贅沢は言わない せめて普通の生活を    作:暁魔

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このコーナーでは感想に書かれたことや自分なりに分かりにくいと思った設定の解説(ジャム)と一章と二章を繋ぐ断章(リロード)です。 
断章は最後に少しだけあるので前半の解説は飛ばしても構いません。



ジャム&リロード

[脱獄]

理子が最後の仕上げのために動きやすくするための身代わりと、華麗に決めようとした事件を妨害した八つ当たりという設定。

 

 

[軟禁場所]

理子に誘拐されたのに夾竹桃に任せた訳は構っている時間も処分の時間もなく「予定より早くから滞在したい」と頼んできた時の貸し借りをなくすたため。

 

[文字]

本編中で触れられることの無かった形状のイメージは『アカメが切る!』の村雨。

雄斗自身には無害なため体に纏うことができる。

また抑制の原理は体内に取り入れた雄斗の一部が文字を引き寄せそのまま固まるため意図していなくても発動するが触れれば解除できる。

 

[能力の代償]

液体を文字に置き換えたり文字を纏ったりする度に失うものは生理活性物質で香辛料や薬などで補うことができる。また痛みなどでも補えるが一時的なもので効力も有効時間も微々たるものだ。

 

[作業員]

不幸な足場崩落事故(5弾参照)の元現場職員。

始末書の山に追われ未だに夜勤が続いていた。

 

◼◼◼

化け物改めブラドの軍門に降ってから約一週間ぐらいの時が過ぎ、部屋の一室に軟禁されてはいるものの食事以外は不自由なく供給されており《鍵》も《夾竹桃》《文字統制》《 理子(武偵殺し)》《イ・ウー》《ヴィルドシュート》の計五つを手にいれ、関わりが深かったであろう知人や能力・武器などの戦闘系の記憶から組織構成に接客術などの記憶は順調に戻ってきたが入学式から一週間分の出来事がてんで思い出せない。

 

「なぁ、それ俺にも分けてくれよ…」

 

「………」

新たな仕事場でできた相棒は支給された数少ない食料を体で覆い隠し、『なにそれ?』と言わんばかりの白々しく小首をかしげる。

 

「この前少し分けただろ…」

 

「………」

『仕方ない』とため息をつき隠していた食料を渋々隠していた場所から引っ張り出し、1/3を噛み千切りそのまま器用に口を使い投げ渡してきた。

 

 

ただし、食料は生肉で熱処理、血抜きなどの処理を一切してい野性的…野生そのものだ。

※生肉は食中毒の危険があります。きちんと熱処理が済んだものを食べて下さい。

 

「この暮らしにも慣れたな」

生肉を少しずつ口含み咀嚼しながら自分の手や口にべったりと付いた血を能力で取り除き満腹感と能力の反動が相まって強烈な眠気が襲う。

 

「ちょっと寝るからいつもの頼むわ」

 

「………」

 

「わかってるって」

相棒は最初のうちは嫌がっていたもののブラシがけを交換条件に身体を枕代わりに使っていいと許可がおりた。

 

「おい仕事だ種馬」

よりにもよって寝ようとした瞬間ノックもせず入ってきたのは現飼い主のブラドで、『イ・ウー』では仕事=犯罪で犯罪者に荷担していると思うと気が引ける。

 

「なんだ?今さら躊躇してんのか?《怨霊》さんよ」

《怨霊》はこの一週間で付いた俺の犯罪者としての二つ名なで既に五人の武偵を能力で戦闘不能まで追い込み巷では武偵を襲う祟りなどとも噂されている。

 

 

 

あれ…これって社会復帰不可能じゃね…

 

 

「仕事はいつもと同じだ」

仕事内容は採血なのだがもちろん相手に拒否権などはなく否応なしに血は抜かれるため抵抗されることもあり。

能力(文字統制)を使えば道具を使わず触れるだけで血液を盗める俺専門の仕事と言っても過言ではない。

 

 

「期限はアシアード終了までだ。出来次第部下「ウルフィ」部…ウルフィでいい。そいつに血液を運搬させろ」

ブラドは小さな溜め息混じりの締まらない命令を出すと遠吠えで下僕である狼を呼び出し部屋から出ていった。

 

「ガウ」

一匹の狼が服を一度軽く引くとついて来いと言わんばかりに歩き出し、他に行く宛もなく狼の後ろをついて歩く。

しばらく歩くと大きな扉の前に置かれた積まれたダンボール箱の山が見え、一つだけ開いたままの大きなダンボールの前で座りこちらをじっと見つめてきた。

 

「これに入る…押すな!入るから!」

なかなか入らないことに業を煮やした狼が体当たりで押し込もうとするのを止めながら箱に入り蓋を閉める。

 

「これ、落ち着くな」

某傭兵が熱弁してダンボールの良さを語った時は苦笑いした記憶があるが、いざ入ってみると熱弁するのもうなずけるぐらいダンボールは安心する空間だった。

 

「引っ越し業者のものです。留守かな…」

 

「仕方ない、許可はとってあるんだやるぞ」

 

「うっす」

訳も分からないまま次々に積まれていたダンボールは運ばれていくのを呆然と見送り、残りが半分になった頃に我に変わり自分が荷物になっていることに気が付いた。

急いで箱からでようとするが『バレたらコロス』その一言が書かれたメモのせいで自分の番になってもなにもできず、箱詰めされたままの引っ越しをする事になった。

 

■■■

 

「もう大丈夫だよな」

引っ越し業者が部屋に荷物を運び終え物音が完全になくなったことを確認し、そっと箱の外にでる。

 

「いったいどこに送られたんだ」

移送中は気配を消すのに必死で周りのことを気にする余裕はなく、情報を得るためにガラス戸で区切られたベランダに足を踏み入れる。

 

「…………学生遼は流石にダメだろぉ!!!!」

外に見える景色は間違えなく武偵校男子寮から見える風景だった。

 

『逃げたわね!この馬鹿キンジ!!!』

叫び終わりベランダから部屋に戻りかけた時、隣からピンクツインテールことアリアの金切り声が耳に直撃した。

 

「……気のせいだよな…さて、作業始めるか」

ここは男子寮で女子であるアリアの声が聞こえるはずはなく恐怖からの幻聴だと信じ、さっそく共にトラックで運ばれてきた荷物の整理に取りかかる。

 

「これだけが俺の唯一の救い………」

 

get 石、草

 

「か、数合わせだよな」

 

get B5白紙

 

「…………」

 

get 生肉

 

「まともな物は無いのか!?」

今まで開けた箱の中身は生活に必要な最低限の物すら無く次でラストになる。

 

「現金…せめてカロリーメイトでも…」

 

get 移転用に作成した薬品の詰まった本、武偵校制服(新品)

 

こうして俺のまともじゃない新生活は始まった。

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