贅沢は言わない せめて普通の生活を    作:暁魔

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第三章
1弾


司法取引も無事終わり5月中頃からようやく登校。

一度は犯罪に手を染めたため除籍扱いされても可笑しくないと思っていたが、実際は約1ヶ月の間登校拒否のサボり魔扱い。軽すぎる罰に肩透かしを食らったが問題はそこではなかった。

書類では不登校の俺はクエスト(仕事)は愚か授業すら受講していないため

 

「単位がいきなり足りない!!」

そう出席のみでとれる単位すらとれていない現状で留年の危険が背後から迫りつつある。

ただでさえ偏差値の低いこの学校での留年は卒業後の就職に大きく響く。

 

「まずは筆記からか……どこからやったらいいんだ!」

 

「良かったらノート見せてあげようか」

 

「おぉ…女神よ…」

思わず反射的に拝んでしまうほど今のあかりは神々しく輝いて見えた。

武偵校入学後…いや、今まで接してきた誰よりも癒しのオーラを放っている。

 

「でも、みんなと一緒のクラスになるなんてね」

 

「みんな?」

 

「ライカと志乃ちゃん…どうしたの顔色悪いよ?」

思い浮かぶのは先日の出来事。とっさのことで反省はしているがいまさら後悔しても遅い。とれる選択肢は見つかる前に教室から逃走の一卓に限る。

 

「ちょっと俺、急用が…「あら久しぶりですね」

 

「あ、志乃ちゃん。おはよう」

 

「あかりさんおはようございます。それよりも雄斗さんの復習。私も手伝います」

 

「なら俺も手伝ってやるよ」

 

「「もちろん実技(物理)で」」

両肩には修羅の手がかけられ、周囲はなにも見てないと言わんばかりに手で視線を遮り下を向いたまま黙りこみ。藁にもすがる思いであかりに助けを求めるが苦笑いで返された。

これって詰みじゃね…

 

 

「みなさーん。授業を始めますよ」

タイミングよくのほほんとした先生らしき女性が教室に入ってきたおかげで窮地から逃れることができ。

『命拾いしたな』そんな捨て台詞が幻聴として聞こえる位の負のオーラを放ちながら席に戻る2体の修羅を笑顔で見送る。

これ以上一緒にいたら心身共にどうにかなってしまいそうだ。

 

「今日は転校生を紹介します。じゃあ入ってきて」

 

『こんな偏差値の低い学校に転校生だと!?』

 

『美人だといいな~』

 

『高望みするな…来るのはどうせ問題時の男だ…』

期待や諦め、それらの声が重なりざわつく教室に颯爽と入ってきたのは見慣れた顔だった

 

「鈴木桃子よ。よろしく」

このクラスで一年間無事でいられるかどうか心配だ。

 

◼◼◼

 

超能力それは近代兵器にも肩を並べることができる古代からの秘術。発火能力.念動力.催眠術などの様々が思い浮かび、使い方次第では一騎当千も夢ではない

 

 

 

 

と思っていたが時期もあった。

実際能力無双をする俗にいう化け物も存在するがただでさえ少ない能力者の中でもほんの一握り。大部分を占めるのが子供騙しぐらいにならないのが一般的。

中でも俺の能力『文字統制』は対象に決まった量を流し込まなければ効力がでないし。ある程度の厚さがあれば表面で止まるので

 

「これでも食らえ!」

 

「………」

 

ベレッタから放たれた呪弾(文字入りペイント弾)はライオットシールドにいとも簡単に弾かれ。

盾からアサルトライフルに装備を替え目のハイライトを消しながら無言のターミネーターになるのはやめて欲しい。正直言って生きた心地がしない。

 

「こっちの物陰に隠…ウッ…」

火野の直線上にいてもアサルトライフルの犠牲になるだけで障害物に潜り込もうとするも、背筋に悪寒が走り本能的な反射でステップを踏むと同時に妖しい一筋の光が腹部を掠める。

 

「危ねぇ…」

 

近距離なら勝てるかと思うがそう上手くいくものではない。神崎先輩から逃げるときに使った全身に文字を纏うのは集中の消費が激しく動きが鈍くなる上に数秒しかその状態を保てず。短刀でのつばぜり合いとは違い長刀の居合い切りを得意とする佐々木には展開も間に合わなければ維持することもできず、仮に展開が間に合ったとしても刀身を文字が伝いきる前に離れられるため意味がない。

 

「というかお前ら!これバトルロイヤルだよな!俺一人の集中狙いは駄目だろ!?」

 

「偶々標的が被っただけです」

 

「あぁ単なる偶然だ」

 

「ライカさん行きますよ」

断言しようこれは最初から2対1の試合であったと。

 

「先生!これは明らか…「目の前に集中せい!」

見届け人の蘭豹に抗議するも帰ってきたのは『象殺し』の異名をもつ拳銃から放たれた弾丸で、それも着弾地点の壁の破片が頬を掠めるほど近くにだ。

 

「追い詰めましたわ」

 

「もう逃がさねぇぜ」

居合いの構えで距離をジリジリと詰める佐々木に遮蔽の上から狙いを定める火野。

これで俺の脱落は確定…

 

「なわけないだろ」

『イ・ウー』での経験もありこの程度で諦めるなんてことはしない。最低限の動きで即効性のあるスモークを炊き、さらにスモークグレネードをばら蒔く。

 

「このくらいの煙は馴れてるから平気なんだよな」

 

「確かにこの程度なら拙者も……「なんでお前がいるんだ!」

煙のなか話しかけてきたのは風魔で隣でうんうんと首を縦にふっている。

 

「何故って聞かれても……クゥゥ…雇われたからでござるよ」

 

「お前飯で釣られただろ!!!」

 

「かたじけない。これも拙者が生き抜くためには…」

 

「わかった!牛丼奢ってやる!」

あくまでも俺の選考は装備科。やはり武装の開発、量産に資金がかかるため家計は火の車だがしかたない。

ここで風魔を取り込めば戦力は同等になる。

 

「すまぬが今日はホテルでビュッフェでござる!」

 

雇い主の方が質が高いため交渉は決裂。それにしてもなんて羨まし……羨ましくなんてない!消えろ煩悩!

まずは一人でも戦力を削るのが優先だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっとした断食にまで落ちた食生活を送っている俺の目の前でビュッフェを語るなんて良い度胸だな!」

 

「八つ当たりは駄目でござるよ!?」

右腕に纏わせる毒はもちろん下剤。

 

跳躍のタイミングは過去最高。

 

手応えはある。

 

「やったか…」

早速掴んだ手首を引き寄せその絶望した面を…

 

「捕まえたぜ…」

どうやらとんでもないものを捕まえてしまったらしい。

さりげなく手を話そうとするも逆に腕を捕まれる。

これが日常生活であれば文句はないのに…

そんな検討違いな考えが浮かぶのはなにかを悟ったからであろう。

 

「動かないで下さいね」

 

「も、もちろん動きませんよ」

刃先は潰してあるといえ刀は刀。そんなものを首筋に宛がわれて抵抗しようという気にはならない。

 

「それにしてもこの煙のなかだ」

 

「ここで何が起きても外には伝わりませんね」

起死回生のための手段は結果的に修羅達の枷を外し自分の首を絞めることになった。

 

 

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