突如闇夜を明るく照らした赤い光にふと足を止め、夜空に咲く光の花を期待した人々はしばらく空を見回すが都会の空を光が彩ることはなく。
「なんだ…ただのいたずらか…」
誰が発したこの一言で町はいつも通りの喧騒に包まれ、大多数が花火だと思っていたものが信号弾だと知っている極一部の武偵は作戦を開始した。
コードネーム
『白ユリゴーストバスターズ』
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「探しているだろうとは思っていたが…」
「志乃ちゃんそっちに行った!」
「任せてください!」
「これは作戦がバレてるな」
見つけた瞬間の信号弾と回収ポイントを包囲するような配置。この一連の出来事が偶然ではなく必然なのは明らかで、回収ポイントが人通りの多い繁華街でなければ銃弾の雨にさらされているに違いない。
「逃がしません!」
「あぁ!!使いたくなかったけど仕方ない!」
スモークグレネードをその場で数本転がし、煙が辺りを覆い大通りがパニックに陥っているうちに路地裏に隠しておいた不自然にガタガタ揺れる大きなキャリーケースを引っ張り出し留め具を外す。
そして次の瞬間キャリーケースが内側から蹴破られ、女性の人影が姿を現した。
「ライカ!!」
「あかりさん待ってください」
あかりはキャリーケースからできたた火野に駆け寄ろうとするが動きが不審なことに佐々木は気がつき、あかりの手首を掴み引き留める。
「ライカさんに何をしたんですか?」
「さあな」
とある事情で泥酔状態になり安全のためキャリーケースに封じていましたなんて口が割けても言えるわけがない。
「ライカ。目の前にあかりがいるぞ」
ライカの背中を押すと同時に文字化させたアルコールと興奮剤流し込み症状を悪化させ、さらに同じものを服に纏わせ。
背中を押され一歩前に進んだライカはあかりをニッと見つめると全力で抱きつきにいった。
「危ない!」
「志乃ちゃん!」
身を張って抱きつきを止めたまでは順調に進んで見えたが火野に絡まれた佐々木は遊ばれ、次第に心の余裕をなくし暴れ始めるがスイッチの入った火野の前では無力だった。
幸いにもスモークグレネードは余っていたので本人たちのためにもいつもより多めに煙を炊いておく。
「あかり!聞こえてるか!今から言うことをよく聞けよ!全力で逃げろ!」
「え、ちょ!雄斗!何が起こってるの!?」
ここにいたら巻き込まれかねないので急いで路地裏に隠れた俺は悪くないはずだ。
そして、この技は二度と使わない。
◼◼◼
「ここにもしばらくこれないかな。ま、入学してから登校したことないけど」
海道に備え付けられた柵にもたれかかりながら対岸を見据え、
「さてと、最後の仕事をしますか。ま、あとは送信を押すだk…」
タンッ
甲高い銃声
チュン
物凄い速度で弾丸が目の前を通過音
メキッ
防弾携帯が真っ二つに割れる音
「妙な動きを見せたら撃つわよ」
「警告する前に撃ったよな!?」
聞き覚えのある声の聞こえた方に顔を向けると、数メートル離れた街灯の下で銃口から煙が出ているスナイパーライフルを構えた夾竹桃と風魔がいた。
「犯罪者風情が何をいってるのかしら」
「それは…貴殿にも…ヒッ…な、なんでもないでござる」
涙目の風魔に親近感を覚えるのは今までの俺の待遇が……やめておこう。これ以上は自分の首を閉めることになる。
「雄斗。無駄な抵抗はやめなさい」
「嫌だね」
「なら骨の1,2本折れるのは覚悟しなさい」
夾竹桃は持っていたスナイパーライフルをためらうことなく捨て、近くにあったキャリーケースからソードオフのショットガンを取り出すと同時に体勢を低くして距離を詰められ。俺は腰にあらかじめ提げておいたスプレー缶を両手に掴み頭上に放り投げる。
カハッ…
ショットガンから放たれたゴム弾は寸分の狂いなく鳩尾に吸い込まれ、肺の中にあった空気をすべて押し出し。
自分の作った兵器の対策がとられていたことを理解したときには既に膝が地に伏していた。
それでも容赦なく追撃を加えようとする夾竹桃を止めるため捨て身で銃を持つ右手首を掴むがそこには何時もの華奢な腕はなく武骨な金属の籠手が仕込まれ。手を払われるのと同時に文字は地面へと流れ落ちた。
「対策してないわけがな…「ウルフィ!」…クッ…邪魔が入ったわね」
帰投ルートの案内役で相棒の乱入のおかげで窮地からら逃れられたが、夾竹桃が毒使いでウルフィが生物である以上これ以上戦況が良くなるとは考えにくい。
「……ガゥ…」
「………そうか…ありがとな」
援軍は相棒のみ、それも独断で抜けてきたためこれ以上の支援はない。つまり俺は捨てられたも同然の存在。
「お前は帰れ」
なら帰る宛のやつを巻き込む訳にはいかない。
「話は終わったかしら?」
「あぁ。おかげさまでな」
「もう一度言うわ。投降しなさい」
相棒をが暗がりに消えていくのを待っていた夾竹桃はゆっくりとそう告げるがいまさら首を縦に振るわけもなく。
全身を文字で不気味に染め、感覚の全てを薬でシャットアウトし全力で飛びかかる。
「残念だわ」
夾竹桃が引き金に指をかけた瞬間勝利を確信した。
確かに暴徒鎮圧用のショットガンは意識を狩り取るほどの痛みはあるが薬と気の持ちようで耐えきれる。
「そう思ってるうちは勝てないわよ」
銃口から打ち出された弾は予想とは裏腹に空中分裂し、銃弾に仕込まれていた網に捕まり抵抗できなくなった俺の手首に聖銀の手錠がかけられる。
「やっぱ、まだまだ遠いな…」
「当たり前よ」
「これで俺も終わっ…」
外に出る際ブラドにつけられていたチョーカーもとい脱走防止用の首輪はピリッと電子音を放つと内臓されていたモーターが動きだし首が圧迫され意識が遠退く。
簡単に言えば電子機器による絞首刑だ。
「雄斗…?雄斗!!」
意識が完全に消える直前夾竹桃の悲鳴のような叫び声が聞こえた気がした。
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「変な芝居に付き合わせないで頂戴」
「どうせ俺が仮死薬使うのだって知ってただろ!」
場所は変わって救急車の中。仮死薬を使い死を偽装したのはブラドの直接回収を避けるため。
人前に姿を極力見せたくないブラドは今頃俺の死体を奪うために回りくどい手続きをしている頃だろう。
「それにしても無謀なことはやめなさい」
「俺だって本当は時間かけてやるつも…「そうじゃないわ。ブラドの情報を流すことよ」…え?なんのことだ?」
そんなこと恐ろしくてできないし、第一そんなスパイみたいなことを俺ができるはずがない。
「……なら私は理子の手のひらで踊ってたことになるわね…」
「ようやくに普通の生活に戻れるな」
「それは司法取引が終わってから言いなさい」
一番の難所とも言える司法取引。それを同乗り切るか今からでも胃がキリキリと痛む。
「それとあなたに電話よ」
俺に電話をかけるような人物なんて心当たりが…
『よう、さっきは世話になったな』
「人違いです」
1つだけあった
それも特大の恨みをかっている自信が
「せいぜい頑張りなさい」
司法取引の会場まで生きているかそれだけが心配でしょうがない。