終了し、私ははあ、と一つ大きなため息をつきます。

 もう良いです。もし今日失敗したとしても、どうせ成功するまでエンドレスなのです。

 ならせめて、最初の一歩は自分から踏み出してやるのです。

 半ばヤケクソ気味に体内の魔力を練り上げていき、召喚陣が形成されていきます。

 同時に呪文の詠唱―今までワザと間違えていた部分も完璧にこなし、術式を制御します。

 

「竜魂召喚……」

 

 さあ、これが私の召喚士としての第一歩です。

 

「ヴォルテール!!」

 

 あ、フリードで良かったんだっけ? 間違えました。

 

 

 

 

 そして魔法陣から呼び出される、全長15メートルにも及ぶ巨大な守り竜様。

 私も見たのは初めてですけど、コレ竜というよりかは巨大ロボですよね……。

 周りの大人達は皆、ぽかんとした表情で見上げています。

 そりゃ、いきなりこんなの出てきたらびっくりしますよね。

 唯一違うのが族長様で、ブルブル震えながら、何やらブツブツ呟いてます。

 しばらくして震えが収まると、私を手招きしてきました。

 

「キャロよ」

 

「何でしょう?」

 

「すまないが、この里から出て行ってもらう」

 

 ですよねー。

 キャロ はめのまえが まっくらになった!!

 

 あ、違う、コレ魔力切……れ……。

 

 とまあこんな感じに、私は追放されることになったのでした。

 ……半分以上自業自得な気がしてきましたが、気にしないでおきましょう。

 遅かれ早かれ追放されるんです。それがちょっと……結構早くなったってだけの話です。

 最低限の着替えと数日分の食料を袋に詰め込んだ私は、報告と、ついでに頼みごとをするために族長様のテントに向かいます。

 

「族長様、準備できました」

 

「そうか」

 

「これでいつでも出発できます」

 

「そうか」

 

「……族長様?」

 

「……」

 

 

 

 

 どうも様子がおかしいです。言いたい事があるのに躊躇っているような、そんなもどかしい感じです。

 沈黙が数秒続いた後、族長様は一緒にいた大人達に合図して下がらせます。テントの中は私と族長様の二人っきりになり、それからようやく、族長様がその重い口を開きました。

 

「キャロよ。お主には殺されても文句の言えない位、悪い事をしたと思っている」

 

 へ?

 

「追い出す当人であるワシが言っても信じて貰えないだろうが……それでも覚えていて欲しい。

ルシエの者は皆、お前を娘のように思っていた」

 

 何を言ってるんですか、この人は?

 そんな事……分かってるに決まってるじゃないですか!!

 

 目の前の族長様の顔は私に対する申し訳なさで一杯で、さっきの言葉が口からの出任せじゃないことを証明してくれています。

 そんな顔を見てると思い出すのは、生まれてから今までの温かい日々。

 赤ん坊の時から世話してくれたお姉さん。

 仕事の合間に相手してくれたお兄さん。

 滅多に会わないけど、会うと優しく声を掛けてくれた族長様。

 家族のように接してくれていたみんな。

 そんなみんなが、単に掟があるから、なんて理由で追い出すほど薄情じゃないのは、私にだって分かっています。

 子供の身に余る大きな力、いつ暴走するかも分からないような力を持ってしまった私をこのまま置いておくのは、不発弾を抱えているようなものです。

 部族のみんなに対して責任のある族長様からしてみれば、決して見逃すわけにはいきません。

 「ちゃんと制御できるようになればいいじゃないか」と思う人もいるでしょう。原作でも同じようなことを言ってました。

 なら、制御できるまでの間の安全保障は?万が一暴走した時、一体誰が抑えられますか?

 多くの魔導師を抱える管理局なら、力の制御を教えられる人材もいるでしょうし、万が一の時に事態を収拾することも可能でしょう。

 だけどそれと同じ事を、人口100人にも満たないルシエの中で行うのは無理な話です。

 私を含めた100を救おうとして、全員の命を危険に晒すような危険な橋を、族長様が渡っていい訳がありません。

 速やかに1を切り捨て、残りの99を守ることが、族長様が選べる中での最善だったんです。

 その1が、今回はたまたま私だったってだけの話なのです。すぐ殺されないだけでも十分有難いのです。

 だから私は

 

「族長様、気に病まないでください」

 

「キャロ?」

 

「私もみんなの事が大好きです。そんなみんなに迷惑がかかるのは、私も望んではいないのです。族長様はルシエを守った英雄なんですから、もっと胸を張ってください」

 

 大好きなみんなの為に、覚悟は出来ています。

 

 

 

 

 あ、頼み事あるの忘れてた。

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