贅沢は言わない せめて普通の生活を    作:暁魔

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6弾

『イ・ウー』の下っ端である以上満身創痍であろうが仕事は山積みで冷たく固いコンクリートの上で一夜を明かし、理子先輩の次ののイベント(犯罪)手伝いでスポーツカーに遠隔操作の機械とサブマシンガンを取り付ける作業を行っていた。

 

「格闘のセンスはない…か…」

練習後の薬品投与時に鎮痛剤があったおかげで痛みは引いてきていることは確かだが至るところにできた痣や擦り傷の痛みの全てをななることはなく、身体を動かし傷が疼く度に理子先輩に言われた実戦の総評が残響のように頭に響く。

ちなみに理子先輩は武偵殺しと呼ばれるのが気に入らないらしく、間違えて呼んでしまえばドスの効いた声での(物理的)指導が加わる。

 

「ほら、手が止まって る ぞ!」

 

「アガァ!?」

作業が止まっていて渇を入れられるのは俺の落ち度だから仕方ない。

例えちょっと強めでも我慢しよう。

ただ痣が集中している背中を叩くのだけはやめてほしかった。

 

「あ、忘れてた。めんごめんご」

誠意の籠っていないの謝罪を聞き流し叩かれた部分を軽く擦ったあと工具箱から散らばったドライバーやスパナを無言で拾う。

 

「さては昨日のことを気にしてるな!」

 

「ならなんですか…」

直球すぎる言葉にイライラを隠せず工具箱を乱暴に床に置き声のトーンを落とし背中を向けた状態で返事をする。

 

「そんなに強くなりたい?」

強くないがために死ぬのも

 

訳もわからないまま捕まるのも

 

妥協して殺人に馴れてしまうのも

 

絶対にいやだ。

 

「当たり前だ」

 

「ならこれを使えばいいよ。理子の仕込み武器マニュアル~」

そう言って胸の谷間から取り出したのはポケットサイズの手帳で、色々とツッコミを入れたいところはあるが指摘したら負けな気がしたので無言で手帳を受け

 

「無視は酷いよ!?」

流石に無視は駄目らしい。

 

「アリガトウゴザイマス」

毎回会うたびにするボケにツッコミをいれ続ける猛者はいるのだろうか。

……変人の巣窟の武偵校なら…いやないな…

 

 

「ユー君は手先だけは器用だから理子は武器を多く持ったスタイルがいいと思うんだ」

 

「…なるほど」

 

「さて、問題も解決したことだし~理子は学校に行ってきます!あとは任せたぞユー君!」

返事を聞くよりも先に鉄扉を開けぱなしにしたまま倉庫から慌ただしく飛び出していった。

壁掛けの時計を見てみると指針は遅刻ギリギリの所を指していた。

 

「日頃の行いが悪いからこうなるんだ…メール?」

勿論この携帯は自分の物ではなく『イ・ウー』からの支給品で送り主は自然と二人に絞られる。

 

『その仕事理子が帰ってくるまでに終わらせといてね

 ps.理子は日頃から良い子だぞ』

 

「…………仕事しよ」

床に置いていた工具箱から工具を取りだし作業を再開した。

 

 

◼◼◼

「やっぱ、仕事終わりと言ったらゲーセンだろ」

なんとか理子が帰ってくるまでには武偵殺しの十八番(遠隔操作の武装乗り物)を仕上げ、幸いなことに身内だけでことを片付けたいのか大々的に指名手配されてくことは無いらしく報酬の2000円でゲームセンターまで遊びに来ていた。

 

「(この時間になるとこの服も目立たないな)」

赤を基準とした制服は普段なら直ぐに注目されるが下校してきた生徒もいるこの時間では不自然に思われないのもここにいれる要因の一つだ。

久しぶりのゲームセンター独特の雰囲気を楽しもうと自動ドアを潜るも後ろから急接近してくる見覚えのあるピンクツインテールが見えたため急いで建物の奥へと逃げ込む。

 

「あんたね…ペースを…少しは…考えなさいよ…」

 

「お前が…勝手に…ついてきたん…だろ…」

 

「(何でよりによってお前らなんだよ!)」

手配されていないとはいえ俺の姿を直に見ている誤認逮捕したピンクの悪魔と武偵殺しの哀れな被害者Aの前に顔を出すのは自殺行為に等しい。

今すぐにでもここから逃げ出したいのは山々だが1つしかない入り口近くのUFOキャッチャーを陣取っているため迂闊には動けない。

柱の影に隠れたまましばらく様子を見ることにしたが恋人のようにイチャイチャと…

 

「遠山キンジ……!もしや……アリア先輩につく悪い虫ってやつ!?」

柱を挟んで反対側からは小柄な武偵校の制服を着た少女がいるがとても関わりたk…話しかけたくないオーラを撒き散らしている。

ただこのままだとこの少女が見つかりそのとばっちりで俺まで見つかってしまうという最悪な事態が置きかねないため渋々声をかけ…その前に視線に気づいた少女がこっちに顔を向けたため目が合ってしまった。

 

「…………」

 

「………裏で話し合おう」

まずは隠密に話さなければ意味がなくここまでやり過ごしてきた意味がなくなるため柱の影に誘導する。

 

「一応弁解はするがそのアリア先輩とは知り合いでもないし関わる気はない」

むしろ会えば確実に捕まるし関わりたくないというのが本音だ。

ただ目の前の少女はまだこのことを信じきっておらず探るようにじっと見てくる。

 

「それに名前を知ったのだってついさっきだ」

 

「でも一目惚れの可能…「大丈夫だ年下には興味がない」

何か近くで切れた音がしたのはきっと気のせいだろう。

 

「それよりもいいのか?」

 

「え?」

 

「あいつら出てくみたいだけど」

 

「あ、ごめんもういかなきゃ!」

ゲームセンターから出ていく二人を慌てて少女は追いかけて行き心配すべきことはなにもない。

 

「よっしゃ!邪魔者のいなくなったし遊ぶ「………こんなところで何してるのかしら…」

全身のありとあらゆる機能が一瞬だけ停止し、首を壊れたロボットのようにカクカクと後ろに回転させる。

 

「き、奇遇だな…」

 

「必然よ理子から寄り道してるって連絡があったもの」

朝の件といい俺にプライバシーというものはないのだろうか。

 

 

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