幻想幼女リリカルキャロPhantasm   作:もにょ

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第80話 幻想のカケラ ~Flowering Cherry~ 前編

 ―ゆりかご内部 動力炉にて―

 

 ガン! ガン! ガン!

 

「くそ! くそ! くそ!」

 

 巨大戦艦「聖王のゆりかご」のとある一区画に金属音が響き渡る。

 その区画は開けた空間になっており、周囲には哀れにも鉄屑に姿を変えたガジェットがそこら中に散乱している。

 魔力弾で撃ち抜かれたものもいれば鉄槌によってボディを潰されたものもいる。

 それら全てが、たった一人の少女の手によって行われたものである。

 

 少女―ヴィータが今いるのは部屋の中心部。

 ヴィータの眼前には、ゆりかごの動力を司る魔力炉が今もなお悠然とそびえている。

 

「こん、のおぉぉ!!」

 

 ガキイィィィ!!

 

 連打から一転、息を整えた後、ヴィータは渾身の一撃を動力炉へと叩き込む。

 しかしそれも、動力炉の展開している障壁に阻まれて傷一つつける事が出来ない。

 

 なけなしのカートリッジを使った渾身の一撃、ギガントシュラークは失敗に終わってしまった。

 手持ちのカートリッジを全て使ってしまった今、ヴィータに許されているのは自身の魔力のみの強化で行う攻撃のみである。

 だから叩く、ひたすら叩く。それしか出来ないのなら、迷う必要など何処にも無い。

 今もなお戦っている皆の為に、この動力炉を破壊する。それがヴィータを信頼して任せてくれた、皆に報いる事になるのだから。

 だが……。

 

「畜生! 畜生! 畜生ーー!!」

 

《……》

 

 いくらアイゼンを叩き付けようとも、動力炉はびくともしない。

 ヴィータの必死さを嘲笑うかのように立ちはだかるそれには、傷の一つも付いていない。

 

 雨垂れ石を穿つという諺がある。

 どんなに小さい力だろうが効き目がなかろうが、決して諦めずに続ければ、いずれは大きな成果になる。

 その理屈で行けば、今ヴィータがやっている事は決して無駄ではないのかもしれない。

 このまま続けていけば、いずれは動力炉を破壊できるかもしれない。

 しかし、現実はそう甘くない。

 

《離脱限界まで30分を切りました。お急ぎを》

 

「分かってるよ! くそっ!!」

 

 ゆりかごは今も上昇を続けている。当然の話だ、動力炉がこうして健在なのだから。

 ヴィータが動力炉に到達してから既に数十分、無情にもタイムリミットは刻一刻と迫っている。

 カートリッジは切れ自身の魔力も心許ない。唯一の可能性も、時間という制限が邪魔をする。

 あらゆる手段を封殺されたヴィータには、どうする事も出来ない。

 

 この状況を引っくり返すためのジョーカーは、まだ彼女の手には無い。

 

 

 

 

 ―同時刻 ゆりかご最深部 聖王の間―

 

 

 

「レイジングハート! ブラスター、リミット2!!」

 

《All right.》

 

 ガショッ、とカートリッジが排出され、開放された魔力がなのはを包む。

 ブラスターシステム。ブースト魔法の際の余剰魔力を応用し、限界を超えた強化を可能にするなのはの切り札である。

 

《Axel Shooter.》

 

 レイジングハートからの電子音声とともに生成されるシューター、その数20。

 ほぼノータイムで生成されたそれを、なのはは正面に撃ち出した。

 

 それに対するはクアットロの手によって操られているヴィヴィオ。

 固有スキル「聖王の鎧」の恩恵で大したダメージを受けないのを良いことに、弾幕など歯牙にもかけずに真正面から突っ込んでいく。

 

「ああああああ!! ……!?」

 

《Restrict Lock.》

 

 あと一足飛びでなのはに接近出来る寸前、ヴィヴィオの身体がつんのめる。

 見ると右腕部分にバインドが施されており、それがヴィヴィオの自由を奪っていた。

 

《Chain Bind.》

 

 それだけではない。

 気付くと右腕だけでなく、左腕に両足、それに胴体にも鎖型のバインドが巻きついた。

 空中に停止した一瞬の隙を突いて、追加のバインドが施される。

 そして、まだこれで終わりという訳でもない。

 

《Crystal Cage.》

 

 バインドに絡まって身動きが取れなくなったヴィヴィオを、駄目押しとばかりに閉じ込める。

 三角錐の形をした檻に捕らえられ、ヴィヴィオはまともに動く事が出来なくなった。

 

《Master.》

 

「うん、行くよ!!」

 

 一定の距離をキープした所で停止したなのはは、レイジングハートをヴィヴィオに向けてチャージを始める。

 ヴィヴィオの身体にはレリックが埋め込まれている。ヴィヴィオを無力化するという事は、彼女の中にあるそれをどうにかするのと同義である。そして、ロストロギアであるレリックは、生半可な方法では破壊出来ない。

 なるべくヴィヴィオを傷つけず、レリックだけを破壊する方法。それが―

 

(純魔力による大火力攻撃。これしかない!!)

 

 チャージと共に、周囲から魔力が集まってくる。

 砲戦魔道師として強大な火力を持つなのはであっても、ロストロギアの破壊となると取れる手段は限られてくる。

 現状、それを可能とする手札はたった一枚。全力全開の集束砲、スターライトブレイカーのみである。

 

《10……9……8……》

 

 強力な攻撃というのはその分だけ時間がかかる。そして―

 

《7……6……Master!!》

 

「くっ!!」

 

 その間に逃げられてしまっては、全く意味が無くなってしまう。

 レストリクトロックにチェーンバインドにクリスタルケージ、3種類のバインドによる拘束を振りほどいてヴィヴィオが突っ込んでくる。

 それを予測して早目にブレイカーをキャンセルしていたなのはこれを障壁で防御。即座に障壁に回していた魔力を爆発させて距離を取る。拘束と追撃防止を兼ねて爆発の寸前に腕にだけバインドをかける辺り、経験の高さが伺える。

 

「三重バインドでもあの位しか足止め出来ない。分かっちゃいたけど、ちょっとキツいね」

 

《正確には6.5秒です。攻撃を通すには、あと5秒程足りません》

 

「バインドの重ね掛けは―」

 

《今の時点ではアレが限界です。仮にブレイクされる度に掛け直した場合、ブレイカーの制御が甘くなります》

 

「うん、分かってる」

 

 レイジングハートの言う通り。ブレイカー中にバインドを掛け直せれば良いのだろうが、そうは上手くいかない。

 ブレイカーのチャージ中、なのはのリソースはほぼ全てがそちらに裂かれる。

 かといって完全な無防備ではない。最低限の防御や飛行に割り振っている残りのリソースを使えば、バインドをかける位は出来る。

 けど、そこまでしたバインドの効力は当然通常時よりも落ちる。バインドブレイクをサボっていたどこぞの幼女ならともかく、今のヴィヴィオ相手には足止めにもなり得ない。

 

 今なのはに要求されているのは「10カウント以上のバインド」もしくは「6カウント以内のブレイカー発射」。

 より長く拘束するか、より早くチャージを済ませるか、もしくはその両方か。

 そしてそれは言うまでも無く、実現不能な難題である。

 

《Master…….》

 

「大丈夫、まだやれる」

 

 だけど、なのはは諦めない。不屈の精神で支えられた体は、決して膝を付く事は無い。

 機動六課の一員としてゆりかごを止める。ヴィヴィオの母親として、操られている娘を助け出す。

 それを為しうるまで、なのはは決して止まらない。

 だが―

 

『いいですわ~。その調子ですよ陛下。そのままどんどん消耗させちゃってくださ~い』

 

 その戦闘を映像越しで見ている女性―クアットロは、既に勝ちを確信していた。

 

『ブラスターシステムなんて大層な名前がついていますけど、実際は限界を超えた自己ブースト。放っておけば勝ってに自滅するような、そんな不完全なシロモノなんですから』

 

 クアットロの言っている事は残酷だ。なぜならそれは事実だから。

 ブラスターは自己の限界を超えた強化を可能にしている。そう、限界を超えてだ。

 そして限界を超えた代償は、余剰魔力による肉体への負担や過剰放出による急速な魔力消費となって現れる。

 ブラスターを続ければ続ける程、なのはの体に負担が溜まり、魔力は急激に失われていく。

 いくらなのはが不屈の精神を持っていようが、物理法則には逆らえない。

 負担が増えれば体は鈍る、魔力を使えばその分減る。

 

 なのはの命は蝋燭のように燃えながら、少しずつ身を削られていく。

 この運命を乗り越える為の力は、彼女には残されていなかった。

 

 

 

 

 ゆりかご目標ポイント到達まで あと45分

 

 

 

 

 ―同時刻 ゆりかご外部―

 

「リイン、なのはちゃん達から連絡は?」

 

「まだ来てないです」

 

「不味いな……」

 

 ガジェットの群れに対して広域魔法を撃ち込みながら相談するはやてとリイン。

 未だに連絡がつかない状況に、二人は眉をひそめていた。

 ゆりかご内部はAMFの影響により長距離の念話が出来ない。

 そのため外部にいるはやて達にはなのは達の様子は一切伝わって来ない。

 既に任務が完了し帰還している最中であるのなら良いが、もしそうでなかった場合は?

 そう考えると、未だに連絡のつかないこの状況は、決して放置して良いものではない。

 

「こっちは大分減ってきとるけど……」

 

 はやてを初めとした空戦魔道師の奮闘の甲斐あって、ガジェットは順調にその数を減らしていっている。

 この調子で押し込んでいけば、間違い無くゆりかご周辺の制空権はこちらが確保できるだろう。

 だがここで自分が抜けた場合、少なからず戦力低下が発生する。

 そうなると折角ここまで押し込んでいた勢いが弱まる事になる。

 現時点での戦力差から考えれば逆転される可能性はまずないが、戦闘が長引いたせいで被害が増えるのは間違いない。

 ゆりかご内部に突入するか、外部で殲滅戦を続けるか。

 八神はやてという魔道師がいかに強力な力であっても、二つの事を同時にはこなせない。

 なら自分はどうするべきか? そんな事を考えていた時であった。

 

『……て、……やて、……はやて!』

 

『ん、その声……フェイトちゃん? 無事やったんか?』

 

『うん、何とか、ね。スカリエッティをシャッハ達に引き渡して、今そっちに向かってる所。そっちは?』

 

『とりあえずごお疲れ様やね。……っと、危なっ!』

 

『はやて!?』

 

『あー、大丈夫大丈夫。空気読まへんのがいただけやから……っと!!』

 

 念話中に飛んできた流れ弾に当たりそうになったはやてだったが障壁が自動でガードする。

 不意打ちとはいえ、流れ弾一発程度でははやての障壁を抜ける訳が無い。

 お返しに撃ち込んだ砲撃でまた一つ、空に汚い花火が上がった。

 

『で、こっちの状況やんな?』

 

『うん。なのは達、まだ帰ってきてないの?』

 

『えっとな……』

 

 ここで二人は、お互いに状況を整理すべく情報を交換する。

 フェイトからは、スカリエッティの研究所に突入してから今までの経緯が語られる。

 最深部に突入してスカリエッティと対面したものの、閉じ込められた上にAMFの妨害で苦戦した事。

 それに加えキャロを利用して精神的に揺さぶりを掛けられたが、エリオとアギトと協力し、何とかそれを撃破。スカリエッティともう一人の戦闘機人を確保した事。

 今まで連絡がつかなかったのは脱出に手間取っていたからで、今はこちらに向かっている途中との事である。

 

 ちなみにスカリエッティ達の身柄は、脱出の際、その場に居合わせていたヴェロッサとシャッハに引き渡してある。

 彼らはスカリエッティの研究所を発見した後は、内部での挟み撃ちを防ぐために入り口付近に残ってフェイト達のサポートをしていた。

 もっとも彼等の予想していたような事態は発生しなかったため、非常に拍子抜けする事態になっていたのだが(某シスターは、どこぞの幼女に不意打ちホームランされて以来鍛えてきた腕を振るう事が出来ず消化不良気味であったらしい)。

 フェイト達がこの時間に脱出する事が出来たのは、この二人のおかげであったりする。

 

 次に、はやてからはゆりかご周辺での出来事について。

 外周部の敵の配置を見て、不自然に開いている穴を発見した事。

 罠の可能性を考慮して少数精鋭で飛び込んだ事。

 案の定待ち伏せされていたが、何とか予定通りなのはとヴィータを送り出せた事。

 それから戦闘になったのだが、待ち伏せしていた相手が……キャロだった事。

 シグナムにキャロの使い魔を名乗る人から接触があり、そこでキャロの事情―故郷の集落を人質に取られているのが判明した事。

 そしてやむなく、六課メンバー四人がかりでキャロを撃破した事。

 今はキャロと戦闘した空域を起点にガジェットを制圧している途中である事が、はやてから伝えられた。

 

『そんな事になってたんだ。……大丈夫?』

 

 キャロを撃破したというのはフェイトも知っていた。

 はやての砲撃がキャロに直撃する所を、フェイトは映像越しに見ていたからである。

 キャロにトドメを刺したのははやてだ。はやてが六課メンバーの事をどれだけ大切に思っているかはフェイトも知っている。その対象を自らの手で落とさないといけなかったはやての心中を考えると、心配せずにはいられなかった。

 

 それを聞いたはやての心中も、また複雑だった。

 先程の情報交換で、はやては意図的にフェイトに知らせていない事がある。

 フェイトが映像で把握出来たのはキャロが撃墜された事だけで、その後起きた事についてはあまり良く知らない。

 フェイトとの会話中、それに気付いたはやてはその後の経緯、キャロの状態についてはぼかして説明する事にした。この事をフェイトに言っても動揺させるだけでメリットが無いから、という理由で。

 現状において自分達に求められている事を冷静に判断した結果ではあるが、人の生死に関わる事をメリット・デメリットで判断している自分に、はやては内心自己嫌悪していた。

 そういった内面を押し殺してあくまで冷静に、はやては今すべき事を思考する。

 

『フェイトちゃん、あと何分でこっちに着く?』

 

『そんなに時間はかけないよ。あと5分もあれば』

 

『……よっしゃ。なら、私と一緒に来てくれるか?』

 

『うん、そう言うと思った』

 

 目的語が欠けた念話の意図をフェイトは正確に察する。即ち―

 

『私とフェイトちゃんの二人で内部に侵入。外の守りがちょっと心配やけど、そっちはシグナム達に任せれば何とかなるやろ』

 

 二人のプランは、自分達のゆりかご侵入となのは達の救援。

 中で何か起きているとするのなら、踏み込むタイミングは今を置いて他に無い。

 外の状況も不安ではあるが、それに拘って本命を逃す訳にはいかない。

 

『了解。すぐにそっちに向かうね』

 

『なるべく急ぎでお願いな』

 

 

 

 

 そんな彼女達に、足りない物があったとするのなら―

 

『……さん、……イトさん! 待ってください、フェイトさん!!』

 

『エリオの言う通りだって! ああ、もう! ……はやて部隊長!!』

 

『その声……、アギトか?』

 

『ああ。それより、今はフェイト隊長の事だ。はやて部隊長、フェイト隊長を止めてくれ!!』

 

『ちょっと、アギト!? 私なら大丈夫だから―』

 

『そんな事言って!! 私もエリオも、それにフェイト隊長も、まともに戦える状態じゃないだろ!? 戦闘と脱出で消耗したせいで、ロクに魔力残ってねーじゃねーか!!』

 

『アギト、止め―』

 

『フェイトちゃん、それ、ホンマの話?』

 

『……うん』

 

 フェイトの魔力は既にあまり残されてはいなかった。

 AMF内での戦闘はフェイトの魔力を容赦なく消耗させていき、フルドライブの使用によりそれは決定的になった。

 それについて責める事はできない。AMFという強大なハンデを背負わされた状況は、そうでもしなければ打開する事は出来なかっただろう。真・ソニックフォームの使用は、あの時点で取れるベストの選択肢だった。

 しかし、スカリエッティはその上を行っていた。

 いくらAMFというハンデがあるとはいえ、ろくに鍛えていない一介の科学者である自分が、管理局の一線で戦い続けているSランク魔道師に勝てる道理が無い。自分に出来る事が精々時間稼ぎしかないと知っていた彼は、自分からは攻勢に出ずに防御に専念した。

 状況を利用し、言葉巧みに攻撃を牽制しながら消耗を誘う。その結果、自分とウーノの命運と引き換えにフェイトの魔力の大半を消費させる事に成功した。

 試合に負けて勝負に勝つ。大局的に見ると、アジト内の戦闘はスカリエッティの作戦勝ちだった。

 

『ごめん、はやて』

 

『それは黙ってた事に対してやんな? じゃなかったら怒るで。とにかくそんな話聞いた以上は、フェイトちゃんには任せられへん』

 

『……ごめん』

 

『もう良えよ。今のは私もちょっと意地悪やったし。となると……シグナム、シャマル』

 

『どうされましたか、主はやて』

 

『はやてちゃん?』

 

『シャマル、キャロちゃんの具合は?』

 

『依然変わらず、ね。何かあったの?』

 

『そか……。実は、ちょっと相談したい事があるんやけど……』

 

 当初、はやてはフェイトと自分の二人で突入するつもりであった。

 が、こんな話を聞いた後で同じ選択をする気にはなれなかった。

 救出に向かう側に万一の事があっては本末転倒。ミイラ取りがミイラになるなんて笑えない。

 なのは達の事も心配だが、フェイトの事も大切だ。そんな死地に向かう真似はさせられない。

 止めるのに多少キツイ良い方をしてしまったけど、そうでもしないとフェイトは本当に行ってしまいかねない。

 私一人が嫌われる事で止められるなら安い物、いや、フェイトちゃんなら分かってくれてる、やんな? 等と覚悟と甘えが入り混じった思考をしながらも、はやては並行して作戦を練る。

 フェイトの代わりに誰かを連れて行くのなら誰にすべきか、シャマルとシグナムを連れていった場合、外部の戦力をどうするか。特に自分の代わりの指揮官を誰に代わってもらうか。

 

(リインを残す? いや、それやと私の戦力が心許ない。なら、私とリインが外に残ってシャマルとシグナムが中に……アカン。シャマル単独にするなら私が単独で突入するのと変わらへん。なら、リインを……)

 

 はやてはいくつものパターンを脳内で考えるが、そのどれもが不安要素や欠陥を孕んでおり、なかなか結論に至らない。

 こんな時ついつい頭をよぎるのは、「こういう時〇〇があれば」というある意味現実逃避にも似た思考。

 

 最初の時自分も突入してれば、フェイトちゃんの魔力がもう少し残っていれば―

 スバル達をもっと温存できていれば、ザフィーラが怪我していなかったら―

 

 無駄だと分かっていても考えてしまう。はやてはそれに囚われないよう自分を律しながら、自分達がとるべき行動のみに集中していった。

 

 

 キャロちゃんが私達と一緒に戦ってくれていたら―

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