再び見つめ直す話   作:ベルトのつち

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迅が何考えてんのかわかんね。



第2話 「迅 悠一 ④」

 

イルガーは街と川の上をぐるぐると旋回している。落とすのならば川の上だろう。ただし二匹いるのが問題である。

その時浩太のサイドエフェクトに木虎のトリオンが映り込んだ。

 

「木虎!一匹任せていいか?」

『た、立木先輩!?ええ、了解です。』

 

いきなり通信が入ったからか、木虎は少し慌てた声で答えた。

ならば自分は一匹をしっかり落とすだけである。あのトリオン兵は自爆モードになると装甲がだいぶ固くなる。浩太の(ブラック)トリガーによる攻撃でも装甲を完全に叩き割ることができなかったのだ。今は口を開いているから通常モードなのだろうが、そうなると厄介であるため、迂闊に手が出せない。

 

「どうすっかな…」

 

浩太は右手に突撃銃を生成。マガジンを入れ替えながらイルガーに近づく。

イルガーの落としてくる爆弾を、ハウンドで迎撃しながら鉛弾(レッドバレット)を撃ち込む。これは改良版になっているため、一発100キロくらいになっている。さすがのイルガーでもこれは重いだろう。

 

「よし。」

 

旋回して街から離れていく。徐々にイルガーの高度が落ちだした。あとは川の上で仕留めるのみである。

 

浩太は橋を目指して走り出した。

横に木虎が相手をしているイルガーがいる。背中に一瞬光が走ったが、木虎の反応は消えていない。任せて大丈夫だろう。

 

橋の上に着いた時、イルガーは川の上で浮いたり沈んだりを繰り返していた。今あのイルガーは3トン以上の重石を抱えていることになる。フルオートで鉛弾(レッドバレット)を撃ちまくったのだから当然だろう。

 

「とりあえず一匹。」

 

マガジンを入れ替えた突撃銃でイルガーの目を撃ち抜く。イルガーの装甲が川に沈んでいき、その直後川の底から爆音が鳴り響いた。

 

「木虎は…!?」

 

木虎が戦っているイルガーは街の方へ向かっているようだった。しかし浩太が驚いたのは街へ向かっているから、というよりイルガーの尻尾にチェーンが付いていたから、である。

チェーンの先にあるのは見たことのないトリオンの反応だった。次の瞬間、イルガーは川へ引きずり落とされていく。

 

「なっ…!?」

 

急いで浩太はチェーンの先へ向かおうとするが、すぐにトリオンの反応は消えてしまった。

 

「仕方がない…」

 

とりあえず木虎と合流するのが先か。レーダーを展開し木虎の位置を確認、合流する。

 

木虎は見たところ市民への対応に追われているらしい。さすがボーダーの顔といったところか、しっかり捌き切った。

 

「お疲れ、木虎。」

「立木先輩。私が戦っていたトリオン兵、落としてくれたんですか?」

「いや、俺じゃない。…お前が倒したんじゃなかったのか?」

 

浩太の予想が合っていれば、あれはボーダーのトリガーではない。チェーンがでてくるトリガーなど見たことがなかった。ならば別のところからきた、近界のトリガーになるだろう。

 

「誰かに引きずり降ろされたみたいなんです。」

「そうか。それはそうと、木虎はなんでここに?」

「昼間のモールモッドの件で、付き添いを。」

 

昼間、というとC級がモールモッドを倒したという話だろう。

 

「あいつのことか?」

 

そう言って浩太は白髪の少年と話しているC級隊員指差した。

 

「ええ、今から本部に連れて行くところです。」

「俺も行くか。おい、そこの君ー。」

 

そう呼ぶと白い隊服に身を包んだ彼はこちらを振り向き、白髪の少年とともに向かってきた。

 

「君が昼間モールモッドを倒したC級隊員?」

「え、ええ。まあ。」

「ほほう。俺は玉狛の立木 浩太。よろしく。」

「み、三雲 修です。」

 

メガネのC級隊員は、冷や汗をかきながら答えてくれた。少しの自己紹介の後、トリガーを解除し歩き出す。

 

「で、そこの白髪の君は?」

「オサムの付き人だよ。」

 

立ち位置を聞いているんじゃないのだが。

 

「いや名前な。」

「空閑 遊真だよ。タチキ先輩。」

「空閑…。遊真ね。」

 

その後浩太は遊真や修と、あーだこーだ喋りながら基地の秘密経路を目指して歩いて行った。

 

 

〇━〇━〇━〇

 

 

木虎や修が本部を目指している頃、迅も本部を目指していた。防衛任務が片付いたところで城戸から直々にお呼びがかかったのである。

まずはイレギュラー門をどうにかしなければならない。そのために会議に自分が呼ばれたのであろう。そしてその鍵もこの先にある。迅のサイドエフェクトはそう告げていた。

 

「あっ、迅さん!」

「よう、久しぶりだな駿。」

 

本部に入ると周りから声がかかる。玉狛のS級は有名人だった。たまにげっ、とかいう引き気味の声も聞こえるが。

 

「そりゃたまには本部にだってくるさ。実力派エリートなんだからな。」

 

周りの声にそう告げながら、会議室を目指す。会議室に行く途中、沢村と一悶着あったものの、無事辿り着いた。

 

「迅 悠一。お召しにより参上しました。」

「ご苦労。」

 

そう言って左手で敬礼をした迅に、城戸が声をかける。一番最初に迅の目に付いたのは、修だった。

 

(やっぱり、君が握ってたか。)

 

そう思いつつ迅は、修に声をかける。

 

「キミは?」

「あ……三雲です。」

「ミクモくんね、おれ 迅。よろしく。」

 

一応自己紹介を済ませておく。迅は昔、修が、トリオン兵に襲われそうになったのを助けた。その時は自己紹介をしていなかったので、一応しておいた。

 

その直後に城戸が号令をかける。

今回の会議の出席者は城戸、忍田、本部長補佐の沢村、林藤、鬼怒田、寝付、唐沢。それに修、迅、三輪隊隊長の三輪 秀次を加えた面子である。

 

「本題に入ろう。昨日から市内に開いているイレギュラー門の対応策の話だ。」

 

話を進めようとする城戸に忍田が待ったをかける。

 

「まだ三雲くんの処分に結論が出ていないのでは?」

「重大な隊務規定違反を1日に2度。そんなものクビに決まっとる。」

 

鬼怒田がそう答え、根付もそれに続く。

 

「他のC級隊員にマネされても問題ですし。」

「だが私は処分には反対だ。三雲くんは市民の命を救っている。」

 

忍田は修の救助活動の大きさ、そしてその能力を含め、処分に反対している。それでも城戸は動かない。

 

「本部長の言うことには一理ある。」

 

そう言った上で、少しの間を空けて続ける。

 

「だがボーダーのルールを守れない人間は、私の組織に必要ない。」

 

城戸はこう締めくくった。忍田はこれには反論できない。そして、城戸は修にこう尋ねる。

 

「君は今日と同じようなことがまた起きたら、どうする?」

 

三雲 修は正直な人間だった。少し逡巡した後、はっきりと答える。

 

「目の前で人が襲われていたら…やっぱり助けに行くと思います。」

 

城戸の目を真っ直ぐみて、彼はこう言った。迅の中でまた未来が動く。

 

「ほれみろ、まるで反省しとらんではないか!」

 

鬼怒田がそう発するが、それを無視して根付が話を戻した。

 

「三雲くんのことはもういいでしょう。先ほどの被害の報告です。」

 

報告。

先ほどの爆撃により、民間人18名が死亡。その上重軽傷者は100名以上に登る。建物への被害も甚大。第一次近界民侵攻以来の大惨事である。

 

「早くイレギュラー(ゲート)をどうにかしないと、被害者への補償も大変な額になりますよ。ねえ、唐沢さん。」

 

そう締めくくった根付に、話を振られた外務・営業部長の唐沢が答える。

 

「金集めは私の仕事ですから、いくらでも引っ張ってきますよ。ただ、開発室長?」

「…今も開発室総出で原因を探っとるが、まだ掴めんのだ。」

 

今はトリオン障壁で強制封鎖しているが、それの残りも46時間。タイムリミットは刻一刻と近づいてくる。その時、迅の中で一つの未来が映った。

 

「なるほど…」

 

そう相槌を打った迅に林藤が話しかける。

 

「そういうことだ、やれるか?迅。」

「もちろん。実力派エリートですから。」

 

そう自信満々に答えた迅に、鬼怒田と根付は面喰らっていた。何せ開発室総出でも原因が掴めなかったのだ。そうなるのも無理はない。

 

「本当にどうにかなるのかね!?」

「ええ、任せてください。その代わり…」

 

迅は三雲の肩に手を置きこう言った。

 

「彼の処分は俺に任せてもらえませんか?」

「ど、どういうことだ…!?」

 

狼狽える鬼怒田を横目に、城戸は迅に問いかける。

 

「彼が関わっている、というのか?」

「はい。おれのサイドエフェクトがそう言ってます。」

「…いいだろう。好きにやれ。解散だ。次回の会議は明日21時からとする。」

 

その一言で今日の会議は終結した。

 

「さて、よろしく頼むぞ。メガネくん。」

「は、はい!」

 

そう言われて嬉しそうな修を横目に、迅は再び根回しを始める。

 

(この人が動くだけでここまで…)

 

そう修に思わせる程、迅は成長していた。

鬼怒田や根付にネタを提供し、そして上層部の心を掴む。19歳だとは思えない手際の良さであった。そして上層部の面々と連れ立って会議室から退室していった。

それに続こうとしていた修に、会議を聞いていた秀次が質問を飛ばす。

 

「三雲くん、一ついいか?」

「え、はい。」

「昨日警戒区域で大型近界民がバラバラになっていたのだが、それも君が?」

「えっ…」

 

秀次は修に、その警戒区域で保護した中学生は修と同じ中学校の生徒であったこと、そしてその場所に正隊員は来ていなかったということを説明する。

 

「…はい。ぼくがやりました。」

「そうか、疑問が解けた。ありがとう。」

 

秀次がそう言うと修は一礼して会議室から出て行った。

一瞬の静寂の後秀次は城戸にこう提案する。

 

「うちの隊で三雲を見張らせてください。近界民(ネイバー)と接触している可能性があります。」

「…どういうことだ?」

「今日のモールモッドは三雲のトリガーで倒されていました。しかし昨日のバムスターはボーダーでないトリガー、すなわち近界民(ネイバー)のトリガーの反応が出ています。」

 

城戸が全てを察するのにそう時間はかからなかった。

 

「…なのに彼はそれを自分がやった、と。」

「証拠は挙がっていますから、すぐにボロを出すはずです。」

「ふむ、任せよう。」

「あと、実際に近界民が絡んでいた場合は?」

 

秀次の問いかけに、今までとは違ったトーンで城戸は答える。

 

「始末しろ。近界民(ネイバー)は我々の敵だ。」

 

 

〇━〇━〇━〇

 

 

「あの…迅さんはイレギュラー(ゲート)の原因はもう知っているんですか?」

 

会議室から出た迅に、修が心配そうに尋ねる。それを見た上で迅はこう答えた。

 

「いや、全然だね。」

「え!?」

「でも大丈夫。おれのサイドエフェクトがそう言ってる。」

「は、はぁ…」

「あとさ、立木ってやつ知ってる?」

「え、ええ。一緒にここまできました。」

「ん、わかった。ありがとう。」

 

その修と明日会う約束を事細かく決め、別れる。その直後、迅は浩太を探し始めた。実力派エリートは忙しいのである。

 

 

一方浩太は秀次と一緒にいた。

 

「三雲の処分はどうなったんだ?秀次。」

「迅に一任された。何がしたいんだあいつは…!」

 

苦虫を噛み潰したような顔で秀次は言う。

 

「そっか…。んで三雲を見張るのか?」

「なぜそう思う?」

「いや、そうなるかなって思ってさ。だって迅に処分を一任したんだろ。」

「ああ、お前はどうするんだ?」

「まあ、適当に動いてみる。」

「分かった。何か掴んだら教えろよ、浩太。」

「もちろん。じゃあな。」

 

秀次の姿が見えなくなった後、浩太の背後から声が飛んできた。

 

「よっ、浩太。何話してたんだ?」

「そんなアレじゃねえよ。」

「アレって何だよ…」

「アレだよ、お前のサイドエフェクトに聞きたまえ。」

「そんな便利なもんじゃないよ、この副作用(サイドエフェクト)は。それそうと浩太、来週末の夜くらい空けといてくれないか?」

 

浩太は少し訝しそうな顔をするも、特に拒否はしなかった。

 

「…いつものラーメン屋でいいか?」

「おう。じゃあ、帰ろうか。」

「ああ。」

 

 

〇━〇━〇━〇

 

 

会議があった日の翌朝、修の家の前を張り込む二つの影があった。三輪隊の三輪 秀次と、米屋 陽介である。

 

「なあ、秀次。マジであのメガネボーイが近界民(ネイバー)と繋がってんの?」

「可能性は高い。」

「うへぇ〜、見かけによらねーな。ってことはそいつ人型近界民(ネイバー)か!テンション上がるなー!」

 

彼らはいたっていつも通りだった。陽介が暴れて、秀次が抑える。それでも若くしてA級になったのだ。実力は折り紙付きである。

 

「もしそうなら面倒な相手だぞ。気を抜くなよ、陽───」

「よっ、ぼんち揚げ食う?」

 

秀次の後ろから現れたのは迅だった。秀次と陽介は咄嗟に飛び退く。

 

「うはははは、びっくりした?」

「いやめっちゃビビりましたよ。」

 

陽介がそう返す。それに対する迅からの返答は、一枚の命令書だった。

 

「今日の午後から仕事あっから基地戻っとけよ。あとよろしく〜。」

 

そう言って迅は修の方へ去っていった。秀次は受け取った封書を歯噛みしながら握りつぶす。

 

「なんか読まれてるっぽいな。」

「迅……!!」

 

 

秀次ら三輪隊と別れた迅は修と合流した。

 

「よっ、メガネくん。おまたせ。」

「あ、おはようございます。」

「さて、行こうか。この先にイレギュラー(ゲート)の原因を知る人がいる。」

「迅さんの知ってる人ですか!?」

「いや、全然。」

 

修はポカンとした。それはそうだろう。こんなに自信満々に言うのだから。

 

「多分メガネくんの知り合いだと思うよ。」

 

ますます修はこんがらがっていく。わけがわからない。

 

迅は修とともに、放棄区域から警戒区域に入っていく。

 

「ここは……!?」

「やっぱ見覚えあるか。」

 

そして彼らの目の先にいるのは空閑 遊真、そして立木 浩太だった。

 

「ん?オサムか。」

「空閑…に立木先輩?」

「おはよう。」

 

遊真が修の知り合いだったのはいいが、浩太がここにいるとは思っていなかった。

 

「そっちはどちら様?」

 

遊真が迅に向けてそう問いかける。

 

「おれは迅 悠一。よろしく!」

「ふむ?そうか、あなたがあのウワサの迅さんか。」

「おまえちびっこいな!何歳だ?」

 

迅は遊真の頭をわしゃわしゃかき回しながら尋ねる。

 

「おれは空閑 遊真。背は低いけど15だよ。」

「空閑 遊真…。遊真ね。」

 

その時、迅には遊真が三輪隊と戦っている未来が見えた。それも使っているトリガーは(ブラック)トリガーであろう。その未来を踏まえ、迅はこう言う。

 

「おまえ、()()()()()()から来たのか??」

「あ、やっぱり?」

 

そう言うと浩太が同調した。当の遊真は半歩下がり、戦闘態勢を取る。修も何か思うところがあるのか、冷や汗をかいている。

 

「いやいや、待て待て。おまえを捕まえる気はないよ。」

 

それでも遊真は姿勢を低くして、重心を下にしている。そのまま迅は続けた。

 

「おれは()()()にも行ったことある。だからまあ、近界民(ネイバー)にいいやつがいるのも知ってるよ。」

「なんでおれが近界民(ネイバー)だと思ったんだ?」

 

そう遊真が聞くのは当然だろう。特に嘘を吐く理由もないため、迅は正直に答える。

 

「おれのサイドエフェクトがそう言ったんだ。」

「ほう……?」

「あ、あの、迅さんのサイドエフェクトって…?」

「ああ。おれには未来が見えるんだ。少しだけな。」

 

迅の副作用(サイドエフェクト)は『未来視』という。目の前にいる人間の、少し先が見える。幾つかの起こりうる未来が、並列でわかるというもの。確定しているものは年単位で見えているという。

 

「未来……!?」

「そうそう、その時にメガネくんが誰かと会っている未来が見えたんだ。それがたぶん遊真のことだ。」

 

そう言って迅は遊真の頭をわしゃわしゃ撫でる。撫でられやすい大きさだな…

 

「と言うことは空閑!原因を突き止めたってことか!?」

「うん、ついさっき。」

 

そう言って空閑は40センチくらいのトリオン兵をすっと持ち上げた。

 

「それが、犯人なのか…!?」

『詳しくは私が説明しよう』

 

そう言うと空閑の指輪から何やら黒い炊飯器のようなものが出てきた。

 

『はじめまして、ジン、タチキ。私はレプリカ。ユーマのお目付け役だ。』

「おお、これはこれは。はじめまして。」

「っお、どうも…」

 

迅はなかなか落ち着いて、浩太はすこしうろたえながら返答する。その炊飯器ことレプリカがこのトリオン兵について説明を始めた。

 

なんともこれは隠密偵察用トリオン兵のラッドと言うらしい。ただしこれは(ゲート)発生装置を備えた改造型だと。これはバムスターの腹部に格納されていた。

その一体を掘り出して行動プログラムを解析したところ、ラッドはバムスターから分離した後、人間の多い場所に移動してから、そこで(ゲート)の起動準備に入る。近くの人間から少しずつトリオンを集め、(ゲート)を開くらしい。

ボーダー隊員の近くで門が開くことが多いのは、高いトリオン能力を持つ人間が多いからだろう。

 

「じゃあつまりラッドを全部倒せば──」

 

修がそう言ったが、遊真は少し難しい顔をしている。

 

「いや〜、なかなかきついと思うぞ?」

 

レプリカもそれに付け足すようにこう言った。

 

『ラッドは攻撃力を持たないいわゆる雑魚だが、その数は数千にも昇るだろう。』

「まあ大丈夫だろ、迅?」

「ああ、たぶん問題ないよ。こっからはボーダーの仕事だな。」

 

そう言うや否や迅は行動を開始する。

速攻で基地へ戻り、上層部各人に指示を飛ばす、飛ばす、飛ばす。あっという間にボーダーの全部隊がラッドの一斉駆除に駆り出された。

 

迅の指揮のもと、C級隊員をも動員して作戦を進行していく。その中には嵐山隊や三輪隊も混じっている。昼夜を徹した作戦は、翌日の早朝には終わりを告げた。

 

「くぁ〜、終わったー。」

「やっぱ数の力は偉大だな。」

 

遊真がラッドが詰められたポリ袋を覗き込みながら感心したように言う。

 

「間に合ったのはおまえとレプリカ先生のおかげだよ。表彰もののお手柄なのに、おまえがボーダー隊員じゃないのが残念だ。」

「ほう、ならそれオサムにツケといてよ。」

 

当の本人はポカンとしていた。まさか自分に話が飛んでくるとは思っていなかったのだろう。

 

「あー、それいいな。クビ取り消しにB級昇進は確定だろうな。」

「ま、待ってください!ぼくほとんど何もしてないですよ!?」

 

修はそう謙遜するが、迅と遊真に説得されてしまい、引くに引けない状況になってしまった。

 

「それにメガネくんには守りたい子がいるんだろ?」

「それは、そうですけれど……」

 

その時迅のサイドエフェクトに映っていたのは、彼らに加え1人の少女が三輪隊との戦闘に巻き込まれる未来である。

 

「やっぱ、色々あるなぁ…」

「…?何か言いました?迅さん。」

「いいや、何でもないよ。明日からは平常運転だな。」

 

空閑はそう言う迅のことを見ていた。

その彼の瞳が黒く染まっていたことに、迅は気づかない。

 

 

〇━〇━〇━〇

 

 

「よう、浩太。こんなとこで何してんだ?」

 

「いや、ちょっと考え事だ。」

 

「あいつが近界民(ネイバー)で複雑か?」

 

「ん…。まあな。」

 

「そんな悪いやつじゃないよ、遊真は。」

 

「違う、俺が心配してるのは秀次なんだよ。近界民(ネイバー)を保護するってなるとどうせ絡んでくるだろう。」

 

「秀次か…。」

 

「お前あんまちょっかいかけない方がいいぜ、嫌われてるからな。」

 

「いやそれ、面と向かって言う?」

 

「おう。で、どう?何とかなりそう?」

 

「いや、何とかするのさ。」

 

「そうか、あんま1人で背負い込むなよ。お前は昔からそうだったからな。」

 

「ああ、分かってるって。」

 

 

〇━〇━〇━〇

 

 




ちょっと詰め込みすぎて長くなってしまった。すみません。1話を短くしすぎたんや…

これは浩太と迅と秀次を中心に書いてますけど、迅がネタバレメーカーですね。

そしてすっげー書くのが難しい。
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